マンションを売却する際には、購入希望者が物件を見学する内覧を行います。内覧での印象は購入意欲に直結しやすいため、少しでも好印象を与えられるように工夫しなければなりません。
ただ内覧に立ち会うだけではなく、ポイントを押さえて準備することで、売却物件はより魅力的に伝えられます。内覧時のポイントを把握して、マンションの売却をスムーズに行いましょう。
マンションを売るための基礎知識!流れや費用、高く売るコツを徹底解説
マンション売却での内覧の流れ
まずマンションを売却する際の、内覧の基本的な流れを知っておきましょう。
- 不動産会社から内覧予約の連絡
- 準備を整えて購入希望者の内覧
- 成約までの内覧を続ける
内覧は大きく3つのステップで行われ、全体的な流れだけ見るなら、それほど難しいものではありません。
不動産会社から内覧予約の連絡
まずは売却する物件を売りに出し、不動産会社に広告活動を行ってもらいます。広告活動の結果、購入希望者が内覧の予約を行うと、不動産会社経由でそのことを知らされます。内覧の予約は1~2週間後というだけではなく、場合によっては前日や当日に突然予約が入ることもあるため注意しましょう。
内覧は休日の人が多い土日や祝日に入りやすいですが、平日に先に一人できて、後日家族と一緒に来るということもあり、ケースバイケースといえます。
準備を整えて購入希望者の内覧
予約が入った後は、内覧希望者がやってくる前に部屋の準備をしておきます。内覧では購入希望者が希望するところを全て見せる必要はありませんが、室内からベランダ、バスルームに押し入れなどの収納もなるべく見せられる状態にしておきます。
購入希望者は物件を詳細にチェックした上で、買うかどうかを決めたいと考えているため、普段は見ないようなところまで見られることもあるでしょう。
内覧にかかる時間は人によって異なりますが、丁寧に見る人なら1~2時間程度かかることもあります。反対にほとんど興味なしと判断された場合は、一通りぐるっと確認して、15分程度で終わることも少なくありません。
成約までの内覧の回数
内覧を終え、購入意思が固まったなら売買契約書を作成し、売買契約を締結して成約となります。成約までの内覧の回数は物件によって異なり、1回で決まる場合もあれば、30回やっても決まらないということもあります。
物件の魅力はもちろん、ある程度はタイミング次第のところもあるため、成約に至るまでは気長に待つ必要があります。
何度内覧に来てもらっても、成約までたどり着けなければ売却はできません。回数よりも結果的に成約に至るかどうかが重要です。物件によって内覧の回数は変わりますが、平均的には売れるまでに10回程度行われることが多いでしょう。
【成功の秘訣】内覧前にしておきたい6つの準備
売却前の内覧を成功させるポイントとして、次の6つが挙げられます。
- 汚れやすい水回りや玄関の掃除
- ニオイは原因から対策する
- 室内の傷は隠さず最低限の修理を行う
- 広く見せるために整理整頓をする
- 購入希望者を迎えるためにスリッパを用意する
- ホームステージングを利用する
事前準備が好印象を与えるカギになるため、いつ内覧希望者が現れても対応できるように、余裕を持って準備をしておきましょう。
汚れやすい水回りや玄関の掃除
物件の印象を左右しやすいポイントとして、水回りが挙げられます。購入希望者は家の中を隅々までチェックしますが、清潔感の印象が決まりやすいポイントが水回りであり、ここが汚れていると悪い印象がつきやすいです。
また、第一印象も重要であるため、目につきやすい玄関もきれいにしておかなければなりません。目につきやすい場所や汚れが気になりやすい場所は念入りに掃除をしておき、清潔な状態で購入希望者を迎えられるようにしておきましょう。
ニオイは原因から対策する
ニオイは早めに対処しておかないとすぐには抜けないため、内覧に来る何日も前から準備しておきましょう。部屋中の換気扇を回したり、消臭スプレーを使ったりして、嫌なニオイを抜いておきます。
部屋の風通しをよくすることも大切であり、空き家を売却する場合は、何日かに一回は訪れて、きちんと換気をしておくことが大切です。換気扇の力だけでニオイを逃がすことが難しいなら、対角線上にある窓を開けておくことで、ある程度風通りはよくなります。
家に染みついたニオイは住んでいる人は慣れてしまって分からないことも多いため、事前に不動産会社の担当者にお願いして、不快なニオイがしないか確認してもらってもよいでしょう。
室内の傷は隠さず最低限の修理を行う
長く暮らしていた家を売る場合は、室内のところどころに傷ができていることもあるでしょう。傷ができているとイメージが悪いため、隠したりきれいにしたいと思ったりする人も多いでしょうが、無理な傷隠しや大幅なリフォームなどは必要ありません。
内覧での対応なら、最低限の修理を行うだけで十分です。傷を隠して内覧に臨んでしまうと、購入希望者が隠された傷に気づかないまま購入契約を結んでしまうことがあります。
この場合、傷について説明していないと引き渡し後に傷が見つかり、後からトラブルになってしまう場合があるため、傷も包み隠さず伝えましょう。
また、悪い印象を持たれないためにリフォームをするという方法もありますが、大掛かりなリフォームでは費用のほうが高くつき、売却価格で回収できないことがほとんどです。
リフォームまで行うと支出が増えて損をするため、DIYで簡単に直す程度に留めておき、無理な場合はどのように対応すべきか不動産会社に相談するとよいでしょう。
広く見せるために整理整頓をする
部屋はできるだけ広いほうが好まれるため、整理整頓をして、広く見える工夫をしておきましょう。内覧の予約時には部屋の広さを確認してから来ることがほとんどですが、実際の間取りと広く見えるかどうかは部屋の散らかり具合によって異なります。
どれだけ広い家でも、物が多く雑然としていると実際の間取りよりも狭く見えてしまい、悪い印象を持たれかねません。反対に面積が広くなくても、きちんと片付けをしているなら、間取り以上の広さを演出することは可能です。
少しでも広く見えるようにするには、床の上や見えるところに物を置かないようにし、不要なものは内覧前に片づけたり捨てておきましょう。特に売却を先に行い、後で新居に引越す場合は、引越しの準備もかねて断捨離をしておくことがおすすめです。部屋がきれいだと広く見えやすく、かつ清潔感もあって好印象を与えやすくなります。
また、収納部分の内部まで見られることも多いため、クローゼットなどに無理に押し込むのはやめて、捨てるか一時的にトランクルームなどを利用して物を減らしておくとよいでしょう。
購入希望者を迎えるためにスリッパを用意する
些細なことですが、少しでも気持ちよく内覧をしてもらうために、購入希望者用にスリッパを用意しておくとよいでしょう。スリッパは不動産会社が手配してくれることもありますが、基本的には売主自身で用意しておいたほうがいいでしょう。
予約時にはあらかじめ人数を伝えられることもありますが、当日は家族全員で来るなど、人数が増えることもあるため、多めに用意しておけば安心です。
また、何度も使えるスリッパだと別の内覧者が使ったものを履きたくないという人もいるため、使い捨てできるものを用意しておくこともよいでしょう。
ホームステージングを利用する
ホームステージングとは、売却時に向けて部屋をイメージがよくなるよう演出する手法であり、このサービスを提供する業者も多数あります。ホームステージングでは、プロによる家具の配置をアドバイスしてもらったり、必要に応じて家具を追加したりできるため、部屋のイメージに合うプランを選択するとよいでしょう。
内覧に合わせて利用することで、理想的な生活イメージを印象づけることができ、好印象にも繋がりやすいです。実際に外国ではよく利用されている手法であり、ホームステージングをしたほうが成約率や成約価格が上がることもあります。
物件の魅力を少しでも高めたい場合や、すでに空き家になって家具などが何もなく、生活イメージがつきづらい時は利用してみることをおすすめします。
家売却の成否は内覧で決まる⁉早く高く売るための準備と当日の対応を解説!
マンション売却で内覧当日に好印象を与える5つのポイント
内覧を成功させるためには、徹底した事前準備で購入希望者を迎え入れるだけではなく、内覧当日の対応も重要です。
- 明るい照明で室温も調整しておく
- ネガティブな内容の質問にも回答する
- 口約束はやんわりと避ける
- 長時間話し込むならお茶を振る舞う
- 具体的な生活で役立つ情報を提供する
好印象を与えるポイント5つを把握して、スマートに購入希望者に対応しましょう。
明るい照明で室温も調整しておく
部屋の印象をよくするには、できるだけ明るい照明を使い、室温も快適な温度に調整しておくことが大切です。部屋の中が暗いとそれだけでイメージが悪くなることも多く、ネガティブな印象を与えかねません。
部屋全体が暗いことはもちろん、電球が切れている場合は手入れをしていない印象を与えてしまう可能性があるため、事前にチェックして必要に応じて取り替えておきます。また、室温は冷暖房で調節して、暑すぎたり寒すぎたりしないようにしましょう。
内覧の時間は購入希望者によって変わるものの、数時間かけて見学する人も多いです。見学中の温度が不快だと、これも悪い印象に繋がりかねません。
快適な温度でゆっくり見学してもらうためにも室温を調整し、購入希望者にも気を配りながら必要に応じて冷暖房の設定温度を変えることが大切です。
ネガティブな内容の質問にも回答する
購入希望者は物件に関することを細部まで知りたいと考えており、時にはネガティブな質問をされることもあります。周囲はうるさくないか、治安は悪くないか、不具合はないか、どうして売却するのかなど、シチュエーションによってはどうしても回答がネガティブになってしまうこともあります。
これらの質問に対してもきちんと答えることが大切であり、うやむやにしてはぐらかさないようにしましょう。ネガティブな回答は悪い印象を招く危険性がありますが、回答しないほうが不信感を与えてしまい、より印象が悪くなってしまいます。
多少の問題点はあっても仕方がないため、隠さずに伝えることでむしろ好印象に繋がることもあります。ただし、伝えるとネガティブな印象が強くなり過ぎてしまう理由については、あらかじめ不動産会社と相談して、どのように回答すべきかアドバイスをもらっておくことが大切です。
何でも正直に答えてしまうと購入意欲をそいでしまう可能性があるため、ネガティブにならないよう、上手な答え方を考えておかなければなりません。
口約束はやんわりと避ける
購入希望者によっては、その場で物件を気に入り、すぐにでも契約したいと考えて口約束を取り付けようとすることもあります。好感触だからと口約束をしてしまうと、後々トラブルになってしまうこともあるため、簡単に口約束を交わすことは避けましょう。
後で言った言わないで揉めることもあるため、取引についての約束事は、全て書面で行うことが大切です。金額の交渉をされた場合もすぐには確定の返事を出さず、家族と相談してから決めると伝えてその場で取り決めをしないようにしなければなりません。
口約束は言ったほうも反故にする可能性があるため、全て真に受けず、慎重に考えてから対応することが大切です。
長時間話し込むならお茶を振る舞う
内覧が長くなりそうなら、購入希望者にお茶を振る舞うとよいでしょう。長く見学する人にお茶を振る舞わなければならないという決まりはありませんが、相手への気遣いを見せることで印象はよくなりやすいです。
購入意思は物件のよしあしだけではなく、売主の人柄も考慮されることが多いため、些細な気遣いも忘れないようにしなければなりません。すでに空き家になってしまっている場合でも、内覧に合わせて電気ポットなどを用意して、いつでも対応できるようにしておくことがおすすめです。
具体的な生活で役立つ情報を提供する
少しでも購入意欲を高めるためには、生活に役立つリアルな情報を提供することが大切です。近くに便利な施設があったり、安いスーパーがあったりするなら、それらも伝えておきましょう。
実際に住んでいるからこそ分かる情報を伝えることで物件の魅力は高まり、購入の後押しになることもあります。不動産の広告には細かい情報まで全て記載されているわけではないため、売主しか知りえない情報を提供すると、プラスに働きやすいです。
マンション売却で内覧者が来ない時の3つの対策方法
売りに出してもなかなか成約にならないどころか、内覧希望者すら集まらないこともあります。内覧に人が来ない場合は、次の3つの方法で対策しましょう。
- マンションの相場に合った適正価格に見直す
- 不動産会社の営業活動を確認する
- マンションの売却時期をずらす
まずは物件を見に来てもらうことが大切なため、チェックしてもらえるための工夫は欠かしてはいけません。
マンションの相場に合った適正価格に見直す
内覧希望者が来ないのは、そもそも売却価格が高すぎる可能性があります。そのため、あまりにも人が来ないなら、一度金額を見直して、必要に応じて値引きをして売り出しましょう。
適正価格をチェックするには、周辺で似たような物件が売りに出されていないかを確認し、類似する条件のものと比較してみることが大切です。
また、周囲にマンションが多い場合は、競合の物件が存在し内覧に人が来ない可能性もあるため、不動産会社と相談して金額の見直しを図る必要があります。
不動産会社の営業活動を確認する
内覧に人が来ないのは不動産会社の営業活動が上手くいっていない可能性もあるため、どのような宣伝をしているか確認する必要があります。広告が出ているかはもちろん、広告の内容も確認し、魅力的に思えるかもチェックしましょう。
また、媒介契約の見直しも重要であり、一般媒介契約なら専任媒介契約に、専任媒介契約なら、専属専任媒介契約への変更も視野に入れる必要があります。
媒介契約の種類によって不動産会社の営業活動への力の入れ方も違ってくるため、どうしても売れない場合はもっとも力を入れてもらいやすい、専属専任媒介契約に変更して、様子をみることも大切です。
信頼できる不動産会社探しは一括査定サイトがおすすめ
営業活動が十分に行われていても、不動産会社との相性が悪いために内覧希望者が集まらない場合もあります。あまりにも人が来ないなら依頼先の変更を考えることも考慮し、一括査定サイトを利用して、より相性のよい不動産会社を探しましょう。
一括査定サイトならすまいステップがおすすめであり、優良業者が揃っているため信頼できる不動産会社を見つけやすいです。査定結果も一度に4社まで比較できるため、より好条件を提示する不動産会社への乗り換えも検討しましょう。
マンションの売却時期をずらす
同時期に同じマンションから多数の売り出しがあると、そこが競合となって売れ残ることもあります。マンション内での販売期間が重なるようなら、時期をずらして他の部屋が売れるまで待つこともひとつの方法です。
同じマンションでも部屋によって条件は違い、間取りや部屋の向き、エレベーターまでの距離や角部屋かどうかなどで、優劣がつくことも少なくありません。
条件を下げるという方法もありますが、できるだけ価格はそのままにしたいなら、競合がいなくなるまで待ち、供給が落ち着いてから売り出しを図ることもおすすめです。
マンション売却の内覧でよくあるQ&A
内覧でのポイントをさらに理解するためには、よくある疑問点を知っておくことが大切です。家の売却は人生で何度も行うものではないため、分からないことがあっても不思議ではありません。どのようなことが疑問に上がりやすいのかを知り、その回答も把握することで内覧に役立てましょう。
【Q1】内覧は居住中にしたほうがよいのか?
住んでいる最中と引越してから、どちらのタイミングで内覧をすべきか迷う人は多いです。結論からいえばどちらでもよく、それぞれメリットとデメリットがあります。居住中に内覧を行う場合は、実際の生活環境をイメージしやすく、購入希望者が引越してからの生活を思い浮かべやすいというメリットがあります。
しかし、生活感が出過ぎているとそれがネックになったり、内覧に向けての準備が大変といったデメリットもあるでしょう。引越して空き家になってからの内覧では、生活空間を内覧用に片付ける必要がないため、売主の負担は小さく、余計な印象を与えずに見学してもらえるというメリットがあります。
一方で、部屋に何もないと寂しく感じたり、生活イメージが湧きづらいというデメリットもあるでしょう。どちらがよいと確実にいえるものではないため、売主自身の売却活動のスタイルに合わせて内覧の予定を組むことが大切です。
【Q2】購入希望者の仮押さえは受ける?
好感触の場合は、購入希望者が仮押さえを提案することもありますが、これは無理に受ける必要はありません。仮押さえの最中に購入したいと強く希望する人が出てきてしまうと、先約があるために断らなければならず、売り時を逃してしまいます。
また、仮押さえは明確な約束ではないため、購入希望者の意思次第で約束が白紙に戻ることも少なくありません。どうしても仮押さえを受ける場合は、いつまでに返事をするかを決め、期限までに返事がない場合は他の人に売ってしまう可能性があることを伝えておきましょう。
売り時を逃さないためにも、正式な申込み以外ではキープは受け付けないようにして、常に多くの人が購入できる状態にしておくことが大切です。
【Q3】値引き交渉にはどう応じればよい?
不動産売買では値引き交渉は当たり前に行われ、これは個人間のマンション売買でも同じです。値引き交渉は応じても構いませんが、どこまで下げるのか、また値引きをする根拠は何かを明確にする必要があります。求められるままに値引きをすると、売却価格が下がって利益が縮小し、場合によっては損をします。
また、根拠もなく値引きに応じてしまうと、押せば下がるというイメージを持たれてしまい、強引な交渉をしてくることも少なくありません。最終的な値引き額は最初に決めておき、交渉に応じる場合はそれを下回らないようにしましょう。
値引きをする際も、例えば部屋に傷があるから、一部故障している設備があるからなど、必ず理由をつけるようにして、無理な交渉はきっぱり断ることが大切です。
事前準備をしてマンション売却の内覧を成功させよう
売却前の内覧を成功させるには、徹底した事前準備で当日に臨むことが大切です。
マンションは他に競合も多いですが、準備次第で魅力的に見せることはでき、よい条件で売却することも可能です。
ポイントを押さえて内覧に臨み、売主と買主の双方が納得できるポイントを探して、契約締結を目指しましょう。