不動産の短期譲渡|税率は高くても条件によってはメリットあり

不動産売却時にかかる各種税金については不動産の種類や面積などの諸条件によっても、その額が変化します。譲渡するタイミングによっても税額が変化することがあり、売却前からある程度税金について調査し、把握しておかなくては、思わぬ高額な経費になりかねません。
不動産を高値で売却することに気を取られるあまり、税金対策への配慮が後回しになると、のちのち大きな損をすることにもつながります。一方で不動産売却にかかる税金は、税制上の規則が複雑であるうえに、毎年微妙に税率が変化することもあるため、個人ですべてを把握するのは非常に難しくなっています。
この記事では、一般的に抑えておきたい税制上のポイントのうち短期譲渡に特化して、そのメリットや注意点を取り上げます。税負担が少しでも軽減されるように、早い段階から知識を身につけ、積極的に行動していきましょう。

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短期譲渡とは

不動産を売却したときは、売却代金から不動産の取得費と売却するときにかかった譲渡費用を差し引いた譲渡所得(売却益)に所得税や住民税がかかってきます。その税率は、不動産の所有期間によって異なりますが、ここでは「短期所有譲渡」の場合について見ていきます。

不動産売却時に発生する所得税

不動産を売却して譲渡益が出ると、その利益に対して税金が発生します。その内訳は住民税、譲渡所得税、復興特別所得税であり、一戸建てやマンション、土地といった不動産の種類による違いはさほどありません

不動産の所有期間によって税率が異なる

住民税と譲渡所得税の税率は、不動産の所有期間によって分けられています。土地や建物を売った年の1月1日時点で、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」、5年以下の場合は「短期譲渡所得」と言います。
【長期譲渡所得・短期譲渡所得における税率】

所得税住民税
長期譲渡所得15.315%5%20.315%
短期譲渡所得30.63%9%39.63%

なお、2013年から2037年までは、上記のほかにも復興特別所得税(基準所得税額×2.1%)が課されます。2018年中に譲渡した場合を例にとると、その土地や建物の取得が2012年12月31日以前であれば「長期譲渡所得」に、2013年1月1日以後であれば「短期譲渡所得」になります。

相続や贈与の場合

不動産の取得に際しては、遺産として親から土地や建物を相続する場合もあるでしょう。相続や贈与の場合には譲渡所得は発生しないので課税もなく、申告も不要です。ただし、相続税や贈与税の対象にはなりますので、それらは別途申告が必要です。

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短期譲渡の税金の計算方法

ここからは、短期譲渡の場合の所得税の計算方法について、具体的に見ていきましょう。

不動産の譲渡所得は分離課税方式

所得は、その性質によって給与所得や事業所得など10種類に分けられ、所得区分によって所得税の課税方式が異なります。課税方法には「総合課税」と「分離課税」の2種類があり、所得の合計をもとに税額を計算して確定申告により税金を納める、総合課税が原則です。
しかし、一時的に大きな所得を得た場合などは、総合課税で計算すると所得税額が大きくなり過ぎて、結果的に税負担が莫大になってしまいます。このような所得については、他の所得金額と合計せずに分離して税額を計算する分離課税が採用されます。

課税短期譲渡所得の計算式と具体例

税額の計算の前に、まずは課税短期譲渡所得金額を求めます。

課税短期譲渡所得金額=譲渡価額−(取得費+譲渡費用)−特別控除

こうして求められた課税短期譲渡所得金額に対し、短期譲渡所得の税率をかけて税額を求めます。

税額=課税短期譲渡所得金額×30%(住民税9%)

なお、2013年1月1日より、東日本大震災による被災地復興のための財源確保を目的とした特別措置法が施行されました。これにより、2013年から2037年までは、復興特別所得税として2.1%分を併せて申告・納付します。

具体的計算例

計算式にあてはめて、具体的な例を計算してみます。課税短期譲渡所得金額が800万円の場合で、税額の合計は317万400円となりました。
【課税短期譲渡所得金額が800万円の場合】

計算式税額
所得税800万円×30%240万円
復興特別所得税240万円×2.1%5万400円
住民税800万円×9%72万円

短期譲渡所得と長期譲渡所得を比較

不動産の所有期間によって分かれる短期譲渡所得と長期譲渡所得ですが、税制上はどちらが有利なのでしょうか。具体例とともに検証してみましょう。

短期譲渡と長期譲渡の定義

短期譲渡か長期譲渡かを分けるのは、不動産の所有期間で、所有期間が5年以下であれば短期譲渡所得、そして5年を超えるのであれば長期譲渡所得とされます。ただ、この「5年」という期間は、不動産を購入した日から売った日までの期間で計算するわけではありません。ポイントとなるのは、売却した日の属する年の1月1日です。

区分定義
短期譲渡所得売却した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもの
長期譲渡所得売却した年の1月1日において所有期間が5年以下のもの

短期譲渡の具体例

2013年5月1日に取得し2018年7月1日に売却した場合、所有期間は5年2カ月です。しかし、売却した2018年の1月1日現在を基礎に計算しますので、4年7ヶ月の経過となり、短期譲渡になります。

長期譲渡の具体例

2012年5月1日に取得し2018年7月1日に売却した場合、所有期間は6年2カ月です。売却した2018年の1月1日現在を基礎に計算した場合でも5年7ヶ月が経過しており、これは長期譲渡になります。

不動産取得日の定義

所有期間を計算する際、売却した年の1月1日からさかのぼって計算しますが、所有期間の始期である「不動産を取得した日」がいつになるのかということも重要な要素となります。以下に、不動産取得の方法と取得日の定義をまとめました。

取得の方法不動産取得日の定義
購入の場合引渡日(売買契約の効力発生日とすることもできる)
建築工事により建物を建築した場合引渡日
自営工事により建物を建築した場合建築の完了日

短期譲渡か長期譲渡か選べる例

以下の例は、新築マンションの購入契約→取得→売却契約→引渡しにおける時間軸を表にしたものです。

契約引渡し
新築マンションの取得2009年1月23日2011年2月10日
売却2015年9月10日2016年1月26日

不動産の取得・譲渡の日の定義は、原則として引渡し日ですが、契約日をもって判断しても良いことになっています。ただし、新築の場合は引渡し日のみとなるので、上記の例では「2011年2月10日」が取得日です。
そして、売却による譲渡の際には、もう新築ではありませんので、契約日の2015年9月10日でも、引渡し日の2016年1月26日でも、どちらを用いても良いことになります。したがって、契約日を用いれば基準日が2015年1月1日となり短期譲渡。引渡し日を用いれば基準日が2016年1月1日となり長期譲渡になります。

税制上は長期譲渡が有利

長期譲渡の方が税制面で優遇されているので、当然税額が少なくて有利です。このように短期譲渡で税率が高い理由は、土地転がしを抑制する目的があります。
バブル景気のころは、不動産価値がどんどん上がり、単に不動産を保有してしばらくしてから売るだけで利益が出ました。そのため、バブル期には短期間で不動産売買による利益を得ようと土地の売買が横行したのです。
結果として、投機目的の土地取引が多くなったために、本当に土地を必要としている人が土地を買えないという事態を招きました。これを抑制するために、短期間で不動産を売却しようとする人には重い税金を課したのが、短期譲渡所得の始まりです。

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短期譲渡が長期譲渡よりメリットとなる点

長期譲渡の方が税制面では有利ですが、短期譲渡が損ばかりというわけではありません。短期譲渡にはそれなりのメリットがあります。

短期譲渡における5つの控除

土地と家屋をまとめて売却した場合であっても、土地の部分と家屋の部分の税金は別々に処理されます。土地にかかる税金は、短期譲渡でも控除することができることになっており、下表のように5つの控除が存在します。

特例・控除利用できるケース
長期譲渡所得の1000万円特別控除2011年・2012年に取得した土地を売却する場合
5,000万円の特別控除の特例公共事業のために土地を売却する場合
2,000万円の特別控除の特例特定土地区画整理事業のために土地を売却する場合
1,500万円の特別控除の特例特定住宅地造成事業のために土地を売却する場合
800万円の特別控除の特例農地保有の合理化のために土地を売却する場合

年数が浅いほど高額で売却できる

不動産の価値を決定する際は、基本的に築年数が最も重要な要素とされます。当然ながら建ってから間もない物件であれば高値で査定され、更に立地や設備なが整っている場合は、そこにプラスの付加価値も期待できるでしょう。
逆に築年数が10年前後経過した中古物件ともなると不動産価値も急激に落ち込みます。周辺環境や交通インフラなどの利便性といった好条件が無い限り、なかなか高い金額では売れません。当初提示した額より値引きが必要となって、希望額より下回ることも多いでしょう。

固定資産税によるメリット

短期譲渡の際には所得税や住民税が高額にはなるものの、固定資産税や都市計画税を支払わずに済むことから、資産を効率的に現金化することができるメリットがあります。資産価値のある土地とはいえ、特に活用することもなく所有するだけでは、固定資産税や都市計画税だけがかさんでしまいます。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の物件の場合、1,000万円の1.4%である14万円もの固定資産税を毎年支払わなければなりません。また、更地だからといって放っておけばよいものでもなく、不定期に管理費・維持費などもかかることでしょう。
長期所有により譲渡税率を減らしたとしても、トータルのコストが高くついてしまう可能性があるならば、短期譲渡の方がお得になる場合もあると言えます。

相続して3年以内の売却なら税負担が軽くなる

相続税の申告期限から3年以内での売却であれば、税負担が軽減される「取得費加算の特例」が利用できます。この制度では、譲渡所得計算の際に売却価格から除かれる費用(取得費、譲渡費用など)のほかにも、売却した土地や建物に対する相続税額も除外することができるので、譲渡所得を低く抑えられます。
具体的な計算方法は以下の通りです。相続で得た不動産の場合は、取得費加算の特例が利用できないか確認するようにしましょう。
【相続税申告期限から3年以内に売却したときの課税譲渡所得金額】

売却(譲渡)価格 −(取得費、譲渡費用、売却した不動産に対する相続税額)= 課税譲渡所得金額
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電卓の上にある家の模型

短期譲渡に関しての特例と注意点

短期譲渡か長期譲渡かを決定づける要素である不動産の「所有期間」には、さまざまな特例と注意点が存在します。個人ですべてを把握することは難しいので、プロへの相談も検討しましょう。

譲渡所得における特別控除と限度額

譲渡所得を計算する際には、居住用財産の特例として、以下の5つが適用できる可能性があります。

  • 3,000万円特別控除の特例
  • 10年超所有軽減税率の特例
  • 特定居住用財産の買換え特例
  • 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除

この中でも特に、3,000万円特別控除の特例は適用機会が多い特例です。これは、マイホーム(居住用財産)を売却したときは、所有期間に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができるという特例で、多くのケースで譲渡所得がマイナスになるでしょう。

所有期間を引き継ぐことができるケース

実際に不動産を所有していた期間が短期所有にしか該当しない場合であっても、相続や贈与などにより引き継いだ土地建物は前の所有者の所有期間をそのまま引き継ぐことができます。また、固定資産の交換によって取得した不動産や、収用の代替資産も前の不動産の所有期間を引き継ぐことができます。

居住期間として認められるケース

税法上の居住期間は、入居日から転居日までの期間を指します。また、単身赴任などの理由で家族が住む家から離れて暮らしていた場合であっても、やがて再び家族と共に暮らすことが想定される場合、単身赴任期間中も居住期間として認められます。

借地権や耕作権など土地の上に存する権利

分離課税の譲渡所得を計算する際、その課税対象には土地のほか、借地権や耕作権など土地の上に存在する権利を含みます。耕作権とは、小作契約により、小作人が地主に小作料を支払って、農地を耕作したり、放牧により畜産を営む権利です。
また、海外に所在する土地や建物を売却した場合の譲渡所得も、分離課税の課税対象です。譲渡収入は収入すべき日の為替レートで換算し、取得費は取得の日、譲渡費用はその支出日で換算します。なお、取得日と譲渡日の為替レートが異なっていても為替差損益は譲渡所得の計算に含まれ、別途計算する必要はありません。

土地と建物で所有期間が分かれている場合

家屋を立てるタイミングと土地の取得のタイミングに大きな開きがあった場合などは、当然ながら土地と建物の所有期間が異なってくることがあります。そうなると、土地は長期所有で、建物は短期所有といったように別れる場合もあるので注意が必要です。

迷ったらプロに相談を

不動産売却における税制上の取り扱いには、さまざまな制度や売却に有利となるタイミングがあります。複雑な手続きも多く、個人での対応では思わぬ損失が発生してしまうことにもなりかねません。そういったとき、信頼できるプロに任せるのが安心です。すまいステップなら全国の不動産業者からぴったりの業者を紹介してもらえるので、税制面で困ったときに活用してみてはいかがでしょうか。

短期譲渡のメリットも理解しておこう

譲渡所得に対する税率だけで見ると、一見不利にも見える短期譲渡ですが、特別控除や売却金額の大きさなどから考えると、必ずしもデメリットだけではありません。メリットも理解して売却時の検討材料にしましょう。

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