古さや傷みが目立つマンションを売却する場合、「リフォームしないと売れないのでは…?」と不安に思う方が少なくありません。
しかし個人がマンション売却を売却するなら基本的にリフォームは不要です。
その理由と、リフォームをしなくても築古のマンションを高く売るコツを解説します。
マンションを損せずに売るための10のコツ【流れや相場・費用を分かりやすく解説】
マンション売却前のリフォームは基本的に不要
個人がマンションを売却する場合、リフォームは基本的に不要です。
実際に、売主が個人の物件のうちリフォーム済みのものを購入した人はほとんどいませんでした。
※不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査」を元にすまいステップ編集部が作成
一般社団法人不動産流通経営協会が中古マンションを購入した人にリフォームの実施状況を尋ねたところ、個人の物件のうちリフォーム済みのものを購入した人は6.5%に留まりました。
売主が個人の場合、マンションはリフォームせずに売却されている現状が見て取れます。
個人がマンションを売却する場合にリフォームが不要な理由は下記の3つです。
- リフォーム費用が高額で回収できないリスクがある
- 買主の希望に合わずかえって売れ残る
- そもそも築古のマンションの流通量が多い
詳しく見ていきましょう。
理由①:リフォーム費用が高額で回収できないリスクがある
マンション売却のリフォーム費用は高額になる上に、売却代金に上乗せして回収できないリスクがあります。
国土交通省がマンション・戸建てを売却した個人と宅建業者の事例876件を調査したところ、住宅売却前の平均リフォーム費用は290万円でした。
マンションの傷み具合にもよりますが、リフォーム箇所ごとの費用相場は下記の通りです。
リフォーム箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン(全体) | 80~400 万円 |
浴室(システムバス交換) | 50~100万円 |
洗面所 | 20~100万円 |
トイレ(全体の改装) | 20~100万円 |
タンクレストイレへの交換 | 30~50万円 |
畳の交換 | 6~12万円 |
壁クロスの張り替え | 6~30万円 |
出典:国土交通省「リフォームの内容と価格について」(pdf)(2022年9月12日閲覧)
なぜなら、中古マンションの価格相場は主に立地と築年数で決まるからです。
リフォーム代金を売り出し価格に上乗せしてマンションを売り出すと、買主には同じエリア・同じ築年数の物件に対して割高に映り売れ残ってしまいます。
結局周辺物件と同じ相場に値下げすることになり、リフォーム費用をかけた割にマンションの売却価格は上がりません。
築年数が古いマンションでも、立地など他の条件が良ければリフォームなしで高く売却できます。
まずはそのままの状態でマンションがいくらで売れるのか複数の不動産会社から査定を受けましょう。
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理由②:買主の希望に合わずかえって売れ残る
マンションをリフォームすることで、買主のニーズに合わず売れ残ってしまう可能性もあります。
そもそも、マンションの買主になる顧客は2つに分けられます。
- 築古マンションを購入・リフォームし再度売り出す業者
- 個人の消費者
業者が買主となる場合、自社のノウハウに則って購入後にリフォームを実施します。そのため、せっかくリフォームしても無駄になってしまいます。
また業者から見ればリフォーム済みのマンションは割高に映るため、購入の選択肢から外れてしまうことも。
一方、中古マンションを購入する消費者は「自分好みにリフォーム・リノベーションしたマンションで暮らしたい」と考えています。
しかし、市場に売りに出されている築古の中古マンションは、既に業者がリフォームして売り出しているものが多いです。
そのため、「リフォーム前の物件」は、ある種の「掘り出し物」として需要があります。
このように、「リフォームしていないマンションだからこそ買いたい」という需要があるため、リフォームしなくてもマンションは売れるのです。
理由③:そもそも築古のマンションの流通量が多い
築古のマンションを所有している人は、「リフォームしないと売却できないのではないか」と不安に感じるかもしれません。
しかし中古マンションの流通市場において、築古のマンションの流通量は多いです。
独立行政法人東日本レインズの調査によると、首都圏で成約した中古マンションのうち3割は築30年以上のマンションが占めます。
※東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況」をもとに編集部作成
つまり、中古マンションの売買市場において築年数が古いからと言って著しく不利になるとは限りません。
大切なことは、同じ築年帯の物件に対していかに差別化するかという点です。
次の章からは、比較的費用をかけずにマンションの価値を高めて売却する方法を紹介します。
築年数ごとのマンション売却の特徴。売り時と高く売るポイントを解説
マンション売却における所有者・購入予定者のリフォーム意識と行動
マンション売却において、マンション所有者はリフォームに関してどれくらい意識しているのかを見ていきましょう。
「売却予定のケース」「購入予定のケース」「実際に購入したケース」の3つに分けてそれぞれ解説します。
売却予定でリフォームする人は所有者の16%程度
マンションを売却予定の人で、リフォームしてから売却を検討している割合は全体の16%程度です。
参考:住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査」
上記の表を見てもわかるように、売却のためにリフォームする人は多くありません。
リフォームした人の半数以上がそのまま住み続けたり、今後の予定を決めていなかったりするのです。
このことからも、「リフォーム=売却」ではなく「リフォーム=より快適に暮らしたい」の考え方が多いことが分かります。
リフォーム済マンションが欲しい人は14%程度
次にマンション購入希望者のリフォーム意向について見ていきましょう。
参考:公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会「土地・住宅に関する消費者アンケート調査ウェブアンケート調査結果」
リフォーム済マンションが欲しい購入希望者は全体の約14%です。
約半数がリフォームに関して「必要があれば行いたい」と回答しており、購入時点ではリフォーム済物件を求めていないと分かります。
このことからも、売却のためにリフォームするのは必ずしも効果的だとは言えないでしょう。
マンション所有者の63%が新築で購入
マンション所有者の購入理由を見ていきましょう。
参考:住宅リフォーム推進協議会「住宅リフォーム潜在需要者の意識と行動に関する調査」
マンション所有者の取得方法について、約63%が新築で購入しています。
購入希望者は、中古住宅よりも新築住宅を求めている傾向が強いため、リフォームが必要な中古住宅はそもそも需要が高くないことを理解しておきましょう。
マンションをリフォームせずに売却する方法
リフォームしなくてもいいと言われても、そのままの状態でマンションが売れるのか不安な方も多いのではないでしょうか。
そこで、この章では「築古のマンションでもリフォームせずに売却するための方法」を紹介します。
取り入れられるものがあれば、ぜひ実践してみてください。
細かい傷や破損をDIYで修繕しておく
リフォームとまではいかずとも、補修キットなどで自分で直せるような傷や破損は、直せる範囲で直しておくとよいでしょう。
たとえ購入後にリフォームするとしても、前の住人が丁寧に住んでいたことが分かると買主も安心できるからです。
- 破れた壁紙や障子の修繕
- 床の表面の細かな傷の修繕
- 壊れたドアノブの交換 など
ただし、破損している事実を買主に隠して売ってはいけません。
「契約不適合責任」といって、後から補償や賠償を求められる恐れがあります。
簡単に修繕できる箇所は修理した上で、不具合のある箇所は買主にきちんと伝えて売却しましょう。
ハウスクリーニングをする
室内の古さや汚れが気になる場合は、ハウスクリーニングを実施するのがおすすめです。
ハウスクリーニングは、リフォームよりもずっと安く・短期間で、内覧時の印象を良くできます。
以下の表に、ハウスクリーニングにかかる費用の相場まとめました。
実施箇所 | 費用相場 |
---|---|
キッチン | 2~4万円 (換気扇込み) |
浴室 | 1.4~2万円 |
洗面所 | 8,000円~1万円 |
トイレ | 8,000円~1万円 |
リフォームにかかる費用と比べると、圧倒的に安く実施できます。
特に「水回り」は、汚れや劣化が目立ちやすく、また買い手からも状態を重視されやすいポイントです。
ハウスクリーニングをしてもらうためには、基本的に1週間~10日前の申し込みが必要です。
(特急料金で即日~3日以内の対応をしてくれる業者もあります。)
直前では対応が難しい場合があるため、内覧を受け入れ始める前にハウスクリーニングしておくのがおすすめです。
マンション売却にハウスクリーニングは必要?価格や注意点を解説
引き渡し日の6ヶ月までに売り出す
マンションの売却期間には余裕を持ちましょう。
売却までの期限が短いと売り急ぎにつながり、希望よりも安い価格で妥協してしまうことが多いためです。
そこで、「売却引き渡し日より6ヶ月は余裕を持って売りに出す」のをおすすめします。
マンションの築年数が古いと成約率も低くなる傾向にあるためです。
下の図はマンションの築年数ごとの成約率(成約件数/売り出し件数)を表したものです
※東日本レインズ「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)」をもとに作成
築10年をピークにマンションの成約率は低下していき、築30年を超えると16%にまで下がります。
つまり、一般的には築年数が経つほどマンションが売れにくくなるということです。
築年数が古いマンションの場合は、売却期間に余裕を持って早めに行動しましょう。
インスペクションを受ける
築年数が古いマンションを売る場合は、インスペクションを受けることもおすすめです。
インスペクションとは、住宅の劣化状態や欠陥・修繕の必要がある箇所を専門家が調査することです。
インスペクションを受けると建物の状態が明らかになるため、買主は安心してマンションを購入できます。
そのため高く・早くマンションが売却できる可能性が上がります。
また、売却後のトラブルを防ぐ予防策としても効果的です。
売却後にマンションの設備の不具合が見つかると、売主は買主から不具合箇所の補修費用の負担を求められてしまいます。また、設備の不具合箇所や状況により、高額な保守費用が必要になる場合があります。
想定外の出費を防ぎトラブルを事前に回避するためにインスペクションは有効です。
インスペクションには5~8万円の費用がかかりますが、その分高く・早く・安心してマンションが売れれば十分に元が取れるでしょう。
瑕疵保険に加入する
瑕疵保険に加入することで、マンションが高く・早く売れます。
瑕疵保険がついたマンションが売り出されることは多くなく、他の物件との差別化につながるためです。
瑕疵保険とは、マンションを売却した後に雨漏りや構造上の問題などが見つかった場合に補修費用が支払われる保険のことです。
買主の立場から見ると、万が一不具合が見つかってもきちんと補償が受けられるため安心してマンションを購入できます。
瑕疵保険の保険料は5~15万円程度。
フルリフォームに比べたら少ない費用で加入できるため、そのままの状態で売れるか不安な方におすすめです。
買取で売却する
室内に古さが目立ち大がかりなリフォームが必要そうなマンションは、買取で売却することをおすすめします。
買取では不動産会社が直接マンションを購入するため、リフォーム費用がかからないからです。
そもそも、マンションを売却するには2つの方法があります。
買取では、マンションを不動産会社が直接購入します。不動産会社はマンションを購入した後、自社でリフォームし一般の消費者に売却します。
購入後に不動産会社が自社でリフォームするため、売主はそのままの状態でマンションを売却できます。
買取でのマンションの売却価格は仲介での相場の8割程度ですが、数百万円のリフォーム代がかかるケースではむしろ手取りが増えることも。
修繕が必要な築古のマンションを売却する場合は、買取での売却を選択肢に入れましょう。
【家】を確実に売るためには、売却実績が豊富な不動産会社を見つけることが大切です。
需要が低い立地にある【家】など、【家】の状態によっては、売却が難しいケースがあります。
『すまいステップ』は、累計100件以上の売買仲介実績のある不動産会社などが加盟していて、売買経験が豊富な不動産会社に相談できます。



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マンション売却前のリフォームが効果的なケース
ここまで、マンション売却前のリフォームは基本的に不要であることと、リフォームしないでも売れる理由について解説してきました。
一方で、以下のようなケースは、売却前に行うリフォームの効果が高いです。
築浅マンションの場合
築10年未満のマンションは、リフォームせずに暮らすことを前提に、室内の状態の良さを重視する購入希望者が多いです。
購入してからすぐに住めるマンションを探しているため、売主側で予め修繕しておくことで、早期に売却できる可能性があります。
内装がボロボロ・汚れが目立つ場合
壁紙のクロスや床材を張り替えるリフォームは、内覧の申し込みを増やしたり、内覧に訪れた人の印象を良くするのに効果的です。
室内があまりにボロボロだったり、汚れがひどい場合は、インターネット上に物件の室内写真を掲載できなかったり、掲載しても逆効果になったりする可能性があります。
また内覧に訪れた購入希望者が、部屋に入った時の第一印象は、最終的な購入判断の決め手になることもあるくらい、重要です。
壁や床の張り替えは、水回りのリフォームに比べて安価に行えます。
6畳の部屋で、壁・天井のクロスの張り替えは4~4.9万円、フローリングの張り替えは14~20万円が相場になっています。
ただし、内装のリフォームを実施する際は、個性的な色や柄、素材は避けましょう。
また、ある程度の傷や汚れはDIYでの修繕や、ハウスクリーニングでも対処できます。
マンション売却時にリフォームする際はプロに相談しよう
マンション売却にあたってリフォームをするべきかどうか迷う場合には、まず不動産会社に「迷っていること」を相談してみるのがおすすめです。
不動産会社なら、素人には難しい「費用に対して効果的なリフォーム」も判断できます。
もしも、ご自身のマンションが「リフォームした方が売れるマンション」だった場合にも、効果的なリフォームについて相談できます。
また、マンションの売却が得意な不動産会社の営業マンは、リフォームに限らず、様々なプランやノウハウを持っているので、相談を通じて「この担当者に安心して売却を任せられるか」を測ることもできます。
マンションを売りに出してから実施したリフォームの費用は、確定申告の時に経費(譲渡費用)として扱えます。
そういった理由からも、リフォームを実施する場合は、まずは不動産会社を見つけて相談してから実施することをおすすめします。
まだ不動産会社に依頼していない方は、是非とも複数社の査定を受けましょう。
そして、査定結果を聞く時に、リフォームの実施を含めた売却プランを相談しましょう。
不動産会社と契約をしてしまってからだと、契約の形態によっては3ヶ月間、他の不動産会社に変更ができなくなるからです。
大切な【家】を少しでも高く売却するために、複数の不動産会社の査定額を比較して、より高値で売却してくれる不動産会社を選びましょう。
【家】を売却をした方の約75%以上が、3社以上の不動産会社で査定を受けています。
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