マンションを売却する時、「仲介手数料無料」と謳う不動産会社を見かけたことがある方は少なくないのではないでしょうか?
- この記事のポイント
- マンション売却にかかる仲介手数料は「売却価格×3%+6万円+消費税10%」が上限
- 「仲介手数料無料」の4つのワケ
- 仲介手数料を無料にするよりも「マンションを高く売る」「節税対策」が大切
近年、仲介手数料無料のサービスをPRする不動産会社が増えています。
マンション売却では様々な費用がかかるので、仲介手数料が無料になることは非常にありがたいですよね。
この記事では、マンション売却時の仲介手数料を無料にできる仕組みについて徹底解説します。
マンション売却の仲介手数料とは?
マンション売却では、不動産会社に仲介を依頼すると「仲介手数料」が発生します。
まずは、仲介手数料とはどんなものなのかを詳しく解説していきます。
- 不動産会社に支払う成功報酬
- 支払いは売却が成立した時
- 請求できる上限額
不動産会社に支払う成功報酬
仲介手数料とは、不動産会社に支払う成功報酬のことです。
仲介手数料には、物件の査定や広告、手続きの代行、買主との交渉など、マンション売却に伴う活動費用が含まれます。
ただし、以下のような場合は、仲介手数料とは別に費用を請求されることがあります。
- 売主の希望により通常は行わない広告活動をした時
- 遠方の購入希望者との交渉のために出張費がかかった時
支払いは売却が成立した時
先に述べたように、仲介手数料は成功報酬型であるため、売却が成立した時に支払います。
仲介手数料の支払いは、買主と売買契約を結ぶ時とマンションを引き渡す時の2回に分けて支払うことが一般的です。
また、不動産会社にマンション売却を依頼したにも関わらず、売却へと至らなかった場合は仲介手数料を支払う必要はありません。
途中で不動産会社を変更した場合も同様で、売却が成立しなければそれまでにかかった費用などの支払い義務は発生しません。
請求できる上限額
マンション売却にかかる仲介手数料は、宅地建物取引業法によって、売却価格に応じて請求できる上限額が定められています。
不動産会社は、宅地建物取引業法で定められている上限額に基づき、以下のように仲介手数料の金額を設定しています。
物件の売却金額 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の金額 | 売却価格×5%+消費税 |
200万円を超える400万円以内の金額 | 売却価格×4%+消費税 |
400万円を超える金額 | 売却価格×3%+消費税 |
例えば、マンションを3,000万円で売却できたとして仲介手数料の金額を計算してみます。
▼マンションを3,000万円で売却できた場合
- 3,000万円のうちの200万円以下の金額(200万円):200万円×5%=10万円
- 3,000万円のうちの200万円を超える400万円以下の金額(200万円):200万円×4%=8万円
- 3,000万円のうちの400万円を超える金額(2,600万円):2,600万円×3%=78万円
- ①②③で出た金額の合計額:96万円(10万円+8万円+78万円)+消費税(10%)=105万6,000円
マンションの売却価格が3,000万円だった場合、仲介手数料の上限額は税込105万6,000円です。
そこで、仲介手数料の計算を短縮するために、以下の速算式を用いることが一般的です。
6万円の部分は、「200万円×(5%-3%)=4万円」と「200万円×(4%-3%)=2万円」の合計である6万円を足したものです。
仲介手数料がいくらかかるのか詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
マンション売却の「仲介手数料無料」は本当に可能?
結論から言うと、マンション売却では仲介手数料を無料にすることは可能です。
先に述べているように、仲介手数料は、宅地建物取引業法によって売主に請求できる上限額が決められています。
一方、定められているのは上限額のみで、下限額に関しての規定はありません。
そのため、上限額を超えない範囲内であれば不動産会社が自由に金額を設定できます。
マンション売却の仲介手数料が無料のなる仕組み
マンション売却で発生する仲介手数料は、不動産会社にとって大切な収入源です。
不動産会社側からすれば大きなリスクやデメリットであるはずなのに、なぜ無料にできるのでしょうか。
不動産会社が大切な収入源を無料にできるのは、別の方法で利益を得る仕組みがあるからです。
この章では、マンション売却で不動産会社が仲介手数料を無料にできる仕組みについて、以下の3つのケースを解説します。
- 「両手仲介」で買主側からもらっているから
- 「買取」では仲介自体が発生しないから
- 経費削減した分を仲介手数料無料で還元しているから
「両手仲介」で買主側からもらっているから
マンション売却で仲介手数料が無料になる仕組みとしてよくあるものが、「買主側からのみ仲介手数料をもらっている」ケースです。
これはいわゆる「両手仲介」と呼ばれる仲介方法で、不動産会社は1つの取引で売主と買主の両方を同時に仲介します。
両手仲介では売主と買主の両方から仲介手数料をもらえるので、どちらか片方の仲介手数料を受け取らなくても十分な利益を得られます。
「買取」では仲介自体が発生しないから
不動産会社が買主となる「買取」では、そもそも仲介自体が発生しないため、仲介手数料はかかりません。
仲介では、不動産会社が売主と買主の間に入って売買を成立させます。
一方買取では、売主は不動産会社と直接取引することになるため、仲介手数料は無料です。
経費削減分を還元しているから
不動産会社によっては、仲介手数料を無料にできるのは両手仲介だけではありません。
売却にかかる人件費やその他の経費を削減し、削減できた分を仲介手数料無料(または割引)として還元していることがあります。
- 売買契約と決済以外はオンラインで仲介を完結
- 路面店舗の削減
- 紙の広告を削減してネット広告に注力
マンション売却の仲介手数料無料のメリット・デメリット
マンション売却の仲介手数料が無料の不動産会社と媒介契約をすることには、以下のようなメリットとデメリットがあります。
- 【メリット】売却時の費用を抑えられる
- 【デメリット】買主が見つからない可能性
- 【デメリット】売却価格が下がる可能性
- 【デメリット】全ての物件が対象とは限らない
それぞれ分かりやすく解説します。
【メリット】売却時の費用を抑えられる
マンション売却時、仲介手数料が無料になる一番のメリットは、やはり費用を抑えられることです。
マンション売却時には、仲介手数料の他にも以下のような費用が発生します。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 抵当権抹消費用や司法書士への報酬
- 売却益に課される税金
- その他費用など
一般的にマンション売却に伴う費用は、売却価格の5〜7%ほどと言われています。
仲介手数料を抑えられることで、新居に向けた自己資金に充てたり、将来に向けて貯蓄したりといった、資金的な余裕が生まれることが大きなメリットです。
【デメリット】買主が見つからない可能性
前述の通り、仲介手数料を無料にするには、売主と買主を仲介する不動産会社が同じであること(両手取引)が前提です。
そのため、他の不動産会社から紹介を受ける買主(片手取引)との契約では、両手取引にならないため、売主側の不動産会社には手数料収入が入りません。
したがって買主は、媒介契約を結んだ不動産会社の買主だけに制限されることになってしまいます。
この1番のデメリットは、買主が見つかりにくくなることと、その結果、マンションの売却期間が長引いてしまうことです。
とはいえ、不動産会社によっては、物件情報を、SUUMOやat homeといったポータルサイトに登録してくれるところもあるため、買主がまったく見つからない、ということは少ないでしょう。
【デメリット】売却価格が下がる可能性
買主が現れにくいことによって、マンション売却の期間が長引いてしまうことは、売却価格の値下げにもつながってしまいます。
新しい物件に埋もれてしまい、注目されにくくなるからです。
そのため、売却期間の長い物件ほど、希望する売却価格と成約価格の差が大きくなり、成約価格が下がってしまいます。
この差を「価格乖離率」と言い、首都圏の中古マンションの価格乖離率は、東京カンテイの2020年度の調査「中古マンションの価格乖離率&売却期間(首都圏)」によれば、以下の表の通りです。
売却→成約までの期間 | 価格乖離率 |
---|---|
1ヶ月以内 | -2.97% |
2ヶ月以内 | -5.22% |
3ヶ月以内 | -6.40% |
4ヶ月以内 | -7.49% |
5ヶ月以内 | -7.99% |
売り出し期間が長くなるほど、価格乖離率の数値が高くなっています。つまり、成約価格が下がっています。
そのため、早めに買主を見つける必要があるのです。
【デメリット】全ての物件が対象とは限らない
仲介手数料無料としている不動産会社に依頼しても、場合によっては、売却したいマンションが仲介手数料無料の対象とならない可能性もあります。
物件の内容や条件がそれぞれ異なるためです。
そのため、事前に対象となる物件かどうか、担当者に確認しましょう。
マンション売却で仲介手数料を無料にするには?
仲介手数料を無料で依頼するには、以下の方法を検討してみてください。
仲介手数料を無料で依頼するメリットとデメリットをしっかり理解した上で慎重に検討しましょう。
- 仲介手数料無料を宣伝する不動産会社に依頼する
- 中小の不動産会社に依頼する
- 値引き交渉する
「仲介手数料無料」を宣伝する不動産会社に依頼する
マンション売却で仲介手数料を無料にしたいなら、はじめから「仲介手数料無料」を宣伝している不動産会社を探して依頼しましょう。
どの不動産会社も、法律で決められた上限額いっぱいに仲介手数料を設定していることがほとんどです。
そのため、「仲介手数料は無料です」と宣伝している不動産会社に依頼すれば、ほぼ間違いなく仲介手数料は無料です。
ネットで探せば様々な不動産会社が「仲介手数料無料」を掲げているので、気になったところに問い合わせてみましょう。
ただし、不動産会社によってはプランごとに仲介手数料の料金体制が異なる場合があります。
中小の不動産会社に依頼する
大手の不動産会社ではなく中小の不動産会社に依頼しましょう。
大手の不動産会社では利益が優先されるため、仲介手数料を無料にしてほしいなどと言えば、不動産会社側から媒介契約を断られる可能性もあります。
一方で中小の不動産会社では、地域との親和性を大切にし、1件1件の依頼に対して柔軟に対応してくれやすいです。
そのため、仲介手数料を無料にしてもらうには、大手の不動産会社よりも中小の不動産会社に依頼してみましょう。
値引き交渉する
仲介手数料を無料にはできなくても、値引き交渉自体は可能です。半額にはできないか、端数を値引きできないかなどと交渉してみましょう。
仲介手数料は値引き交渉できるとはいえ、値引きされて当たり前だと思うことは絶対にNGです。
値引きするということは、不動産会社側からすれば利益が減ることを意味するため、モチベーションや成約意欲にも繋がります。
優先的に売却活動を行ってくれないことで売却期間が伸びてしまい、最終的には売主が損してしまう可能性も考えられます。
お互いの信頼関係を維持するためにも、また、少しでもマンションを高く売るためにも、しっかり売却活動してもらうことを第一に考えましょう。
マンション売却で「仲介手数料無料」よりも考えるべきことは?
マンション売却では、「仲介手数料無料」にこだわりすぎると理想的な売買ができず、損してしまう可能性があります。
この章では、仲介手数料を無料にすることよりも考えるべきことについて、以下の3つを解説します。
- 売却実績のある不動産会社を選ぶ
- 高く売却するコツを押さえる
- 税金対策を徹底する
売却実績のある不動産会社を選ぶ
マンションを売却する時は、仲介手数料が無料の不動産会社よりも「マンションの売却実績が豊富な不動産会社」を選びましょう。
これまで解説したように、仲介手数料が無料の不動産会社に売却依頼するとデメリットが多いです。
そのため、売却依頼する不動産会社は実績重視で選び、高く売却できるようにしっかり行動してくれる不動産会社を選ぶべきと言えます。
マンションを高く売却するには、不動産会社の協力が不可欠です。
まずは複数の不動産会社に査定依頼し、査定金額や担当者の対応をチェックしましょう。
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高く売却するコツを押さえる
マンション売却では、仲介手数料を無料にするよりも、マンションを高く売却して利益を増やすことに注目してみましょう。
マンションを高く売却するには、以下の4つのことを実施してみてください。
- 売却時期を調整する
- 売り出し価格を高めに設定する
- 内覧は丁寧に行う
- ホームインスペクションを行う
▼売却時期を調整する
マンションが売れやすい時期は2月から3月です。
4月からの新生活に向けて引越しの需要が高まるため、より高く売れる可能性があります。
そのため、12月〜1月には不動産会社と媒介契約を結び、売却活動に向けて万全な体制を整えておきましょう。
反対に、売れにくい時期は一般的に8月と1月となっているので、注意しておきましょう。
▼売り出し価格を高めに設定する
マンションを売却する時は、価格を少し高めに設定して売り出してみましょう。
買主からの価格交渉は一般的に行われ、売主は値下げの対応を迫られるためです。
▼内覧は丁寧に行う
内覧で売主が気をつけたいのは掃除が行き届いているかどうかです。
玄関や水回り、バルコニーやベランダ、収納スペースなど、買主が注目する箇所は丁寧に掃除し、整理整頓して迎えましょう。
汚れや臭いのある部屋では、内覧者の印象を下げてしまいます。
ハウスクリーニングや、内装をきれいに彩るホームステージングなども活用し、買主に魅力的なマンションであることをアピールしましょう。
▼ホームインスペクションを行う
買主に安心感を持ってもらい、価格交渉を優位に進める上で、マンションのホームインスペクションもおすすめします。
不備が無ければ優良物件としてのアピール材料となり、仮に不備を見つけたとしても事前に対応できます。
税金対策を徹底する
マンション売却にかかる費用を抑えたいのであれば、税金対策を徹底しましょう。
マンション売却では、一定の条件のもとで以下のような特例や控除が利用できます。
- 3,000万円の特別控除:住んでいたマンションを売却した場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる
- 買い替え特例:住んでいたマンションを売却して新しくマイホームを買い替えた場合、税金の支払いを先延ばしにできる
(参考:国税庁「マイホームを売ったときの特例」「特定のマイホームを買い換えたときの特例」2024.3.26閲覧)
特例や控除について知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
マンション売却は「仲介手数料無料」に捉われ過ぎないこと
マンションを売却するには、様々な費用が発生します。
そのうちの1つである仲介手数料は、不動産会社に支払う報酬であり、不動産会社にとって主な収入源です。
最近は、仲介手数料無料のサービスをアピールする不動産会社が増えてきました。
仲介手数料が無料になることで、得られるメリットがある一方で、以下のようなデメリットがあります。
- 囲い込みされて買主が見つかりにくくなる
- 最終的に売却価格が下がってしまう
そのため、仲介手数料が無料かどうかに捉われず、より高く・早く売却してくれる不動産会社を見つけることが最善策です。
マンション売却の不動産会社選びに迷ったら、「すまいステップ」の不動産一括査定がおすすめです。
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