基本的にマンションを買った値段で売るのは難しいですが、場合によっては、10年住んでいても購入時より高く売れるケースも存在します。
本記事では、マンションを買った値段で売るのが難しい理由と、高く売れるマンションの特徴、できるだけ高額で売るためのタイミング選びなどをご紹介していきます。
ライフスタイルの変化や経済的な事情により、現在住んでいるマンションを売却して住み替えや引っ越しを検討している方や、マンションの売却価格や高く売れる条件について気になっている方は、ぜひご参考にしてください。
マンションは買った値段で売れるケースもある
原則としてご自身で購入したマンションを、買った値段で売却するのは難しいとされています。
ただし、すべてのマンションが買った時の値段以下でしか売れないわけではなく、条件によっては購入時よりも高い金額で売却できるケースもあります。
たとえばマンションを購入後、付近に新たなショッピングモールが開業した場合などは、地域の不動産相場が上昇して高く売れることが考えられるでしょう。
マンションが買った値段で売れにくいとされる主な理由は、以下の3つです。
- 築年数によって価格が下落するため
- 地域の環境が変化するため
- 不動産価格は景気の影響を受けるため
それぞれ詳しく解説します。
築年数によって価格が下落するため
マンションが買った値段で売れることが少ない大きな理由としては、築年数によって価格が下落する点が挙げられます。
下記のグラフにある通り、中古マンションの価格は築年数を経るごとに低下し、築26年〜30年頃に底を打つ傾向があります。
出典:築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)|東日本不動産流通機構
築年数が経過すると建物の老朽化が進むことはもちろんですが、税制上定められた「法定耐用年数」を過ぎることによって、会計上のマンションの価値がほぼ0円になることも理由に挙げられます。
また、新築マンションの場合には、新築プレミアムと呼ばれる、新築物件ならではの価値が上乗せされています。
そのため、新築マンションを購入後は中古物件となってしまうことから、すぐに売却したとしても、新築時と同じ価格で売ることは難しくなっています。
地域の環境が変化するため
マンションを売却する時点で、周辺環境が購入時よりも変化していることが理由で、買った値段では売れにくくなるケースもあります。
たとえば、新築で購入した際には周辺に多くの商業施設が営業していたものの、現在では商業施設の数が減少してしまっている場合などは、購入価格よりも大幅な値下げを余儀なくされることが多いでしょう。
逆に、新たな商業施設が開業して人気の街となったケースや、住みたい街ランキングのような指標で順位を上げているような場合には、購入時よりも高く売れる可能性もあります。
不動産価格は景気の影響を受けるため
不動産価格は景気の影響を強く受けることから、不景気に突入したことでマンションの市場価格が下がってしまう可能性もあります。
好景気のときには不動産市場が活発となり、中古マンションでも比較的高額で売れるケースが多くなります。
地域の地価が上昇すれば、マンションの資産価値が上昇して、買った値段よりも高い金額で購入を希望する人も増えるでしょう。
買った値段より高く売れるマンションの特徴とは?
前述した通り、マンションの条件によっては買った値段以上の金額で売れるケースも少なくありません。
10年以上住み続けたマンションを売却し、住宅ローンを完済した上で、売却益を得ることも可能です。
購入時より高く売れやすいマンションの特徴としては、以下の5点が挙げられます。
- 築10年未満のマンション
- 立地条件が恵まれているマンション
- 角部屋・高層階のマンション
それぞれ解説します。
築10年未満のマンション
中古マンション市場では、築10年未満の物件が人気で、比較的高額で売れる傾向です。
日本では東京オリンピックの開催が決定した2013年以降、全体的にマンション価格の上昇が続いています。
そのため地域にもよりますが、2023年現在で築10年未満であれば、築年数が多少経過していても購入時に近い金額で売れる可能性が高くなっています。
なお、購入時よりも高く売れて売却益が発生する見込みの場合には、5年以上保有してから売ることをおすすめします。
下の表のように、マンションの所有期間は5年を境目として、売却益に対して課税される譲渡所得税・住民税が異なり、5年超の所有期間であれば各税金が割安となるためです。
所得税 | 住民税 | 合計 | |
長期譲渡所得(5年超) | 15.315% | 5% | 20.315% |
短期譲渡所得(5年以内) | 30.63% | 9% | 39.63% |
つまり、新築で購入したマンションの場合には、築5年以上10年未満のタイミングで売却することが、最も高額で売れて手元に残る金額を増やすことができる可能性が高くなります。
立地条件が恵まれているマンション
条件が同じマンションであれば、地方よりも大都市、郊外よりも都心に近い立地ほど、買った値段で売れる可能性が高まります。
また、ターミナル駅からの距離が近く、周辺にスーパーや飲食店、公共施設が充実しているなど、生活利便性の高いエリアに建つマンションは高額で売れやすい物件です。
ファミリー向けマンションの場合には、周辺に病院や公園、学校が集まっている地域ほど需要が上昇します。
角部屋・高層階のマンション
窓が多く、接する部屋が少ないことから騒音問題の少ない角部屋や、日当たりや景観の良い高層階のマンションは、買った値段で売れやすい物件です。
同じマンションの中部屋と比べて、角部屋は10%〜20%程度高額になる傾向にあります。
バルコニーが南向き・東向きのマンションであれば、さらに価値が高まることも珍しくありません。
ただし、階数が多いマンションでは、低層階の角部屋よりも高層階の中部屋の方が高い価格で取引されることもあります。
なお、部屋の位置が同じ条件の場合には、階数が1階上がるごとに0.5%〜2.5%ほど価値が上昇するとされています。
マンションを買った値段で売るための注意点
最後に、マンションを買った値段で売れやすくするための対策として、以下の3つの注意点について解説します。
- 時間に余裕を持って売却を進める
- 購入需要の高まる2月〜3月に売却する
- 内覧に備えて部屋をきれいにしておく
- 不動産の一括査定サービスを使う
これらのポイントを踏まえた上で、マンションの売却を進めましょう。
時間に余裕を持って売却を進める
マンションを高額で売りたい場合には、売り急ぐことなく時間に余裕を持って買い手を探すことが重要です。
急に現金が必要となるなど、売却までの期間が限られていると、値引き交渉などの条件を受け入れざるを得なくなるためです。
マンションの条件や時期によっては、売却までに時間がかかるケースも考えられるため、少なくとも3ヶ月〜半年程度の売却期間を見積もっておきましょう。
購入需要の高まる2月〜3月に売却する
マンションが売れやすい時期は、一般的に2月〜3月とされています。
4月からの新生活に向けて、購入需要が増えるためです。
反対に、売れにくい時期は、1月・8月といわれています。
1月は年始の慌ただしい時期であり、8月は猛暑の時期に当たるため、購入者の購買活動が鈍るためです。
マンションの売却に際しては、売り時の2月〜3月に物件情報を市場に出せるよう、12月・1月頃から不動産会社と契約するなどの売却準備を進めると良いでしょう。
内覧に備えて部屋をきれいにしておく
購入希望者を迎える内覧では、できるだけマンションに好印象を抱いてもらうため、常にきれいな状態を保つようにしましょう。
荷物や家具が多ければ部屋が狭く感じたり、老朽化した印象を受けたりする可能性があるため、可能な限り清掃やハウスクリーニングを実施しておくのもおすすめです。
内覧に立ち会う際には、購入希望者からの質問にはデメリットも含めて誠実に答えることも重要です。
不動産の一括査定サービスを使う
マンションの売却価格を決める際には、一括査定サービスを利用して市場価格を把握してから、不動産会社と相談して判断することをおすすめします。
地元の不動産会社や付き合いのある不動産会社など、1社のみに査定を依頼した場合には、相場よりも安い売り出し価格を設定されてしまう可能性も高まります。
一括査定サービスを活用すれば、複数の査定価格をチェックして適正な売り出し価格を決めるのに役立つため、ぜひ利用してみましょう。
マンションを買った値段で売るには余裕を持った売却を
マンションを買った値段で売ることは難しいケースが多いですが、築年数や立地条件、エリアによってはほぼ同水準、もしくは購入時より高額で売れる可能性も出てきます。
できるだけ高額でマンションを売りたい場合には、時間に余裕を持って販売活動を進めたり、売り時の2月〜3月に合わせたり、部屋をきれいに整えて内覧に対応したりといった工夫が効果的です。
また、不動産の一括査定サービスを利用することで、ご自身のマンションの市場価格を把握し、適正な売り出し価格を決めることも重要です。
どの一括査定サービスを使えばいいか迷っている場合には、ぜひ「すまいステップ」もご利用ください。
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