「築40年のマンションの売却相場はどれくらい?」「築40年のマンションはそもそも売れるの?」
マンション売却を検討しているが築古物件のため、このような疑問を抱えている方は多いのではないでしょうか。
マンションは一戸建てと比べて価値が下がりにくいといわれていますが、築年数が経過すれば売却相場も下がります。
この記事では、築40年マンションの売却相場や売りづらい理由などを解説します。
売却を検討中の方はぜひ参考にご覧ください。
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築40年マンションの売却相場
まずは、築40年マンションの売却相場はどれくらいなのかを新築時と比較して見ていきましょう。
自分で相場を理解しておくことで、不動産会社に査定してもらった際に適正価格かどうかの判断ができるので重要なポイントです。
築30年を超えると新築時の3分の1程度の売却相場になる
以下の図は首都圏における築年数ごとの平均マンション成約価格の推移です。
※レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)を参考に編集部作成
相場としては、築年数が経過するほど成約価格も下がっているのがわかります。
新築時~5年のマンションであれば約6,600万円ほどで成約できますが、築31年を超えると新築時の3分の1程度まで相場が下がります。
建物は経過年数とともに経年劣化や設備不良、外観悪化などの症状が発生しやすいため、どうしても築古マンションは成約価格が下がってしまいます。
築古マンションの売却を検討している方は理解しておきましょう。
首都圏の築40年マンションの相場は平均約2,200万円
築年数ごとの相場をグラフでご紹介しましたが、ここでは築年数ごとの成約価格を具体的な価格でご紹介します。
以下の表は首都圏における築年数別の成約価格を表したものです。
築年数 | 成約価格 |
新築~築5年 | 6,638万円 |
~築10年 | 6,193万円 |
~築15年 | 5,543万円 |
~築20年 | 5,250万円 |
~築25年 | 4,290万円 |
~築30年 | 2,832万円 |
築31年~ | 2,193万円 |
※レインズ 築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)を参考に編集部作成
「~築30年」の時点で急激に成約価格が下がることがわかります。
築31年以降になるとさらに成約価格は下がり、約2,200万円ほどになります。
あくまで平均なので、実際には立地条件により価格は大きく異なる場合もあるので一概にすべてが2,200万円程度とは限りません。
売却を検討している方は、一つの指標として築40年のマンションの平均成約価格は2,200万円程度と把握しておきましょう。
マンションは築47年で建物の価値が無くなる
建物の価値は、構造によって耐用年数が決まっており、その耐用年数に近づくにつれて価値も減少していきます。
以下は各建物の構造ごとの耐用年数を表した表です。
建物の構造 | 非業務用(自宅用等) 耐用年数 | 非業務用 償却率 | 業務用(住宅・店鋪) 耐用年数 | 業務用業務用 (住宅・店鋪)償却率 |
---|---|---|---|---|
鉄骨鉄筋コンクリート造または 鉄筋コンクリート造 | 70年 | 0.015 | 47年 | 0.022 |
れんが造、石造またはブロック造 | 57年 | 0.018 | 38年 | 0.027 |
骨格材の肉厚4mm超の金属造 | 51年 | 0.020 | 34年 | 0.030 |
骨格材の肉厚3mm超4mm以下の 金属造 | 40年 | 0.025 | 27年 | 0.038 |
骨格材の肉厚3mm以下の金属造 | 28年 | 0.036 | 19年 | 0.053 |
木造または合成樹脂造 | 33年 | 0.031 | 22年 | 0.046 |
木骨モルタル造 | 30年 | 0.034 | 20年 | 0.050 |
※国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」と国税庁「『減価償却費』の計算について」をもとに作成
マンションの主な構造である、「鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造」の業務用耐用年数は47年です。
したがって、築47年を迎えるとマンション自体の価値がなくなってしまいます。
築40年のマンションであれば耐用年数に近いため、新築時よりも価値が大きく減少しています。
築40年マンションは売れるのか
築40年のマンションは築古物件のため、「売れないのではないか」「需要はあるのか」と思う方も多くいます。
実際の取引データを見ながら築40年超マンションの取引件数を確認しましょう。
下記の円グラフは東京都における、中古マンションの築年数ごとの取引件数割合を表したグラフです。
土地総合情報システム不動産取引価格情報検索(2022年第3四半期)を参考に編集部作成
築40年を超えるマンションの取引件数の割合は全体の6%程です。
築36年~40年を含めると全体の14%を占めていることになります。
このことから築40年マンションでも、「全く売れない」というわけではないということが分かります。
むしろ、築31~35年と同等の割合があることを考えると、状況次第では十分に売れると判断できます。
築40年マンションが売れる理由と売れづらい理由
築40年マンションでも状況次第では十分に売れると紹介してきました。
では、なぜ築40年マンションでも売れるのでしょうか。
ここでは、築40年マンションの売れる理由と売れづらい理由を解説していきます。
買い手にとっては、築40年マンションを購入することのメリットとデメリットがあることを理解しましょう。
- 買い手が低価格で購入できる
- 立地条件の良いケースがある
- 買い手がリノベーションする場合がある
- 建物や設備の老朽化
- 住宅ローンの審査が通りづらい
- 耐震性能が低い場合がある
- 修繕積立金が高額
売れる理由①:買い手が低価格で購入できる
売れる理由の大きな要素として、低価格で購入できる点が挙げられます。
築古物件のため、価格を下げないと買い手が見つからない場合が多いです。
しかし、買い手からすれば低価格でマンションを購入できるメリットにもなるため、築40年マンションでも売れる場合があります。
売れる理由②:立地条件の良いケースがある
築古マンションは、立地条件が整っている物件が多いというメリットがあります。
築40年のマンションと言うと、建設されたのは1980年代です。
1980年代はマンションの建設ラッシュが始まり、多くのマンションが良い立地(周辺環境や利便性が良い)に建設されていました。
近年では、マンションが次々に建てられていることもあり、立地の良い場所に建設することが難しくなっています。
しかし、築古マンションの場合は現在のような競争の激しい環境になる前に建てられているため、需要が十分にあるといえます。
売れる理由③:買い手がリノベーションする場合がある
買い手によっては「低価格で購入して自分でリフォームしたい」という方が一定数います。
築浅物件だと価格が高く、リノベーションしづらいため、あえて築古物件を購入する方もいます。
売却のためにリフォームをする方もいますが、リフォームしない方が買い手が見つかる場合もあるということを理解しておきましょう。
売れづらい理由①:建物や設備の老朽化
築年数の経過しているマンションは、当然ながら劣化や老朽化してしまいます。
老朽化すると外観が悪くなったり、設備の不具合も発生したりします。
これらの点は、どうしても買い手にマイナスな印象を与えてしまうということを理解しておきましょう。
売れづらい理由②:住宅ローンの審査が通りづらい
築古マンションは新築よりも資産価値は下がっています。
住宅ローンの審査は、借主の返済能力だけではなく担保となる不動産の評価も大きく影響するため、旧耐震基準は融資対象外になったり担保評価の際にマイナス要因になったりして、受けられる融資額が少なくなってしまいます。
そのため、買い手からすると自己資金に余裕がない場合はローン審査が通らないケースが考えられます。
「住宅ローンが組めない」というよりは「希望額の融資を受けられない」可能性が高いです。
売れづらい理由③:耐震性能が低い場合がある
建物の内部については、リフォームやリノベーションである程度は新築に近い状態に戻せます。
しかし、耐震性などの基礎部分については簡単に修繕はできません。
特に、1981年以前に建てられたマンションについては「旧耐震基準」と呼ばれる古い耐震基準を基に建設しているので、耐震性に不安があります。
日本は地震の多い国のため、旧耐震基準の建物は買い手から敬遠される場合が多いです。
売れづらい理由④:修繕積立金が高額
マンションの修繕積立金は、築年数が経つごとに値上げすることが多いです。
マンションが古くなれば、老朽化にともない修繕する規模や場所が大きくなるので、多くの修繕積立金が必要になります。
また、修繕積立金が十分に蓄えられていれば良いですが、万が一修繕する金額が不足した場合、入居者から別途徴収するケースもあります。
このことから買い手は購入を躊躇することがあります。
築40年マンションを売却する際のコツ
築40年マンションの売却のコツを紹介します。
状況によっては築40年でも売却の可能性を高められるため確認しましょう。
リフォームやリノベーションをしない
リフォームやリノベーションを行うと部屋が新築時と同様な見た目になるため、「築古物件でも売れるのでは?」「相場よりも高く売却できるのでは?」と考える方もいます。
しかし、マンションには築年数ごとの適正な相場があり、買い手はその相場を理解したうえで物件を探していることが多いです。
リフォームやリノベーションをしているからといって相場よりも高い価格を設定してしまうと、買い手からすれば「相場よりも高い物件」と判断されてしまいます。
また、「築古物件を安い価格で購入してから自分でリフォームしたい」と思う買い手が多くいます。
そのような買い手からすれば、「リフォームされた、相場より高い築古物件」と認識される可能性が高いです。
これらのことから、売却のためにリフォームやリノベーションは行わないようにしましょう。
ハウスクリーニングを行う
状況によっては、ハウスクリーニングを行うことで売却できる可能性を高められます。
売却の前に購入予定者が内覧に来て物件の見定めを行いますが、その際に部屋の壁などが汚いとマイナスの印象を与えかねません。
部屋が綺麗だと購入予定者に清潔感や好印象を与えられるため、購入につながりやすくなります。
ホームインスペクションを行う
ホームインスペクションとは、専門家による住宅の劣化状況や耐震診断などを調査してもらうことです。
築40年のマンションだと経年劣化や耐震性が不十分な場合があるため、ホームインスペクションを行うことで安全性を証明できます。
売却を成功させるためにもホームインスペクションを行うことを検討しましょう。
複数の不動産会社へ査定依頼する
売却する際には事前に不動産会社へ査定価格を算出してもらいますが、その際に複数社へ査定依頼することをおすすめします。
1社だけの査定だと、その査定価格が適正なのかが判断できないためです。
複数社へ依頼することで各不動産会社ごとの査定額を確認できて相場感を掴みやすくなります。
なかには契約してもらうために、相場よりも極端に高い査定額を提示してくる会社もあります。
そのような会社を見抜くためにも複数社へ査定依頼しましょう。
まとめ
築40年マンションの売却相場を解説しました。
築40年でも買い手には一定の需要があるため、状況次第では十分に売れる可能性があります。
ただし、設備の不具合やローン審査が通りづらいなどの理由から、売れづらいことも理解しておきましょう。
売る可能性を高めるためには、リフォームやリノベーションは行わない、ハウスクリーニングをする、ホームインスペクションを依頼する、なども検討しておきましょう。
相場感を把握して不動産会社を正しく選び、売却を成功させましょう。