マンションの売却には、手数料の他にも様々な費用や税金がかかります。
- マンション売却にかかる手数料
- 不動産会社への成功報酬として支払う:仲介手数料
- 契約のために必要な費用、税金:諸費用
マンションの売却では、売却価格の5~7%の費用がかかるといわれていますが、そのうちのおよそ半数を占めるものが不動産会社に支払う仲介手数料です。
この記事では、仲介手数料を中心に、マンション売却にかかる費用について紹介します。
マンション売却にかかる手数料・費用の総額
マンション売却には、高額な仲介手数料に加え、様々な費用がかかります。
手数料やその他費用をあわせて、マンション売却にはマンションを売った価格の5~7%程度の費用が売却費用として支払う必要があります。
例えば5年以上住んだマンションを3,000万円で売却した場合、マンション売却にかかる手数料の総額はなんと、124万円もかかるのです!
仲介手数料の他にも、契約に関する手続きの際には税金がかかりますし、人によってはマンションを売るためにハウスクリーニングをしたり、引っ越しをする方もいらっしゃると思います。
マンション売却にかかる費用を詳しく知らずに売却をすすめてしまい、当初考えていたよりも手元にお金が残らず困ってしまう!なんてことがないように、次の章からは仲介手数料やその他の費用について、詳しく解説していきます。
マンション売却にかかる仲介手数料
手数料は、不動産会社への成功報酬であり、売却が成立したら支払います。
「宅建業法」によって上限額が定められているため、不動産会社は上限額を超えて売主に手数料を請求することはできません。
手数料の上限額は、売却価格に応じて以下のように定められています。
売却価格 | かかる手数料の目安(法定上限額) |
---|---|
200万円以下の部分 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
マンション売却で手数料以外にかかる費用・税金
続けてこの章では、マンション売却で手数料以外にかかる費用・税金について解説します。
マンション売却には、以下の費用が仲介手数料の他にかかってきます。
マンション売却で必ずかかる費用の一覧
- 譲渡所得税
- 印紙税
- 司法書士報酬
- 書類発行費用
- 住宅ローン返済手数料
- 登録免許税
譲渡所得税
不動産の売却では、利益が生じた際には「譲渡所得税」がかかります。譲渡所得税には、所得税と住民税が含まれます。
所得税は、不動産の売却益(譲渡所得)に対して課税され、国に治める税金です。
不動産を売却する人が必ず支払わなければならない税金ではなく、利益が生じた際のみに支払う必要があります。
所得税は以下の式で求められます。
所得税は、給与所得や事業所得など他の所得とは分離して税額を計算します。
譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間に応じて以下のようになります。
所有期間が5年以下 | 所有期間が5年超 |
---|---|
30% | 15% |
所得税を求めるには、まず譲渡所得がいくらになるか考えます。
譲渡所得とは、不動産の売却価格から売却にかかった費用(譲渡費用)と不動産を取得した当時にかかった費用(取得費用)を差し引いた金額です。
譲渡所得税には所得税・復興特別所得税・住民税が含まれ、マンションの所有期間に応じて税率が異なります。
(参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」)
マンション売却にかかる税金については以下の記事で詳しく解説しています。
印紙税
印紙税とは、売買契約時に作成する売買契約書に対してかかる税金です。
印紙税は、売却価格(売買契約書に記載された金額)に応じて金額が異なります。
売買契約書の記載金額 | 税額(※) |
---|---|
100万円を超え500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え1,000万円以下 | 5千円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
※令和6年3月31日までの間に作成される不動産の売買契約書は軽減措置が適用され、表の金額が適用されます。
(参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」)
抵当権抹消費用
マンション売却の場合、住宅ローンの借入時に設定した抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」の申請を行うことが多いです。
抵当権抹消費用の総額 | 1万2千円~2万2千円 |
登録免許税 | 1,000円×2 |
司法書士への報酬 | 1万~2万 |
▼登録免許税
登録免許税は、不動産1つにつき1,000円かかるので、戸建てやマンションの場合は土地と建物で2,000円かかります。
自分で抵当権抹消手続きを行う場合は、登録免許税のみで済ませられますが、難しい手順が多いため司法書士に依頼することが一般的です。
▼司法書士への報酬
住宅ローンの残債をマンションの売却代金で一括返済する方は、抵当権抹消登記を司法書士に委任することになります。
司法書士に委任する場合、司法書士への報酬として1~2万円かかります。(行われる手続き次第で金額は前後します。)
住宅ローンの一括返済手数料
売却するマンションにローンが残っている場合、ローンの一括返済のための事務手数料がかかります。事前に金融機関のHPをチェックしておきましょう。
事務手数料は金融機関によって5,000円~3万円です。
証明書類の発行費用
マンションを売却する時は以下の証明書が必要で、それぞれ取得するために費用がかかります。
地域や自治体、申請方法によって費用が異なることがあるので、詳しい金額は住んでいる地域のHPを確認しましょう。
▼印鑑証明書
印鑑証明書は、登録されている印鑑が本物であると証明書類で、実印の押印とセットで提出が求められる。
印鑑証明書自体に有効期限はありませんが、売買契約などでは「発行から3か月以内のもの」と条件がつけられることがあります。
費用は書類の受取方法によって異なり、300円~500円程度かかります。
▼住民票
住民票は、先に新居へ引っ越して住民票を移している場合は住所の変更登記をする時に必要です。
費用は各自治体によって異なり、200~300円程度です。
▼固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書は、買主の登録免許税を算出する時に必要です。取得費用は自治体により異なります。
東京都の場合は、1件につき400円、2件目以降は100円で発行できます。
▼登記事項証明書
登記事項証明書(登記簿謄本)は、土地・戸建て・マンションなど不動産の所有者や権利関係、過去の取引情報などの登記情報を証明する書類です。法務局で取得できます。
費用は書類の受取方法によって異なり、400円~600円程度かかります。
場合によってかかる費用
マンション売却時の状況に応じて、引っ越し費用とハウスクリーニング費用が発生します。
▼引越し費用
居住中のマンションを売却する場合は、引っ越し費用も必要です。
引っ越し費用の相場は、運ぶ荷物の量と移動距離、引っ越しする時期に応じて異なります。
▼ハウスクリーニング費用
マンションの売却中、ハウスクリーニングを利用する場合は費用がかかります。
部屋の広さや間取りで相場は変わりますが、同じ広さでも空室のほうが費用は安くなります。
マンション売却の手数料をシミュレーション
マンションを売却すると、実際にどのくらいの手数料や費用がかかるのでしょうか?
以下の2つの例から、手数料や費用が全部でいくらかかるのかシミュレーションしてみます。
- マンションを3,500万円で売却した場合
- マンションを4,000万円で売却した場合
マンションを3,500万円で売却した場合
マンションを3,500万円で売却したとすると、仲介手数料は以下のように算出します。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 122万1,000円 |
印紙税 | 1万円 |
抵当権抹消費用 |
|
住宅ローンの一括返済手数料 | 3万3,000円(三菱東京UFJ銀行・窓口手続きの場合) |
証明書類の発行費用(埼玉県さいたま市の場合) |
|
合計 | 128万2,180円 |
マンションを5,800万円で売却した場合
マンションを5,800万円で売却した場合の仲介手数料は以下のとおりです。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 198万円 |
印紙税 | 3万円 |
抵当権抹消費用 |
|
住宅ローンの一括返済手数料 | 5,500円(三井住友銀行・インターネット手続きの場合) |
証明書類の発行費用(東京都港区の場合) |
|
合計 | 203万3,710円 |
(参考:「港区公式HP」、東京都主税局「固定資産に関する証明書等の手数料について」)
マンションの売却価格がわかる方は、費用をシミュレーションしてみよう!
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
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マンション売却の手数料は値引きできるの?
マンション売却では、不動産会社に仲介を依頼するとなると手数料は必ずかかりますが、「この手数料、もうちょっと安くならないかな…?」と感じる方は少なくないと思います。
マンション売却にかかる費用は手数料だけではないので、できるだけ売却費用は抑えたいと思うのはごく自然なことです。
この章では、「手数料は値引きできるのか?」を中心に解説していきます。
値引き交渉は可能だがデメリットがある
1章でお伝えした通り、仲介手数料の上限額は法律で決められていますが、下限額の規定はありません。
そのため、マンション売却時の仲介手数料は交渉次第で値引きできる可能性があります。
しかし、仲介手数料を値引きすると以下のようなデメリットがあります。
- 不動産会社の販売意欲を下げてしまう
- 積極的に広告活動を行えなくなる
- 囲い込みや両手仲介のリスクが上がる
仲介手数料には、広告費などの不動産会社が売却活動を行うための費用が含まれており、売却活動を行ってくれる不動産会社への報酬でもあります。
本来かかるはずの仲介手数料を値引きしてしまうと積極的な広告活動を行ってもらえなくなる可能性があります。
マンションを売却する上では、広告活動は買主を見つけるために非常に重要なステップなので、仲介手数料の値引きはおすすめできません。
「手数料無料」には要注意
手数料の値引きにはデメリットがある一方で、「仲介手数料無料」を謳っている不動産会社も存在しています。
さらに、両手仲介されるということは同時に「囲い込み」の可能性が高く、「他の不動産会社へ正しい情報が伝えられない」「低い価格で売却することになる」などの様々なリスクがあります。
仲介手数料が無料になれば、マンション売却にかかる費用を抑えられるので非常に魅力的です。
そのため、「仲介手数料が無料だから」という理由だけで不動産会社を選んでしまうことのないようにしましょう。
手数料の値引きより節税対策が効果的
このあと解説しますが、マンション売却では、仲介手数料以外にも様々な費用がかかります。
そのため、マンション売却の費用を抑えるには、手数料を値引きするよりも特例や控除を利用して節税対策したほうが効果的です。
マンション売却した時に使える特例や控除について、以下に簡単にまとめました。
- 3,000万円特別控除:自身が住んでいた家を売却した時に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例
- 特定居住用財産の買い替え特例:住んでいた家を売却して新たな家に買い替えた時に売却益に対する課税を将来に繰り延べできる特例
- 所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例:所有期間が10年を超える家を売却した時に税率が軽減される特例で、3,000万円特別控除と併用可
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」「特定のマイホームを買い換えたときの特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
それぞれ適用条件や併用可・不可のものがあるので、適用条件に合う特例や控除がないか確認してみましょう。
また、マンション売却したことでマイナスになってしまった場合の救済措置として利用できる特例もあります。
以下の記事では、マンション売却にかかる税金や節税対策について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、マンション売却でかかる仲介手数料や、その他の費用について解説しました。
特に重要なポイントは下記の2つです。
- マンション売却の仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」が目安
- その他の費用を含めると、マンションの売却価格の5~7%の費用がかかる
仲介手数料の金額は、不動産会社が違ったとしても差が出ることはあまりありません。
そのため、マンション売却後に手元に残るお金を増やしたい方は、なるべく高くマンションを売ってくれる不動産会社を探すことが重要です。
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知識や経験が豊富な担当者に、費用や税金に関する相談をして、納得した上でマンション売却に臨みましょう。
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