「新築マンションを買ったばかりなのに、すぐに売却して本当に大丈夫だろうか」「住宅ローンがほとんど残っているので、購入価格よりも売却価格が下回ってしまったら困る」
買ったばかりの新築マンションを売却する際は、このような不安を感じる方は多いでしょう。
しかし、新築マンションを売却する人は意外に多く、最近は購入価格よりも高く売却できるケースが増えています。
この記事では、「新築マンションの売却を検討している方」に向けて、「新築マンションを損せずに高く売る方法と注意点」について解説しています。
この記事を参考に、新築マンション売却に対する不安を解消し、購入価格よりも高値で売ることを成功させて下さい。

- 監修蔭山 達也
- 大学卒業後、大手不動産流通会社に入社。売買仲介をメインに実務経験を積む。その後、株式会社ノヴェルに入社。著書に「条件難物件でも低予算で満室になるおもてなしビル管理経営」がある。
- 【保有資格】宅地建物取引士、ビル経営管理士、CPM(米国不動産経営管理士)、賃貸不動産経営管理士
- 【URL】株式会社ノヴェル、YouTubeチャンネル
新築マンションを売却する理由
「新築マンションを購入したばかりなのに、すぐ売却するなんてもったいないんじゃないか?」と後ろめたさを感じる人は多いです。
しかし、新築マンションをすぐに手放すことは意外とあることで、不動産業界ではよく聞く話だったりします。
よくある売却理由としては、主に以下があげられます。
- 住宅ローンや修繕積立等の支払いが予想以上に厳しい
- 住んで初めて立地や間取り等に不満がでてきた
- 転勤や離婚等の環境の変化が発生した
詳細を見ていきましょう。
①住宅ローンの支払いが予想以上に厳しい
近年コロナ禍の影響で収入が減少していることから、入居後に住宅ローンの支払いが厳しくなったと気づくことがあります。
住宅ローンの支払いは毎月かつ長期間に及ぶことから、一度支払いが厳しい状態になると、生活に大きな支障が出てきてしまいます。
現時点で支払いが厳しく、今後も支払いの見通しが立てられない場合は、購入したマンションを売却して売却益を住宅ローンの完済にあてることを選択肢に入れるべきでしょう。
マンションは築年後から日が浅いほど高値で売れるため、支払いがどうしても厳しい場合は、築年数が浅いうちに(=できるだけ早いタイミングで)マンションを売却し、支払いに当てることをおすすめします。
②管理費や修繕費の支払いが厳しい
住宅ローンの支払いだけでなく、管理費や修繕積立金など、マンション特有の費用を支払うことが厳しくなることもあります。
特に修繕積立金は5年に1度のペースで支払い金額が上がっていくマンションもあるため、 現段階で支払いが厳しい人は、管理費用等が発生しない戸建てに買い替えることをおすすめします。
③立地や間取り等に不満がでてきた
職場から離れたエリアに新築マンションを購入したところ、思った以上に通勤を苦痛を感じることが入居後にわかることもあります。
また、新築マンションは契約から入居に至るまでの期間が約2年と長いことから、その間に子供ができる等して、家族にとっての理想の住まいが変わってしまったということもあるでしょう。
買ったばかりのマンションを手放すのは誰でも抵抗感を感じるものですが、どうしても不満が解消できない場合は、新しい住まいに買い換えることを検討してよいでしょう。
④転勤や離婚など環境の変化が発生した
マンション購入直後に転勤や離婚が決まることもありえます。
転勤の場合は、留守宅として転勤期間に他人に貸すこと(リロケーション)を検討してみてもよいでしょう。
離婚の場合は、夫婦の合算収入を見込んで住宅ローンを組んでいるのであれば、できるだけ早く完済するために売却を検討しましょう。
夫婦のどちらかが債務者で、どちらかが連帯保証人となっていれば、住宅ローンを完済しない限り連帯保証人としての関係は続いてしまうためです。
このように、新築マンションの売却は珍しいことではありません。
後ろめたさを感じている人は、よくあることとして気持ちを切り替え、できるだけ高く売却するために準備することが大切です。
新築マンションは今売って損しないのか?
様々な理由から売却が検討される新築マンションですが、今すぐに売って損することはないのでしょうか?
この章では「新築マンションの損しない売りどきはいつか」について、解説しています。
入居前であればそのまま1年以内で売却
新築マンションは入居前と入居後で売却相場が異なり、入居前であればそのまま入居はせずに1年以内で売却することがおすすめです。
一般的に「新築」と「中古」で売却相場価格は異なります。
「新築」の定義は法律で規定されており、新築住宅で1度も人が住んでいない、建築工事完了から1年以内の物件を指しています。
よって、新築マンションは一度でも入居されると「中古」物件となり市場価格が落ちてしまうため、未入居の場合は「新築」として扱われる1年以内にマンションを売却するようにしましょう。
※一般的に、中古扱いとなったマンションは、築1年以内でも購入価格に対し1割~2割ほど相場が下がると言われています。
入居後であれば築年数が浅いうちに売却
入居済みの場合は、入居前と比べて売却相場は落ちますが、築年数が浅いうちに売却することで少しでも高く売ることが可能です。
一般的に、築年数が浅いほどマンションは高値で売却することができます。
以下は、公益財団法人東日本不動産流通機構によって2021年に実施された調査結果になります。
例えば東京都のマンション売却市場では、築年数が浅いほどマンションの売却相場は高いことがわかります。
▼東京都におけるマンションの築年数と売却価格の関係
また、築年数ごとの平均価格と販売相場は以下のようになり、築年数ごとに販売価格が下落していることがわかります。
▼築年数ごとの㎡単価の推移
築年数 | 価格 | 面積 | ㎡単価 |
---|---|---|---|
築0~5年 | 5,883 | 66.73 | 88.16 |
築6~10年 | 5,071 | 67.37 | 75.28 |
築11~15年 | 4,484 | 71.34 | 62.86 |
築16~20年 | 4,174 | 72.65 | 57.46 |
築21~25年 | 3,202 | 68.22 | 46.93 |
築26~30年 | 1,884 | 60.58 | 31.09 |
築31年~ | 1,904 | 57.14 | 33.3 |
以上から、築年数が浅いマンションは高値で売れやすいということがわかります。
築5年未満の物件は新築と変わらない値段で取引されることもある
先程、入居後の物件は入居前と比較して価格相場が1割程度減少するとお話しましたが、新築と変わらない値段で取引されるケースもあります。
築5年未満の物件は設備の劣化や内装のダメージも見当たらず新築に近しいイメージを持たれるためです。
売却時に類似物件が販売されていない場合は、価格競争がおこらず高い相場で売却できます。
販売活動時は、不動産情報サイトなどで類似物件の有無や相場を確認し、できるだけ高値で売れそうかを確認しましょう。
近年マンションの売却相場は上昇しており、売りどきといえる
直近マンションの売却相場は上昇していることから、市況が変化しないうちにできるだけ早く売却することがおすすめです。
不動産データサービス会社である東京カンテイが2021年に実施した調査によると、2010年から2020年の間に、首都圏における新築マンションの坪単価が1.38倍まで上がっていることが分かります。
▼新築マンションの坪単価の推移(年)
新築マンションは購入(契約)から入居までに約2年かかるといわれています。よって、購入から2年の間に価格が上昇している場合、購入価格より高値で売却することが可能です。
例えば、2018年に購入したマンションを2020年に売却する場合、上グラフの坪単価を参考にすると、2018年の坪単価(291.6)>2020年の坪単価(327.7)となり、1.1倍と上回っています。
金融緩和政策や東京オリンピックの開催が価格の上昇要因
マンション価格の値上がりの背景として、「景気回復を目的とした金融緩和政策」や「東京オリンピックの開催」があると言われています。
金融緩和政策の例として、「住宅ローン控除」があげられます。
「住宅ローン控除」とは消費税増税によって消費が落ち込むことを防ぐために導入された減税措置で、年末時点の住宅ローン残高の1%を上限として所得税から還付される制度です。
住宅ローンの金利が1%未満であった場合、払う利息よりも還付される利息が大きくなるため、より多額の金額を借りる方が得することになります。
多く借りた方が得ということなので、「せっかく購入するならよりよい住まいにしよう」と価格が高い新築マンションを購入する誘因となるのです。
東京オリンピックの開催に関しては、建築資材と建築業者の人手がオリンピック関連施設の建設にまわされたことで、建築資材の価格と人件費が高騰し、新築マンションの建築原価が高くなっているためです。
建築費用が高い時期に建てられたマンションは特に高額になっているといえます。
2022年コロナによる市場価格の変動は見られない
新型コロナウィルスによってマンション価格の相場に大きな下落は見られておりません。
以下は、新型コロナウィルス前後の新築マンション価格の推移となります。
コロナ禍以前(2019年の年間平均)と比較すると、コロナ禍以降(2020年4月以降)の新築マンション価格は高騰しており、緊急事態宣言の前後で大きな下落は見られておりません。
しかし、2020年4月~6月の緊急自体宣言下では、販売現場の休止によって販売件数は一時的に減少しています。
緊急事態宣言解除後は回復していることから、営業活動が通常どおり行われていれば、コロナに関係なく同水準の価格で販売できることいえます。
▼新型コロナウィルス前後の新築マンション価格推移
年月 | 価格(万円) | ㎡単価(万円) | 販売件数(件) |
---|---|---|---|
2019年の年間平均 | 5,980 | 87.9 | 2,603/月 |
2020年1月 | 8,360 | 126.2 | 1,245 |
2月 | 6,156 | 97.4 | 1,488 |
3月 | 6,216 | 97.3 | 2,142 |
4月(緊急事態宣言下) | 6,485 | 102.0 | 686 |
5月(緊急事態宣言下) | 6,485 | 108.4 | 393 |
6月(緊急事態宣言解除) | 6,389 | 96.9 | 1,543 |
7月 | 6,124 | 91.3 | 2,083 |
(参照:不動産経済研究所による2020年8月末時点の調査結果)
以上から、新型コロナウィルスによって販売活動が滞ることはあっても、マンション価格自体が下落することはないと考えられます。
新築マンションの売りどきはいつ?
新築マンションは市況や築年数の関係からも、築後1年以内にできるだけ早く売却した方がいいことがわかりました。
しかし、「できるだけ早く」といっても「具体的にいつ」売却すればよいのでしょうか?
ここでは、季節トレンドから売却におすすめな時期や、マンションが高く売れる周辺環境の条件をご紹介しています。
進学や転職が多い2月~3月
マンションは2~3月に売れ時となります。
新生活が始まる4月に向けて、進学や転勤、転職など控えた人が増えるため、新居への住み替えを完了させたい世帯が増加する傾向があります。
以下は、2021年における全国の月別市区町村間の住民基本台帳人口移動者数です。
▼市区町村間移動者数(2020年5月~2021年4月)
(参照:総務省統計局)
確認すると、住民移動者数は3月が最も多いことがわかります。4月も多いですが、4月の数字は3月に引っ越しを終えた人が住民票を移動していると考えられます。よって、新居入居の需要は3月にピークを迎えることがわかります。
よって、4月の手前である2~3月はマンションの売れ行きが伸びやすくなるのです。
マンションの売却は売却活動期間に平均3ヶ月かかることから、売却活動自体は11月から動き出すことがおすすめです。
時期が合うのであれば、11月には査定を受け、12月から3月の3ヶ月間に売却活動を行うと、3月のトレンドがピークの時点でちょうど引き渡しができるようになります。
近隣に大規模施設が建設されている時
周辺に大型商業施設や公共交通機関、病院などの施設が建設されている場合、売れ行きがよくなります。
近くに生活の利便性があがる施設が建設される場合、住み替えを検討している多くの人は、居住に魅力を感じ、前向きに購入を検討する可能性が高くなるからです。
以下は、全国宅地建物取引業協会連合会が調査した「土地・住宅に関する消費者アンケート調査」です。
アンケートの結果から、購入希望者は「立地の住環境」に高い関心をよせることがわかります。(赤枠部をご参照)
▼土地・住宅に関する消費者アンケート調査結果(2017年3月)
マンションの売却を検討している場合、マンション周辺の環境に、住み替え検討者にとって魅力的な変化がおこっていないか確認してみるようにしましょう。
立地エリアの人気が向上している時
売却検討時に立地エリアの人気が高まっていないか確認しておきましょう。人気が向上している場合、売りどきであるためです。
例えば、2020年9月~11月では、JR山手線外側の準都心部の人気が高まりました。準都心部は地価が値下がりしにくく資産価値として安心でき、コロナ禍が終息した後でも通勤時間が短くて済むというメリットがあります。
エリアごとのマンション価格相場を知るために、該当エリアにおける取引実績が多い不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定価格は不動産会社によって異なる可能性があるので、複数の不動産会社に依頼して、納得がいく価格で売却することが大切です。
売却価格を決める際はオーバーローンに注意しよう
新築マンションはできるだけ高く売る必要があります。
マンションを全額ローンで購入している場合は、オーバーローン(住宅ローンの残債が売却価格を上回る状態)になりやすいためです。
住宅ローンは元利均等返済(元金と利息の合計額が毎月一定額となる返済方法)で支払われることが通常です。
元利均等返済では、返済当初は利息の占める割合が高くなるため、元金の返済がなかなかすすみません。(青グラフ参照)
一方、マンションの市場価格は築年数を経るにつれてどんどん減少していきます。(オレンジグラフ参照)
▼元金の残債とマンション価格の築年推移
よって、新築後すぐに売却する場合、元金の残債がマンションの市場価格より上回っていることが多いため、オーバーローンになりやすくなります。
オーバーローンを避けるためにも、新築マンションはできるだけ高く売る必要があります。
オーバーローンになる場合は「住み替えローン」を利用しよう
「住み替えローン」とは、新しく購入する住宅ローンに現在の住宅ローンの残債を上乗せしてローンを組む方法です。
担保となる住宅価格よりも大きなローンを組むため審査自体は厳しくなりますが、現在の住宅ローンを完済しなくても利用できるため、オーバーローンが発生しても住み替え先を購入できるようになります。
オーバーローンになってしまうけれど住み替えの購入はあきらめたくないという方にはおすすめの方法です。
新築マンションを高く売る方法
新築マンションを高く売るためにはどうすればよいのでしょうか?
具体的な方法4つをご紹介しています。
1.複数の不動産会社に査定依頼をする
新築マンションをできるだけ高く売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼し、高く売却してくれる不動産会社を探すようにしましょう。
前述した通り、新築マンションは売れやすく、相場も近年上昇傾向なので、複数の不動産会社に依頼することで、不動産会社同士の競り合いを期待でき、より高値での売却を実現できます。
売却査定はまず机上査定(登記簿謄本等の書類による査定)を受け、次に訪問査定(内覧による査定)をするのが一般的です。
依頼数の目安として、机上査定は5社以上に、訪問査定は3社前後に依頼するようにしましょう。
自分で複数の不動産会社に一件ずつ査定を依頼することは大変ですが、すまいステップでは複数の不動産会社の一括で査定を依頼することができます。
複数の不動産会社に一括で査定をすることで、できるだけ高値で売却してくれる不動産会社を効率的に見つけ出しましょう。



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2.条件がいい不動産会社に依頼する
新築マンション売却時は、以下の条件で不動産会社を選びましょう。
- 立地エリアとマンションに強い
- 営業担当が信頼できる
- マンション施工会社の系列不動産会社
立地エリアとマンションに強い
不動産会社は数多くありますが、分譲の中でもマンションに強い(=分譲マンションの仲介を数多く手がけている)不動産会社に声をかけるようにしましょう。
不動産会社の支店所在地から営業エリアも確認し、自分のマンションが立地するエリアに精通しているかも確認してください。
マンションと立地エリアに強い不動産会社は、候補となる買取り先数を多く保有しているだけでなく、該当エリアでのマンション売却ノウハウも豊富に持ち合わせています。
各不動産会社のエリア内でのマンション売却における実績(成約数や売却価格)を確認し、経験豊富な不動産会社に依頼をするようにしましょう。
営業担当が信頼できる
提示された売却価格に納得できるかももちろん大切ですが、その不動産会社が信頼できるかということも確認しておきましょう。
具体的には、不動産会社の担当者と接した際に以下を感じとることができれば、安心して依頼ができるでしょう。
- 査定額の根拠をしっかり説明してくれる
- 連絡が円滑にとれ、マンション売却に関する知識の豊富さが感じられる
- 売出し価格の決め方や折込チラシの配布方法等、販売活動の内容を明確に提案してくれる
マンション施工会社の系列不動産会社に売却を任せる
三井不動産や住友不動産などの大手不動産会社経由でマンションを購入した場合は、系列の不動産会社に売却を依頼してみましょう。
大手不動産会社は自社のブランドイメージが下がることを嫌がるため、その系列会社は可能な限り高い価格で売るために尽力してくれます。
自社のブランドマンションを安く売ってしまうと、「あのブランドマンションは安値で購入できる」と消費者が認識してしまい、ブランドの価値が下がり、不動産会社が販売している新築マンションの価格が下落し、販売に悪影響が出てしまうためです。
また、ブランドマンションの購入を検討する消費者は比較的収入に余裕があることが多いです。
彼らは安いから買うのではなく、立地や設備、デザイン等も重視するため、多少価格が高くても買ってくれる可能性があります。
もし売却を検討しているのがブランドマンションであれば、系列の不動産会社に一任してみましょう。
大幅な値崩れは起きにくくなり、購入時以上の価格で売却することも可能になるかもしれません。
3.売却理由は購入者に正直に伝える
購入希望者から見て、新築マンションは「買ったばかりなのに売却するなんて何か問題があったのでは?」と疑念を抱かれやすいです。
そのため、理由を隠して売却することでかえって購買意欲が損なわれてしまう可能性があります。
こうした購入検討者の心理に配慮して、新築マンションを売却することになった理由は正直に伝えましょう。
マンションに欠落がない場合、理由を伝えることで購入検討者は安心して購入を決めることができますし、欠陥がないことがわかるため値引き交渉を要求されにくくなります。
一方、仮にマンションに欠落があって売り主がその事実を意図的に隠して売却すると、購入者から損害賠償金を請求された場合、支払に応じなければいけません。
もしも売却理由を正直に伝えづらい場合は、不動産会社に「どこまで理由を伝えるか」「どのように理由を伝えるか」を相談すると良いでしょう。
4.最適な状態で内覧してもらう
購入を希望する内覧者にできるだけよい印象を与えることも、より高値で売却するためには大切です。
内覧前には掃除や整理整頓は必ず行いましょう。室内を片付けることで空間を広く清潔に見せることができ、内覧者によい印象を与えられます。
特に「玄関」「リビング」「バルコニー」等の目に付きやすい広い空間や、「水回り」「キッチン」等の衛生面をチェックされる場所は念入りに片付けや掃除をしておきましょう。
専門業者に依頼をして、ハウスクリーニングやリフォーム、ホームステージング(魅力的な家具やインテリアを部屋に設置し、室内を華やかに見せる手法)を実施するのも一つの手です。
いずれも、内覧者が「入居後の快適な暮らしのイメージ」が抱きやすくなるように室内の空間演出を工夫することが大切です。
新築マンション売却時の税金と節税対策
マンション売却時で利益が発生した際は「所得」としてみなされ、課税対象になります。
この章ではマンション売却で発生する所得と節税対策についてご紹介します。
新築マンション売却時にかかる税金
新築マンションを購入金額より高く売却して発生した売却益を「譲渡所得」といいます。
譲渡所得は以下の式で計算できます。
▼譲渡所得の計算式
※取引費用の詳細については「マンション売却にかかる費用」をご参照下さい。
譲渡所得には譲渡所得税という税金が発生し、譲渡所得税は所得税と住民税に大きくわけることができます。
所得税と住民税はいずれも1年間の所得に対して課せられる税金になるため、新築マンション売却によって譲渡所得が発生した場合は課税対象になります。
▼所得税と住民税とは
種類 | 概要 |
---|---|
所得税 | 1年間(1月1日~12月31日)における所得から控除額を差し引いた金額に課せられる国税(納税先は国)。譲渡所得が発生する場合は課税対象となる。 |
住民税 | 1年間(1月1日~12月31日)における所得から控除額を差し引いた金額に課せられる地方税(納税先は都道府県と市区町村)。譲渡所得が発生する場合は課税対象となる。 |
所得税と住民税の税率は、物件の所有期間によって異なります。
所有期間が5年以内の所得は「短期譲渡所得」、5年以上の所得は「長期譲渡所得」と呼ばれており、それぞれに以下のように税率が規定されています。
▼所得税と住民税の税率(所有期間別)
所得の種類 | 所有期間 | 所得税率 | 住民税率 |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 | 5年以内 | 30% | 9% |
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% | 5% |
(参照:国税庁によって定められた譲渡所得税率)
つまり、所有期間が5年以内の物件である新築マンションの所得税率は30%、住民税率は9%となっています。
3,000万円特例控除とは
譲渡所得税の節税制度として、3,000万円特例控除があります。
3,000万円特例控除の制度内容と適用条件は以下になります。
▼3,000万円特例控除とは
制度内容 | 適用条件 |
---|---|
譲渡所得の3,000万円までを課税対象から除外する制度 | 現に居住している居住用物件を譲渡する際のみに適用 |
(参考:国税庁によって定められた3,000万円特例控除の内容)
制度内容について
例えば、新築マンション売却によって500万円の譲渡所得が発生した場合、「3,000万円の特例控除」を適用すると、500万円 – 3,000万円で結果がマイナスとなることから、譲渡所得税が0円(= 税金がかからない)となります。
新築マンションの購入から入居までの約2年間でマンション価格が3,000万円も高騰することはほぼおこらないと考えてよいでしょう。よって、新築マンション売却で発生する税金は、ほとんどのケースで3,000万円特例控除によって全額免除できるといえます。
適用条件について
新築マンション売却は「現に居住している居住用物件」のみに適用されるので、新築で一度も居住していないマンションは3,000万円特例控除の適用対象外となります。
3,000万円特例控除を適用する際の注意点
3,000万円特例控除は新築マンション売却時にかかる税金をほとんどのケースにおいて全額免除できるため、売却損を起こさないためにも積極的に適用すべき制度であるといえます。
しかし、売却後の住み替え完了までを視野にいれたときに、適用によって逆に損してしまうことがあります。
長期的視点から検討した際に、3,000万円特例控除を適用した方が得なのか損なのかについて、以下で解説している注意点を抑えた上で、適切に判断できるようにしていきましょう。
1.住宅ローン控除と併用できない
新築マンションの売却と並行して、住み替え先の手配もすすめなければいけません。
新築マンションを買った直後は資金が不足しているということもあり、住み替え先の購入を検討している場合は、住宅ローンを組んで購入し、住宅ローン控除によって支払額を減額させたいと考える人は多いでしょう。
しかし、3,000万円特例控除を受けている場合、住宅ローン控除は適用できないことが国税庁によって決められています。
▼3,000万円特例控除と住宅ローン控除は二者択一
住宅ローン控除が適用不可となる条件
- 新居に入居した年と、その前の年の2年間に旧居の売却で3,000万円特例控除の適用を受けている場合
- 新居に入居した年の翌年から3年以内に旧居を売却し、3,000万円特例控除の適用を受けている場合
(参考:国税庁による特例をうけるための適用要件)
住宅ローン控除は10年間で最大400万円まで戻ってくる可能性があるため、住宅ローン控除と3,000万円特例控除を比べて、控除額がより大きい方を適用させるのが賢い選択といえるでしょう。
それでは、3,000万円特例控除と住宅ローン控除でどちらを選ぶ方が得することができるのか、ケース別で見ていきましょう。
2.3,000万円特例控除をうけた方がよいケース
譲渡所得税額>= 住宅ローン控除額となる場合
3,000万円特例控除によって最大3,000万円までは譲渡所得税をゼロにできます。
3,000万円特例控除額と住宅ローン控除額がイコールになる場合は、より早く控除額が戻ってくる3,000万円特例控除を利用する方が得といえます。
また、譲渡所得税額が住宅ローン控除額(最大400万円)より上回る場合も、3,000万円特例控除をうけた方が支払額を減らすことができます。
例えば、以下の新築マンション売却の場合、
3.住宅ローン特例控除をうけた方がよいケース
譲渡所得税額<住宅ローン控除額となる場合
譲渡所得税額が住宅ローン控除額(最大400万円)より下回る場合、住宅ローン控除をうけた方が支払額を減らすことができます。
例えば、以下の新築マンション売却の場合、
マンション売却にかかる費用
マンション売却にかかる費用は?
売却費用は売却による売上高を受け取る前に支払うものが多く、手持ちの現金から賄う必要があります。
よって、資金不足とならないようにどんな費用がいくらかかるのかを事前に把握しておきましょう。
以下はマンション売却における費用の内訳になります。
- 仲介手数料
- 住宅ローン完済費用
- 引越し費用
それぞれ詳細を見ていきましょう。
仲介手数料
マンション売却費用の中でも、金額が大きいものが仲介手数料です。
仲介手数料とは、「売却を依頼した不動産会社に対し支払う成功報酬」のことです。
物件価格に応じて法律で上限が定められており、物件価格が400万円を超える場合は以下で算出します。
住宅ローン完済費用
マンション売却時は抵当権を外すために、住宅ローンを一括繰り上げ返済(一括でローン元金を全て支払う)をする必要があります。
ローン完済には金融機関に対する5000円~3万円の手数料がかかり、抵当権抹消には手続きを行う司法書士への報酬(約3万円)と登録免除税(1不動産あたり1000円)を支払う必要があります。
引っ越し費用
住んでいたマンションを売却する場合、新しい住居へ引っ越しをするための引っ越し費用がかかります。引っ越し費用は、新居購入の前と後のいつ売却するかで、以下のように変わってきます。
仮住まいの契約/住居費用と、2回分の引っ越し費用がかかる
新居への引っ越し費用の他、売却までの期間における旧居の水道光熱費がかかる