転勤や離婚、マンションが手狭になったなど、さまざまな理由でマンション売却を検討している人は多いです。
ただ、いざマンションを売るとなると気になるのがローンの残債です。
原則住宅ローンを完済して抵当権の抹消登記をしなければ、マンションを売却できません。
抵当権とは、借りた側が住宅ローンを万が一支払えなくなった時にその住宅ローンを融資している金融機関が、担保である当該マンションを差し押さえできる権利のことです。
ローンの残債がある限りはその権利は金融機関側にあるため、勝手にマンションを売却して譲り渡すわけにはいきません。
それでは、ローン残債があるマンションはどのように売却できるのか、状況に適した売却方法を具体的に解説していきます。


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ローン残債があるマンションを売却するには?
冒頭でお伝えした通り、ローン残債があるマンションを売却するにはローンを完済して抵当権を抹消することが条件となります。
ローンを完済してマンションを売却する方法には状況に応じて以下の4つの方法があります。
- マンション売却金で返済
- マンション売却金と自己資金で返済
- 住み替えローンを利用して返済
- 任意売却をする
自分がどの方法を用いてマンションを売るか判断するには、「ローンがいくら残っているか」「残債を払うだけのお金があるか」といった現状を把握することが必要です。
まずはローン残債額を確認
ローンの借入額や残債は、金融機関から毎年送られてくる年末残高証明書で確認できます。
各銀行によって時期は少し異なりますが、一般的には毎年10月頃に送られてくるのでチェックしてみましょう。
年末残高証明書が手元にない方は、直接銀行へ行き借入金の残高証明書を要求することで、残債を確認できます。
また、借入先の金融機関のウェブサイトをみたら残債額を確認できるでしょう。
ただし、書類に記載されている借入額には、金利が含まれていないことに注意が必要です。
次にマンションの売却額を調べる
次にマンションがいくらで売れるかを調べましょう。マンションの売却金額がローンの返済費用となるからです。
マンションの売却価格を調べるには不動産会社に査定を依頼しましょう。
査定とは、マンションの状態や周辺の相場を見ていくらで売れるか価格を算出することを指します。
不動産会社により査定方法が異なり、数百万円ほど査定額に差がつくこともあるため、複数社に査定を依頼して比較することが大切です。
複数社に査定を依頼するなら不動産一括査定サイトを利用するのが便利です。
一度の入力で複数社の査定結果をまとめて比較でき手間がかかりません。また、査定の依頼は無料で24時間いつでも申し込みができるため、忙しくても利用できます。
マンションの売却価格でローンを返済できるか確認
マンションの売却価格でローン残債額を返済できるか確認できたら、次のフローチャートを参考に状況に適した売却方法を選びましょう。
次の章では、ローン残債のあるマンションを売却する具体的な方法について解説していきます。
ローン残債を売却代金で完済が基本
マンションの売却代金がローン残債を上回る場合は、マンションの買主から購入代金を受け取った後に、売却代金でローン残債を完済する最も理想的な方法で売却ができます。
売却代金でローン残債を支払う場合、基本的に通常のマンション売却と同じ手続きで行われ、決済の段階で、売主と買主、不動産会社、売主・買主それぞれのローンを担当する金融機関が一同に介して行います。
通常は、銀行などの金融機関が開いている平日に行うことになります。
また、抵当権を抹消してもらう必要があるので、ローン残債があるマンションを売却する前には銀行などの金融機関に必ず連絡しましょう。
手続きをスムーズに行うためにも、最低でも決済日の2週間前までには連絡し、ローン残債を一括返済するときの手数料がいくらくらいかかるのかもあわせて確認しておくことをおすすめします。
ただし、マンションの売却金だけでローン残債を完済できるケースは多くありません。なぜなら住宅ローンの残債が減るスピードよりも、マンションの資産価値が落ちる方が早い場合が多いからです。
それでは、マンションの売却価格が残債を下回っている「オーバーローン」の場合、どのように方法でマンションを売ればいいのでしょうか。次の章で詳しく説明します。
オーバーローンの場合の売却方法
マンションの売却金でローンを完済できない場合は以下3つの方法でローンを完済することになります。
- 不足分を自己資金で補う
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却する
具体的な方法を見ていきましょう。
自己資金で補う
もし売却代金だけでローン残債を一括で返済できない場合でも、不足分を自己資金で補ってローンを完済できれば通常のマンション売却と同じ手続きで売却できます。
基本的には、自分の預貯金内で支払えるのがベストです。
ただし、どうしても借り入れをしないと差額分が払えない場合は、金融機関を利用することになります。
金額期間に借金をするのに抵抗がある人は、親族に借り入れできないか相談してみるのも1つの手です。
売買代金の不足分は、あらかじめ決済する口座に用意しておきましょう。売買契約後、買い主から売り主へ代金が振り込まれ、売り主の口座に不足分を補う金額が、用意されていることを確認されます。
※マンションの売却の流れや注意点・費用と税金の内訳に関しては以下の記事で詳しくご説明しています。
住み替えローンを利用する
売却と同時に転居先の購入も行なう買い替えの場合は、各金融機関の「住み替えローン(買い替えローン)」を利用してローン残債のあるマンションを売却できます。
住み替えローンとは、マンション売却後のローン残債と新居の住宅ローンをまとめて一緒に組めるローンのことです。
自己資金が足りない場合でも、居住中マンションのローン返済と新居の購入資金が借りれる便利な制度です。ただし、通常の住宅ローンに比べて金融機関による審査が厳しいです。借主の信用が高くないと審査にとおらず、年収や年齢・過去の借入履歴や延滞記録などの基準で厳しく判断されます。
また、住み替えローンを利用する場合、完済時の年齢が高齢になりがちな上、マンションの残債分があるためローン返済までの期間が長くなる傾向にあります。途中で返済できなくならないように、絶対に返済できる金額だけを借入れて無理なく返済できるように月々の返済額を設定しましょう。
住み替えローンは、身の丈を超えてローンを借りすぎてしまう可能性もあるためオススメはしません。
基本的には貯金等から返済することを優先し、それが無理な場合に住み替えローンを利用できないか、検討してみましょう。
※買い替えローン(住み替えローン)の審査の手続きや注意点に関しては以下の記事もご覧ください。
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任意売却する
自己資金が足りず住み替えローンの審査も通らない場合、最終手段として任意売却という方法でマンションを売却できます。
任意売却とは、住宅ローンの返済が出来なくなったときに売却後もローンが残ってしまうオーバーローンの不動産を金融機関の合意のもと売却する方法です。
ローン滞納状態を放置し続けると、融資している金融機関が貸付金を回収するために強制的に不動産を売却する、競売という手続きにかけられてしまいます。そうなると自分で売るのは不可能となるので、早めに金融機関に相談して任意売却することをおすすめします。
なおローンを滞納していない場合や、残っているローンの返済能力があると認められた場合には任意売却は認められない場合もあるので注意しましょう。
任意売却のデメリットとしては、任意売却を利用すると信用情報機関に登録されるのでクレジットカードの申請や携帯の契約などの際に影響を及ぼし、日常生活では不便になる場面も出てくることです。
また、任意売却をしたからといって、マンションの売却金で支払えなかった分のローンがなくなるわけではありません。
計画的に保証会社に対して任意売却後の残債務を返済する必要があります。無理のない金額で分割で返済する計画を組む必要があるのでまずはしっかり話し合いましょう。
なるべく利用は避けたいところですが、どうしようもない場合の最終手段として覚えておきましょう。
※任意売却後の残債の整理に関しては以下の記事もご覧ください。
ローン残債があるマンション売却時の注意点
住宅ローン残債があるマンションを売るには以下の注意点を把握しておきましょう。
マンション売却時には諸費用がかかる
マンションの売却するにはマンション売却代金の5%ほどの費用がかかると言われています。
例えば、マンションが3000万円で売れた場合は150万円ほどの費用がかかります。費用の内訳としては以下の通りです。
費用名 | 費用 |
---|---|
仲介手数料 | ( 売却額 × 3% + 6万円 ) + 消費税 |
印紙税 | 1000円∼6万円 |
抵当権抹消費用 | 1000円(司法書士に依頼する場合1万∼5万円) |
住宅ローン返済手数料 | 5,000円~3万円 |
譲渡所得税 | 所得税額(短期) = 売却益 × 30.63% 所得税額(長期) = 売却益 × 15.315% |
住民税 | 住民税額(短期) = 売却益 × 9% 住民税額(長期) = 売却益 × 5% |
仲介手数料は「売却金額×3%+6万円」に消費税を加算して出します。
他にも、売買契約書に貼りつける印紙税、抵当権抹消の費用、譲渡所得税などが発生します。
「ローン残債は完済できたけど、諸費用分の資金が足りない」という状態にならないように、事前にマンション売却にかかる費用を把握しておきましょう。
売却時の税金優遇制度を活用しよう
ローン中のマンションを売却すると税金が課せられることがあります。
ただし、税金優遇制度を利用すれば税金の負担を軽くすることができます。
マンション売却で利益が出た場合な代表的な控除として3000万円特別控除という譲渡所得から3000万円を差し引けるという特例があります。
売却損が出た場合には損益通算という売却損分の金額を他の所得と合算して減税できる特例があります。
損益通算を利用すれば、例えばオーバーローンの額が400万円で、給与所得が800万円だったとします。
このとき、確定申告で損益通算の手続きをすると、給与所得800万円から400万円を控除することが可能です。
この様に控除制度を利用すれば売却時に発生する出費を抑えることができるので積極的に活用しましょう。
売却を依頼する不動産会社は比較して選ぶ
住宅ローンを返済負担を軽くするためには、少しでもマンションを高く売ることが大切です。
そこで重要になるのが、高値でマンションを売却してくれる不動産会社を見つけることです。
マンションを売却する際は、買い手探しや価格交渉などの売却活動は不動産会社の営業担当者が行います。
不動産会社選びに失敗すると、営業担当者がきちんと売却活動をせず買主が見つからなかったり、相場より低い価格で売られてしまう場合もあります。
不動産会社を選ぶ際は、複数社を比較した上で最も高く売ってくれる会社を見定めていきましょう。
1社だけ話を聞いてすぐ仲介を依頼する方がいらっしゃますが、会社の対応や担当者の人柄を見極めないまま売却を進めてしまい損をした人は多くいらっしゃいます。
複数の会社を比較すれば、高く売ってくれる会社を見定めることができます。
そこでおすすめなのが「不動産一括査定サービス」です。このサービスを利用すれば、提携している複数の不動産会社に一括で査定依頼をすることが可能です。
ローン中のマンションを売却する際は、信頼できる不動産会社を見つけていきましょう。
まとめ
ここまで、ローン残債のあるマンションを売却する方法をご紹介してきましたが、やはりはじめに取り掛かるべきことは「自分のマンションがいくらで売れるか」を知ることです。
また、ローン残債のあるマンション売却の場合、複雑なノウハウを必要とすることもあります。知識と経験が豊かで、あなたの相談にきめ細かくこたえてくれる不動産会社を選びましょう。
一括査定サイトは、売却価格を決める手掛かりになるだけでなく、売却活動のパートナーシップを託す不動産会社探しに役立ちます。あなたの大切なマンションを売却するため、あなたの代わりに営業してくれるのですから、信頼できる不動産会社を選びたいものです。
マンション売却を検討している方はこちらの記事も合わせてご覧ください。 マンション売却の失敗体験談10選ーよくある失敗から見る注意点
記事のおさらい
ローン残債があるマンションはどう売却するの?
残債があるマンションの売却は主に以下の4つ方法で売却します。
- マンション売却金で返済
- マンション売却金と自己資金で返済
- 住み替えローンを利用して返済
- 任意売却をする
詳しく知りたい方はローン残債があるマンションを売却するには?をご覧ください。
ローン残債がある場合はどのように返済する?
基本的には売却時に得た売却益でローンを完済します。詳しくはローン残債を売却代金で完済が基本をご覧ください。
オーバーローン(売却金で完済できない状態)の場合はどうしたら良い?
オーバーローンの場合は以下の3つの選択肢があります。
- 不足分を自己資金で補う
- 住み替えローンを利用する
- 任意売却する
詳しく知りたい方はオーバーローンの場合の売却方法をご覧下さい。
ローン残債があるマンションを売却する時の注意点は?
ローン残債がある場合の注意点は以下の3つです。
- マンション売却には諸費用がかかる
- 売却時には税金優遇制度を活用しよう
- 売却時の不動産会社選びは複数社比較して決めよう
詳しくはローン残債があるマンション売却時の注意点をご覧ください。