税金や売却価格を調べるにあたり「土地評価額」という言葉を目にすることがあります。
あまり馴染みがある言葉ではないので、「土地評価額ってなんだろう?土地の価値や値段をを表すようだけど、どう調べたらいいの?」と疑問を持たれる方は多いと思います。
この記事では、土地評価額の概要や種類、調べ方を解説しています。
この記事を読んで、目的にあった土地評価額がなにか理解し、調べられるようにしていきましょう!

- 監修畑中 学
- 不動産に関わる相続や債務問題のトラブルシューティングを得意とし、その真摯な取り組みがNHK、読売新聞、日本経済新聞などで紹介されている。武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役。
- 【保有資格】宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者
- 【URL】武蔵野不動相談室株式会社
土地の評価額とは?種類を解説
冒頭で述べた通り、土地評価額とは「土地の価値を数字で表したもの」です。
土地評価額には6つの種類がある
そもそも土地は「一物五価」と呼ばれており、「実勢価格」「公示価格」「基準地価」「相続税評価額」「固定資産税評価額」という5つの異なる価格があります。
土地評価額は、この「五価」に「不動産鑑定評価額」を加えて6つの種類があります。
▼6種類の土地評価額と用途
種類 | 概要 | 用途 |
---|---|---|
①実勢価格 | 過去に実施された実際の土地の取引価格 | 売却価格の算定 |
②公示地価 | 国土交通省が毎年1月1日に全国各地点の価格を調べて公開しているもの | 売却価格の算定 |
③基準地価 | 自治体が毎年7月1日時点に同都道府県内の価格を調べて公開しているもの | 売却価格の算定 |
④相続税路線価 | 国税庁が定める、相続税や贈与税の目安とするために、毎年1月1日を基準日として定めた土地の価格 | 相続税・贈与税額の算定 |
⑤固定資産税評価額 | 各市区町村が3年に1回の頻度で定める、固定資産税の目安となる土地の価格 | 固定資産税額の算定 |
⑥不動産鑑定評価額 | 不動産鑑定士がプロの視点から評価した土地の価格。法的効力をもつ。 | 不動産価値の法的証明 |
なぜ同じ土地なのに6つも種類があるの?
同じ土地に評価額が5つもある理由として、税金や売却価格などの用途に応じて土地の価値を測る基準が異なることが挙げられます。
土地の価格は市況によって変動しやすいです。よって、売却価格と税金額を決める基準をわけておかないと、税金額まで乱高下してしまい、納税者も、税金を財源とする自治体も困ってしまいます。
また、税金でも、固定資産税のように毎年支払う税金と、相続税のように特別な場合のみに支払う税金とでは、参考にする価格の種類は異なります。同じ価格を基に決めてしまうと、毎年負担する固定資産税額が多くなりすぎたり、相続税の支払いが少なくなりすぎたりして、安定的に納税や徴税ができなくなってしまうからです。
さらに、土地の価格を法的に証明したいかどうかによっても、調べるべき価格は決まります。裁判や物的担保などで法的証明が必要な場合は、プロの不動産鑑定士に調べてもらった評価額を用います。
このように、売買か納税か、納税のなかでも相続か固定資産税の支払いか、法的証明を必要とするか、などの用途によって、基準となる土地の価格(土地評価額)は異なってくるのです。
【用途別】土地評価額の調べ方と計算方法
本章では、前章で紹介した6種類の土地評価額のうち、自分で調べることができる5種類について解説しています。プロの不動産鑑定士が調べる「不動産鑑定評価額」については次章で解説していますので、ご参照ください。
次の表から、ご自身の用途にあった土地評価額を選んでみてください。
用途 | 土地評価額 |
---|---|
売却価格を知りたい | ①実勢価格 |
②公示地価 | |
③基準地価 | |
相続税額を知りたい | ④相続税路線価 |
固定資産税を知りたい | ⑤固定資産税評価額 |
過去の売買取引価格がわかる「実勢価格」
実勢価格とは、「実際に市場で売買が成立する価格」のことです。別名で「時価」ともよばれ、「いまの市場で売り出したときにいくらで取引されるか」を指しています。
実勢価格は近隣エリアの実際の取引価格から類推できるもので、売主の売りたい価格と買主の買いたい価格が一致し、取引が成立したときにはじめて決定されます。例えば、「2000万円で売りたい」売主と「2000万円なら買える」という買主が取引を成立させると、その土地の実勢価格は2000万円ということになります。
なぜ実勢価格は売却価格の参考になるのか
土地の売却価格が決める要素はいくつかありますが、そのひとつとして周辺エリアにおける過去の取引価格(=過去の実勢価格)があげられます。
実際に参考にされるのは時価(今の市場での価格)になりますが、過去の実際に取引された価格を参考にすることで今の実勢価格も一定想定することが可能です。
ただし、土地の売却価格は取引する際の市況や売主買主の事情、その土地の周辺環境、形状や接面道路の幅、建築制限など個別の条件に左右されます。条件が全く同じ状況で条件が全く同じ土地が取引されることはほぼないため、過去の実勢価格から自分の土地の売却価格を参考にする際は、あくまで目安としてとらえておきましょう。
実勢価格を調べる方法
売却価格を計算するために実勢価格を調べる場合、自分の土地と類似する近隣の土地の直近の取引情報を参考にすることになります。
最新の取引情報は、国土交通省が管轄している土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」で無料で調べられます。
土地総合情報システムの「不動産取引価格情報検索」では、国土交通省が土地の価格や広さ、建築条件をまとめて、詳細な住所が特定されないように加工したうえで過去の土地の取引情報が公開されています。
ここで見られる取引情報は、不動産を実際に購入した人にアンケート調査を行い、結果をデータベース化したものです。宅地や土地などの種別や、不動産の所在地は市町村よりもさらに細かな地区で検索できるのが特徴です。
実勢価格から売却価格の目安を調べる手順
- 土地情報総合システムから「不動産取引価格情報検索」を選択
- 検索条件の設定画面が表示されるので、住所と直近の調査結果を選択
- 検索結果から自分の土地と類似する取引情報を探し、その土地の㎡単価を確認
- 「似た条件の土地の実勢価格×面積 」から算出
都市の土地価格の目安がわかる「公示地価」
公示地価とは、地価公示法に基いて、国土交通省が毎年1月1日時点の標準地(調査地点)の価格を、その年の3月中旬~下旬に発表した価格のことです。
このとき調査される地点は全国2万5,000地点以上となっており、不動産鑑定の国家資格を有する2名以上の不動産鑑定士が現地を調査して算出し、ぞの後審査や調整を経て正常な価格が公示されています。
都市以外の土地価格の目安がわかる「基準地価」
公示地価と似たもので、基準地価というものがあります。こちらは各都道府県が毎年7月1日時点の基準値(調査地点)の価格を調べ、国土交通省がまとめて9月中旬~下旬に公表する価格となっています。
公示地価と公示地価の違いとは
公示地価と基準地価の違いは、大きく分けて以下の3つになります。
- 基準地価は公示地価の不足地点を補っている
- 異なる方法で評価されている
- 調査のタイミングが異なる(公示地価は1月1日時点、基準地価は7月1日時点)
公示地価は国が、基準地価は各都道府県によって調査されているため、基準地価のほうがより地方の地点がより網羅的に調べられています。
使い分けとしては、都心の価格は「公示地価」、公示地価の情報がない地方の価格は「基準地価」で調べることがおススメです。また、公示地価と基準地価で同地点の価格がわかる場合、両者を比べることでその地点の価格がどう変遷したかも調べることもできます。
なぜ公示地価・基準地価は売却価格の参考になるのか
公示地価・基準地価は売却価格を決める指標のひとつとされているため、両者は売却価格を調べるうえでの参考になりえます。
土地の価格を市場原理にだけ任せておくと、その時々の経済、社会状況などで乱高下し、特に公共事業などで土地を取得するなど、税金が投入される事業で無駄使いにつながってしまいます。そのため、地価公示法という法律のもと決定された価格を価格決定基準のひとつとして加えることで、市況によって売却価格が変動することを防いでいるのです。
公示地価・基準地価から売却価格を計算する方法
公示地価は国土交通省が管轄する土地情報総合システムの「国土交通省公示・都道府県地価調査」から調べることができます。
公示地価から売却価格の目安を調べる手順
- 土地情報総合システムから「地価公示・都道府県地価調査」を選択
- 「都道府県→市区町村→調査年・用途区分」で条件を指定
- 表示された公示地価・基準地価から、似た条件の土地の価格を確認
- 「似た条件の土地の公示地価×面積×1.1」から売却価格を算出
相続税や贈与税を算出する基準としての「相続税路線価」
相続税や贈与税の課税のベース(相続税評価額)がいくらになるか知りたい人は、「相続税路線価」を調べましょう。相続税路線価とは、「市街地の路線(道路)に面する土地1㎡あたりの価格」のことです。
相続税や贈与税の課税の基準となる土地の評価額(=相続税評価額)の算定に用いられます。国税庁が毎年1月1日時点の価格を評価し、その年の7月に発表しています。
相続税路線価から相続税を計算する方法
相続税路線価は国税庁のサイトや、全国地価マップから調べられます。ここでは全国地価マップから調べる方法を紹介します。手順は以下の通りです。
- 全国地価マップにアクセスし、ホーム画面から「相続税路線価」を選択
- エリア条件の指定画面から、自分が調べたい土地の住所を入力
- 近隣エリアにおける路線価が表示されるので、調べたい土地の住所に表示されている路線価を確認
- 「路線価×面積」から相続税評価額を計算
固定資産税を算出する基準としての「固定資産税路線価」
お住まいの自治体に納付する、土地にまつわる税金は、固定資産税評価額をもとに算出します。固定資産税評価額とは、固定資産税、都市計画税、登録免許税、不動産取得税の課税の基準となる土地の評価額のことです。
また相続税路線価が設定されていない地域で、相続税額を算出するための土地の評価額を求める際にも用いられます。市区町村によって3年に1度の頻度で評価が行われ、基準年の1月1日時点の価格が、その年の4月初旬に公表されます。
固定資産税評価額の調べ方と計算方法
固定資産税評価額を調べる手順は以下の通りです。
- 固定資産税納付書から固定資産評価額を確認
- 固定資産評価額に税金の種類に応じた税率を掛け合わせて計算
固定資産税の計算方法に関する詳細は、以下の記事を参考にしてください。
土地価格の法的証明が可能な「不動産鑑定評価額」とは
不動産鑑定評価額とは、不動産鑑定士試験に合格して国家資格を取得した不動産鑑定士が、国の定める評価基準に則り、適切な手順を踏んで算出した不動産価格となります。
公的な規定に則ってつけられた価格となるため、裁判や金融機関に対して土地の価値を法的に証明する際に役立つ唯一の価格となります。
不動産鑑定評価額が必要になるタイミング
不動産鑑定が必要になるのは、主に以下のようなタイミングです。
- 財産分与の際
- 不動産を担保として金融機関から融資を受ける際
- 相続税の節税のために適切な不動産価値の算出が必要な際
- 収益用不動産の家賃等の決定をする際
- 不動産を証券化する際
適正かつ妥当な不動産価値が求められる場合において不動産鑑定は用いられます。また、所有不動産の価値を公的機関に提出する必要がある際に必要になります。
不動産鑑定評価額を調べるには鑑定費用がかかる
不動産鑑定は精密かつ信頼性の高い不動産評価方法ですが、作成できるのが資格者のみと定められているため、かなり費用がかかります。
不動産鑑定にかかる費用は、不動産の種別や規模によって大きく異なりますが、1億円未満の不動産であれば、おおよそ20万円~90万円前後になります。
土地評価額より正確に売却価格を知るには
2章にわたって土地の売却価格の試算の仕方をご紹介しましたが、実際の売買取引における価格には、土地の面積だけでなく、さまざまな条件が影響します。
そのため、より正確に土地の売却価格を知りたいのであれば、不動産会社に査定依頼をしてもらうことをおすすめします。
土地を査定してもらう場合、不動産会社は現地の様々な土地の評点を踏まえたうえで、査定価格を提示します。
査定は複数社に依頼をするのがおすすめです。不動産会社によって見積もり金額に差が出ることは珍しくなく、複数社が提示した査定結果を比較することで土地の売却相場を把握しやすくなるからです。
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