「住宅ローンの支払いがキツイ……」
「住宅ローンが払えないとどうなるの?」
住宅ローンの返済で困っている方はこのような疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。
実際に金銭的な理由や住宅ローンが原因で売却せざるを得ない人もいます。
以下は、すまいステップが2023年12月28日から2024年1月10日にかけて、不動産売却の経験者259名を対象に「戸建ての売却理由」についてアンケートを行った結果です。
売却理由の多くが「住み替え」や「相続」ですが、なかには住宅ローンや金銭的な理由で売却したいと思っている人もいます。
そんな方に向けてこの記事では、住宅ローンが払えないと最終的にどうなるのか、払えない理由などについて詳しく解説します。
住宅ローンの返済で困っている方は、ぜひ最後までご覧ください。
住宅ローンが払えないとどうなる?
住宅ローンが払えないと最終的に以下のような状況になる可能性があります。
- 競売にかけられる
- 最悪の場合ホームレスになることも
- 近所や子どもの学校で噂になる
競売にかけられる
住宅ローンが払えずに滞納し続けると最終的に「競売」にかけられてしまいます。
競売に関しては、裁判所の公式サイトで以下のように記載されています。
不動産の競売手続とは,債権を有している人(債権者)の申立てにより,裁判所が,債務を弁済することができなくなった人(債務者)の所有する不動産を差し押さえて,これを売却し,その代金を債務の弁済にあてる手続です。
引用:裁判所
つまり、住宅ローンを借りている人の家を強制的に売却して、売却資金を住宅ローンの返済に充てる法律です。
最悪の場合ホームレスになることも
住宅ローンが払えずに競売されると家を失い、最悪の場合はホームレスになることも考えられます。
競売により落札されると住宅ローン返済に充てられますが、必ず完済されるとは限りません。
もし、ローン残債が残った場合、家を失うと同時にローン負債も抱える状態になってしまいます。
無一文なうえに住む場所もないとなれば、自己破産するしかない状況となり、一時的にホームレスのような生活になる可能性もあります。
近所や子どもの学校で噂になる
住宅ローンを滞納して競売にかけられると「競売物件」として競売サイトなどに掲載されます。
これらのサイトは一般の人でも閲覧できるため、近所の人が見た場合に噂が広まる可能性があります。
また、競売では「現況調査」により調査人が家を訪問して調査をするため、これも同様に近所の人に見られれば噂が広がるかもしれません。
子どもがいる場合は学校で噂が広まり、イジメの対象となることも考えられるでしょう。
このように、住宅ローンを滞納することによるデメリットは大きいため、できれば滞納せずに毎月支払っていくのが理想です。
住宅ローンが払えなくなってから競売までの流れ
住宅ローンが払えなくなってから競売されるまでの流れを期間別で解説します。
【滞納:1~3ヶ月】督促状が届く
住宅ローンの返済が滞ると、債権者である銀行や信用金庫などの金融機関から、支払いを求める電話や通知書類が届きます。
滞納から2ヶ月を過ぎると、店舗にて事情を説明することを求める来店依頼状や、督促状が届きます。
また、金融機関にもよりますが、概ね3ヶ月以上住宅ローンを滞納すると、個人信用情報機関に返済の遅延情報が記録されます。
【滞納:3~6ヶ月】残高の一括返済を求められる
滞納を続けて3~6ヶ月が経過すると、「期限の利益の喪失」の通知が届きます。
「毎月分割払いでローンを返済できること」を表します。
つまり、期限の利益を喪失すると分割払いの権利を失い、その時点での住宅ローンの残債務を一括で返済しなければならなくなるのです。
ローン借入時に保証会社と契約している場合は、期限の利益の喪失後に「代位弁済」が行われます。
以降は金融機関に代わって保証会社が債権者となり、債務者に一括返済の請求を行う一方で、競売に向けた準備を始めます。
【滞納:9ヶ月~】競売開始決定通知が届く
代位弁済後も債務が返済されない場合、保証会社は裁判所に対して競売の申し立てを行います。
競売の申し立てが受理されると、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。
競売の手続きを開始したことと、不動産を差し押さえたことを知らせること
また、競売に向けて「現況調査」が実施されます。
裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅に訪れて、写真撮影・間取りの確認・周辺環境調査などの調査を行うこと
【滞納:1年半】強制退去を命じられる
滞納開始から約1年半で、差し押さえられた家の競売が実施され、落札者(買受人)が決定します。
債務者が家に居残り続ける場合には、買受人から裁判所に対して「引渡命令」や「強制執行」の申し立てが行われます。
引渡命令や強制執行の申し立てが受理されると、執行官によって債務者は家から強制退去させられることになります。
住宅ローンが払えない理由
住宅ローンが払えない人は多く、全日本任意売却支援協会によると、不況や離婚による収入減が原因で払えなくなっているようです。
- 1位:不況(リストラ、倒産、収入減)
- 2位:離婚、別居
- 3位:病気、自己、介護
- 4位:教育費、養育費の増加
- 5位:夫・妻の浪費
この章では、それぞれの理由について詳しく解説します。
理由①:収入に見合っていない返済計画を立てている
収入に対して返済計画が見合っていない場合、ローン返済は難しくなります。
- 収入に見合っていない計画
- 定年後を考慮していない計画
住宅ローンは30年以上で組むケースが多いため、状況によっては定年退職した後も払い続ける可能性があります。
しかし、定年後の収入を考慮せずにローンを組んでしまうと、現役中との収入の差が影響して払えなくなってしまう場合があります。
住宅ローンは30年や35年で組むのが一般的のため、長期的な目線で計画を立てるのが大切です。
なお、返済率は一般的に手取り収入の20%以内が理想と言われており、それ以上だと毎月の返済額が負担に感じやすくなります。
30万×20%=6万円
理由②:リストラや倒産により収入が減った
リストラや倒産による収入減少により払えない人も多くいます。
バブル崩壊以降の不景気や終身雇用制度の崩壊などにより、多くの人が解雇されたり収入が減ったりしています。
実際、日産自動車や富士通などの大手企業でも大幅な人員削減を実施しており、「大手だから安心」というのは今や現実的な考えではないといえるでしょう。
理由③:離婚して世帯収入が減った
離婚が理由でローン返済できなくなる人もいます。
特に共働きをしているケースでは離婚により世帯収入が大きく減るため、返済に影響する可能性が高いです。
次に、実際に離婚した夫婦がどれくらいいるのか見てみましょう。
以下は離婚件数を年次別で表したグラフです。
厚生労働省「令和4年度 離婚に関する統計の概況」を参考にすまいステップ編集部が作成
平成12年には26万組以上もの夫婦が離婚しているのがわかります。
その後は減少傾向にありますが、それでも令和2年の離婚件数は19万組以上と、昭和と比べると明らかに多い状況です。
このことからも離婚は他人事ではなく、だれもが直面する可能性があります。
また、離婚時は精神的ダメージも大きく、仕事が困難になって収入が減ってしまうケースも少なくありません。
住宅ローン完済の目途が立っていない段階での離婚は、リスクが伴うので十分に話し合って判断しましょう。
理由④:病気や怪我により収入が減った
突然の病気や怪我により収入が減ってしまうのもローンが払えなくなる理由のひとつです。
近年では新型コロナウイルスにより失業した人が多数おり、他人事とはいえない状況になってきています。
以下はコロナ禍によって月収が減少した人の割合です。
労働政策研究・研修機構「コロナ禍による仕事・生活への影響」を参考にすまいステップ編集部が作成
月収が3割以上減った割合は男性で約18%、女性で約22%であり、約5人に1人の割合で大きく収入が減っているのがわかります。
最近はコロナ禍も落ち着いてきましたが、いつ新しいウイルスが蔓延するかわからないため、不測の事態に備えておくとよいでしょう。
理由⑤:子どもの養育費などで支出が増えた
子どもの養育費や学費、病気などで支出が増えるのもローンが払えない理由です。
ローンの支払いは長期間のため、予期せぬアクシデントに見舞われる可能性もあります。
子どもの学費ならある程度は予想できますが、離婚後の子どもの養育費、病気や怪我による入院費などは想定できないため、急な支出となります。
また、変動金利でローンを組んでいる場合、利率が上昇することも十分考えられます。
このような不測の事態を想定したうえで、余裕をもった返済計画を立てるようにしましょう。
住宅ローンが払えないときの解決策
住宅ローンが払えないときは以下の方法で解決しましょう。
銀行等に相談する
まずはローンを借り入れている銀行・信用金庫などの金融機関に相談しましょう。
ローンを組んだ当初から収入状況が悪化し、返済が苦しくなってしまっている場合は、金融機関に返済計画の変更(リスケ)を依頼するとよいでしょう。
具体的には、以下のような方法で支払いの負担を緩和します。
- 借入期間(返済期間)を延長する
- 返済額を減額する
- ボーナス払いを中止・減額する
- 元金の返済を据え置きして利息のみ支払う
注意しなければならないのは、これらはあくまでも返済に猶予を設けてもらう対応であるという点です。
むしろ、返済期間が延長される分、利息を含めた支払い総額は膨らみます。
今後も返済が厳しい場合は、現在の家を売却して住み替えるなど、暮らしの在り方の根本的な見直しが必要です。
保険金が適用できないか確認する
病気や事故によって住宅ローンの返済が困難になりそうな方は、加入している保険が適用できないか確認してみましょう。
住宅ローンを組む際、多くの金融機関では「団体信用生命保険(団信)」という保険への加入を義務付けています。
ローン名義人が死亡した場合に保険金でローン残高が弁済される保険
加入者の死亡時以外にも、所定の高度障害あるいは身体障害に認定された場合も保険適用の対象です。
また、団体信用生命保険と併せて特定疾病保障のオプションをつけて契約した方や、「住宅ローン返済支援保険」に加入した方は、保険金の支払い対象となっている可能性も考えられます。
住宅ローンを借り換える
借入している住宅ローンの金利負担が大きい場合は、今よりも金利の低い住宅ローンに借り換える手段があります。
以下のようなケースでは、住宅ローンの借り換えによって月々の返済額や総支払額が安くなるメリットを受けやすいです。
- 借り換え前後の金利差が1%以上ある
- 返済期間が10年以上残っている
- ローンの残高が1,000万円以上ある
ただし、住宅ローンの新規借入時と同様に、借り換え時にも審査が行われます。
また、現在借り入れているローンを一括返済したり、抵当権を設定し直したりするための費用がかかることにも留意しておきましょう。
仲介で売却する
住宅ローンを返済し続けられる見通しが立たない場合には、現在の家を売却して手放すことを検討してみましょう。
売却代金でローン完済できるなら、金融機関に売却することを伝えた上で問題なく売却可能です。
任意売却する
任意売却したい場合は任意売却の実績が豊富な不動産会社に相談するのがおすすめです。
詳しくは、以下の記事をご参照ください。
リバースモーゲージを利用する
リバースモーゲージとは以下の制度です。
所有する住宅を担保に融資を受け、利用者(高齢者等)の死亡等で契約が終了したときに、担保不動産の処分等によって元金又は元利一括返済する融資。
引用:国土交通省「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」
住宅ローンが払えないときの注意点
住宅ローンの返済が困難になってしまったとしても、以下の行動はやってはいけません。
- 金融機関からの連絡を無視する
- 新たにお金を借り入れる
- 夜逃げする
ここからは住宅ローンが払えない時にやってはいけない注意点について、更に詳しく見ていきます。
金融機関からの連絡を無視する
住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から連絡が来ます。
しかし、そのまま連絡を無視して放置していると個人信用情報に傷がつきます。
まずは金融機関にすぐに返済できない事情を説明し、相談しましょう。
新たにお金を借り入れる
住宅ローンの返済に充てるために、キャッシングやカードローンを利用してお金を用意するのはやめましょう。
また、キャッシングやカードローンの利用履歴は、住宅ローンの借り換えのための審査に影響します。
これらのことから、新たなローンで借り入れるのはやめた方がよいでしょう。
夜逃げする
住宅ローンの返済が滞ってしまい、最終的に「夜逃げ」をする人もいます。
しかし、夜逃げしたとしても残された家は競売にかけられ、負債は残り続けます。
絶望的な気持ちになってしまったとしても、夜逃げや放置をせずに専門家に相談して対処しましょう。
まとめ:住宅ローンが払えない理由を明確にして解決しよう!
住宅ローンが払えなくなった場合の状況や解決策を解説しました。
最後にまとめて確認しておきましょう。
住宅ローンは長期的に組むケースが一般的であり、病気や怪我などにより払えなくなる可能性もあります。
万が一払えなくなってしまった場合は、早めに銀行に相談したり任意売却したりすれば最悪の事態は免れます。
今現在ローンを滞納している方は、落ち着いて返済計画を確認して借入先の金融機関へ相談しましょう。