いずれ、マンションの買い替えを考えている人は、早い段階からの準備が必要になります。
特に住宅ローンについて、マンションを買い替える際、以下の点については知っておくべきです。
マンション買い替えで気になるローンまとめ
- そもそもローンが残っているのに買い替えは可能か?
→ローンが残っていても買い替えは可能ですが、売却金でローンの完済が前提となります。
- 売却金でローンが完済できない場合は?
→自己資金で残りのローンを完済するか、住み替えローンを利用します。
- 住み替えローンとは?
住み替えローンとは、完済できなかったローンの債務を、新居の住宅ローンに上乗せして組むローンです。
本記事では、初めてマンションを買い替える人に受けて、マンション買い替えのタイミングや買い替えの手順など、マンション買い替えの基礎知識に加え、減税措置について解説します。
本記事を読めば、マンション買い替えに関する不安を解消することができるでしょう。
マンション買い替えのタイミング
マンションを買い替えるのであれば、「いつ行えばよいのか」というのは気になりますよね。
この章では、マンションからの買い替えを実際に行った人のデータをもとに、マンションの買い替えを行うタイミングについて解説していきます。
買い替えを検討した理由
実際にマンションの買い替えを行った方が、マンションの買い替えを検討したタイミングについて、見ていきましょう。1つめは買い替えを検討した理由についてです。
※すまいステップ実施「1年以内に不動産を売却した方向けアンケート(n=800)」|回答時期:2019.11.15~2020.12.15を基に作成
まず、マンションの買い替えを検討した理由としては、「家が手狭になったため」という理由が1番多いです。
次に、「周辺の住環境を改善したいため」「家の老朽化が気になるため」などが続きます。
全体の傾向としては、「金銭的な理由で仕方なく」というよりは「もっと快適な環境で暮らしたい」という動機での買い替えが多いことがわかります。
ライフステージの変化
また、ライフステージが切り替わるタイミングでマンションを買い替える方も多くいます。
以下は、すまいステップが2022年に利用ユーザーを対象に実施した「『住み替え』アンケートの調査結果」です。
上記のグラフを参考に、以下の3つを見ていきましょう。
- 結婚・出産のタイミング
- 家族の転勤・転職
- 子供の独立・進学
結婚・出産
結婚や、出産で子供が生まれるタイミングを買い替えのタイミングとする人は多くいます。
家族が増えて手狭になることを見越して、将来必要になる子供部屋を想定して購入することもできます。
家族の転勤・転職
持ち家があっても、予期せず家族が転勤になってしまうこともあります。
また、転職によって職場までの距離が遠くなる可能性も。通勤・通学の時間を減らすため、職場の近くに住み替えるケースが多いです。
子供が独立・進学
子供が独立や進学をして家の中にいる人数が減ると、それまで使っていた部屋が必要なくなる方もいます。
そのため、子供が独立して夫婦2人になったタイミングでマンションを買い替える人も多くいます。
年齢から見る買い替え
マンションの買い替えを行う平均年齢について、見ていきましょう。
※すまいステップ実施「1年以内に不動産を売却した方向けアンケート(n=800)」|回答時期:2019.11.15~2020.12.15を基に作成
上記のグラフは、「実際にマンションを買い替えた人が何歳で買い替えを行ったか」をまとめたグラフです。
グラフからわかるように、40代での買い替えが36.88%と最も多く、全体の4割近くを占めています。
次に多いのが、30代で25.5%、そのあと僅差で50代の22.13%が並びます。
売却を検討していて、手軽にマンションの査定額を知りたい方は、不動産一括査定サイトを利用してみてください。
不動産一括査定サイトは、パソコンやスマートフォンでマンションの物件情報を入力するだけで、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できます。
『すまいステップ』なら、お家で24時間いつでも不動産会社に査定を依頼できます。
「今お持ちのマンションがどれくらいで売れるのか」を完全無料で知れるので、以下のフォームに物件情報を入力して査定を受けてみましょう。
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マンション買い替えの手順
マンション買い替えには2つの方法があります。
- 売り先行
現在のマンションを売った後に新居を購入する流れ - 買い先行
新居を購入した後に現在のマンションを売る流れ
それぞれの特徴を抑えて、自分にあった買い替え方法を選択しましょう。
売り先行でのマンション買い替え
売り先行とは、現在住んでいるマンションを売却してから新居を探す方法のことです。
現在のマンションの売却金が手に入ってから新居を探すため、資金計画が立てやすいです。
そのため、はじめてマンション買い替えを行う場合は堅実な方法だと言われています。
買い先行のマンション買い替え
買い先行とは、新居を探してから住んでいるマンションを売却する方法です。
新居を探すことに時間をかけられるため、納得のいく物件を見つけやすいです。
買い先行の場合、新居の購入資金をいかに確保するかが重要です。
つなぎ融資について
つなぎ融資とは、「買い先行」による住み替え時、購入物件の代金支払が売却物件の代金受領よりも先に来てしまった場合、一時的な資金不足を補うために利用する短期の融資になります。
毎月の返済が発生するような融資ではなく、期限が来たら一度に返済する融資です。借入期間は1ヶ月から1年以内の短期になります。
マンションの買い替えで適用可能な減税措置
マンションの買い替えでは、売却により利益が発生すると譲渡所得税を納める必要があります。ただし、条件によっては以下の特例が適用が可能になり、譲渡所得税を節税できます。
3,000万円の特別控除の特例
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例とは、”マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例”のことです。
例えば、5,000万円で購入したマンションを5,500万円で売却できた場合、発生した売却益500万円はこの控除で非課税にすることができます。
(参考:国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例)
特定の居住用財産の買換えの特例
特定の居住用財産の買換えの特例とは、”特定のマイホーム(居住用財産)を、令和5年12月31日までに売って、代わりのマイホームに買い換えたときは、一定の要件のもと、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べること”ができる特例です。
例えば、1,000万円で購入したマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合は、通常4,000万円の譲渡益が発生します。
その7,000万円で購入したマイホームを将来8,000万円で売却した場合、譲渡益1,000万円と過去の譲渡益4,000万円を合わせた5,000万円が、譲渡益として課税されます。
「買換え特例」は将来への繰り延べであり、非課税にする特例ではないため注意が必要です。
(参考:国税庁 No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例 )
居住用財産売却による軽減税率の特例
居住用の住宅を売却する際、所有期間が10年を超えている場合、譲渡取得税を通常よりも低い税率で計算することができます。
所有期間が10年超の住宅は長期所有に分類されるので、売却益には20.315%の税率を適用します。ただし、軽減税率の場合は譲渡所得に応じて以下の税率が適用されます。
- 譲渡所得のうち6,000万円以下の部分:14.21%
- 譲渡所得のうち6,000万円以上の部分:20.315%
譲渡所得が6,000万円以下であれば税率は6.105%下がり、一般税率に比べて税負担はかなり軽減されます。
この特例は、3,000万円の特別控除の特例と合わせて利用することができます。
(参考:国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)
居住用財産の買替えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
マンションの買い替えの際に、今住んでいるマンションの売却で損失が発生することも考えられます。
そのような場合には「居住用財産の買い替えの場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」という制度を利用できます。
適用条件は、所有期間が5年以上の住居から別の住居への買い替えを行った場合です。確定申告をすることで、発生した譲渡損失をその年のほかの所得から控除する(損益通算)ができます。
損益通算をしても控除しきれなかった場合、翌年から3年以内であれば、繰り越し控除が可能です。
(参考:国税庁 No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)
マンション買い替えでかかる税金・費用
マンションの買い替えでは譲渡所得税にも以下の税金と、諸費用が発生します。
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
売却時にかかる税金
マンション買い替え時に忘れてはならないのが税金です。売却時にかかる税金は以下の通りです。
譲渡所得税
譲渡所得税はマンションの売却によって利益が出たときにかかる税金です。
税額の概算は、売却益に対して約20.3%(所有期間5年超)または約39.6%(所有期間5年以下)になります。
例えば1,000万円の売却益が出た場合、所有期間が5年超なら約203万円、所有期間が5年以下なら約396万円もの税金が発生する可能性があります。
登録免許税
登録免許税は、登記の手続きの際に発生する税金です。
今住んでいるマンションを購入する際に利用した住宅ローンの抵当権登記が残っている場合は、抵当権の登記を抹消するための登録免許税が必要です。
マンションの所有権変更の登記にかかる登録免許税は、買主側の負担します。抵当権抹消登記の登録免許税は、不動産1つにつき1,000円です。
印紙税
マンションを売却する際には、売買契約書に貼り付けるための印紙代(印紙税)がかかります。
印紙税の金額は、売買代金に応じて決まります。
購入時にかかる税金
以下では購入時にかかる税金について説明します。
登録免許税
所有権移転の際の登録免許税は、買主側が負担します。
よって、売却時には所有権移転の登録免許税はかかりませんが、購入時には登録免許税がかかることになります。
また、購入に際して住宅ローンを利用するときは、抵当権設定のための登録免許税もかかります。
不動産所得税
不動産取得税は、土地や建物を購入した際に発生する税金です。マンション購入の半年後から1年後くらいに納付書が届きます。固定資産税とは違い取得時に一度だけ支払えば済みます。
不動産取得税の計算式は以下の通りです。
不動産取得税は、固定資産税評価額で計算します。固定資産税評価額は実際に不動産を購入した価格ではないことに注意が必要です。評価額は不動産の購入価格のおおよそ6〜7割になります。
例えば、土地と建物の金額の合計が4,000万円の場合は、96~112万円が不動産取得税になるということです。
また、これは軽減措置が適用されていない場合の話で、軽減措置を適用させることで、税金の負担は大幅に軽くなります。軽減措置を適用した場合は固定資産税評価額の3%が納税額となります。
印紙税
売却時と同様に、不動産売買契約書に貼り付けるための印紙代(印紙税)がかかります。
購入金額に応じて印紙税が決まります。
固定資産税
固定資産税は、不動産を所有している限り毎年払わなければならない地方税です。
毎年、4月上旬に、納税通知書が送られてきます。
その他費用
以下は税金以外にかかる費用です。
マンションの購入費用
新居となるマンションを購入する際の費用です。
通常ローンを組んで購入します。ローンには頭金が必要になります。頭金の目安は一般的に物件購入価格の2割程度です。
また、購入時の諸費用として新築は購入価格の3~5%、中古は5~8%程度かかります。
仲介手数料
マンションを買い替える際は「購入」「売却」それぞれに仲介手数料が発生します。
購入時と売却時、不動産会社と別々にした場合も、同じ不動産会社で行った場合も、「購入」と「売却」それぞれに仲介手数料がかかります。
仲介手数料の相場は「売却価格×3%+6万円+消費税」です。
マンション買い替えを成功させるポイント
マンションの買い替えを成功させるポイントは以下の通りです。
購入と売却のタイミングを合わせる
マンションの買い替えは「売り先行」と「買い先行」の2つがありますが、なるべく「購入」と「売却」のタイミングをあわせることがマンションの買い替えを成功させるポイントになります。
余裕をもった売却計画を立てる
購入と売却のタイミングを合わせるには、余裕のある売却計画を立てることが大事です。
売却と購入では、売却の方がスケジュールの調整が難しいです。早くて3か月ほどで売却が可能ですが、1年以上、買手が見つからない可能性もあります。
購入は、自分が購入したいというタイミングで購入が可能なため、スケジュール調整がしやすいです。
そのため、売却では少なくとも4.5ヶ月程度、余裕を持って6ヶ月程度を見込んでおく必要があります。
場合によってはつなぎ融資を利用する
つなぎ融資を利用するのも、売却スケジュールを調整するのに有効な手段です。
つなぎ融資を使えば、気に入った物件を逃さず購入できますが、つなぎ融資もローンの一つですので、金利や事務手数料は発生します。
売値価格を高く設定しすぎない
そもそも、今住んでいるマンションが売れなければ、買い替えができません。マンションの売却をスムーズに行うためには、売値の価格を高く設定しすぎないことが大切です
少しでも高く売りたい気持ちは分かりますが、売値価格が相場よりも高いと、買手はなかなか見つかりません。適正価格を把握したうえで、売りに出すようにしましょう。
マンションの適正価格を知るためには複数の不動産会社に査定依頼を出すことをおすすめします。すまいステップでは一度に複数社から査定を依頼することができます。
なかなか売れない場合は買取を利用する
マンションを仲介に出して半年程たっても買主が見つからない場合、買取の利用も考えましょう。買取とは、不動産会社が買主となり直接契約する方法です。
仲介では買主がみつからない物件でも、買取であれば、可能なことがあります。また、売却期間は短く2週間~1ヶ月程度で売却が可能です。
買取を利用する際は、不動産会社が自らが査定に訪れ、買取希望の査定価格を提示します。提示する査定額で話がまとまれば、直ぐに売買契約をすることが可能です。
適切な不動産会社を選ぶ
不動産会社といっても、さまざまなタイプの不動産会社が存在し、業務内容によっては得意不得意があります。
よって、不動産を売却する際は「売却に強い不動産」に依頼する必要があります。また、購入を希望する際は「購入に強い不動産」に依頼します。
売却に強い不動産かどうかは「売却が得意であることをアピールしている不動産屋」かどうかで判断します。店頭やホームぺージを見れば「〇〇専門不動産」と表記しているはずです。また、物件情報についても定期的に更新されているかを確認しておくことも大切です。
また、評判もよく大手の不動産屋であっても担当と合わない場合、おすすめできません。
マンションの住み替えは長い目で見る必要があり、個人的なやり取りも多いので担当者と折が合わない場合、業務内容に問題はなくても、人間性の面でもめる可能性がなくはありません。
さらに、マンションの売却を依頼する際は一社に絞るのではなく、複数の不動産会社に査定依頼をするようにしましょう。
とはいえ、一度に複数の会社に査定依頼をするのは大変です。そこで便利なのがすまいステップの一括査定サービスです。一度に複数の会社に査定依頼ができます。無料のサービスなのでお気軽にご相談ください。
マンション買い替えでよくある失敗例
ここではマンションの買い替えでよくある失敗について紹介します。
マンションは売れたが、新居が見つからない
売り出し中のマンションは売れたが、新居がなかなか見つからない場合、新居が決まらないまま、マンションの引渡になります。
そうなると、今住んでいるマンションを出る必要があり、新居が見つかるまでの間、仮住まいを準備しなければなりません。
売却したマンションを出た後は、一時的に仮住まいに住むことになります。そして新居が決まれば、新居に引っ越しをします。
そうなると、合計2回も引っ越しをすることになります。手間はもちろんのこと、引っ越し費用が余計にかかることになります。
新居は決まったが、マンションがなかなか売れない
新居は決まったけれど、売り出し中のマンションがなかなか売れない場合、新居のローンと売却中のマンションのローンが二重になり、大きな負債を抱えることになります。
買い先行で買い替えを行った場合、このような失敗は珍しくありません。資金が足りない場合は住み替えローンや繋ぎ融資を利用できますが、結局は負債を抱えることに変わりありません。
不動産会社選びに失敗し売却価格が相場よりも低くなった
マンションの査定価格は不動産会社によって異なります。
そのため、一社に絞るのではなく、複数の会社にマンションの査定を依頼したうえで不動産会社を選ぶようにしましょう。
また、不動産会社といっても、売却に強い不動産会社があれば、そうでない不動産会社もあります。
少しでも高くマンションを売りたい場合は、売却に強い不動産会社を選ぶようにしましょう。
購入キャンセルにより住み替えスケジュールが狂った
マンション売買には、売手や買手の都合に応じてキャンセルが発生することがあります。
マンションの売却で得る予定だった資金を、新居の購入費に充てる予定だった場合、買手にキャンセルされると、住み替えスケジュールが大きく狂ってしまいます。
売買契約を結んだ後のキャンセルを防ぐために、手付金を増やすなどして、簡単にキャンセルされないような対策をうっておきましょう。
3,000万円の特別控除の特例を使わなかった方の体験談
結果的に、住宅ローン控除を利用した方が税制面での優遇金額が大きいことが分かったため、売却時における3000万円控除の権利を使用することはありませんでした。
上記の控除を利用してしまうと住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなると聞き、控除を利用しませんでした。
直近の節税よりも長期で考えた時に住宅ローン控除の方がをうま味があると思いました。
#マンション売却 #マンション買い替え