マンションの売却には、手数料の他にも様々な費用や税金がかかります。
- この記事のポイント
- 仲介手数料の目安は「売却価格×3%+6万円+消費税」
- 不動産会社が売主に請求できる仲介手数料は「宅建業法」で上限額が定められている
- 手取り額を増やすにはより高く売ってくれる不動産会社を見つけることが重要
マンションの売却にかかる費用は、売却価格の5~7%といわれており、そのうち大部分を占めるのが不動産会社に支払う仲介手数料です。
この記事では、仲介手数料を中心に、マンション売却にかかる費用について紹介します。
マンション売却の手数料の目安は「売却価格×3%+6万円+消費税」
マンション売却時に不動産会社に支払う手数料の目安は、以下の式にマンションの売却価格を当てはめると計算できます。
マンション売却の手数料=売却価格×3%+6万円+消費税
マンション売却時に不動産会社に支払う手数料は、不動産会社が個々に設定できます。
ただし、不動産会社が売主に請求できる仲介手数料は「宅建業法」で上限額が定められています。
多くの不動産会社は、仲介手数料を上限額いっぱいの金額で売主に請求しているため、法定上限額を求めれば仲介手数料の金額を概算できるのです。
仲介手数料の上限は、不動産の売却価格の金額に応じて以下のように定められています。
売却価格 | かかる手数料の目安(法定上限額) |
---|---|
200万円以下の部分 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円を超え400万円以下の部分 | 売却価格×4%+2万円+消費税 |
400万円を超える部分 | 売却価格×3%+6万円+消費税 |
仲介手数料は、「買主との売買契約時」と「決済・マンションの引き渡し時」の2回に分けて支払うことが一般的です。
また、無事に売却が成立した時にのみ支払い義務が発生するため、査定や売却活動を行ったとしても売却に至らなければ支払う必要はありません。
手数料の早見表
以下の表に、先ほど紹介した仲介手数料の上限額を概算したものをまとめました。
仲介手数料のがいくかかるのかの目安として参考にしてみてください。
マンションの売却価格 | 仲介手数料の上限額(税込) |
---|---|
200万円以下 | 11万円 |
400万円 | 19万8,000円 |
1,000万円 | 39万6,000円 |
2,000万円 | 72万6,000円 |
3,000万円 | 105万6,000円 |
4,000万円 | 138万6,000円 |
5,000万円 | 171万6,000円 |
6,000万円 | 204万6,000円 |
7,000万円 | 237万6,000円 |
8,000万円 | 270万6,000円 |
9,000万円 | 303万6,000円 |
1億円 | 336万6,000円 |
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マンション売却で手数料以外にかかる費用・税金
マンションの売却では、不動産会社に支払う仲介手数料以外にも様々な費用や税金がかかります。
▼仲介手数料以外にかかる主な費用・税金
費用 | 金額の目安 |
---|---|
譲渡所得税 |
|
印紙税 | 1~3万円程度 (マンションの売却価格によって異なる) |
抵当権抹消費用 |
|
住宅ローンの一括返済手数料 | 5,000円~3万円程度 |
証明書類の発行費用 | それぞれ200~600円程度(申請方法により異なる) |
引越し費用 | 10~30万円 |
ハウスクリーニング費用 | 6,000~5万円 |
仲介手数料と合わせると、マンション売却にかかるお金は売却価格の5~7%程度と言われています。
ここからは、マンションの売却にどんな費用がいくらぐらいかかるのか、詳しく見ていきましょう。
譲渡所得税
譲渡所得税とは、マンション売却の利益に課税される税金の総称です。
マンションの所有期間に応じて、売却益の約20%または約40%の税金がかかります。
所有期間(※) | 譲渡所得税の種類 | 合計 | ||
---|---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税 | ||
5年以下(短期譲渡所得) | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
5年超(短期譲渡所得) | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
(※)所有期間は、マンションの取得日からマンションを売却した年の1月1日までを数えます。
たとえば、10年住んだマンションを売って500万円の利益が出たら、約100万円ほど譲渡所得税がかかります。
マンションを購入した時の価格から売却価格が大きく値下がりした場合など、売却によって利益が出なければ、譲渡所得税はかかりません。
マンション売却にかかる税金については以下の記事で詳しく解説しています。
印紙税
印紙税は、マンションの売買契約書の作成時にかかる税金です。
税額は、売却価格(売買契約書に記載された金額)に応じて異なります。
契約書記載の金額 | 印紙税額(※) |
---|---|
10万円以下 | 200円 |
10万円を超え50万円以下 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 1,000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 5,000円 |
1000万円を超え5000万円以下 | 1万円 |
5000万円を超え1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 48万円 |
※令和6年3月31日までの間に作成される不動産の売買契約書は軽減措置が適用され、表の金額が適用されます。
(参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」)
たとえば、マンションの売買契約書に記載されている売却金額が4,500万円なら、かかる印紙税は1万円です。
印紙税は、売買契約書1通ごとに課税されます。契約書に収入印紙を貼り付けて納付します。
抵当権抹消費用
マンション売却の場合、住宅ローンの借入時に設定した抵当権を抹消する「抵当権抹消登記」の申請を行うことが多いです。
法務局に不動産登記を申請するために、以下のような費用がかかります。
- 登録免許税:不動産1つにつき1,000円
- 司法書士への報酬:1~2万円
登録免許税は、不動産1つにつき1,000円かかるので、戸建てやマンションの場合は土地と建物で2,000円かかります。
▼登録免許税
登録免許税は、不動産1つにつき1,000円かかります。
司法書士へ依頼せず自分で抵当権抹消手続きを行う場合は、登録免許税のみで済ませることができます。
ただし、抵当権抹消手続きには複雑な手順があるので、司法書士に依頼することが一般的です。
▼司法書士への報酬
住宅ローンの残債をマンションの売却代金で一括返済する方は、抵当権抹消登記を司法書士に委任することになります。
司法書士に委任する場合、司法書士への報酬として1~2万円かかります。(行われる手続き次第で金額は前後します。)
住宅ローンの一括返済手数料
売却するマンションにローンが残っている場合、一括返済のための金融機関の事務手数料が必要になります。
金融機関によって5,000円~3万円ほどの手数料がかかります。
近年では、繰り上げ返済の手数料はインターネット経由で申請すると無料になる金融機関が増えています。
今のマンションのローンを借りている金融機関の手数料を、事前にチェックしておくと良いでしょう。
証明書類の発行費用
マンションを売却する時は以下の証明書が必要で、それぞれ取得するために費用がかかります。
- 印鑑証明書:390~450円
- 住民票:200~300円
- 固定資産税評価証明書:400円(2件目以降は100円)
- 登記事項証明書:480~600円
それぞれ申請方法や地域、自治体によって費用が異なることがあるので、詳しい金額は住んでいる地域のHPを確認しましょう。
▼印鑑証明書
印鑑証明書は、抵当権抹消手続きや売買契約時・不動産引き渡し時など、様々な場面で必要な書類です。
印鑑証明書とは、登録されている印鑑が本物であると証明するもの。実印の押印とセットで提出が求められる。
個人の場合は市区町村の役所で、法人の場合は法務局で取得できます。
申請方法によって、以下のように費用が異なります。
申請方法
費用
窓口・郵送申請
450円
オンライン申請・郵送受け取り
410円
オンライン申請・窓口受け取り
390円
また、実印が変更されるまでは印鑑証明書自体に有効期限はありませんが、売買契約などでは「発行から3か月以内のもの」と条件がつけられることがあります。
▼住民票
住民票は、先に新居へ引っ越して住民票を移している場合は住所の変更登記をする時に必要です。
登記する住所と現住所が同じであれば、売却時には必要ありません。
取得費用は各自治体により異なりますが、200~300円程度であることが一般的です。
▼固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書は、買主の登録免許税を算出する時に必要です。
固定資産税評価証明書とは、固定資産税や相続税、贈与税、登録免許税などの税金を計算する時に必要になる書類。税額を決める基準となる評価額が記載されている。
取得費用は自治体により異なりますが、東京都の場合は固定資産税評価証明書1件につき400円で、2件目以降は100円です。
▼登記事項証明書
登記事項証明書は、所有権移転登記に必要な書類です。
登記事項証明書(登記簿謄本)とは、土地・戸建て・マンションなど不動産の所有者や権利関係、過去の取引情報などの登記情報を証明する書類。法務局で管理されており、誰でも閲覧・取得可能。
取得費用は、申請方法ごとに以下の表にまとめました。
申請方法
費用
窓口申請
600円
オンライン請求・郵送受け取り
500円
オンライン請求・窓口受け取り
480円
▼印鑑証明書
印鑑証明書は、抵当権抹消手続きや売買契約時・不動産引き渡し時など、様々な場面で必要な書類です。
個人の場合は市区町村の役所で、法人の場合は法務局で取得できます。
申請・取得方法によって、以下のように費用が異なります。
申請方法 | 費用 |
---|---|
窓口・郵送申請 | 450円 |
オンライン申請・郵送受け取り | 410円 |
オンライン申請・窓口受け取り | 390円 |
また、実印が変更されるまでは印鑑証明書自体に有効期限はありませんが、売買契約などでは「発行から3か月以内のもの」と条件がつけられることがあります。
▼住民票
住民票は、先に新居へ引っ越して住民票を移している場合は住所の変更登記をする時に必要です。
取得費用は各自治体により異なりますが、200~300円程度であることが一般的です。
▼固定資産税評価証明書
固定資産税評価証明書は、買主の登録免許税を算出する時に必要です。
取得費用は自治体により異なりますが、東京都の場合は固定資産税評価証明書1件につき400円で、2件目以降は100円です。
▼登記事項証明書
登記事項証明書は、所有権移転登記に必要な書類です。
取得費用は、申請方法ごとに以下の表にまとめました。
申請方法 | 費用 |
---|---|
窓口申請 | 600円 |
オンライン請求・郵送受け取り | 500円 |
オンライン請求・窓口受け取り | 480円 |
場合によってかかる費用
マンション売却時の状況に応じて、下記の費用がかかります。
▼引越し費用
3月(繁忙期)は15万~30万円、通常期は10~15万円程度
▼ハウスクリーニング費用
全体のクリーニングで3~5万円、水回りのみのクリーニングで6,000円~2万円程度
▼引越し費用
居住中のマンションを売却する場合は、引っ越し費用も必要です。
引っ越し費用の相場は、運ぶ荷物の量と移動距離、引っ越しをする時期に応じて異なります。
たとえば4人家族で、3月(繁忙期)に引っ越しする場合の相場は15万~30万円、通常期に引っ越しする場合の相場は10~15万円程度です。
▼ハウスクリーニング費用
マンションの売却中、ハウスクリーニングを利用する場合は費用がかかります。
部屋の広さや間取りで相場は変わりますが、全体のクリーニングで3~5万円、水回りのみのクリーニングで6,000円~2万円が相場です。
契約中の売主にハウスクリーニングのサービスを提供している不動産会社もあるため、事前に確認してから不動産会社を選ぶようにすることがおすすめです。
マンション売却の手数料をシミュレーション
マンションを売却すると、実際にどのくらいの手数料や費用がかかるのでしょうか?
以下の2つの例から、手数料や費用が全部でいくらかかるのかシミュレーションしてみます。
- マンションを3,500万円で売却した場合
- マンションを4,000万円で売却した場合
マンションを3,500万円で売却した場合
マンションを3,500万円で売却したとすると、仲介手数料は以下のように算出します。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 122万1,000円 |
印紙税 | 1万円 |
抵当権抹消費用 |
|
住宅ローンの一括返済手数料 | 3万3,000円(三菱東京UFJ銀行・窓口手続きの場合) |
証明書類の発行費用(埼玉県さいたま市の場合) |
|
合計 | 128万2,180円 |
マンションを5,800万円で売却した場合
続けて、マンションを5,800万円で売却した場合の仲介手数料をシミュレーションします。
仲介手数料は以下のように算出します。
項目 | 費用の目安 |
---|---|
仲介手数料 | 198万円 |
印紙税 | 3万円 |
抵当権抹消費用 |
|
住宅ローンの一括返済手数料 | 5,500円(三井住友銀行・インターネット手続きの場合) |
証明書類の発行費用(東京都港区の場合) |
|
合計 | 203万3,710円 |
(参考:「港区公式HP」、東京都主税局「固定資産に関する証明書等の手数料について」)
手数料シミュレーターを使ってみよう
以下のシミュレーターを使えば、売却した時に手数料がいくらかかるのか簡単に分かります。
さらに手元に残るお金がいくらになるのか知りたい方は、以下の記事で「手取り額シミュレーター」を利用してみましょう。
手数料だけでなく、マンション売却にかかる費用の概算が分かります。
マンション売却の手数料は値引きできるの?
マンション売却では、不動産会社に仲介を依頼するとなると手数料は必ずかかりますが、「この手数料、もうちょっと安くならないかな…?」と感じる方は少なくないと思います。
マンション売却にかかる費用は手数料だけではないので、できるだけ売却費用は抑えたいと思うのはごく自然なことです。
この章では、「手数料は値引きできるのか?」を中心に以下の内容を解説していきます。
- 値引き交渉は可能だがデメリットがある
- 「手数料無料」には要注意
- 手数料の値引きより節税対策が効果的
値引き交渉は可能だがデメリットがある
1章でお伝えした通り、仲介手数料の上限額は法律で決められていますが、下限額の規定はありません。
そのため、マンション売却時の仲介手数料は交渉次第で値引きできる可能性があります。
しかし、仲介手数料を値引きすると以下のようなデメリットがあります。
- 不動産会社の販売意欲を下げてしまう
- 積極的に広告活動を行えなくなる
- 囲い込みや両手仲介のリスクが上がる
仲介手数料には、広告費などの不動産会社が売却活動を行うための費用が含まれており、売却活動を行ってくれる不動産会社への報酬でもあります。
本来かかるはずの仲介手数料を値引きしてしまうと積極的な広告活動を行ってもらえなくなる可能性があります。
マンションを売却する上では、広告活動は買主を見つけるために非常に重要なステップなので、仲介手数料の値引きはおすすめできません。
「手数料無料」には要注意
手数料の値引きにはデメリットがある一方で、「仲介手数料無料」を謳っている不動産会社も存在しています。
さらに、両手仲介されるということは同時に「囲い込み」の可能性が高く、「他の不動産会社へ正しい情報が伝えられない」「低い価格で売却することになる」などの様々なリスクがあります。
仲介手数料が無料になれば、マンション売却にかかる費用を抑えられるので非常に魅力的です。
そのため、「仲介手数料が無料だから」という理由だけで不動産会社を選んでしまうことのないようにしましょう。
手数料の値引きより節税対策が効果的
このあと解説しますが、マンション売却では、仲介手数料以外にも様々な費用がかかります。
そのため、マンション売却の費用を抑えるには、手数料を値引きするよりも特例や控除を利用して節税対策したほうが効果的です。
マンション売却した時に使える特例や控除について、以下に簡単にまとめました。
- 3,000万円特別控除:自身が住んでいた家を売却した時に譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例
- 特定居住用財産の買い替え特例:住んでいた家を売却して新たな家に買い替えた時に売却益に対する課税を将来に繰り延べできる特例
- 所有期間10年超の居住用財産の軽減税率の特例:所有期間が10年を超える家を売却した時に税率が軽減される特例で、3,000万円特別控除と併用可
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」「特定のマイホームを買い換えたときの特例」「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」)
それぞれ適用条件や併用可・不可のものがあるので、適用条件に合う特例や控除がないか確認してみましょう。
また、マンション売却したことでマイナスになってしまった場合の救済措置として利用できる特例もあります。
以下の記事では、マンション売却にかかる税金や節税対策について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、マンション売却でかかる仲介手数料や、その他の費用について解説しました。
特に重要なポイントは下記の2つです。
- マンション売却の仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税」が目安
- その他の費用を含めると、マンションの売却価格の5~7%の費用がかかる
仲介手数料の金額は、不動産会社が違ったとしても差が出ることはあまりありません。
そのため、マンション売却後に手元に残るお金を増やしたい方は、なるべく高くマンションを売ってくれる不動産会社を探すことが重要です。
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知識や経験が豊富な担当者に、費用や税金に関する相談をして、納得した上でマンション売却に臨みましょう。