不動産売却の引き渡しは、以下のような流れで行われます。
- 不動産売却の引き渡しの流れ
- 本人確認と書類確認
- 登記申請の手続き
- 残代金の受領
- 税金の支払い
- 関係書類と鍵の引き渡し
- 諸費用の支払い
不動産を売却する際には、引き渡し時期に注意が必要です。
引き渡し時期は売主と買主で相談して決めますが、期日に関する決まりは多く、お互いに正しく理解できていないとトラブルに発展することもあります。
不動産売却は無事に引き渡しまでできて完了するため、最後まで油断は禁物です。
また、引き渡しの時期の決まりを理解できていないと、ペナルティが発生する可能性もあるため、注意しなければなりません。
売買契約を結んだからといって安心せず、引き渡し時期まできちんと取り決めをし、スムーズに不動産を売却しましょう。
なお、不動産売却の全体的な流れを知りたい方はこちらをご覧ください。
不動産売却の流れ8ステップを図解で解説!査定方法や媒介契約を理解しよう
不動産売却の引き渡しの流れ
不動産売却をスムーズに進めるには、引き渡しの基本的な流れを把握することが大切です。
全体の流れを知っておくことで、何が必要か、何をすべきかが分かるため、事前に準備して対策できます。
引き渡しではやるべきことが多いため、流れを正しく理解してスムーズな引き渡しを目指しましょう。
以下の引き渡しの流れを詳しく解説していきます。
- 本人確認と書類確認
- 登記申請の手続き
- 残代金の受領
- 税金の支払い
- 関係書類と鍵の引き渡し
- 諸費用の支払い
本人確認と書類確認
まず、司法書士による売主・買主両方の本人確認と必要書類の確認が行われます。
司法書士から生年月日や住所の聴取、所有権の移転の意思についての確認を受け、契約内容や書類に間違いがないか再度確認していきます。
登記申請の手続き
書類に問題がなければ登記手続きへ移ります。
司法書士に依頼して所有権の移転登記を行い、所有権を買主へと変更します。
住宅ローンが残っている場合は、住宅ローンを完済させた後に抵当権抹消手続きを同日に行います。
残代金の受領
司法書士によって書類や契約内容に誤りがないことが確認されたら、買主から残代金の支払いが行われます。
振込による支払いの場合は必ず着金確認し、残代金の受け取りを確認できたら領収書に押印します。
税金の支払い
固定資産税や都市計画税は、1月1日時点の所有者に課税されますが、年度の途中で売却する場合は、売主と買主で負担する割合を事前に決めておく必要があります。
事前に決めておいた負担額を買主から受け取りましょう。
関係書類と鍵の引き渡し
不動産の設備・備品の保証書や、重要事項説明書などの関係書類、物件の鍵を買主に引き渡します。
鍵は合鍵も含めて、持っているものを全て引き渡しましょう。
関係書類・鍵の引き渡しが終われば買主との取引は終了です。
諸費用の支払い
不動産会社には仲介手数料、司法書士には登記の手続きに伴う報酬を支払います。
この支払いは残代金から差し引かれることがあるので、事前に確認しておきましょう。
不動産売却の引き渡し時期はいつなのか
スムーズに不動産を売却するには、いつ物件を引き渡すのか、適切な時期を知ることが大切です。
物件を引き渡すためには、家から荷物を取り出し、私物は全て片付けなければなりません。
買主の荷物の運び込みばかりイメージされがちですが、実際には家を明け渡すための整理が必要なことは理解しておきましょう。
引き渡しまでに整理ができていないと期日通りに引き渡しできなくなるため、時期を理解して、期日から逆算して計画的に準備を進めることが大切です。
決済と同時が基本
物件の引き渡しは決済と同時、つまり物件の購入代金を支払った時が基本です。
不動産の購入は費用が大きいため、一括で全て支払うことはなく、ローンを組んで決済した=購入し代金を支払うと契約した日が引き渡しの日と考えましょう。
ローン契約と同時に決済も行うため、引き渡しは不動産会社ではなく、金融機関で行うことが多いです。
また、決済するといっても、事前に手付金や保証金を支払うことは決済には含まれません。
これらのお金はいわば予約金であり、それらとは別に代金を支払うことが決済に該当します。
引き渡し時に所有権移転登記
金融機関で決済を行って引き渡しが成立しますが、同日に所有権移転登記も行う必要があります。
所有権移転登記を行わないと、売買契約を結んで実際に生活している場合でも、第三者に対して所有権を主張できません。
引き渡しの完了で完全に買主の物になるわけではなく、所有権移転登記まで済ませることで完全に買主の物になると考えましょう。
所有権移転登記は個人で行うことも可能ですが、手続きが煩雑で引き渡し日にはすることも多いため、司法書士に委任して代行してもらうのが一般的です。
不動産会社には提携している司法書士がいるため、それを利用して登記申請もしてもらいましょう。
期日を守れないと違約金が発生
事前に取り決めた期日通りに引き渡しができない場合は、違約金が発生します。
違約金がいくらになるかは当事者間の取り決めにもよりますが、基本的には売却価格の20%程度が相場です。
違約金を支払ったからといって、売主は売却を取りやめられるわけではなく、速やかに引き渡さなければなりません。
いつまでも引き渡しがされないと、契約不履行とみなされ、さらに高額な違約金が発生する可能性もあります。
違約金は買主のみ関係すると思われがちですが、実は売主が支払うこともあるため、契約時にはお互いしっかり確認しておかなければなりません。
不動産売却の引き渡し日は売買契約時に決める
不動産の引き渡しは決済と同時が基本ですが、売買契約時に日程を調整し、期日を自由に決めることは可能です。
決済日自体を移動させることや決済日以外の日を引き渡しの期日に設定することもできます。
売買契約時に期日は決まり、基本的には動かすことはできないため、引き渡し時期の設定は慎重に行いましょう。
特約で期日を先延ばしも可能
契約締結時に特約を定めている場合は、決済後に引き渡し猶予を持たせることができます。
猶予をどれくらいに定めるかは当事者間で決めることができますが、1週間から2週間程度が相場です。
あまりにも長い猶予期間を設定していると、買い手がつきづらくなるため注意しましょう。
特約で猶予を設定できるのは、売主が決済の代金を新居の購入代金に充てる場合があるからです。
決済してすぐに引き渡しだと、お金を得ても住む場所がなく困ることもあるため、ある程度まとまったお金を得て、売主が新居を見つけてから引き渡しになることもあります。
もちろん、単に契約から引き渡しまでの期間が短いため、猶予期間を設定することもあります。
どちらの場合でも、契約時に定めていないと猶予は得られないため、期間が必要なら売買契約時に必ず話し合っておきましょう。
期日を決めないと契約と同時引き渡し
不動産売買は、決済と同時に引き渡しが基本ですが、実はこれ自体も特約で契約時に定めたものです。
売買契約で引き渡し時期の定めを全く記していない場合は、契約締結の瞬間に引き渡しとなるため、注意しなければなりません。
そもそも決済と同時に引き渡しが基本になっているのは、契約締結後の不払いを防ぐためです。
購入代金を支払うことを確約させてから引き渡すことが、不払いのリスクを回避する大切なポイントです。
猶予期間を定めない場合でも、契約時には引き渡し時期の確認はしておき、決済と同時になっているかチェックしましょう。
引き渡し期日を含めた売却計画を考えよう
売買契約時にいつ引き渡しにするか決められますが、契約前の時点で、引き渡し時期まで考えて、売却計画を練ることが大切です。
引き渡し時期をいつにするか、スケジュールが固まっていないと契約締結時に困り、適当な期日を指定して、間に合わず違約金が発生する可能性もあります。
不動産売却は3~6カ月程度の期間が必要になることが多いですが、いつ買い手がついても困らないよう、早めから準備を進めておかなければなりません。
契約の締結から引き渡しまでスムーズに進められるよう、売却を考えた段階から、ある程度の引き渡し時期は決めておきましょう。
売買契約から引き渡しまでに必要な準備
売買契約の締結から引き渡しまでに必要なものは、主に以下の6つが挙げられます。
- 登記関係書類
- 実印
- 登記費用
- 残代金や各種清算金等の領収書
- 管理規約や建築確認書など買主へ引継ぐべきもの一式
- 仲介手数料
書類を提出や支払いのタイミングは業者ごとに異なりますが、すべて揃っているなら、手続きがスムーズに進められることは確かです。
また、場合によってはさらに「実測図」や「境界確認書」が必要になることもあるため、可能なら用意しておきましょう。
引き渡しまでにこれらを全て用意し、引越しまで済ませて準備は完了です。
引き渡しに際して確認しておきたいこと
書類や支払いのお金など、必要な手続きを全て済ませて、物件を明け渡して引き渡しは完了します。
しかし、トラブルなく売却するには事前に確認しておくべきこともあります。
確認を怠ると、手続きが途中でストップする可能性もあります。
スムーズに不動産を売却するためにも、確認事項はしっかり頭に入れ、事前準備を徹底しておきましょう。
契約解除時の対応
引き渡しは決済と同時、つまりローンの本審査が通った時に行いますが、必ずしも審査に通るとは限りません。
不動産取引では、売買契約を結んでからローンを申請し、審査の通過と同時に決済を行うため、契約後にローンが通らず、契約が白紙になることもあります。
ローンが通らなかった場合、あるいは単純に買主が契約破棄を申し出た場合には、どのように対処するかも事前に話し合って決めておきましょう。
契約不履行の場合も違約金の支払いで対処することがほとんどのため、事前にいくらのペナルティが発生するか、お互い納得した上で設定することが大切です。
引き渡しは平日が基本
物件の引き渡しは平日に行うことが基本です。
これは所有権移転登記を行える法務局が、平日しか開いていないからです。
土日に引き渡してしまうと、数日間所有権登記が移転されていない状態で過ごすことになるため、第三者に所有権を主張できず、トラブルに発展する可能性があります。
また、前倒しで所有権を移転してしまうと、今度は売主が所有権を主張できず、決済が滞る危険性もあります。
所有権移転登記は引き渡しと同時に行うのが、お互いにとってリスクが低いため、移転登記が可能なタイミングに合わせて、引き渡しも行うと考えましょう。
抵当権付きなら抹消登記
売主がローンを組んで物件を購入していた場合、完済していても抹消登記をしていないと、抵当権が残ったままです。
抵当権はローン完済と同時ではなく完済後の抹消登記によって消滅するため、事前に行っておきましょう。
抵当権抹消は司法書士に依頼
所有権移転登記は個人でも行えますが、抹消登記は司法書士に依頼しなければなりません。
理由としては相手が金融機関のため、素人が申請しても嫌がられて受け付けてもらえないことが多いです。
手続き自体は可能でも、実質は個人での抹消登記はできないため、余計な手間をかけずに司法書士に依頼して、スムーズに申請してもらいましょう。
瑕疵担保責任の確認
引き渡し後に何らかの瑕疵が見つかった場合、売主がそれを補償しなければなりません。
これは瑕疵担保責任と呼ばれるものであり、この補償の範囲も引き渡し時に確認が必要です。
瑕疵がある場合は事前に告知し、お互いに合意した上で契約を結びます。
事前に告知している瑕疵は売主は責任を負いませんが、告知されていない瑕疵が見つかった場合は、責任を負います。
しかし、瑕疵担保責任は無期限なわけではなく、最低2年を基準に、契約時に設定が可能です。
故意に隠した瑕疵は期限に関係なく補償責任がありますが、売主に落ち度がなく責任期間を超えて瑕疵が見つかった場合は買主の責任とみなされます。
引き渡し期日の重要性を知りスムーズな売却活動を
不動産売却の引き渡し時期は、単に物件を明け渡す日と考えている人が多いでしょうが、実は細かくルールが設定されています。
期日を守れないと違約金が発生し、かつ売却もスムーズに進められないため、注意しなければなりません。
基本的には決済と同時に引き渡しが普通ですが、決済日は自由に設定できます。
特約を付けて決済後に期日を設定することも可能です。不動産売却を決めたなら、引き渡し時期まで計算に入れて綿密な売却計画を立て、余裕を持ったスケジュールでスムーズに売却活動を行いましょう。
スムーズに不動産を売却するには、仲介を依頼する不動産会社の選定が重要です。
すまいステップなら、一度に最大4社と査定結果を比較できるため、より好条件で売却できる業者を見つけられます。
金額はもちろん、不動産会社との相性も意識し、自分に合った業者を見つけて、期日に合わせてスムーズに不動産を売却しましょう。