マンションの老朽化や、親からの相続によって、マンションの処分を考えている方もいるでしょう。
マンションの処分方法は大きく分けると解体・売却・寄付があります。
処分の方法やタイミングを間違えると損をしてしまったり、トラブルのもとになったりすることもあるため、正しい知識を持っておくと安心です。
今回はマンションの処分方法と、それぞれのポイントについて紹介します。
また、マンション処分の際に必要な費用や税金についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
マンションを処分するタイミング
マンションの処分を検討するタイミングとしては、マンションの老朽化、相続、離婚、住宅ローンの返済が厳しいときなどが挙げられます。
ここからはそれぞれの状況を詳しく解説します。
マンションが老朽化しているとき
マンションは築年数が経過すると、躯体の老朽化により、水漏れなどの事故やトラブルが起こりやすくなります。
また、マンションの資産価値も年々減少してしまうでしょう。
以下の表はマンションの築年数別に、価格と下落率をまとめたものです。
築年数 | ㎡単価(万円) | 価格下落率(対前年比) |
新築~築5年 | 96.5 | 0 |
築6年~築10年 | 89.0 | -7.7% |
築11年~築15年 | 77.9 | -12.4% |
築16年~築20年 | 68.0 | -12.7% |
築21年~築25年 | 57.8 | -15.0% |
築26年~築30年 | 44.9 | -22.3% |
築31年以降 | 47.9 | +6.7% |
(引用元:REINS 築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2017年)「中古マンションの築年帯別平均㎡単価」)
築年数が経過しているマンションは、躯体の老朽化によって資産価値と強度が低下していきます。
早期にマンションを処分するほど、トラブルを避けることができるでしょう。
マンションを相続したとき
親からマンションを相続するときは、処分を検討するタイミングの一つと言えます。
特に相続人が複数いる場合、所有権を共有することによってリスクが高まります。
例えば、兄弟が離れたところに住んでいる場合や、家族間での連絡がとれない場合は、売却したくても着手に手間がかかるなど、トラブルのもとになりやすいでしょう。
相続の際には、速やかにマンションを処分して、分割しやすいように換金しておくことがおすすめです。
離婚により共有持分を解消したいとき
離婚によって共有持分を解消したい場合にも、マンションの処分を検討される方は多いでしょう。
このケースは特に、区分マンションの所有者に多くなっています。
相続と同じく、マンションの所有権を共有することになるため、ローンの返済額やどちらかの居住の継続などによって、トラブルが発生してしまうことがあります。
離婚によりマンションの共有持分を解消するときには、売却すると財産分与がしやすくなります。
住宅ローンの返済が厳しいとき
住宅ローンの返済が厳しいときには任意売却という選択肢があります。
任意売却は、住宅ローンの残高が、マンションの売却価格を上回ってしまう場合の売却方法です。
住宅ローンの返済を滞納してしまい、差し押さえが発生するという最悪のシナリオを避けるためにも、住宅ローンの返済が厳しいときには、マンションの処分を検討した方が良いでしょう。
マンションを処分する方法
マンションを処分する方法としては、主に次の4つの方法があります。
- 不動産仲介業者に依頼して買主を探す
- 不動産会社に売却する
- 任意売却をする
- 自治体に寄付をする
ここからはそれぞれの方法について詳しく解説します。
不動産仲介業者に依頼して買主を探す
不動産仲介会社にマンションの売却を相談し、買主を探してもらうという選択肢があります。
不動産仲介会社との媒介契約には3つの種類があり、以下の表はそれぞれの詳細です。
媒介契約 | 契約期間 | 契約できる業者数 | 売主が買主を直接見つける行為 | 業者からの報告義務 |
一般媒介契約 | 3か月 | 複数可能 | 可能 | なし |
専任媒介契約 | 3か月 | 1社のみ | 可能 | 週1回以上 |
専属専任媒介契約 | 3か月 | 1社のみ | 不可能 | 週1回以上 |
基本的に仲介業者は成果報酬制度であるため、マンションの売買が成約しないと仲介手数料を得られません。
そのため複数社と媒介契約を結ぶのではなく、1社に絞って契約をすることで仲介業者のモチベーションも上がるでしょう。
不動産会社に売却する
不動産会社によっては物件の購入をしてくれる場合があります。
例えば、媒介仲介契約を締結したにもかかわらず、なかなか買主が見つからないとき、不動産会社から売買契約の提案を受けることもあるでしょう。
売却価格の面で譲歩することになる可能性もありますが、契約によるトラブルも起こりにくく確実にマンションの処分ができるためおすすめです。
一方で、マンションの購入には大きな金額が必要となるため、購入してくれる不動産会社は限られるでしょう。
任意売却をする
先述のように、マンションを売却しても、売却額より住宅ローンの残高の方が高くなってしまうような場合には、任意売却が選択肢となります。
任意売却の際には、住宅ローンの債権者である金融機関に対して、不動産会社が任意売却の許可を得る交渉や、住宅ローンの残債額の返済計画についてなどの交渉をしてくれます。
自治体に寄付をする
売れないマンションの処分方法としては、自治体への寄付があります。
築年数がかなり経過している場合や、立地条件が悪い物件の場合、売り出し価格も高く設定できないうえ、購入者が現れることも期待できません。
一方で、固定資産税や都市計画税などの税金やマンション管理費、修繕積立金といったランニングストは必要です。
そのため、無理に売却や所有に固執するのではなく、自治体に寄付することも出口戦略となるでしょう。
マンションを売却するときのポイント
マンションを売却するときには、市場が加熱したタイミングで、最適な条件で売却することがおすすめです。
ここからは売却の際に注意したいポイントについて詳しく解説します。
マンション市場が加熱したタイミングで売却する
マンションを処分するときには、なるべく高値で売却するために、市場の過熱感を考慮することが効果的です。
例えば、万博やオリンピックなどの大きな国際大会の開催地にはマンション需要が大きくなる場合があります。
一方で、金利が高いときなど、金融機関からローンの借り入れがしにくい状況では、マンションを購入できる層が少なくなるため、売却価格を下落させる原因になります。
マンションの処分を特に焦っていない場合には、タイミングを見計らって売却することがおすすめです。
周辺のマンションの相場と値段設定を合わせる
マンションの処分の際には、周辺のマンションの相場を確認してから、売り出し価格を決定しましょう。
例えば売却を急いでいる場合には、周辺相場よりも低く値段を設定することで、早期処分ができる可能性が高まります。
不動産ポータルサイトのSUUMOやアットホームでは、住所から検索することで競合物件を確認できるため、ぜひ一度検索してみてはいかがでしょうか。
事情に合った期間を設定して契約をする
不動産仲介業者と媒介契約を結んだ場合、基本的には契約期間が3か月です。
一方で、相続税の支払期限が迫っているケースや、共有持持分を早期に解消したいケースでは、事情とどのくらいの期間で売却したいのかを仲介業者に伝えて、アドバイスを受けるようにしましょう。
内覧に備えて印象をよくする
マンションを探す買主に対して、内覧の印象をよくすることで、購入してもらえる可能性が高まります。
こまめな清掃や、メンテナンスを定期的に行うことで、雰囲気をよくすることがおすすめです。
不動産仲介業者に依頼するときのポイント
不動産仲介業者にマンションの買主の募集を依頼するときのポイントは、主に次の3点が挙げられます。
- マンション売買に強い不動産業者に依頼する
- 不動産業者との連絡をまめにとる
- 設備の不具合をあらかじめ告知する
それぞれ解説します。
マンション売買に強い不動産業者に依頼する
不動産仲介業者には、マンションの売買仲介に強みを持つ業者や、相続した戸建て売買に強い業者、賃貸募集に強みを持つ業者などがあります。
マンション処分の際には、マンションの売買実績の多い不動産業者を選ぶようにしましょう。
ホームページで口コミや実績を確認したり、「すまいステップ」でマンションの売買に強い不動産業者の紹介を受けることも可能です。
不動産業者との連絡をまめにとる
マンション処分の際には、不動産業者との連絡をまめにとることで、契約までの流れをスムーズに進められます。
レスポンスが速ければ、物件の引き渡しまでの期間が短くなる場合もあるでしょう。
マンションの売却には売主も積極的であるという姿勢を見せることで、仲介業者のモチベーションにもなります。
設備の不具合をあらかじめ告知する
設備の不具合をあらかじめ告知することで、その後のトラブルを避けることができます。
売主がマンションの瑕疵(物件の不具合)を知っている場合、告知の義務が民法で定められています。
そのため、告知をせずに売買契約を結んだときには、損害賠償請求や契約の取り消しの対象となってしまいます。
スムーズな取引のためには事前告知を徹底しましょう。
自治体への寄付をするときのポイント
売れないマンションの自治体への寄付は、最終手段です。
一方で、自治体への寄付を検討する際には注意点もあります。
ここでは2つの注意点について解説します。
すべての自治体が受け取ってくれるわけではない
売れないマンションを寄付できるのは、受け入れ態勢のある自治体に限られます。
寄付を行うと、マンション管理費や解体費用が自治体の負担となるため、財政的にゆとりのないところでは、受け入れられないこともあるでしょう。
マンションの寄付を検討している方は、あらかじめ所在地の自治体に確認をとることをおすすめします。
無償譲渡でも税金がかかる場合がある
マンションの無償譲渡でも、個人から法人への譲渡には税金がかかります。
自治体への寄付の場合には、譲渡所得税の特例措置の対象となりますが、法人への寄付の場合、そのマンションの時価に対して、取得額から利益があると考えられるときには譲渡所得税の課税対象となります。
寄付だからといって、取引にコストがかからないわけではない点に注意しましょう。
マンションの処分に必要な費用や税金とは?
マンションの処分には、不動産業者に支払う仲介手数料と各種の税金支払いが必要です。
ここからはその詳細について解説します。
必要な費用:仲介手数料
マンションの処分に必要な費用として、仲介手数料がかかります。
仲介手数料の費用の上限額は、以下の表のようになっています。
マンションの売却価格 | 仲介手数料の上限額 |
200万円以下 | 売却価格×5% |
200万円超400万円以下 | 売却価格×4%+2万円 |
400万円超 | 売却価格×3%+6万円 |
徴収される税金:譲渡所得税、印紙税、登録免許税
マンションの処分によって徴収される税金は、譲渡所得税、印紙税、登録免許税があります。
譲渡所得税とは、マンションの取得費用と売却にかかった費用の総額よりも売却額が大きい場合に、その差額に対して課税される税金で、5年以上保有しているときは税率20%(所得税15%+住民税5%)、5年以内のときは税率45%(所得税30%+住民税15%)が必要です。
印紙税は売買契約書に添付する形で納める税金で、マンションの売却金額によって500円~30,000円です。
登録免許税は所有権の移転登記に必要な費用で、マンションの売却金額の2%が必要です。
特に譲渡所得税が大きくなる傾向があるマンション売買では、税金の支払いまで見越した取引を意識しましょう。
トラブルになる前にマンションを処分しよう
マンションの老朽化や親からの相続によって、マンションの処分を考えている方は、解体、売却、寄付といった処分方法を検討する必要があります。
処分の方法やタイミングを間違えると損をしてしまったり、トラブルのもとになったりすることもあるため、正しい知識を身につけましょう。
マンションの売却を不動産業者に依頼するときには、「すまいステップ」が便利です。不動産業者の住所検索もできるため、マンションの売買に強い地元の業者を見つけることができます。ぜひ一度「すまいステップ」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。