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【2023年4月最新】土地売却にかかる税金はいくら?計算方法や節税のための特例控除を解説

  • 更新日:2023年4月10日
蔭山達也
監修蔭山 達也
大学卒業後、大手不動産流通会社に入社。売買仲介をメインに実務経験を積む。その後、株式会社ノヴェルに入社。著書に「条件難物件でも低予算で満室になるおもてなしビル管理経営」がある。
【保有資格】宅地建物取引士、ビル経営管理士、CPM(米国不動産経営管理士)、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター
【URL】株式会社ノヴェルYouTubeチャンネル
【2023年4月最新】土地売却にかかる税金はいくら?計算方法や節税のための特例控除を解説

土地にかかる税金はいくら?」「税金の計算方法を教えて!

土地売却にかかる税金には、売却で出た利益にかかる「譲渡所得税」、売却手続きにかかる「登録免許税」「印紙税」があります。

譲渡所得税は売却益(譲渡所得)の20.315%または39.63%登録免許税土地一筆あたり1律1,000円、印紙税売却代金に応じて税額が決まります

本記事では、土地売却が初めての方に向けて、どんな税金がいくらになるのか、税金の計算方法や節税できる特例控除について、やさしく解説しています。

※本記事の内容は各省庁(国税庁・法務省・農林水産省)の公式ページ(以下)に掲載される、2023年4月時点で施行中の法令を参考にしています。法令は各省庁によって毎年4月に更新され、次回の更新日は2024年4月です。

本記事が参考にした各省庁の公式ページはこちら
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もくじ

【2023年4月最新】土地売却にかかる税金はいくら?

冒頭でも触れましたが、本章では土地売却にかかる税金(譲渡所得税、登録免許税、印紙税)について解説します。

▼土地売却にかかる税金はいくら?

種類概要いくら
譲渡所得税土地の売却益(譲渡所得)にかかる所得税・住民税・復興特別所得税売却益(譲渡所得)の20.315%または39.63%
登録免許税抵当権抹消手続きにかかる税金土地1筆につき一律1,000円
印紙税売買契約にかかる税金売却価格に応じて決まる

「譲渡所得税」は売却益の20.315%または39.63%

譲渡所得税とは土地を売って得た利益(=譲渡所得)にかかる税金で、所得税・住民税・復興特別所得税の総称です。

譲渡所得税の税率は売った土地の所有期間によって決まります。所有期間が5年以下の場合は「短期譲渡所得」とされ税率は39.63%、5年超えの場合は「長期譲渡所得」とされ税率は20.315%です。

譲渡所得税は譲渡所得の何%か

参考|国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」より、一部抜粋して解説

なお、譲渡所得は土地の購入や売却にかかった費用が、売却代金を下回る場合に発生します。(売却代金から費用を差し引いた差額分が譲渡所得となります)

費用総額が売却代金を下回る場合は譲渡所得が発生する

また、譲渡所得税が発生する場合、納税は売却した翌年になります。

所得税と復興特別所得税は翌年2月~3月(確定申告時)に一括払い、住民税は翌年の6月以降に分割または一括で支払います。

「登録免許税」は土地1筆あたり1,000円

登録免許税とは、抵当権の抹消登記に必要となる税金です。

抵当権抹消登記は、相続した土地に抵当権が設定されている場合のみ必要(土地1筆につき一律1,000円)になります。
抵当権が設定されている土地は原則売却不可なので、抵当権が設定されたままになっている場合は、売り出し前に抹消登記を必ず行うようにしましょう。

参考|法務省「抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税」より、一部抜粋して解説

抵当権抹消の手続きに必要な書類とは|完済後すぐに始めよう

「印紙税」は売却価格に応じて決まる

印紙税とは売買契約手続きにかかる税金のことです。

印紙税は契約書1通ごとに課税され、金額は契約金額(土地の売却価格)に応じて異なります。なお、平成26年4月1日~令和6年3月31日の売買契約では、軽減税率が適用されます(右端の欄をご参照)

契約金額(土地の売却価格)本来の税率の税額軽減税率の税額
10万円を超え
50万以下
400円200円
50万円を超え
100万円以下
1,000円500円
100万円を超え
500万円以下
2,000円1,000円
500万円を超え
1,000万円以下
1万円5,000円
1,000万円を超え
5,000万円以下
2万円1万円
5,000万円を超え
1億円以下
6万円3万円
1億円を超え
5億円以下
10万円6万円

参考|国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」より、一部抜粋して作成

なお、納税する際は収入印紙を売買契約書に張り付けて支払います。

不動産売却にかかる印紙税とは?いくらかかる?どの文書に必要?

土地売却にかかる譲渡所得税の計算方法

譲渡所得税は、譲渡所得から控除額を差し引いた金額に税率を掛け合わせて計算します。

▼譲渡所得税の計算式

譲渡所得税の計算式

参考|国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」より、一部抜粋して解説

本章では、譲渡所得税の課税の仕組みを理解するために、譲渡所得の計算方法と税率の決まり方について解説します。

譲渡所得の計算式

譲渡所得税を計算するためには、まずは課税対象となる譲渡所得を求めましょう。

譲渡所得は売却代金から「譲渡費用(土地の売却にかかった費用)」と「取得費(土地の購入にかかった費用)」を引いて計算します。

▼譲渡所得の計算式

譲渡所得の計算式

参考|国税庁【令和4月4月1日法令】「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」より、一部抜粋して作成

「譲渡費用」と「取得費」の内訳は以下の通りです。漏れなく計上することで節税につながるので、領収書等、費用がわかる書類は自宅で保管しておくことをおススメします。

【譲渡費用】(売却にかかった費用)

  • 売却にかかった仲介手数料
  • 売却のために負担した印紙税
  • 土地を売るために取り壊した際の解体費用
  • 土地の売却のために支払った測量費 etc…

参考|国税庁「譲渡費用となるもの」より、一部抜粋して解説

【取得費】(購入にかかった費用)

  • 土地の購入にかかった代金
  • 土地の取得のために支払った登録免許税
  • 土地の取得に際して支払った土地の測量費
  • 土地を相続(取得)するための支払った相続税 etc…

参考|国税庁「取得費となるもの」より、一部抜粋して解説

また、相続した土地は取得費がわからない(=購入価格を証明できる書類がない)ケースがとても多いです。

取得費がわからない場合、【売却代金の5%】を「概算取得費」として計算できます。

例えば売却代金が5,000万円の場合、「概算取得費」は【5,000万×5%=250万】となります。

すまリス
「概算取得費」は実際よりかなり低い金額になるから、できれば取得費がわかる書類を探して節税につなげよう!
参考|国税庁「取得費が分からないとき」より、一部抜粋して解説

控除額を差し引ける場合も

特例控除を利用すると、課税対象となる譲渡所得から控除額を差し引くことができます。

控除額が譲渡所得を上回る場合は非課税、控除額が譲渡所得を下回る場合は減税ができます。

▼特例控除によって譲渡所得税を節税できる

特例によって節税できる

特例の控除額は最大5,000万円~100万円と種類によってバラつきがあります。特例の適用要件は種類によって異なるため、自分の状況にあった特例を選んで積極的に利用しましょう。

※土地売却で使える特例控除については次章以降で解説していますので、ご確認ください。

参考|国税庁「譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」より、一部抜粋して解説

税率は所有期間に応じて決まる

解説した通り、所得税と住民税(譲渡所得税)の税率は土地の所有期間によって変わります。

課税譲渡所得は所有期間が5年以下なら「短期譲渡所得」、5年を超えると「長期譲渡所得」と分類され、所得税と住民税の税率はそれぞれ以下になります。

▼短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率

税率所有期間5年以下
(短期譲渡所得)
所有期間5年超
(長期譲渡所得)
所得税率30.63%15.315%
住民税率9%5%
合計税率39.63%20.315%
※所得税率に復興特別所得税として所得税額の2.1%相当が上乗せされています。
すまリス
所有期間が5年超えなら税率が約1/2になるよ!

所有期間は売却した年で決まる

なお、ここでの「所有期間」は『土地を取得した日から売却した年の1月1日までの年数』と計算されます。

所有期間から売却日を決める際に注意したいのは、売却日が年内なら所有期間が4年、年明けだと5年となるケースです。

この場合は、年明けに売ることで税率を約1/2にできるので、節税したいなら売却日を意図的に調整することが大切です。

例えば、取得日が2018年の土地を2022年12月31日に売ると、所有期間は4年(2018年~2022年)となります。
しかし、2023年1月1日に売れば5年(2018年~2023年)となり、たった1日ずらすだけで税率を約1/2になるのがわかります。

▼売却日を1日ずらすだけで税率が約1/2になるケース

うる

参考|国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」より、一部を抜粋して解説

所有期間は被相続人から引き継げる

また、相続した土地の場合、所有期間を被相続人から引き継げます
例えば、父が4年前に購入した土地を息子が相続から3年後に売却した場合、所有期間は7年とみなされ、長期譲渡所得として計算されます。

▼相続した土地は所有期間を被相続人から引き継げる

所有期間は被相続人から引き継げる

参考|国税庁「相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」より、一部を抜粋して解説

すまリス
相続した土地の場合は親の所有期間を確認して合算しようね!

なお、相続した土地を売却する場合にかかる税金の計算方法は、以下で詳しく解説しています。

相続した土地の売却にかかる税金はいくら?特例控除や基本的な節税対策を解説!

譲渡所得税の計算例(控除なし)

譲渡所得税の計算方法がわかったところで、実際に事例をもとに計算してみましょう。

※本ケースでは、控除を利用する場合を考慮していません。控除を利用する場合の譲渡所得税の計算式は次章以降で解説しています。

例えば、10年所有した取得費不明の土地を売却する場合の譲渡所得税の計算例は次のようになります。

  • 売却価格:2,000万円
  • 取得費:不明
  • 譲渡費用:300万円
  • 所有期間:10年

まず、取得費が不明なので概算取得費で計算します。
また、所有期間が5年超えなので「長期譲渡所得」の合計税率20.315%を用います。

概算取得費(売却代金×5%):2,000万×5%=100万円
譲渡所得:2,000万円ー100万円ー300万円=1,600万円
譲渡所得税:1,600万円×20.315%=325.04万円
100円未満は切り捨てとなるため、譲渡所得税は325万円になります。

相続した土地を売却する場合に使える特例控除

前章では特例控除によって、土地の売却にかかる譲渡所得税を節税できることを解説しました。
本章では、特例控除のなかでも「相続した土地を売却する場合」に利用できる特例控除を解説しています。
▼相続した土地を売却する場合に使える特例制度
特例名適用要件(一部)控除額
相続空き家の3,000万円特別控除
  • 被相続人が生前1人で住んでいた土地を売る
3,000万円
取得費加算の特例
  • 被相続人が生前1人で住んでいた土地を売る
相続税額の一部

※両者は併用不可となっています

土地売却で受けられる税金控除・特例を解説!

相続空き家を売却した場合の【3,000万円控除】

被相続人が生前1人で住んでいた土地を相続開始から3年以内に売却する場合、譲渡所得に対して最大3,000万円の控除を受けられます。
ただし、相続から売却までの間に、居住や貸付用に土地が利用されていないことが適用要件の一つになります。

その他の適用要件は以下のとおりで、利用時は全てに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 相続開始の直前まで被相続人が1人で住んでいたこと
    • 被相続人が直前に老人ホームに入所していた場合も含む
  • 被相続人から相続した家屋を取り壊した土地の売却であること
    • 相続から取り壊し時までに、取り壊した家屋や土地が居住や事業(貸付け等)の用に供されていないこと
  • 平成28年4月1日から令和5年12月31日までに売ること
  • 相続開始から3年を経過する日の属する12月31日までに売ること
  • 売却相手が親子や配偶者など特別な関係にある人(法人含む)でないこと
  • 売却価格が1億円以下であること
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や、他の収用に関する特別控除の適用を受けていないこと

参考|国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」より、一部を抜粋して解説

控除を利用した譲渡所得税の計算例①

相続空き家の3,000万円控除を利用する場合の譲渡所得税の計算例を見てみましょう。

例えば、親が生前一人で住んでいた、取得費1,000万円の土地を相続して2,000万円で売却する場合、計算例は次のようになります。

  • 売却価格:2,000万円
  • 取得費:1,000万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 所有期間:10年(長期譲渡所得の合計税率20.315%が適用)
  • 控除額:3,000万円
譲渡所得:2,000万円ー1,000万円ー300万円=700万円
課税譲渡所得:700万円ー3,000万円=0円
譲渡所得税:0円×20.315%=0円
譲渡所得700万円から控除額3,000万円を差し引けるので、課税譲渡所得はゼロになり非課税となります。

取得費加算の特例で【相続税額の一部を控除】

「取得費加算の特例」とは、譲渡所得を計算する際の取得費に、土地にかかった相続税の一部を加算できる特例です。

相続税納税者が相続開始から3年10カ月以内に土地を売却する場合に利用できる特例制度になります。

適用要件は以下のとおりで、利用時は全てに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 相続や遺贈によって財産を取得した者であること
  • その財産を取得した者に相続税が課税されていること
  • 相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに売却すること

参考|国税庁相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」より、一部を抜粋して解説

※相続税の申告期限は相続開始(被相続人が死去した日)から10か月以内です。つまり、特例を利用するためには「相続開始から3年10か月以内」に土地を売却することになります。

控除を利用した譲渡所得税の計算例②

「取得費加算の特例」を利用する場合の譲渡所得税の計算例を見てみましょう。

例えば、相続税額の一部が500万円の土地を2,000万円で売却する場合、本特例を利用すると譲渡所得税の計算例は次のようになります。

  • 売却価格:2,000万円
  • 取得費:1,000万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 相続税額の一部:500万円
  • 所有期間:10年(長期譲渡所得の合計税率20.315%が適用)
譲渡所得:2,000万円ー1,000万円ー300万円ー500万円=200万円
譲渡所得税:200万円×20.315%=40.63万円
この場合、譲渡所得税は40.63万円となります。

自分が住んでいた土地を売却する場合に使える特例控除

土地売却では、相続した土地だけでなく、自分が住んでいた土地を売却するケースもあるでしょう。

本章では、自分が住んでいた土地を売却する場合に使える特例控除について解説しています。

▼自分が住んでいた土地を売却する場合に使える特例控除
特例名適用要件(一部)控除額
居住用財産を売却した場合の3,000万円控除
  • 売主が以前住んでいた土地を売る
3,000万円
所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 売主が以前住んでおり所有期間が10年超えの土地を売る
譲渡所得の金額に応じて税率が軽減される
  • 6,000万円以下の部分
    • 所得税率:10.21%
    • 住民税率:4%
  • 6,000万円を超える譲渡所得の部分
    • 所得税率:15.315%
    • 住民税率:5%

※両者は併用可となっています

居住用財産を売却した場合の【3,000万円控除】

居住用財産(自分が住んでいる家)を売却した場合、譲渡所得に対して最大3,000万円の控除を受けられます。

ここでいう「居住用財産」とは【実際に住んでいた家、または家が建っていた土地】のことで、仮すまいや別荘、賃貸用の家等は該当しません。

家屋を取り壊している場合は、住まなくなってから3年以内に売却することも適用要件ですので注意してください。

適用要件の内容は以下のとおりで、利用時は全てに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 居住用財産(自分が住んでいた家が建っていた土地)の売却であること
    • 別荘や賃貸用の家、仮住まい用の住宅に使用していた土地は不可
  • 家屋を取り壊している場合、取り壊しから1年以内に土地の売買契約が結ばれていること
    • かつ、取り壊し前の家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
    • 家屋を取り壊した土地を売却までに別の用途(貸駐車場など)に使用していないこと
  • 家屋が災害によって滅失した場合、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
  • 売却相手が親子や配偶者などの特別な関係にある人(法人含む)ではないこと
  • 売った年の前年・前々年に以下の特例の適用を受けていないこと
    • 同じ特例(ただし相続空き家を売却した場合に適用される3000万円特別控除は除く)
    • マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例
    • マイホーム買い換えによる特例
    • その他土地収用による控除などの特例
    • 住宅ローン控除

参考|国税庁「マイホームを売ったときの特例」より、一部を抜粋して解説

所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の【軽減税率の特例】

居住用財産の所有期間が10年超の場合、「所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を利用できます。

家屋を取り壊した日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超える必要があります。

適用の有無課税長期譲渡所得金額所得税住民税合計税率
全額15.315%5%20.315%
6,000万円以下の部分10.21%4%14.21%
6,000万円を超える部分15.315%5%20.315%

※所得税率に復興特別所得税として所得税額の2.1%相当が上乗せされています

すまリス
軽減税率が適用されると、6,000万円以下の部分の税率が軽減されるんだね!
本特例は「居住用財産の3,000万円控除」と併用可能なので、適用要件を満たす場合は積極的に利用しましょう。

控除を利用した譲渡所得税の計算例③

「居住用財産の3,000万円控除」と「所有期間が10年超えの居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を併用する場合の例を見てみましょう。

例えば、自分が12年間住んでいた取得費2,000万円の土地を9,000万円で売却する場合、税額は次のように計算します。

  • 売却価格:9,000万円
  • 取得費:2,000万円
  • 譲渡費用:300万円
  • 所有期間:12年(長期譲渡所得の合計税率20.315%が適用)
譲渡所得:9,000万円ー2,000万円ー300万円=6,700万円
譲渡所得税:(6,000万円×14.21%)+(700万円× 20.315%)=994.8 万円
この場合、譲渡所得税は994.8 万円となります。

事業やその他の目的で土地を売却する場合に使える特例控除

本章では事業やその他の目的で土地を売却する場合に使える特例控除を解説しています。

▼土地売却で利用できる特例制度
控除額特例名適用要件(一部)
5,000万公共事業などのために売却した場合の5,000万円特別控除
  • 公共事業のために土地を売る
2,000万区画整理事業などのために売却した場合の2,000万円特別控除
  • 土地区間整理事業により土地を売ること
1,500万特定住宅地造成事業などのために売却した場合の1,500万円特別控除
  • 特定住宅地造成事業のために土地を売ること
1,000万平成21年・22年に取得した土地を売却した場合の1,000万円特別控除
  • 平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に売ること
800万農地保有の合理化などのために売却した場合の800万円特別控除
  • 農業委員会の斡旋により認定農業者などへ土地を売却すること
100万低未利用地等を売却した場合の100万円特別控除
  • 令和4年12月21日までに都市計画区域内にある利用されていない土地を売ること

公共事業や区分整理のために土地を売却した場合の【5,000万円控除】

公共事業のために土地を売却した場合、譲渡所得に対して最大5,000万円の控除を受けられます。

適用要件は以下のとおりで、利用時は全てに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 公共事業のための売却であること
  • 売却した土地は固定資産であること
  • 買い取りを申し出られた日から6カ月以内に売ること
  • 公共事業の施行者から最初に買い取りの申し出を受けた人(または相続した人)が売ること
  • 同じ公共事業のために過去に本特例を受けていないこと
  • 以下の特例を受けていないこと
    • 収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例
    • 交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例
    • 優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率等の特例

【利用時の注意点】

  • 公共事業者から受け取った補償金のうち、収益補償金、移転補償金、経費補償金などは5,000万円の特別控除の対象となりません
  • ただし、建物を解体している場合、建物移転補償金は控除の対象となります

参考|国税庁「収用等により土地建物を売ったときの特例」より、一部を抜粋して作成

区画整理事業のために売却した場合の【2,000万円控除】

国や地方公共団体などが行う土地区間整理事業により土地等を売却した場合、譲渡所得から最大2,000万円の控除を受けられます。

区画整理事業」とは、公共施設(道路、公園、河川等)を整備・改善し、土地の区画を整え宅地の利用の増進を図る事業のことです。公共施設が不十分な区域にて、土地を公共用地に充て、その一部を売却し事業資金の一部とします。

適用要件は以下のとおりで、いずれかに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 以下いずれかのために売却している
    • 土地区間整理事業
    • 住宅街区間整理事業
    • 第一種市街地再開発事業
    • 防災街区整備事業
  • 同じ事業のために過去に本特例を受けていないこと

特定住宅地造成事業のために土地を売却した場合の【1,500万円控除】

特定住宅地造成事業のために土地を譲渡したとき、譲渡所得から最大1,500万円を控除できます。

特定住宅地造成事業」とは、住宅地の造成や商店街の活性化など、住宅地やその周辺地域の開発を目的とした事業のことで、以下の例があげられます。

【特定住宅地造成事業の例】

  • 公有地の拡大
  • 防災街区の整備
  • 沿岸道路整備
  • 中心市街地の活性化 etc…

また、適用要件は以下のとおりで、いずれかに該当していることが必要です。

【適用要件】

  • 地方公共段代などが行う住宅の建設または宅地造成のために買い取られた
  • 収用などの事業を行う人にその収用の対償地に充てるために買い取られた
  • 特定の民間の宅地造成事業、住宅建設事業などを供するために買い取られた
  • 公有地の拡大の推進に関する法律の規定により買い取られた
  • 以下いずれかの特例を受けていない
    • 買い取られる土地全て(または一部)についての交換・買い替えなどの特例
    • 優良住宅地の造成等のために土地を売却した場合の軽減税率の特例

参考|国税庁「特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除」より、一部を抜粋して作成

平成21年・22年に取得した土地を売却した場合の【1,000万円控除】

平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に売却、または平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に売却した場合、最大1,000万円の控除を受けられます。

適用要件を整理すると以下のとおりで、全てに該当する必要があります。

【適用要件】

  • 平成21年に取得した土地(及び権利)を平成27年以降に売る、または平成22年に取得した土地(及び権利)を平成28年以降に売る
  • 特殊な間柄(親子や夫婦、生計を一にする親族、内縁関係にある人、または特殊な関係の法人など)にある人から取得した土地ではない
  • 以下を適用していない
    • 土地収用に関する特別控除
    • 事業用資産の場合の課税の繰り延べ

参考|国税庁「平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除」より、一部を抜粋して作成

農地保有の合理化などのために売却した場合の【800万円控除】

個人または農業生産法人が保有する農地区域内の農地を、農業委員会の斡旋により認定農業者などへ売却した場合に、最大800万円の控除を受けられます。

ただし、農業の効率化を行う政策のための特例であるため、通常の農地売買(農地法第3条許可に基づく)には適用されません。

適用要件を整理すると以下のとおりで、いずれかに該当する必要があります。

【適用要件】

  • 農業委員会の勧告に係る協議、調停又は斡旋により売却した
  • 農地中間管理機構に売却した
  • 農用地利用集積計画により売却した

参考|農林水産省「農地の譲渡に係る特例措置について知りたい」より、一部を抜粋して作成

低未利用土地を売却した場合の【100万円控除】

令和2年7月1日から令和4年12月21日までに個人が都市計画区域内にある低未利用土地等を売却した場合、最大100万円を控除できます。

【低未利用土地とは】

  • 居住や事業、その他の用途に利用されていない土地(及び権利)
  • 利用されていても周辺地域の同じ用途の土地に比べて利用の程度が著しく劣っている土地(及び権利)のこと
    (空き地、空き家・空き店舗、耕作放棄地、管理を放棄された森林など)

適用要件を整理すると以下のとおりで、全てに該当する必要があります。

【適用要件】

  • 都市計画区域内にある土地の売却であること
  • 売った年の1月1日において所有期間が5年を超えること
  • 売却相手が親子や夫婦など特別な関係にある人でないこと(法人も含む)
  • 土地にある建物なども含めた売却価格が500万円以下であること
  • 売却後に土地の利用がされること
  • 分筆された土地の場合、分筆された他の土地が前年・前々年に本特例を受けていないこと
  • 以下の特例と併用していないこと
    • 土地収用に関する控除や課税の繰り延べ
    • 他の譲渡所得に関する課税の特例

参考|国税庁「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」より、一部を抜粋して作成

土地売却で譲渡所得が出たら確定申告は必須

土地売却にかかる譲渡所得税は分離課税と呼ばれ、給与所得などの他の所得とは分離して課税されます。

よって、譲渡所得が発生した場合サラリーマンでも確定申告は必須です。

確定申告は売却した翌年の2月16日~3月15日が期間となっています。なお、譲渡所得が発生する場合だけでなく、特例を利用する場合確定申告は必要になります。

すまリス
特例で非課税にできても、確定申告で申請しなければ適用されないから注意だよ!
なお、確定申告には複数の書類が必要になります。譲渡所得が発生する場合は、確定申告期間までに揃えておくようにしましょう。

土地売却後の確定申告の必要書類が全てわかる!【チェックリスト付き】

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