住宅の購入には数千万円以上のお金がかかることが多く、ローンを組んで分割で返済することが一般的です。金額が大きい住宅ローンは人生でなん度も経験するものではないため、慣れない人は多く、利用する際に不安に思う人は多いでしょう。
特に融資実行日がいつかといった、細かい点まで理解できている人は多くはありません。不安を抱えやすい住宅ローンもポイントを押さえることで安心して使えるため、細部まで理解しておきましょう。
住宅ローン融資実行日とは融資金額が口座に入金される日
まず知っておきたいのは、住宅ローンの融資実行日は、融資金額が口座に入金される日を示すということです。金融機関と住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約)を結んだ後、実際に融資が実行され、資金を受け取る日を指すと覚えておきましょう。
融資実行日は一般的に不動産の引き渡しと同日に設定されることが多く、これは引き渡された土地や建物を担保として抵当権を設定できるようになるからです。住宅ローンでは土地や建物に抵当権が設定され、万が一支払いができなくなった場合には金融機関はそれらを競売にかけることで、返済額への充当を行います。
つまり、原則は、融資実行日には、売買代金の全額を支払って引き渡しが行われ、不動産の所有権移転(保存)登記と抵当権設定登記がすべて同日に行われることになります。
新築注文住宅の購入やリフォーム工事などで住宅ローンを組む際には、建物工事が完成し、引き渡しされる日が融資実行日となりますので注意をしましょう。
住宅ローンが融資されるまでの流れ
実際に住宅ローンを利用する際に備えて、契約から融資までの一連の流れを確認しておきましょう。
複数のステップがあるため、それぞれ詳細部分まで確認しておくことが大切です。
購入したい物件を探す
そもそも住宅ローンとは住宅の購入時に利用するもののため、まずは購入する物件を探さなければなりません。ローンを組んで分割での返済が可能なため、自己資金を上回る金額の物件も選択肢に入りますが、審査によって人それぞれ借入上限額は異なるため注意が必要です。
フラット35をはじめとする金融機関のサイトではいくつか情報を入力することでローンのシミュレーションができますが、おおむね年収の5倍程度を目途に予算を組むとよいでしょう。あらかじめ予算を決めておかないと、選んだ物件がローンを組んでも返済が厳しくなる場合もあるため注意が必要です。
ローンを組んで購入できる予算を設定することで物件の選択肢を絞り込むことができ、より効率的に物件探しができます。
参考:フラット35
住宅ローンを組む金融機関を探す
物件を見つけた後は、住宅ローンをどこで組むかを考える必要があります。金融機関でローンを組む際には、個人で申し込むか、不動産会社に提携する金融機関を紹介してもらうかのどちらかになります。
どちらの方法でも構いませんが、不動産会社に提携先を紹介してもらったほうが、金利が優遇されたり、各種手続きがスムーズに進められたりすることも多いでしょう。
もちろん、自分で探した金融機関のほうが条件がよいなら、そちらを利用しても構いません。金融機関によって金利や手続きの詳細、内容などは異なるため、複数比較してから選ぶことが大切です。
金融機関の事前審査を受ける
多くの金融機関では、本審査の前に事前審査を受け付けています。事前審査は「仮審査」とも呼ばれ、不動産の売買契約前に審査を受けることができます。ケースバイケースですが、おおむね3日から1週間くらいで結果が出ます。
この時点で審査が下りない場合は、状況に応じて、金融機関を変えて審査を受けなおす、借入額を減らす、購入物件を変更する、購入を中止するなど、別の選択肢を考えなければなりません。
事前審査を受けるのは、売買契約を結んだあとでローンが下りず、資金調達に困るという事態を起こさないためであり、融資の可否を判断する上での最初のステップと考えましょう。そのため、不動産売買契約を結んだ後で本審査を受けなければなりません。
売買契約をする
事前審査の結果、住宅ローンが借りられる見込みがあるなら、購入希望の物件の売買契約を行います。売買契約では宅地建物取引士から重要事項の説明を受け、契約書に目を通してサインもします。サインをした後に契約内容の変更を申し出ると、規約違反に該当してペナルティが課せられることも多いため注意が必要です。
疑問点はサインする前に確認しておき、必要な事項は契約書に追加してもらってから、売買契約書にサインをしましょう。売買契約を結ぶ際には、購入価格の一部を手付金として先に支払います。これは契約後の債務費不履行を防ぐための意味付けもあり、もし契約破棄をした場合には手付金は戻ってこないため注意しなければなりません。
売買契約は不動産会社で売主と買主が集まり、双方の面前で行うことが多いですが、それぞれの都合がつかない場合は、担当者が契約書を両者の自宅まで持ってきてそれぞれ契約を行う、持ち回り形式を採用することもあります。
住宅ローンの本審査を申し込む
事前審査を通過したあとで、住宅ローンの本審査の申し込みを行います。申し込みのタイミングは売買契約締結後になることが多いですが、審査には10日から2週間程度かかることもあるため、早めに動き出しておくことも大切です。
特に契約から引き渡しまでの期間が短い場合は、本審査の申し込みをよりタイトなスケジュールで行わなければなりません。物件によって契約の締結から引き渡しまでの期間は異なりますが、中古住宅の場合契約の1カ月~3ヵ月後に引き渡し日を設定されることが多くなっています。いずれにしても、売買契約締結後はすみやかに本審査の申し込みを受ける必要があります。
事前審査に通ったとしても、本審査で落ちるケースもあります。その場合は、「ローン特約」によりペナルティなしで契約を無償解除できるのが一般的です。「ローン特約」についても契約書に記載される内容を事前に確認しておきましょう。
住宅ローンの契約をする
本審査の融資承認がおり、借入額や金利・返済方法などが決定した後に、住宅ローンの契約を行います。本審査に通るだけでは住宅ローンを組む権利を獲得しただけに過ぎず、実際に融資を受けるには契約を結ばなければならないため、ここまで忘れずに行いましょう。
住宅ローンの契約は、金融機関の店舗で行われることが一般的です。基本的には平日日中に行われるため、平日が仕事の人は時間を調整してスケジュールの都合をつけなければなりません。
また、住宅ローンの契約は正式には金銭消費貸借契約と呼び、書面などではこのような文言で通知されることもあるため、これも覚えておきましょう。
融資実行と引き渡し
売買契約が完了し、ローン契約も締結した後は、引き渡し日を待って最後の手続きを完了させます。引き渡し日には購入代金の残金と各種諸費用を支払い、書類や鍵の引き渡しなどの手続きを経て、引き渡しが完了となります。
融資金が入金された口座から売主に残代金を振り込むため、引き渡しは司法書士同席のもと融資を受けた金融機関で行われることが一般的です。各種手続きを終えた後、司法書士が登記に必要な書類を売主・買主双方から受け取り、法務局にて所有移転・抵当権設定登記を行います。
登記手続きは司法書士に代行してもらい、登記が完了した時点で購入不動産の引き渡しが完了です。この時点から土地や建物には抵当権が設定されており、住宅ローンの担保になっていることは理解しておきましょう。
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リフォームや土地購入時の融資で知っておくべきこと
住宅ローンは新築分譲住宅や中古住宅を購入する時だけではなく、建物のリフォームや土地を購入する際などにも利用できます。ただし、これらの場合は代金支払いと融資のタイミングに注意が必要です。リフォームや土地購入時特有のポイントを知り、住宅ローンへの理解をさらに深めていきましょう。
住宅ローン実行までに複数回支払いが生じる
リフォームや注文住宅の場合は竣工、つまり建物が完成した時点が住宅ローンの融資実行日となるのが一般的ですが、竣工までの間にいくつかの支払いをしなければなりません。例えば土地を購入する際には、契約時に手付金を支払い、土地の引き渡し時には残代金を支払います。
さらに建物の工事でも、工事請負契約時の手付金や着工時の着工金、さらには上棟時に中間金の支払いなど分割での支払いが必要です。つまり、一般的に住宅ローンが融資実行される竣工までの間に複数回支払いが発生するため、自己資金やつなぎ融資などで一時的に資金を調達する必要があります。
最終的には住宅ローンで融資を受けることができますが、それまでのつなぎとして負担する費用が増えることもあるので理解しておきましょう。
つなぎ融資を利用する
新築注文住宅や土地を購入する際には、住宅ローンが実行されるまでの間、つなぎ融資を受けるのが一般的です。ただし、金融機関によってはつなぎ融資を扱っていない場合もあるので注意が必要です。
また、つなぎ融資は金利が通常の住宅ローンよりも高くなっていることが多く、手数料もかかるので、その分支払総額は増えてしまいます。ただし、元金の返済は住宅ローンの融資が実行されたときに融資金で一括返済するケースがほとんどなため、新居が完成する前に返済する必要がなく、自己資金を減らしたくない人にはおすすめです。
土地先行融資という手段もある
つなぎ融資以外では、住宅ローンの分割融資をしてくれる金融機関で土地先行融資を受ける方法があります。土地先行融資は、文字通り土地の購入代金分のローンを先に受けることであり、一般的には返済も先にスタートします。
金融機関によって分割融資の仕方は異なりますが、建物工事が始まった後も、「着工金」「中間金」などを工事の進捗に合わせて分割融資してくれるケースが一般的です。
最後は竣工時に「住宅ローン」の融資を受けて終わりになりますが、分割融資を受けた回数だけ、ローンの返済が始まる時期がずれるイメージととらえてください。
住宅ローンが融資されるまでの注意点
審査完了前や融資前にはいくつかの注意点があり、これが守れていないと融資が滞ったり、金銭的なトラブルを抱えてしまったりすることもあります。申し込みをしたからといって油断はできないため、細部まで注意を払い、問題なく融資実行日を迎えることが大切です。
住宅ローンが実行されるまでの諸費用を把握しておく
注文住宅やリフォーム工事、土地の契約時などでは住宅ローンの融資実行日までにさまざまな費用がかかりますが、これは新築分譲住宅や中古住宅を購入する場合でも同じです。一般的には、次のような諸経費がかかります。
印紙代は契約書に貼る印紙の代金であり、不動産売買契約書や工事請負契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書に貼付します。契約書に記載される金額が上がるにつれ印紙税も高くなりますが、例えば金銭消費貸借契約書であれば1,000~5,000万円以下までなら20,000円の印紙税が、5,000万円超から1億円までなら60,000円の印紙代がかかります。
登記費用は不動産の所有権移転登記・保存登記・抵当権設定登記を行う際の費用です。登録免許税と司法書士に支払う報酬とで構成されますが、登記費用は数十万円かかることも多くなっています。
火災保険・地震保険料は建物の構造・面積・エリア・保障内容によっても大きく異なりますが、マンションの場合はおおむね10万円前後、戸建ての場合は50万円前後と考えましょう。購入にかかる諸経費は以外に多く物件価格の10%程度かかるケースもありますので、ある程度自己資金は用意しておかなければなりません。
信用を傷つけるようなことはしない
住宅ローンに限らず、ローン契約は金融機関との信用のもとに成り立っています。審査ではお金を貸せる信頼に足る人物かどうかが見極められているため、信用を傷つけるような行動はやめましょう。例えばクレジットカードの支払いや携帯電話、その他公共料金の滞納などは、信頼を傷つけることに繋がります。
また、他でもローンを組んでいる場合は、滞りがないように支払う必要があり、少しでも滞納していると審査に悪影響を及ぼすこともあります。審査が厳しいところでは、レンタルビデオなど期限付きのものの返却が遅延しているだけでも、減点対象になりえるため注意が必要です。
各種契約や支払いの状況などは、履歴が残っていて細かく確認されるため、審査が終わった後も融資実行日までの間は、信用を傷つけないよう注意して行動しなければなりません。
適用される金利を知っておく
住宅ローンでの返済額を考える際には金利を確認することが大切ですが、これは申込時点ではなくローンが実行される時点での金利をチェックしなければなりません。
金利は景気によって変動するため、申込時点から変わることも多く、実際に適用される金利は、融資実行日の金利です。金利変動の可能性も考慮し、実行日時点である程度の変動があっても返済が可能なように、ゆとりを見て借入額を決めるようにしましょう。
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住宅ローンは流れをしっかり理解しておくこと
住宅の購入に欠かせない住宅ローンは、組むまでの流れを正しく理解しておくことが大切です。手順を把握し細部のポイントまで理解することで、上手に活用できるようになります。資金計画は念入りに立て、無理のないプランで住宅ローンを組み、新居の購入を成功させましょう。