マンション売却と築年数の関係を解説します。
「自分のマンションの築年数だと、相場はどれぐらいだろう….」
「築何年ぐらいまでが高く売れるの?」
マンション売却や購入を検討している方で、このような疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
マンション売却において、築年数は売却価格を左右する大きな要因の一つです。
この記事では、以下のポイントに焦点を当てて詳しく解説します。
マンションの「築年数」と「価格」の関係
マンションの売買において、築年数と資産価値はどのように関係するのでしょうか。この記事では、基本的な考え方を分かりやすく解説します。
マンションの売却価格は「土地」と「建物」で決まる
マンションの資産価値は「土地(敷地)」と「建物」に分けられます。以下のポイントを押さえましょう。
- 土地(敷地)
土地には築年数の影響がありません。古くなったからといって土地の価格が下がることはないためです。 - 建物
築年数が経過すると建物は経年劣化し、資産価値が下がります。このように、建物の価値が減少していくことを「減価償却」といいます。マンション売却時には、建物の査定額はこの減価償却を反映して低下していきます。
築年数が経過すると建物の価格に減価償却費用がかけられて低下していきます。
マンションの価格を構成する要素
マンションの資産価値は以下の3つの要素から成り立っています。
- 敷地利用権の共有持分(土地部分):マンションの敷地を所有者全員で共有する権利です。
- 専有部分の区分所有権(住戸部分):各所有者が単独で所有・管理する住戸部分の権利です。
- 共用部分の共有持分(建物の共用部分):エントランスや廊下など、所有者全員で共有する部分の権利です。
マンションを売却するということは、部屋=専有部分(区分所有権)だけでなく、共用部分の共有持分と敷地権(敷地の共有持分)を売却するということになります。
▼専有部分と共用部分の違い
マンションの建物は、「専有部分」と「共用部分」に分けられます。それぞれの範囲を明確にしておきましょう。
- 専有部分(例):区分所有者が単独で使用・管理する部分
- 内装(フローリング、壁紙、キッチン、浴室など)
- 設備(給湯器、トイレ、配管・配線など)
- 共用部分(例):所有者全員で共有する部分
- 建物の躯体(外壁、屋上、廊下、階段など)
- 共用設備(エレベーター、駐車場、配管設備など)
- バルコニー、窓枠、玄関ドア(専用使用権がある場合)
資産価値を維持・向上するためのポイント
築年数が経過しても、以下の要素を重視することで資産価値を維持または向上させることができます。
- 建物の管理状況
外壁の補修や設備の更新など、定期的なメンテナンスを行うことで建物の状態を良好に保てます。 - 立地条件
駅に近い、周辺施設が充実しているなどの条件は価値を保つ大きな要因です。 - 管理組合の運営
管理組合がしっかり機能しているマンションは、建物の品質が維持される傾向があります。
マンションの売却価格|築年数ごとの推移
マンションの売却価格は築年数が経過するほど低下するのが一般的です。
実際に、どれくらい価格が低下するのか見てみましょう。
築年数 | 築0年~築5年 | 築6年~築10年 | 築11年~築15年 | 築16年~築20年 | 築21年~築25年 | 築25年~築30年 | 築31年~ |
---|---|---|---|---|---|---|---|
価格 | 3000万円 | 2752万円 | 2525万円 | 2279万円 | 2079万円 | 1472万円 | 955万円 |
下落率 | 100% | 91% | 83% | 78% | 63% | 43% | 33% |
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築0年を100%とすると、築26年以降は43%ほどの価値しかないことがわかります。
築31年以降は33%とかなり価格が下落するため、築年数が価格に大きく影響しているといえます。
このことからも、マンション売却を検討している方はできるだけ早めに売却するのがよいといえるでしょう。
築0~5年の売却価格
築5年までのマンション売却価格は平均6,638万円であり、新築時と比べても外観や室内に劣化が見られにくいため、高い価格で売却できる可能性があります。
また、そこまで築年数が経過していないため、建物としての価値が大きく低下していないのも特徴です。
築5年までの価格を基準として、築6年以降のマンションがどれくらい価格が減少していくのか見てみましょう。
築6~10年の売却価格
築6~10年のマンション売却価格は平均6,193円万円であり、築5年までのときと比べて440万円ほど安くなっています。
築6年を超えると、築5年までの築浅マンションよりも築年数の影響を受けるため、建物としての価値が減少します。
それでも、人気のエリアや利便性の良い立地であれば、買い手からの需要があるので新築同様の価格で売れる場合もあります。
築11~15年の売却価格
築11~15年のマンション売却価格は平均5,543万円であり、築5年と比べて1,000万円以上安くなっています。
築11年を超えると、外観や室内状況、設備などに劣化や損傷が見られるケースが多くなり、マンションとしての価値も下がる傾向にあります。
実際、国土交通省の「改修によるマンションの再生手法に関するマニュアル」によれば、マンションの大規模修繕は12~15年に1回の頻度で行われると記載されています。
計画修繕では、効率的な工事実施のため、複数の部位や工事項目をまとめて実施することが多く、全面的な外壁塗装等を伴い、修繕積立金を充当して行う計画的な修繕等を大規模修繕と呼び、通常は 12~15 年程度の周期で実施されます。
つまり、築11~15年マンションは新築時と比べて劣化状態が進んでいる時期であり、価値が落ちやすいタイミングといえるでしょう。
築16~20年の売却価格
築16~20年のマンション売却価格は平均5,250万円であり、築11~15年までのマンションよりも300万円ほど安くなっています。
これまでの売却価格の低下率と比べると緩やかな低下となっており、築11年と20年マンションの価値に大きな差はないといえます。
築16年マンションは大規模修繕を完了した直後であり、買い手の需要も再度上昇するタイミングでもあります。
そのため、価値を大きく下がることなく売却できる可能性が高いでしょう。
築21~25年の売却価格
築21~25年のマンション売却価格は平均4,290万円であり、築16~20年マンションよりも1,000万円ほど安くなっています。
この築年数を迎えると、マンションによっては2回目の大規模修繕を行うタイミングであり、マンション自体の劣化状況も進んでいるケースが多くあります。
築11~15年で価格が大きく下がったのと同様に、築21~25年も大規模修繕の影響でマンション価格が大きく下がる時期といえるでしょう。
築26~30年の売却価格
築26~30年のマンション売却価格は平均2,832万円であり、さらに1,400万円ほど安くなっています。
築30年を迎えると、建物の外観や室内状況はかなり経年劣化しており、建物としての価値も大きく下がる傾向にあります。
また、建物が古く、買い手の需要もなくなってきているのも売却価格が低下している原因でしょう。
新築と同様の価格で売却するのは難しいですが、リフォームをしたり周辺の利便性が向上したりすれば高い価格での売却も可能です。
築31年~の売却価格
築31年以降のマンション売却価格は平均2,193万円であり、さらに630万円ほど安くなっています。
築31年を超えると「築古マンション」と一般的に扱われるため、築浅マンションと比べて大きく価格が低下します。
また、設備が古いままだったり共用部分の利便性が低かったりするのも価値低下の原因でしょう。
それでも前述のとおり、周辺の利便性や治安などの周辺環境の良さがあれば、高い価格での売却も可能です。
マンション売却は築年数で見るといつがいい?
マンション売却は築年数で見るといつごろが売り時なのでしょうか。
ここでは、高く売れる時期と売れやすい時期に分けて解説します。
高く売るなら築5年以内
高く売るなら築5年以内がおすすめです。
前述のとおり、築年数の経過とともにマンション価格は低下します。
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築6年になってしまうと6%前後も価値が低下するため、高く売りたいならできる限り早く売る方がよいでしょう。
また、築浅マンションの方が外観や内装も綺麗なので、購入希望者も現れやすく成約までスムーズに進みやすい利点もあります。
さらに、利便性が良かったり人気なエリアにある物件だったりすれば買った価格よりも高く売れる可能性もあります。
これらの理由から、高く売りたいのであれば築5年以内がおすすめです。
売れやすい時期は築25年まで
マンションが売れやすい時期は築25年までです。
実際に、築年数によってどれくらい成約率に違いあるのか見てみましょう。以下は、築年数別の成約割合を表したグラフです。
※REINS TOPIC 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」をもとに作成
「築6~10年」「築11~15年」の割合が特に高く、築25年までは10%以上の割合で成約できています。
築26年を超えると7%前後の成約率まで低下するため、できれば築6~25年までの間に成約できるように売却活動を進めるのがよいでしょう。
近年は築40年以上マンションが最も成約しやすい
近年は築40年以上の古いマンションが成約しやすい状況となっています。
前述の「成約率の割合」のグラフを再度見てみましょう。
※REINS TOPIC 「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」をもとに作成
2021年からの成約率を見ると、築41年超の割合が最も高いのがわかります。
2023年は全体の18%を占めており、近年は築年数の経過したマンションでも十分に売れる状況といえます。
築40年を超えた古いマンションは築浅マンションと比べて安く購入できたり、自分なりにリフォームできたりする利点があります。「相場より安く買ってリフォームする」という購入者も多いため、築40年以降の古いマンションの売却を検討している方は積極的に売り出すのがよいでしょう。
築50年以上なら買取での売却も検討する
築50年以上のマンションを売るなら買取での売却も検討しましょう。
なぜなら1981年以前に建てられたマンションは、現行の耐震基準に適合していない可能性があります(旧耐震基準)。
これが現在の建築法に則ると違法建築に該当する物件担っていたり、買い手にとって大きな不安要素となることがあります。
築50年以上立つと、一般市場での売却が難しくなり、土地を含めた資産価値を評価する「買取業者」による買取が選択肢となります。
すまいステップのアンケート結果
次にすまいステップのアンケートをご紹介します。以下は、実際に不動産を売却した方に対して「売却した物件の築年数」を聞いたアンケート結果です。
※すまいステップ「不動産売却に関するアンケート」より
「築40年以内」と答えた割合は約17%であり、築5年以内に次ぐ多さです。
アンケート結果を見ても先ほどの成約割合同様に、築40年以上の古いマンションでも十分に売れることがわかるでしょう。
これらの理由から築40年を超えた古いマンションを所有している方でも十分に売却できるチャンスがあるといえます。
まとめ
都市部では特に根強い人気を誇るマンションですが、人気の間取りでも築年数が経つにつれて売却価格も減少していきます。築15年を目安にその売却価格は大幅に下がるため、マンションの売却を考えているのであれば、15年までに行うとよいでしょう。より高値で売却を行うことができれば、次の不動産を購入する際に役に立つはずです。マンションの売却を行う際は、今回紹介した高値で売るコツやタイミングを参考にしてみてはいかがでしょうか。
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