マンションを売却するなら、なるべくスムーズに高く売却したいですよね。
しかし、梅雨時や真夏など買主が家探しを始めるには適さない季節や、年末など忙しさで売却活動に十分な時間をかけられない時期にマンションを売り出すとなかなか売れない可能性も。
この記事では、マンション売却に適した時期について、さまざまな観点から解説します。
マンションは時期を見極めて売却すべき
マンションは時期をしっかりと見極めて売却すべきといえます。
マンションは戸建てと違って取り壊しが非常に困難であり、売却時期を逃すといつまでも所有し続けることになるからです。
そもそもマンションにはさまざま人が住んでおり、1人の判断だけでは取り壊しできません。区分所有法によると、マンションの建て替えをするための条件として、「区分所有者及び議決権の5分の4以上の多数が必要」としています。
第六十二条
集会においては、区分所有者および議決権の5分の4以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地もしくはその一部の土地又は当該建物の敷地の全部もしくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議をすることができる
引用:e-GOV 法令検索
つまり、マンション各部屋の所有者と議決権を持つ者から5分の4以上の賛成を得ないと建て替えできないということです。
高齢化社会が進んだ今の時代、高齢者が所有している傾向があり、建て替えにより所有者が新たに引っ越しするのも難しいため、この条件は非常に難しいといえるでしょう。
マンションの売却価格に影響する時期
マンションの売却価格に影響する時期は主に以下のとおりです。
- 築年数
- 月別
- 経済状況
- 大規模修繕
- ライフイベント
それぞれの意味や特徴を確認しておきましょう。
築年数における時期
築年数は売却価格に大きく影響します。
まずは築年数別の実際の成約価格を見てみましょう。
以下は、首都圏中古マンションの築年数別成約価格を表してグラフです。
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築5年以内のマンション成約価格は6,638万円と非常に高いのがわかります。
しかし、築6年以降は右肩下がりで減少しています。マンションに限らず、建物は築年数の経過とともに価格が減少していくのが一般的のため、高く売却したい方はなるべく早く売り出した方がよいでしょう。
このように、マンションの成約価格は築年数によって大きく変動するため、高く売りたい方はなるべく早い段階で売却活動を始めるのがおすすめです。
月別における時期
一年のなかでも月別によって売れやすい時期が異なります。
特に2~3月は、4月からの新生活に向けて住み替えをする傾向にあるため、成約しやすい特徴があります。また、買い手が増えれば売り手市場となるので売り出し価格を高く設定しても売れるケースがあります。
反対に8月や12月は不動産の閑散期であり、売り出しても買い手がなかなか付かない特徴があります。
このように、月によって成約率や成約価格が異なるため、マンション売却を検討している方は売り出す時期についても見極める必要があります。
経済状況における時期
日本の経済状況も売却価格に影響します。
特に、日経平均株価と不動産価格には相関関係があると想定できます。
以下は、日経平均株価の推移です。
右肩上がりに推移が上昇しているのがわかります。
次に中古マンションの価格推移を見てみましょう。
※公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2022年)」|公益財団法人東日本不動産流通機構「季報 Market Watch サマリーレポート <2023 年 4~6 月期>」を参考にすまいステップ編集部が作成
成約価格と新規登録価格(売り出し価格)の両方が右肩上がりに上がっています。
これを合わせると以下のようになります。
上がり方に若干の相違はありますが、共に右肩上がりの点は共通しており、似たような動きをしているのがわかります。
全く同じ推移ではないですが、少なからず株価の動きが不動産価格にも影響しているといえます。
このように、経済状況の変動によってマンション価格も変動する傾向にあるため、売却を検討している方は経済状況も随時チェックしておくとよいでしょう。
ライフイベントにおける時期
ライフイベントの変化も売却時期に影響するポイントです。
ライフイベントの例は主に以下のとおりです。
- 転勤
- 子どもの進学
- 転職
- 定年退職
このように長い人生においてはさまざまなイベントが発生します。
転勤の場合だと、一時的な転勤であり、戻ってくることがわかっているのであれば売却しなくてもよいですが、今後も戻らないようであれば売却した方がよいでしょう。
マンションに限らず不動産は所有しているだけで、固定資産税などの税金が発生します。
住んでいないにもかかわらず税金を毎月支払うため、余分な出費になるでしょう。
ほかにも、子どもが成長して今の子ども部屋では不十分になる場合も考えられます。
また、進学に伴って学校の近くに引っ越すのもひとつのタイミングでしょう。
このように、ライフイベントによっては売却に適した時期とも捉えられるため、先を見越して売却計画を立てた方がよいでしょう。
マンションを高く売却しやすいおすすめの時期
マンションの価格に影響する時期をお伝えしましたが、特におすすめの時期は以下のとおりです。
マンションの価格が上昇している時期
マンションの価格が上昇している時期は絶好の売却タイミングです。
価格の上昇は「不動産価格指数」と実際のマンション価格を見ることで把握できます。
以下は、国土交通省が公表している「不動産価格指数」の推移をもとに、すまいステップが作成したグラフです。
国土交通省「不動産価格指数」を参考にすまいステップ編集部が作成
マンションの指数が特に大きく上昇しており、2023年の指数は2010年の2倍近くまで上昇しています。
不動産価格指数は不動産の動向や価値を示す数値であり、上昇しているほど不動産の価値や価格も上昇しているということです。
2013年以降は毎年上昇傾向にあるため、2024年もマンションの価値は上昇していくと想定できます。
このことからも、2024年はマンション売却に適した時期といえるでしょう。
次にマンション価格の推移を見てみましょう。
以下は、全国におけるマンション平均相場を表したグラフです。
株式会社不動産経済研究所「全国新築分譲マンション市場動向2023年」を参考にすまいステップ編集部が作成
2017年以降、毎年価格が上昇しており、2023年は6,000万円近くにまで高騰しています。
10年前の2014年と比べて約1,600万円も価格が上昇していることから、いかにマンションの価値が高くなっているかわかるでしょう。
2024年現在もマンションは人気な不動産のため、高い価格で売却できる可能性が高いです。
2~3月は買い手が最も増える時期
2~3月は最も不動産取引件数が増える時期です。
実際に、時期によってどれくらいの成約数の差があるのか見てみましょう。
以下は、レインズが公表している2021年の首都圏地域別中古マンション(東京都)の成約件数を表したものです。
月 | 成約件数(件) |
---|---|
1月 | 1,775 |
2月 | 1,824 |
3月 | 2,221 |
4月 | 1,757 |
5月 | 1,675 |
6月 | 1,609 |
7月 | 1,555 |
8月 | 1,275 |
9月 | 1,610 |
10月 | 1,765 |
11月 | 1,782 |
12月 | 1,521 |
引用元:REINS_TOWER(東日本不動産流通機構):月例マーケットウォッチ(2021年度)
1月から成約数が増えており、3月は2,221件と1年のなかで唯一2,000件を超えています。
2~3月は年度末であり、新年度に向けて引っ越しや住み替えを検討する人が多く、不動産市場全体の動きが活発になる時期です。
マンションの成約件数が最も増える時期のため、売却を検討している方は2~3月に成約できるように計画するのがよいでしょう。
大規模修繕後
マンションの大規模な修繕後は売却時期としておすすめです。
外壁塗装やエレベーターの整備、配管メンテナンスなど、過去数年以内に共有部分の大規模修繕があったり、近々修繕予定があったりする場合は売却のチャンスと言えます。
マンション全体のメンテナンス状況や外観などがきれいであれば、住みやすさはもちろん、見栄えや写真映えも良く、不動産ポータルサイトなどでも買主にアピールできるので注目を集めやすくなります。
マンション売却に向いていない時期
次にマンション売却に向いていない時期を解説します。
- 8月と12月
- 競合マンションが売り出されている時期
- 金利が上昇している時期
8月と12月
8月と12月は1年のなかでも特に成約数が少ない時期なのでおすすめできません。
8月はお盆で帰省、12月は年末のため、不動産を購入しようとしている人も一旦活動を停止する時期です。
この時期に売り出しても買い手が付きにくいので、できれば年明けまで待ってから売り出すのがよいでしょう。
競合マンションが売り出されている時期
周辺に競合マンションが売り出さている時期はおすすめできません。
競合マンションが多いほど買い手に選択肢を与え、価格競争にもなりやすくなります。また、同じエリアで似たようなマンションが売り出されれば希少性も減少するので、相場よりも安い価格での売却となるでしょう。
このように、競合マンションの有無も売却価格に影響するため、周辺にマンションが売り出されていない時期を狙って売り出すのがおすすめです。
金利が上昇している時期
金利状況も売却時期に影響するポイントです。
現在は超低金利時代であり、金利1%以下で住宅ローンを借りられる金融機関もあるため、資金力が豊富でなくても不動産を購入しやすい状況といえます。言い換えれば、買い手が多い状況であり、売り手からすれば金利が高い時代と比べて売りやすいといえます。
しかし、金利が上昇すれば買い手は高い金利で住宅ローンを組むことになるため、購入を渋る人も多くなるでしょう。売却を検討している方は低金利の今のタイミングで売却するのがよいでしょう。
マンション売却の時期に関する注意点
マンション売却の時期に関しては以下の点に注意しましょう。
- 売り出してから成約まで3ヶ月以上かかることを想定しておく
- 今後は金利上昇していく可能性が高い
- 所有期間が5年以下だと税金が2倍近くも高くなる
売り出してから成約まで3ヶ月以上かかることを想定しておく
そもそも不動産は、3ヶ月程度で売却できるのが一般的です。
実際にマンションを売却した方へのアンケートでも、3ヶ月以内で売却できた人の割合が最も多い結果となりました。
※すまいステップのアンケートより
そのため、2~3月に成約したいのであれば、11~12月ごろに売却活動を開始するのが良いといえます。
ただし、売り出し価格や時期を誤ると6ヶ月以上かかるケースもあるので気をつけましょう。
今後は金利上昇していく可能性が高い
低金利時代はマンションを売りやすいとお伝えしましたが、今後は金利上昇していく可能性が高いです。
2024年3月20日に日銀の植田総裁は、マイナス金利政策の解除と金利上昇することを決定しました。
日銀は、19日まで開いた金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めました。
日銀による利上げはおよそ17年ぶりで、世界的にも異例な対応が続いてきた日本の金融政策は正常化に向けて大きく転換することになります。引用:NHK
これにより、今後は金利上昇していくと想定されるため、今よりも買い手が少なくなる可能性が高いといえます。
ただし、今すぐに金利が大幅に上昇するわけではないため、随時金利状況をチェックしておくのがよいでしょう。
所有期間が5年以下だと税金が2倍近くも高くなる
所有期間が5年以下だと税率が2倍近く高くなります。
そもそも建物を売却して得た利益は譲渡所得として扱われ、所得税や住民税などの税金が課せられます。
譲渡所得にかかる税金は2パターンあり、所有期間によって異なります。
所得の種類 | 税率 | 条件 |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 39.63%(所得税30%+住民税9%+特別復興所得税0.63%) | 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの |
長期譲渡所得 | 20.315%(所得税15%+住民税5%+特別復興所得税0.315%) | 譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの |
参照:国税庁
マンションを所有してから5年以下の場合は短期譲渡所得に該当するため、39.63%の税率がかかります。
一方で5年を超える期間所有している場合は長期譲渡所得になるため、20.315%と安くなります。
その差は2倍近くもあるため、節約したい方は所有期間が5年を超えたタイミングで売却するのがよいでしょう。
ベストな売却時期を見つけよう
築年数や売却に適した時期や税金面、マンションの周辺環境の変化など、売却時期の判断材料には、さまざまな観点があります。
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