買取とは、不動産を買取業者に直接売る方法です。仲介と違って、買い主を探す必要がないことが特徴です。
初めに、マンションを買取で売る流れを、以下の表で仲介と比較ながら把握してみましょう。買取は査定から引き渡しまで合計2週間~1ヵ月と、仲介と比較してかなり早く売ることができます。
買取 | 仲介 | ||
---|---|---|---|
流れ | かかる期間 | 流れ | かかる期間 |
買取査定の依頼 | 1日 | 売却査定の依頼 | 1日 |
机上査定・訪問査定 | ~1週間 | 机上査定・訪問査定 | ~1週間 |
売買契約の締結 | 1~2週間 | 媒介契約の締結 | 1~2週間 |
決済・引き渡し | 2週間~1ヵ月 | 売却活動 | 3~6カ月 |
売買契約の締結 | 3~6カ月 | ||
決済・引き渡し | 4~6カ月 |
本記事ではマンション買取を希望する場合に、なにから始めればよいのかを詳しく解説します。
マンション買取の流れ
マンションの買取を依頼するにあたっては不動産会社に査定を依頼して、条件に納得がいったら、売買契約を結んで代金をもらい、物件を引き渡すのが大まかな流れになります。ここではマンション買取の流れについて詳しく見ていきましょう。
マンション買取の流れは以下のとおりです。
- 買取査定を依頼する
- 机上査定と訪問査定が行われる
- 売買契約を締結する
- 決済後にマンションを引き渡す
- 確定申告を行う
買取査定を依頼する:1日~1週間後
まずマンション買取をはじめるにあたって、買取業者にマンションの査定を依頼しましょう。いくらで売れるのかを検討したうえで買取で依頼するのか、仲介で一般の買主を見つけるのか検討しましょう。
査定自体はどこの業者も基本的には無料で行ってくれます。マンションの販売についても相談に乗ってくれるので、分からないことはできるだけその場で聞いて解決しておきましょう。
机上査定と訪問査定が行われる:1日~1週間後
不動産の査定には机上査定と訪問査定の2種類があります。
マンションの買取査定を依頼すると、まず机上査定が行われます。机上査定では所在地や間取り、築年数などの相場からおおよその買取価格を提示します。この時点で、金額だけでなく、買取条件や会社の雰囲気などを検討して訪問査定する買取業者を選びます。
訪問査定では実際に営業担当者が物件を訪れ、設備の状況や室内の傷み具合などを目で確認して実際の買取価格に近い査定額を提示します。マンションの状態や付帯設備の状況によっては周辺相場よりも高く提示される場合もあります。
一方で、状態が悪い場合には机上査定より金額が低くなる場合もあります。机上査定が高いからといっても訪問査定を行ったら周辺相場よりも低くなることもあります。特に買取は相場よりも低くなる傾向にあるのでそれを踏まえたうえで査定額を検討しましょう。
売買契約を締結する:1週間~2週間後
希望した買取業者と買取金額を含めて納得のできる条件が提示されたら、売買契約を結びます。この時点で買取業者は売主に対して売却金額の10%を手付金として支払います。契約にあたっては契約書等、買取業者と交わす書類に不明な点がないようによく詰めておきましょう。
相手は不動産売買のプロですので、わからないことは徹底的に質問して解消しておきましょう。契約書には「売主の契約不適合責任の免責」が契約条件に入っているか確認しましょう。買主が不動産業者の場合、買取後の物件の不具合や設備の故障などの補償を負わないようにできます。
また、買取業者によっては買い取り代金を借入で調達する業者もあります。この場合、買取業者が借入ができないと契約が解除になるのかどうかが契約書に記載されているか内容を確認しておくことが重要です。
決済後にマンションを引き渡す:2週間~1ヶ月後
売買契約後に残りの買取代金が振り込まれたら、マンションの引き渡しを行います。決済に伴う必要書類や登記手続きなどは基本的には買取業者が準備や手配をしてくれます。不動産登記の移転にあたっては司法書士を利用する場合がほとんどです。
一般的には買取業者が手配した司法書士を利用しますが、売主で司法書士を指名したい場合などには買取業者と事前に相談しておきましょう。買取業者から代金の全額を受領したら鍵を買取業者に渡します。
その場で物件の所有権移転登記に必要な書類を司法書士に渡し、手続きを済ませます。一般的に売買契約を結んでから、決済・引き渡しまでは1カ月程度が多いです。
確定申告を行う:売却した翌年の2~3月
不動産買取で売却益が出た場合には、譲渡所得が発生するので売買を行った翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告が必要です。譲渡所得税は譲渡所得に応じて決められた税率が掛けられた金額を税務署に納めます。譲渡所得は
となります。確定申告は利益があった場合に必要です。売却をして赤字になった場合には申告をしなくても問題はありません。特別控除の範囲内で売却益が収まった場合には譲渡所得税は発生しませんが、確定申告をしないと特別控除が認められないので注意が必要です。
もし譲渡所得を得て確定申告をしないと、税務署から追徴課税を受けた場合、特別控除の適用もできないため、高額な税額になりかねません。確定申告にあたっては、買取業者からもらった契約書等をきちんと管理して、申告の方法について相談しておきましょう。
確定申告が困難だと思った場合には税理士に依頼することも可能です。基本的には申告書に必要事項を記入して、添付書類を添えて最寄りの税務署に提出するだけで申告は済みます。
マンションを買い取ってもらうメリット
早い現金化や売却困難物件でも買取ができるなど、マンションを買い取ってもらうメリットについて詳しく見ていきましょう。
以下の4つのメリットを解説します。
- 部屋をそのまま引き渡せる
- すぐに現金化できる
- 古いマンションでも売却できる
- 周囲の人に知られることがない
部屋をそのまま引き渡せる
マンション買取の場合には買取業者が基本リフォームやリノベーションを前提に買い取ります。そのため、部屋が汚れていたり傷んでいても、掃除や修繕を行う必要はありません。業者からも現状のまま引き渡しをPRしてくるでしょう。
仕事や相続などで内覧に対応する時間がなかったり、片付けや掃除をする時間を取れないなどそこそこの値段でも売れることを重視する場合には買取が早く簡単にできます。
すぐに現金化できる
買取の最大のメリットは買取業者と条件が合えばすぐに現金化できる点でしょう。一般的には不動産会社に仲介を依頼する媒介契約を結んで、買主が現れるまで営業や内覧活動が続き、売買契約まで進んで引き渡しをするまでに半年程度はかかります。
条件によってはさらにかかることも少なくありません。マンション買取ならば売却相手もプロなので、価格交渉も無駄がなく、双方が条件に納得した時点で売買契約が結べます。マンションの現金化まで急ぎたい人は買取を検討して条件が折り合うか検討してみましょう。
古いマンションでも売却できる
マンションなら築30年以上になる古いマンションはなかなか仲介で売却が難しくなります。さらに駅から遠かったり、間取りが特殊などの売却条件が悪い物件ほど買取が可能ならすぐに売れます。
条件の悪いマンションを仲介で売りに出しても、なかなか売れないと売却期間の長さからさらに人気がなくなって売りにくくなります。ある程度売りに出してみて、一定期間売れなければ買取条件で業者に売却することもあります。
周囲の人に知られることがない
マンション買取の場合には、売買は業者との間で完結するため、広告の手配や内覧は基本的に不要になります。マンションを売却する理由によっては周囲の人に知られることなく進めたい場合もあります。マンション買取ならそのような事情にも対応してくれます。
マンションを早く売却したいなら買取を選択しよう
一般的にマンションの売却を不動産会社に仲介で依頼すると半年から1年近くかかります。さまざまな事由でマンションの売却を急ぐ場合には、マンション買取業者に買取を依頼する方法があります。マンション買取なら、買取業者と売却条件で合意が得られれば、すぐにでも売却が可能です。
相続で現金化を急ぐ場合やまとまった資金が必要になった場合など、売却を急ぐ場合には買取が有効的です。マンション買取を行っている業者は地域によってもさまざまありますので、複数の業者に査定を依頼して条件に合った買取業者を見つけましょう。
マンション買取は基本的に安く購入して高く再販売することで事業として成り立っています。売却時間に余裕があり、少しでも高く売りたい場合には仲介で販売したり、期間を区切って買取保証をつけた販売などの選択肢もあります。優良な買取業者を見つけてよく相談して売却を決めましょう。
売却後に利益が出た場合には確定申告が必要です。必要書類は大切に保管して、提出期間を忘れずにきちんと申告をしましょう。