マンションの資産価値は、築年数とともにどんどん下落していきます。そのためマンション売却を成功させるには、売り時を見極めることが大切です。一般的に築10年以内がベストなタイミングと言われています。買い手としては、きれいで購入後も長く住める築浅物件は魅力的です。
ただ、売却を検討している方の中には「新築時に比べ、どのくらい値下がりしてしまうのか」「売却の相場を知りたいが、調べ方がわからない」など、不安や悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、築年数ごとの売却相場や少しでも高く売るコツなど、マンション売却に必要な知識とノウハウをまとめました。ぜひ参考にしてください。
【2023年7月】マンション売却相場はいくら?売り時や調べ方を解説
マンションの売却相場の推移
マンションの売却価格は、築年数が経過するごとに下落します。詳しい推移は、国土交通省が発表している「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」から把握できます。
ここでは、国土交通省のデータを基に築5年、築10年、築10年以降で売却相場がどのくらい違うのか説明します。
築5年まで大きな下落がない
築5年以下のマンションは内装や設備などがきれいな上、市場に出回る数も少ないため、買い手が付きやすいのが特徴です。そのため築5年程度のマンションであれば、売却価格は新築時に比べ大きく変わりません。
実際に国土交通省の調査では、新築時の価格を100%とした場合、築1年前後で新築価格の90%、築5年前後で80%以上を維持しています。
また、マンションがあるエリアによっても売却価格は変動します。そのため、仮にマンション周辺に商業施設や駅ができたなど、利便性が向上した場合は新築時よりも高く売れる可能性もあります。
築10年には20%から30%下落する
マンションが建ってから10年経過すると、新築時に比べ市場価値は20%から30%下がります。とはいえ、築10年のマンションは中古マンションの中では「築浅」の部類に入ります。買い手としては、築浅のマンションがリーズナブルな価格で購入できるため狙い目です。そのため、中古マンション市場では築10年前後のマンションが最も人気があります。
さらに立地や管理状態がよければ、相場よりも高い売却額も期待できます。マンションを高値で売るには、外観や内装の清潔感が大切です。一般的に築10年あたりから、外壁や共有スペースの汚れが気になりはじめるため、売却を検討している方は、日頃からマンション管理を徹底しておくことが売却成功への鍵です。
築10年以降は下落が進行する
築10年以降も、マンションの市場価値はどんどん下がり続けます。築12年を過ぎたあたりから、マンションの市場価値は新築時の70%以下まで下落し、築20年までに60%以下、築25年経つと50%以下にまで落ちます。築30年以上経ったマンションの価値は、新築時の30%台です。
大きな要因は、建物の劣化です。築浅のマンションなら外壁や共有スペースの汚れ程度で済んでいたものが、築古になると外壁のひび割れや遮熱性能の低下、腐食などがでてきます。これらによって資産価値が落ち、売却価格も下がってしまいます。
また、修繕のために毎月入居者から積立金を徴収しますが、修繕箇所が多くなると費用が足りなくなる可能性があります。その場合、修繕設立金を高く設定する必要がありますが、買い手としてはデメリットです。修繕積立金を高くした分、マンションの価格を下げないと購入希望者が集まらなくなります。
築10年のマンションの売却相場を調べる方法
次に、築10年のマンション売却相場を調べる方法を3つお伝えします。
レインズマーケットインフォメーションを利用する
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通省が指定した不動産流通機構が運営・管理している情報提供サイトです。全国の4法人(東日本、中部、近畿、西日本)から構成されており、実際に売買が行われた物件の成約価格などの取引情報を検索できます。
トップページで都道府県と地域を選択し検索すると、直近1年間の築年数に応じた単価(万円/㎡)がわかる取引情報グラフと、成約時期別の単価(万円/㎡)の取引情報グラフが表示されます。市区町村や地区、専有面積、間取りなど検索条件を追加することもできるので、細かく相場を比較したいときに利用すると便利です。
さらに、直近2年間の平均成約価格・平均㎡単価・平均専用面積の推移や、間取り物件数の推移、築年数別件数の推移のマーケット情報も掲載されており、幅広くマンションの取引状況を把握できます。
土地総合情報システムを利用する
土地総合情報システムは、国土交通省が運営するサイトです。不動産売買に関する価格情報をデータ化しており、不動産の取引価格・地価公示・都道府県地価調査の価格を検索できます。マンションの売却相場を検索する場合は、トップページにある「不動産取引価格」に進みます。
検索条件として時期・種類・地域があるので、知りたい情報に合わせて内容を選択してください。時期は2016年1月から直近までのデータから好きな時期を選べます。種類は、中古マンション等を選択するとよいです。地域は住所(地図)または路線・駅名から売却を検討しているマンションに該当する地域を選んでください。
すまいステップを利用する
すまいステップとは、不動産を一括査定できるサイトです。無料で最大4社の不動産会社に査定を一括で依頼できます。
厳選審査を通過した不動産会社のみが参画しているのが特徴なので、宅地建物取引士の保有者や売買仲介営業の経験5年以上、累計100件以上の売買仲介実績など、実力や実績を持つエース級の担当者と出会えます。そのため、マンションを少しでも高値で売却したい方や、なるべく早く売りたい方におすすめです。
査定の依頼は、とても簡単です。査定してほしいマンションの情報やお客様情報を入力してください。その情報をもとに、各社から査定結果が届きます。査定内容は不動産会社ごとに異なるため、気に入った内容や対応のよさなどから信頼できるパートナーを選びましょう。
築10年のマンションを高く売るコツ
ここからは築10年のマンションを高く売るコツを紹介します。少しでもよい条件で売却するため、事前にチェックしておきましょう。
販売力のある不動産会社を探す
築10年のマンションを高く売るには、高額な価格で売ってくれる不動産会社を探すことが最も重要です。そのため、すまいステップなど、優良な不動産会社を見つけられるサイトを利用し、販売力がある不動産会社を見つけることからスタートしましょう。
販売力があるかどうかは、会社の実績はもちろん、担当者の人柄からもわかります。実際に買い手と交渉するのは不動産会社の担当者です。しっかりと買い手にマンションの価値を伝えられる人なのか、知識の量や言葉使い、レスポンスの早さなどから仕事ぶりを見極めましょう。
また査定を依頼する際は、1社だけでは正しい査定額なのか判断できないため、複数社に査定を頼むことが大切です。場合によっては、不動産会社によって査定額に数十万円から数百万円の差がでることもあります。
ただし、査定額と売却額は異なります。査定額は、3ヶ月程度でマンションを売ったときの売却額の予想を数値化したものです。必ずしも、提示された額でマンションが売れるとは限りません。
不動産会社から査定額を提示されたら、まずはその額と周辺の相場を比較し、妥当かどうか確認してください。そして、自身が希望する売却額などを考慮しながら、不動産会社と売り出し額を決めていきましょう。
高めの価格で売り出す
売り出し価格を相場よりも高めに設定してみるのも、築10年のマンションを高く売るコツです。東日本不動産流通機構のデータによると、築年数別の中古マンション成約率は築6年から築10年が最も高く、この時期が1番買い手がつきやすいと言えます。
理由は、買い手にいくつかのメリットがあるためです。築浅でほどよく価格が下がるため手を伸ばしやすく、売り手側は10年間の住宅ローン控除が終了するタイミングで売却する人が多いので、買い手は同じような条件のマンションを複数比較してから気に入った物件を購入できます。
買い手が多いということは、相場よりも高めの価格でも、そのままマンションが売れる可能性があります。また、相場よりもやや高く売り出し価格を設定しておけば、もし買い手から値下げ交渉があった場合も損することがなくなります。
ただし、相場よりも大幅に高く設定してしまうと売却が難しくなるため、マンションの価値や周辺の状況を踏まえ、不動産会社とベストな売り出し価格を相談しましょう。
期間に余裕を持つ
築10年のマンションを高く売るためには、焦りは禁物です。売却期間に余裕を持ちましょう。一般的にマンション売却にかかる期間は、平均3ヶ月から6ヶ月と言われています。売りに出すまでの準備期間も合わせると、1年ほどは必要です。
買い手は、ほぼ確実に値引き交渉を行います。ここで早く売りたいがためにマンション価格を安くするのは損です。高く売るためにじっくりと交渉を行い、値引き率を最小限に抑えましょう。売り手側の条件が悪くなるようであれば、高値で買い取ってくれる人を探しなおすのもアリです。
また、新生活がスタートする春に合わせて、物件を探す人が増える3月を狙ってマンションを売りに出すと高値での売却が期待できます。そのため、販売活動は1月初旬頃から始め2月下旬頃までに売買契約を結べるとベストです。春を逃した場合、次の狙い目は転勤が多い9月になります。夏頃から売却活動をはじめましょう。
マンションを築10年以内に売却するメリット
ここでは、築10年以内にマンションを売るメリットを3つ紹介します。
購入希望者の数が多い
築10年以内のマンションは築浅として、購入希望者に人気です。マンションを高く売るコツでも説明した通り、築6年から築10年のマンションは最も買い手が付きやすいと言われています。
理由のひとつに、新築マンションを購入したいが予算が足りない人たちが築浅マンションに流れていることが挙げられます。ほかにも、住宅ローン控除は購入から10年間適用されますが、築年数25年までが対象だからです。適用期間内でも築25年が過ぎると控除が受けられないため、住宅ローン控除を最大限受けるためにも築浅のマンションを探している人も多いです。
また、中古マンションの購入希望者は、築10年を超えると激減します。マンションの劣化を気にする人が増えたり、不動産ポータルサイトの築年数の検索条件が5年刻みのものが多かったりするためです。
検索条件は築10年以内の次は、築15年以内になるのが一般的です。本来、築10年と築11年で物件に大きな差はありませんが、築浅の検索条件からは外れてしまうため、購入希望者の母数が一気に減ってしまいます。
そのため、築10年以内がマンション売却のターニングポイントと言えます。
築浅なので長く暮らすことができる
築10年以内のマンションが人気な理由には、法定耐用年数も関わっています。法定耐用年数とは、新築時から定期的にメンテナンスを行った場合、使用できるであろう期間のことです。建物の構造や用途によっても異なります。国税庁が発表している耐用年数は以下の通りです。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造・合成樹脂造 | 22年 |
木骨モルタル造 | 20年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
金属造(骨格材の肉厚が4�oを超える住宅) | 34年 |
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数(建物/建物附属設備)」
一般的なマンションの構造は、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄筋コンクリート造です。耐用年数は47年なので、築10年以内のマンションを購入後も長期間暮らすことができます。そのため、買い手が付きやすいのが特徴です。
ただし、公表されている法定耐用年数が必ず当てはまるとは限りません。立地条件によっては、予想以上に早く劣化する可能性もあります。反対に、メンテナンスや使い方によっては法定耐用年数よりも長く住めることもあるので、高くマンションを売却するためにも修繕を怠らないようにしましょう。
リフォーム費用がかからない
前述した法定耐用年数からわかるように、築10年以内のマンションは建物の劣化が少ない築浅物件です。一般的に中古マンションを売却するときは、リフォームを行うことが多いですが、築10年以内のマンションであればそのままの状態で売りに出せるのがメリットです。そのため、リフォーム費用を節約できます。
ただ、築10年経つと備え付けのキッチンの水栓やIHコンロ、食器洗い乾燥機、浴室乾燥機、洗浄機能つき便座など、設備の使用推奨期間が切れ始めます。設備に故障や不具合があるとマイナスイメージになるため、売り出し前に修理または買い替えをおすすめします。
もし設備に問題がなく、リフォームも必要ないのであれば、浮いた費用でハウスクリーニングを依頼するのもひとつの手です。リフォームするより遙かに安い料金で部屋の隅々や水回りをきれいに掃除してもらえるため、物件のイメージアップに繋がります。清潔感は買い手に好印象を与えるため、内覧前に行うのがベストです。
築10年のマンションを売却するときの注意点
次に、築10年のマンションを売るときの注意点を説明します。マンション売却では、大きなお金が動きます。売却を成功させるためにも、必ず注意点に目を通しておいてください。
売却価格を安易に設定しない
国土交通省のデータから、築10年のマンションの価値は新築時の70%から80%だとわかります。だからといって、マンションの売り出し価格を20%から30%も下げる必要はありません。
立地によっては、築10年経ってもマンションの価値が下がっていないこともあり得ます。むしろ、利便性が向上していれば価値が高まっている可能性もあります。エリアや売り出し時期によって相場は異なるため、現在の正しい相場を把握することが大切です。
売却価格の設定は、記事内でも紹介した「すまいのステップ」などの検索サイトや不動産会社から情報をもとに、慎重に設定しましょう。
ローンの残債が多すぎると売却できない
いざマンションを売ろうと思っても、購入時に組んだローンの残債が多すぎる場合は売却できない可能性があります。これには「抵当権」が関わっています。抵当権とは、住宅ローンを融資する金融機関が、対象の不動産を担保できる権利のことです。抵当権があれば万が一、ローンの返済ができなくなったときに、金融機関が不動産を差し押さえて競売にかけ残債の回収に充てられます。
抵当権を外す条件は、「ローン完済」しかありません。抵当権がついたままでもマンションを売りに出すことは可能ですが、不安要素でしかないため買い手がつきません。そのため、ローンが残っているマンションを売却する際は、売却で得た利益でローンを一括返済するのが基本です。
もし残債が多すぎて売却額がローンの返済額を下回る場合は、以下のような方法を検討してみましょう。
自己資金で補う
売却で得た利益よりもローン残債が多い場合は、足りない分を自己資金で補う方法があります。たとえローンが多く残っていても、貯金に余裕がある方はローンを完済できるため抵当権を外せます。
買い替えローンを利用する
買い替えローンは、一般的に住み替えを目的に組むローンのことです。新たに購入予定の住宅のローンに、売却したいマンションの残債分を上乗せしてローンを組むことになります。この方法なら自己資金を用意できなくても、売却するマンションのローンを完済できます。
ただし、買い替えローンを取り扱っている金融機関は限定されます。通常の住宅ローンよりも審査が厳しくなると言われており、年収や年齢などによっては組めない場合があるので注意してください。
リフォームをしても売れる保証はない
中古マンションの購入を検討している方の中には、買ったマンションを自分好みにリフォームしたいと考えている方も多いです。売り手がよかれと思ってリフォームしてしまうと、検討の対象外になる可能性もあるので、あえて手を加えないのも得策です。
また、もしリフォームする場合は工事が終わるまで売却を進められません。部分的な工事であれば数日で終わりますが、全体をリフォームするとなれば、設計も含めて半年以上かかるケースもあります。その間、購入希望者は内覧できませんし、不動産会社は正確な査定額を出せないので注意してください。
リフォームすることで売り時を逃してしまうと損です。工事が必要な場合は計画的に行いましょう。
マンションの売り時は築10年以内と覚えておこう
この記事では、築10年のマンション売却価格の相場について解説してきました。築10年以内であれば、新築時とさほど変わらない価値のままマンションを売れる可能性が高いです。立地や売却時期などによっては、相場よりも高めの価格での売却も夢ではありません。
少しでも高くマンションを売るためにも、まずは信頼できる不動産会社を見つけましょう。記事内でも紹介した「すまいステップ」は、最大4社に一括査定を依頼できます。無料で利用できるので、ぜひ試してみてください。