不動産の売却で利益が生じた場合、譲渡所得に対して、譲渡所得税(所得税+住民税)がかかります。
所得税を支払うタイミングは、不動産を売却した翌年の確定申告時(2月16日~3月15日)です。
住民税は、不動産売却をした翌年の6月以降に支払います。6月上旬に納付書が届き、6月、8月、10月、翌1月の4回に分けて納めます(普通徴収の場合)。
譲渡所得税は、不動産を売却する人が必ず支払わなければならない税金ではなく、利益が生じた場合のみに支払う必要があります。
その他、税金の支払いのスケジュールは以下の通りです。
本記事では、譲渡所得税の支払い時期や、計算方法について詳しく解説します。また、譲渡所得税以外にも不動産を売却する際にかかる税金について説明します。
不動産売却ではどんな税金をいつ払うの?
不動産を売却する際には、以下のような税金がかかります。
必ずかかる税金
不動産を売却する際、「印紙税」と「登録免許税」が必ずかかります。
印紙税
印紙税は、売買契約時に作成する売買契約書に対してかかる税金です。
売買契約書の記載金額 | 税額(※) |
---|---|
100万円を超え 500万円以下 | 1千円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 5千円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下 | 16万円 |
国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」より抜粋して引用
※令和6年3月31日までの軽減税率が適応された価格
支払うタイミング
印紙税を支払うタイミングは、売買契約を結ぶ際になります。
支払い方法
売買契約書に収入印紙を貼付し、消印することで納付できます。
印紙税の納付には、事前に収入印紙を購入しておく必要があります。納税額と同額の収入印紙を郵便局や法務局などで購入します。
登録免許税
登録免許税は、法務局に登記を申請する時にかかる税金です。
不動産を売却する時には、借入しているローンの残債を全額繰上げ返済することが多いです。
ローンを完済した不動産の抵当権は自動的には抹消されないので、売却前に「抵当権抹消登記」をしなければなりません。
不動産の抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産一件についき1,000円です。
ただし、売主から買主へ所有権を移す「所有権移転登記」は、一般的に買主が登録免許税を負担します。
支払うタイミング
支払い方法
個人で法務局にて抵当権抹消登記をすることも可能ですが、一般的には、司法書士に抵当権抹消依頼をします。
個人でする場合は、必要書類を準備したうえで、管轄の法務局に、必要な金額分の収入印紙を台紙に貼り付け申請書と共に提出します。
司法書士に依頼する場合は、別途16,000円程度の司法書士手数料を支払います。
利益が生じた際にかかる税金
不動産の売却では、利益が生じた際には「譲渡所得税」がかかります。譲渡所得税には、所得税と住民税が含まれます。
所得税
所得税は、不動産の売却益(譲渡所得)に対して課税され、国に治める税金です。
不動産を売却する人が必ず支払わなければならない税金ではなく、利益が生じた際のみに支払う必要があります。
所得税は以下の式で求められます。
所得税は、給与所得や事業所得など他の所得とは分離して税額を計算します。
譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間に応じて以下のようになります。
所有期間が5年以下 | 所有期間が5年超 |
---|---|
30% | 15% |
所得税を求めるには、まず譲渡所得がいくらになるか考えます。
譲渡所得とは、不動産の売却価格から売却にかかった費用(譲渡費用)と不動産を取得した当時にかかった費用(取得費用)を差し引いた金額です。
支払うタイミング
支払い方法
住民税
住民税は、不動産の売却益(譲渡所得)に対して課税され、不動産のある自治体に収める税金です。
住民税は、所得税と同様、不動産を売却する人が必ず支払わなければならない税金ではなく、利益が生じた場合のみに支払う必要があります。
住民税の税額は、所得税と同じように、不動産売却の利益(譲渡所得)に税率をかけ合わせて算出します。
住民税の税率は、不動産の所有期間が5年を超える場合は5%、5年以下の場合は9%です。
支払うタイミング
支払い方法
不動産を売却した際にかかる住民税は「特別徴収」または「普通徴収」のいずれかを選んで納めます。
特別徴収とは、給与所得に不動産売却で生じた譲渡所得を合算して、住民税を勤め先の給与から引く支払い方法です。
一方、「普通徴収」は、自らが自治体から送られてくる納付書を金融機関などで支払います。
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費用総額シミュレーターで売却にかかる費用を算出してみよう
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
不動産売却でかかる税金を抑える方法
この章では、不動産売却でかかる税金を抑える方法を紹介します。
印紙税を節税する方法
作成する売買契約書を1通のみにすることで、印紙税を節約することができます。
本来、売買契約書は、買主が保管する分と売主が保管する分の2通を作成します。
これを、買主が保管する1通のみを作成し、売主は買主の契約書のコピーを受け取ることで、かかる印紙税を抑えられます。
ただし、契約書の原本に比べて、コピーの法的な効力は低くなります。
売買契約後にトラブルが起こるケースもあるため、売主側も原本を作成して保管することが望ましく、あまりおすすめしません。
譲渡所得税を節税する方法
譲渡所得税は、課税される場合には高額になることが多いです。以下の方法で節税できないか、検討してみましょう。
▼購入代金がわかる資料を探す
売却する不動産を、購入した当時の金額がわかる資料を探すことで、節税ができる可能性があります。
▼適用できる特例を探す
不動産の譲渡所得には、控除を受けられる特例があります。
また、税率を軽減したり、損失が出た場合に給与所得や事業所得と損益通算して減税ができる特例もあります。
以下に、特例の一部をご紹介します。
特例 | おおまかな条件 |
---|---|
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除 | 住んでいた家屋や敷地を売却する。 |
被相続人の居住用財産を売ったときの特例(3,000万円控除) | 相続した空き家や敷地を売却する。 |
マイホームを売ったときの軽減税率の特例 | 10年を超えて所有し、居住していた不動産を売却する。 |
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 | マイホーム買い換え時に損失が出た時に、損失額を他の所得から控除できる。 |
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除 | 平成21年・22年に取得して、5年以上保有した土地を売却する。 |
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除(100万円控除) | 都市計画区域内の活用されていない土地を500万円以下で売却する。 |
譲渡所得の控除を受けられると、課税の対象額を小さくできるため、節税に繋がります。
利用するには、確定申告で適用を申請しなければならないので、受けられそうな特例があれば、適用条件の詳細を確認してみましょう。
▼ふるさと納税を活用する
先述の特例による控除が受けられない時は、納税額を直接減らせる訳ではありませんが、ふるさと納税を活用するという方法もあります。
ふるさと納税の制度を利用して寄附を行うと、寄附額分の返礼品を受け取りつつ、所得税・住民税の控除を受けられます。
(2,000円の自己負担金が必要です。)
また、不動産売却の譲渡所得によって、ふるさと納税で控除を受けられる年間上限額も上がるため、毎年利用しているという人も、見直してみましょう。
ご自身の年間上限額は、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」や、民間のふるさと納税サイトのシミュレーターで調べられます。
相続した土地を売却した際にはふるさと納税の上限額があがってお得?
まとめ
不動産の売却で利益が生じた場合、譲渡所得に対して、譲渡所得税(所得税+住民税)がかかります。
所得税を支払うタイミングは、不動産を売却した翌年の確定申告時(2月16日~3月15日)です。
住民税は、不動産売却をした翌年の6月以降に支払います。6月上旬に納付書が届き、6月、8月、10月、翌1月の4回に分けて納めます(普通徴収の場合)。
所得税と住民税は、不動産を売却する人が必ず支払わなければならない税金ではなく、利益が生じた場合のみに支払う必要があります。
不動産を売却する際にかかる税金は、税金の種類によって支払い時期が異なります。そのため、納税を忘れることがないように支払い時期をきちんと把握しておきましょう。