やっと手に入れた憧れのマイホーム。離婚や収入の減少など、さまざまなトラブルにより、住宅ローンの支払いが難しくなることも少なくありません。
住宅ローンを組む際は、無理のない返済計画を立てていても、近年ではローンの返済に困っている人が急増していると言われています。
なぜ今、住宅ローンを払えない人が急増しているのでしょうか。
本記事では住宅ローンの支払いが困難になっている現状の背景について解説します。
100人のうち4人が返済に困っている?
住宅金融支援機構では、リスク管理債権の情報が公開されています。
リスク管理債権とは簡単に言えば、返済が怪しくなってきた貸付金のことです。
公表されている令和2年度のリスク管理債権の割合を見てみると、3.48%となっていました。
参考:住宅金融支援機構
なんと住宅ローンを抱えている人の100人のうち4人程度が、ローンの返済に困っているということになります。数字で言えば少ない割合に見えるかもしれませんが、深刻な問題となっています。
なぜ住宅ローンを払えない人が急増しているのか
住宅ローンの支払いが困難になっている人の背景としては、以下の4つが挙げられます。
- 収入の減少
- 返済計画に無理があった
- 支出の増加
- 離婚
それぞれの背景を詳しく見ていきましょう。
収入の減少
住宅ローンは長期に渡る負債です。
そのため、借り入れをする際は無理のない返済計画を立てている方は多いはずです。
しかし、人生にはどんなトラブルやイベントが起きるか分かりません。
特に2020年から新型コロナウイルスの影響により、会社が倒産したり、リストラにあったりなどして収入が減少した方が多いのです。
このような、パンデミックが発生するとは誰もが予想していなかったでしょう。
住宅ローンの返済は、支出の大部分を占めており、収入が減ると返済計画にダイレクトに影響が行くので、返済が難しくなってしまうのです。
返済計画に無理があった
自分にあった返済計画を立てていないことも、返済不能になる原因の1つです。
金融機関からの審査に受かり、お金が借りられるとしても、その金額が自分にとって返済が可能な額かどうかは限りません。
無理のある金額を借り入れた場合、返済計画にも負担がかかるので、徐々に支払いが困難になってしまうのです。
一般的に、無理なく返済計画が立てられる総返済負担率は25%と言われています。
総返済負担率とは、年収におけるすべての借り入れの年間合計返済額の割合のことです。
たとえば、年収400万円だとしましょう。
総返済負担率が35%の場合は、140万円以下が借り入れできる上限額になります。
年間で返済額を計算してみると、約12万円になります。
月々の給料から12万円も引かれるので、家計にとっては大ダメージとなるでしょう。
総返済負担率を25%にすると、年間100万円が返済額になります。
1年で計算すると月々約8万円の返済になるので、35%のときと比べると家計へのダメージを減らせます。
審査に通ったからといって無理に借り入れすると、後々返済が厳しくなる可能性があるので注意が必要です。
支出の増加
出産や子育て、子どもの進学など、年を重ねるごとにライフステージも変化していきます。
また、病気や親の介護など予期せぬトラブルに見舞われることもあるかもしれません。
特に住宅ローンを組む方の中には、これから出費が増える世帯であることが多いです。
これからのライフイベントも見通した上で返済計画を立てなければ、返済が難しくなる可能性があります。
離婚
現代では、3組に1組が離婚すると言われています。実は離婚も住宅ローンの返済が困難になる原因の1つなのです。
離婚することにより、今まで共働きで負担していた生活費を全て一人で負担しなければいけません。
また、教育費や慰謝料を支払わなければいけないケースもあるでしょう。
離婚することで支出が増え、住宅ローンの返済が困難になる可能性があるのです。
住宅ローンの支払いが滞るとどうなるのか
実際に住宅ローンの支払いが滞ると、どうなるのでしょうか?
1〜2ヶ月目は督促状が届く
1〜2ヶ月程度ローンの返済が滞ると、金融機関から督促状が送られます。
この時点で支払いが難しいと判断した場合は、早急に対応しなければいけません。
住宅ローンは一度でも延滞すると金利が跳ね上がる場合があるので、「まだ大丈夫」だと思っているとどんどん支払いが難しくなる可能性があるのです。
この時点で「返済が難しい」と判断すれば、自己破産せずに問題を解決できるかもしれません。
3ヶ月以上滞ると一括返済の請求がだされる
3ヶ月以上お支払いが滞ると、金融機関から一括返済を求める請求書が送られます。
延滞なく支払っていた場合は、住宅ローンを分割しての返済が可能です。
しかし、3ヶ月以上支払いが滞ると分割払いが不可能になるので、一括での返済を要求されます。
一括で払うとなると相当な金額を用意しなければいけないので、一括返済の請求書が出される前に対処する必要があります。
6ヶ月以上滞納すると「競売」にかけられる
6ヶ月以上滞納すると、「競売」にかけられます。
いきなり競売にかけられるわけではなく、まず「催告書」が届きます。
催告書はいわば最終通知のことで、内容通りに入金できなかった場合は「競売」にかけられてしまうのです。
競売にかけられると家が差し押さえられ、自己破産をせざるを得なくなります。
また、滞納すると連帯保証人にも返済の請求書が届くので、周りの人にも迷惑をかけることになります。
最悪の場合連帯保証人の家も競売にかけられることがあるのです。
このような事態に陥る前に、返済が無理だと思ったら早急に判断して対処しなければいけません。
参考:一般社団法人 全日本任意売却支援協会「住宅ローンを滞納すると?」
住宅ローンが払えないと思ったときの対処法
住宅ローンが払えないと思ったときは、迅速な対応が必要です。
- 金融機関に条件の変更を申し出る
- 住宅ローンの借換えを検討
- 保険が適用されないか確認する
- 不動産の売却を検討
- リースパックの検討
- 国の給付制度が適用できないか確認する
- 個人再生の利用
- 任意整理の検討
- リバースモーゲージの検討
対応の仕方には種類があるので、家族と話し合って、対処方法を決めましょう。
金融機関に条件の変更を申し出る
最初のうちは毎月支払いできていたのであれば、金融機関に条件の変更を申し出ることで了承してもらえる場合があります。
金融機関としては、競売にかけられると利益がなくなるため、できるだけ返済してほしいと考えています。
ボーナス払いを変更するなど、今後返済できる計画があるのであれば、条件の変更を許可してくれる可能性が高いです。
返済が厳しいと感じ始めた段階で、どう条件を変更すれば滞りなく返済できるかを考えた上で、金融機関に申し出てみるとよいでしょう。
住宅ローンの借換えを検討
住宅ローンの借り換えを検討するのも1つの手です。
金利の安い住宅ローンに借り換えすることで、毎月の返済額を抑えられる場合があります。
特に返済期間が10年以上残っている場合は、金利の低い住宅ローンに借り換えることで、月々の返済額を抑えられる可能性が高いです。
逆に、返済期間が短い場合は借り換えしても諸費用などで逆に高くつく場合があるので注意してください。
保険が適用されないか確認する
住宅ローンが払えないと思ったときは、団体信用生命保険を適用できないか確認してみましょう。
病気などが原因で支払いが困難になった場合は、保険が適用できる場合があります。
基本的に住宅ローンを組む際は、団体信用生命保険の加入が義務付けられているので、誰でも利用できるのです。
また、人によっては収入が減少した際に利用できる任意の保険に入っている可能性があります。
就業不能保険や債務返済支援保険などに入っていると、収入の減少で支払いが困難になった場合でも、保険が適用できるかもしれません。
まずは自分の保険内容を確認してみましょう。
参考:住宅金融支援機関
不動産の売却を検討
どうしても支払いが難しい場合、不動産の売却を検討するのも1つの手です。
不動産を売却する際は、複数の不動産会社に査定を依頼することで、より高く売却できる可能性が高まります。
不動産査定サイトもたくさんあるのですが、その中でもおすすめなのが「すまいステップ」です。
すまいステップに提携している業者は、審査にクリアした優良会社のみです。
安全に売却を任せられる不動産会社のみと提携しているので、はじめての売却でも安心して進められるでしょう。
また、提携している各社には、実務経験や知識が豊富なスタッフが在籍しています。
これまでの経験をもとに最適なアドバイスをしてくれるので、心強い味方となってくれるでしょう。
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リースパックの検討
リースパックとは、不動産を売却した後も買い手に家賃を支払うことでそのまま住み続けられる仕組みのことです。
所有権は失うものの、引っ越しの必要がなく住み続けられるのが大きなメリットだと言えるでしょう。
また、売却資金も得られるため、今後の生活費や老後の資金にもあてられます。
さらに、資金に余裕ができた場合は買い戻しも可能です。
不動産を手放したくないけど、支払いが厳しいという方におすすめの方法です。
国の給付制度が適用できないか確認する
国にはいろいろな給付金制度があり、特に新型コロナウイルスに関する給付金制度は多くの種類が用意されています。
新型コロナウイルスの影響で収入が減少したり、離職したりして住宅ローンの支払いが困難になった場合、給付金を受けられる可能性があるのです。
ちなみに、コロナ督促では通常の債務整理とは異なったルールが設けられています。
- 信用情報として登録されない
- 無料で専門家から支援が受けられる
- 個人の保証人の場合は債務保証がない
厚生労働省のホームページで給付金に関する説明や対象者、支給額の算出方法などが記載されています。
適用できる給付制度がないか確認してみましょう。
参考:厚生労働省
個人再生の利用
個人再生とは債務整理方法の1つです。裁判所を通すことで返済額を大幅に減額してもらえる可能性があります。
個人再生には「住宅ローン特則」という制度があるのですが、以下の条件に当てはまっている場合は利用できません。
- 滞納している税金がある
- マンション住宅ローンの滞納
- 二重ローンをしている
- アンダーローン(住宅の資産価値がローンの残債よりも高いこと)
個人再生を利用することで、必ずしも返済額を減額してもらえるとは限りません。
しかし、これまで税金などを滞納していないのであれば可能性はあるでしょう。
任意整理の検討
任意整理とは個人再生とは異なり、裁判所を通さずに債権者と話し合うことで、利息や遅延損害金などを減額できる可能性がある制度です。
手続きする際は面倒な手間があるのですが、弁護士に依頼すればスムーズに進められます。
リバースモーゲージの検討
リバースモーゲージとは自宅を担保にして融資を受けられる制度のことです。
融資を受けられると、生存中は利息のみを支払うことになります。
しかし、55歳以上の方のみという年齢制限が設けられています。
また、自宅を相続財産として残せないので注意してください。
住宅ローンの支払いが難しいときにやってはいけない行動
住宅ローンの支払いが難しくなると、焦って間違った行動をしてしまいがちです。
追い込まれると間違った判断をしてしまいがちなので、注意が必要です。
特に以下の行動はしないように気をつけましょう。
- 専門家以外に相談する
- 他からお金を借りる
専門家以外に相談する
お金やローンに関することは専門家に相談することが一番です。
専門家ならお金やローンに関して詳しい知識を持っているので、その場を打開する適切なアドバイスがもらえるかもしれません。
しかし、専門家以外に相談すると正しい知識を持っていないので、間違った情報が入ってくる可能性があります。
いくら信頼できる知人や友人でも、お金に関する相談は専門家にすることが大切です。
他からお金を借りる
返済が厳しくなったからといって、外から借り入れをするのはNGです。
特に消費者金融は住宅ローンに比べて金利が高いので、より毎月の支払いが厳しくなる場合があります。
闇金から借り入れするのは、もってのほかです。
他からお金を借り入れるのではなく、まずは借り入れ以外にできる対処法がないか慎重に考えてみましょう。
自分1人で抱え込むのではなく、家族で話し合うことが大切です。
住宅ローンは後で困らないように計画的に借りよう
住宅ローンを組む際は、返済計画が何より大切だと言っても過言ではありません。
無理に返済計画を立てると後々支払いが厳しくなり、最悪の場合不動産を手放さなければいけないケースもあります。
自分の収入や今後のライフイベントを見据えた上で返済計画を立てることで、滞ることなく支払いができるでしょう。
不動産の売却を検討する時は、すまいステップを利用してみましょう。
すまいステップでは厳しい審査にクリアした優良会社のみ加入しています。万が一クレームが多く届けられた企業は登録解除されるので、利用者が安全に使えるように対策も徹底されています。
信頼できる担当者に出会える可能性も高いので、はじめての不動産売却でも安心して進められるでしょう。