マンションを購入する際には、さまざまな書類や手続きを進めていきます。
中でも、マンションの売買契約時の「内容がわからない」や「手続きの流れがわからない」と悩んでる方がいるのではないのでしょうか。
実際にマンションの売買契約はたくさんな手続きがあるので、分からなくなってしまうことも多々あります。この記事ではマンションの売買契約書をはじめとした契約に関することを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
マンションを損せずに売るための10のコツ【流れや相場・費用を分かりやすく解説】
マンションの売買契約書に記載されている内容とは?
マンションの売買契約書にはたくさんの項目があり、どれも堅苦しく記載されています。
この章では、マンションの売買契約書に記載されている内容を分かりやすく説明しています。
契約したマンションの詳しい情報
下記の画像は、マンションを購入するにあたって貰うマンションの売買契約書の一部です。
画像の通りに、マンションの詳しい情報が記載されています。
マンションの情報とは以下の通りです。
- マンションの名称や所在地
- マンションの構造や延床面積
- 売買代金と支払時期
マンションの詳細情報から代金と支払いタイミングまで記載されています。
この時点で、購入前の説明と相違がないかチェックしておきましょう。
マンションの登記について
マンションの売買契約書には、行う登記から時期までが記載されています。
マンションの売買契約書に記載されている登記の内容が以下になります。
本物件の所有権は、買主が売主に売買代金全額を支払ったときに、売主から買主に移転する。
第6条 所有権移転登記
1.売主は、売買代金全額の受領と同時に、本物件の所有権移転登記の申請手続に必要な書類を買主に交付しなければならない。
2.所有権移転登記に要する登録免許税及びその他の登記手続費用は買主の負担とし、売渡しに要する登記手続費用は売主の負担とする。
公租公課の負担について
国や自治体に納める税金などの負担のこと。
契約不適合責任について
これまでは「瑕疵担保責任」でしたが、民法改正に伴い「契約不適合責任」が登場しました。
契約不適合責任が問われるのは、「契約内容と異なる物件を売却したとき」に問われる責任です。
危険負担について
引渡し前に、自然災害などでマンションが滅失したときは、買主は契約を解除することができます。
上述では、自然災害でマンションは滅失をした際には契約解除ができると記載していますが、直せるのであれば修復でも対応ができます。
契約違反による契約解除について
マンションの契約後に買主がローン審査に落ちてしまった場合、マンションの契約自体が白紙になってしまいます。
このようなケースにも対応できるように、マンションの売買契約書には契約解除に関する内容が記されています。
売買代金を支払わない時や、買主の自己都合で解約する場合など、手付金または売買代金の10%~20%を違約金代わりに支払わなければいけません。
そもそも売買契約書とは?
売買契約書とは、売買取引の対象となるマンションを、契約書に記載されている金額で買主が購入することを記している契約書のこと。
マンションの売買契約書には、区分所有建物(専有部分)の詳しい情報や、敷地権の詳細情報について記載されます。
マンション売買契約書は誰が作成する?
マンションの売買契約書は基本的に不動産会社が作成してくれます。売主と買主の不動産会社が異なる場合はどちらかの不動産会社が作成し、もう一方に確認してもらう形になります。
個人間でマンションの売買を行う場合、「売買契約書をどちらかが作成する」という決まりはないので、話し合って進めることも可能です。
ですが、個人間売買をする際には後々のトラブル回避のためにも、司法書士に依頼して売買契約書を作成した方が良いですね。
マンション売買契約書はいつもらえる?
マンションの売買契約書は、不動産会社によって日程は異なります。ですが、契約日の2日前には売買契約書をもらうようにしましょう。
契約日の2日前にもらっておき、事前に目を通しておけば契約当日のトラブルを避けられます。
マンションの売買契約の流れ
マンションの売買契約書を理解できても、売買契約の流れを理解できていないとスムーズに引き渡しまで進みません。
この章では、マンションの売買契約の流れについて解説しています。
マンションの売買契約の流れは以下の通りです。
重要事項説明の読み合わせ
重要事項説明とは、不動産会社が買主に知ってほしいマンションの現状や権利関係などをまとめた書類です。
買主にとっては、マンションを誤認して購入しないための大切な書類なので、不明な点があれば、不動産会社に質問しながら確認していきましょう。
重要事項説明の内容は以下の通りです。
- 権利関係
- 法令上の制限
- 管理関係
- 取引条件
などが記載されています。名前の通り重要事項なことばかりなので説明を受けて納得したうえで、署名押印しましょう。
売買契約の締結をする
重要事項説明と一緒にマンションの売買契約書に関する説明も行います。
マンションの売買契約書は、確認漏れや事実と異なる点がないように読み合わせしながらチェックしていきます。
売買契約書の内容に問題がなければ、署名捺印と収入印紙を張り付けます。
このタイミングで買主は手付金を支払いましょう。
住宅ローンの本審査に申し込む
売買契約を結んだら、住宅ローンの本審査を申し込みましょう。
住宅ローンの本審査では、主に以下のようなものがチェックされます。
- 住宅ローン返済完了時の年齢
- 契約者の勤務形態と勤続年数
- 勤務先の事業内容
- 契約者の健康状態
審査にかかる時間は金融機関によって異なりますが、大体10日~15営業日程度で審査の可否が通知されます。
マンションの引き渡し日を決める
売買契約を結ぶ際に、マンションの引き渡し日を決める「決済日」を定めましょう。
この時にローンを融資する銀行への事務手数料、マンションの登記費用などの残代金を支払います。
住宅ローンを組む場合、金融機関が個室を用意してくれます。立ち会うの人は以下の人が一般的です。
- 買主
- 売主
- 不動産会社の担当者
- 司法書士
融資の実行と決済が終了したら、司法書士は法務局に向かい登記の手続きを行ってくれます。
このタイミングで、マンションの鍵を受け取りマンションへの引っ越しが可能になります。
マンションの売買契約時に必要なもの
マンションの売買契約の手続きを行うときは、必要書類や代金などを忘れずに用意しておきましょう。
当日に書類や代金に不備があると、売買契約の手続きが滞り売主や不動産会社に迷惑をかけてしまいます。
マンションの売買契約時に用意しておくべきものは以下の通りです。
マンションの売買契約時に必要なもの | |
---|---|
必要項目 | 備考 |
本人確認書類 | 運転免許証などの顔写真付き身分証明証 |
印鑑 | 売買契約をする際、一般的には実印で押印する |
現金(手付金等) | 現金以外にも、預金小切手等で用意 |
収入印紙 | マンションの売買契約書に貼り付けするため |
本人確認書類
本人確認書類と言っても様々な種類の書類があります。
免許証、パスポート、マイナンバーカードなど顔写真付きの公的証明証を提出しましょう。
印鑑
マンションの売買契約書に押印する印鑑は実印が一般的です。用意する印鑑の種類を不動産会社の担当者に確認しておきましょう。
現金(手付金等)
マンションの売買契約する時には手付金を支払います。手付金は通常、売買代金の1割~2割程度が一般的です。手付金は前もって用意しておきましょう。
手付金について詳しく知りたい方はこちら
また、売買契約時に一回目の仲介手数料を支払うので、仲介手数料の半額分を用意しておきましょう。
仲介手数料について詳しく知りたい方はこちら
収入印紙
マンションの売買契約書にサインをするときに、売買契約書1通ごとに定められた金額の収入印紙を貼り付ける必要があります。
収入印紙の金額は売買代金によって異なります。
不動産売買の印紙税には軽減措置が設けられ、平成26年4月1日~令和4年3月31日までに作成された売買契約書には軽減税率が適用されます。
印紙税額の早見表
以下の表は、国税庁が公表している「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」の売買代金に応じた印紙税額の表になります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 |
---|---|---|
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
必要書類や入手方法について詳しく知りたい方はこちら
マンションの売買契約書でのチェックポイント【チェックリスト付】
マンションの売買契約書にサインをしてしまうと、その後は契約書に基づき手続きが行われていきます。
この時に「契約書にサインしちゃったけどこの点おかしい…」と内容に問題が発覚したとしても内容の変更はできないのです。
この章では、トラブルが起きないようにマンションの売買契約書のチェックすべきポイントを紹介しています。
マンション売買契約のチェックリストは以下の通りです、
- マンションの価格に相違はないか
- 設備・備品の内容が正確か
- 契約不適合責任の内容に間違いないか
- 危険負担の内容が適切か
- 契約解除の内容に問題ないか
- マンションの土地は敷地利用権か
マンションの価格に相違はないか
マンションの価格は前もって知らされている価格と売買契約書に記載されてる価格に違いがないか、内容を入念にチェックしておきましょう。
また、手付金の金額や支払い方法についてもあらかじめ確認しておくのスムーズに現金の用意ができます。
設備・備品の内容が正確か
マンションの売買契約書には、買主に引き渡すマンションの設備や備品について記載されています。
売買契約書を交わすときには備品の引き渡し内容のほか、設備・備品の不具合などについても確認しておきましょう。
契約不適合責任の内容に間違いがないか
契約不適合責任とは、事前に説明を受けていない欠陥が入居後に見つかったときには、その責任を売主に要求できます。
責任とは具体的に、売主に修繕費を出してもらったり、損害賠償を求めることが可能です。
危険負担の内容が適切か
危険負担とは、自然災害の影響で建物の焼失や倒壊が起きた場合に、建物の修復などの負担が必要です。この責任を売主と買主のどちらが負うのかを、予め売買契約書で決めておきます。
危険負担の内容が明確に記載されていないと、トラブルに発展することもあるので十分にチェックしておきましょう。
契約解除の内容に問題がないか
マンション売買契約書には売主や買主の契約違反によって契約が解除される旨が記載されていることが多いです。
例えば、支払い代金の遅延や引き渡しの期日を守らなかった場合は契約解除され、損害賠償や違約金の請求が行われることがあります。
万が一のときに損害を被らないよう、契約解除に関する内容にも目を通しておきましょう。
マンションの土地は敷地利用権なのか
マンション売買契約書の場合、土地が敷地利用権なのかを確認しておきましょう。
敷地利用権でないと、建物と別に売買ができてしまい建て替えや修繕の際に土地の所有者の同意が必要になってしまい苦慮する可能性があります。
売買契約書で「あれ?」と感じたら遠慮なく聞こう
マンションの売買契約書や重要事項説明を聞いて、「今までの内容と違う!」や「そうなるとは思っていなかった」と感じたら遠慮なく不動産会社の担当者などに聞きましょう。
場合によっては、契約が延長する可能性もあります。仮にそのような事態が起きてもすべての責任は書面や事前の説明が異なった不動産会社にあります。
遠慮せずに勇気を出して伝えましょう。