「土地を売却するとどんな税金をいつ支払うの?」
土地売却には所得税、住民税、印紙税、登録免許税の4種類の税金がかかります。
『所得税』と『住民税』は売却で出た利益にかかる税金で売却の翌年に納税します。
一方、『印紙税』や『登録免許税』は売却の手続きにかかる税金で、売り出し前に支払うことが一般的です。
▼土地売却にかかる4種類の税金
種類 | 概要/支払い時期 | 相場 |
---|---|---|
所得税 | 売却益に課税され、売却の翌年2月~3月に支払う
| 【所有期間が5年以下】 売却益×39.63% |
【所有期間が5年超え】 売却益×15.315% | ||
住民税 | 売却益に課税され、売却の翌年6月以降に支払う | 【所有期間が5年以下】 売却益×9% |
【所有期間が5年超え】 売却益×5% | ||
登録免許税 | 相続登記の手続きにかかる税金 | 土地の固定資産税評価額×0.4% |
抵当権抹消の手続きにかかる税金 | 土地1筆につき1,000円 | |
印紙税 | 売買契約手続きにかかる税金、売買契約書の印紙で納税 | 200円~6万円(軽減税率が適用される場合) |
本記事では、土地売却が初めての方に向けて、かかる税金がいくらになるか、節税方法や売却価格別のシミュレーションについて、やさしく解説しています。
売却活動だけでなく、売却後に税金がいくらかかるのかや、税金の支払い方法についての相談も承ります。
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土地売却で利益がでたら税金がかかる
土地を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税と住民税(譲渡所得税)がかかります。
いずれも税率は所有期間によって決まり、合計税率は所有期間が5年以下なら20.315%、所有期間が5年超えなら39.63%です。
本章では、土地売却にかかる所得税と住民税の決まり方と、計算方法について詳しく解説しています。
給与所得とは別に課税される
譲渡所得税は「分離課税」と呼ばれ、給与所得などの他の所得とは分離して課税されます。
よって譲渡所得税を算出する際は、譲渡所得のみに税率を掛け合わせて計算します。
譲渡所得税
=売却で出た利益(課税譲渡所得)× 税率
なお、「分離課税」は他の所得と合算して課税される「総合課税」と比較すると理解しやすいです。
▼分離課税と総合課税の違い
種類 | 課税内容 | 対象所得 |
---|---|---|
分離課税 | 他の所得と合算せず、その所得のみに税率を掛けて算出される |
|
総合課税 | 他の対象所得と合算した合計所得に対して累進課税を掛けて算出する |
|
譲渡所得は売却代金から費用を引いて計算
課税譲渡所得は、売却代金から「譲渡費用(土地の売却にかかった費用)」と「取得費(土地の購入にかかった費用)」を引いて計算します。
課税譲渡所得
=売却代金ー(譲渡費用+取得費)
また、「譲渡費用」と「取得費」は以下が費用が該当します。
【譲渡費用】
- 売却にかかった仲介手数料
- 売却のために負担した印紙税
- 土地を売るために取り壊した際の解体費用
- 土地の売却のために支払った測量費 etc…
【取得費】
- 土地の購入にかかった代金
- 土地の取得のために支払った登録免許税
- 土地の取得に際して支払った土地の測量費
- 土地を相続(取得)するための支払った相続税 etc…
また、相続した土地は取得費がわからない(=購入価格を証明できる書類がない)ケースがとても多いです。
例えば売却代金が5,000万円の場合、「概算取得費」は【5,000万×5%=250万】となります。
税率は所有期間が5年以下なら39.63%、5年超えなら20.315%
所得税と住民税(譲渡所得税)の税率は土地の所有期間によって変わります。
具体的には、所有期間が5年以下であれば合計税率が39.63%、5年超えであれば20.315%となります。
また、課税譲渡所得は所有期間が5年以下であれば「短期譲渡所得」、5年を超えると「長期譲渡所得」と分類されます。
▼短期譲渡所得と長期譲渡所得の税率
税率 | 所有期間5年以下 (短期譲渡所得) | 所有期間5年超 (長期譲渡所得) |
---|---|---|
所得税率 | 30.63% | 15.315% |
住民税率 | 9% | 5% |
合計税率 | 39.63% | 20.315% |
なお、所有期間は「土地取得日から売却都市の1月1日までの年数」です。例えば、2014年10月1日に取得した土地を2023年2月1日に売却した場合、所有期間は「2014年10月1日~2023年2月1日」で4年4カ月となります。
また、相続した土地の場合、所有期間を被相続人から引き継げます。例えば、父が4年前に購入した土地を息子が相続から3年後に売却した場合、所有期間は7年とみなされ、長期譲渡所得として計算されます。
相続した土地の売却にはどんな税金がかかる?特例控除と節税方法まで解説!
長期譲渡所得の場合の計算例
- 売却代金:5,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:3,200万円
- 所有期間:5年超え
例えば3,200万円で取得した土地を5年間所有して5,000万円で売却した場合、課税譲渡所得は1,500万円となります。
※本ケースでは、控除を利用する場合を考慮していません。控除を利用する場合、譲渡所得から控除額を差し引いた金額が課税譲渡所得となります。
=売却代金ー(譲渡費用+取得費)
=5,000万円−(300万円+3,200万)
=1,500万円
長期譲渡所得の税率(所得税15.315%・住民税5%)を掛け合わせて、所得税が229万円、住民税が75万円となります。
=譲渡所得×所得税率
=1,500万×15.315%
=229万円
=譲渡所得×住民税率
=1,500万×5%
=75万円
短期譲渡所得の場合の計算例
- 売却代金:5,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:3,200万円
- 所有期間:5年以内
長期譲渡所得のケースと同様に計算すると課税譲渡所得は1,500万円です。
※本ケースでは、控除を利用する場合を考慮していません。
短期譲渡所得の税率(所得税30.63%・住民税9%)を掛け合わせて、所得税が459.45万円、住民税が135万円となります。
=譲渡所得×所得税率
=1,500万×30.63%
=459.45万円
=譲渡所得×住民税率
=1,500万×9%
=135万円
土地売却の税金はいつ支払う?
土地売却で利益が出た場合、税金は売却した翌年に支払います。
所得税は売却の翌年2月・3月に支払う
所得税は確定申告と同じタイミング(売却の翌年2月16日から3月15日)で申告・納税します。
控除を利用する場合も同じタイミングで申告しますので、忘れずに行いましょう。
確定申告を期限内にしておかないと、譲渡所得税が納められないだけでなく、遅延金が発生してしまいますので注意してください。
土地売却後の確定申告の必要書類が全てわかる!【チェックリスト付き】
住民税は売却の翌年6月以降に支払う
住民税は所得税を納税した後(売却の翌年6月以降)に、一括払いか年4回の分割払いで納税します。
所得税を納税していれば、支払い時期になると市区町村から納付書が送付されてきます。
土地売却で利用できる特例控除
土地売却にかかる税金のなかで最も高額となる譲渡所得税ですが、特例控除を利用すれば控除・繰り延べすることが可能です。
なお、控除できる場合は以下の計算式で譲渡所得税を算出できます。
譲渡所得税
=(譲渡所得 – 控除額)× 税率
要件 | 控除内容 | 特例名 |
---|---|---|
相続税納税者である | 相続税額の一部を控除 | 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 |
相続した空き家を売却 | 3,000万円を控除 | 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 |
自分が住んでいた土地を売却 | 3,000万円を控除 | マイホームを売ったときの特例 |
自分が住んでいた所有期間が10年超えの土地を売却 | 6,000万円を控除 | マイホームを売ったときの軽減税率の特例 |
住み替えのために土地を売却 | 住み替え先を売却するまで課税が繰り延べ | 特定のマイホームを買い換えたときの特例 |
平成21・22年に取得した土地を売却 | 1,000万円を控除 | 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特例控除 |
公共事業のために売却 | 非課税または5,000万円を控除 | 収用等により土地建物を売ったときの特例 |
特定区画整理事業のために売却 | 2,000万円を控除 | 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除 |
特定住宅地造成事業のために売却 | 1,500万円を控除 | 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特例控除 |
農地保有の合理化のために売却 | 800万円を控除 | 農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除 |
特例について、より詳しい内容や適用の要件については以下の記事で解説しています。
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
「取得費加算の特例」とは、譲渡所得を計算する際の取得費に、土地にかかった相続税を加算することができる特例です。
取得費加算の特例を利用することで、譲渡所得から相続税額の一部を控除でき、譲渡所得税を減らすことができます。
▼取得費の特例の要件(一部)
- 相続や遺贈によって財産を取得した者であること
- その財産を取得した者に相続税が課税されていること
- 相続税の申告期限(相続開始から10ヶ月以内)から3年を経過する日までに売却すること
ポイントは、相続税の納税者でなければ利用ができないということです。相続税は約8%程度のひとしか納税義務がありません。つまり、ほとんどの人は取得費加算の特例を利用できないこととなっています。
また、利用するには「相続税の申告期限から3年を経過する日まで(=相続開始から3年10か月以内)に売却」する必要があります。相続税の申告期限は相続開始(被相続人が死去した日)から10か月以内です。
▼取得費の特例を適用したときの譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得-取得費に加算する相続税額)×税率
=売却した土地の相続税課税価格 / 相続税全体の課税価格 × 納めた相続税額
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
3,000万円特例控除は、譲渡所得から最大3,000万円分を控除できる特例です。
3,000万円特例控除を利用することで、譲渡所得が3,000万円未満であれば実質的に税金を非課税にできます。
▼被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例の要件(一部)
- 被相続人の居住の用に供されていた家屋や土地であること
- 相続の開始直前においてその被相続人以外に居住していた者がいなかったこと
- 相続の開始があった日から3年を経過する日に属する年の12月31日までに売却すること
- 相続から売却までのあいだに、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていたことがないこと
- 区分所有建築物(マンション等)以外の家屋であること
- 昭和56年5月31日以前に建築された建物であること
- 建物を取り壊している場合、相続から取り壊しまでのあいだに、事業の用、貸付の用または居住の用に供されていないこと
注意したいのは、昭和56年5月31日以前に建築された建物に限定されることと、相続から売却まで、居住用に利用されていない土地であるということです。
▼3,000万円控除を適用したときの譲渡所得税の計算式
また、「取得費の特例」とは併用できません。よって、適用要件がいずれも当てはまる場合は、より控除額が大きい特例を選びましょう。
※詳しい内容は『No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例』をご覧ください。
マイホームを売ったときの特例
住んでいた家が建っていた土地の売却であれば、更地にしていても最大3,000万円の譲渡所得税の控除を受けることができます。
▼居住用財産の3,000万円特別控除の要件(一部)
- 自分が住んでいた土地の売却であること
- 別荘や賃貸用の家、仮住まい用の住宅に使用していた土地は不可
- かつ、取り壊し前の家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却されること
- 家屋の取り壊しから1年以内に土地の売買契約が結ばれていること
- 家屋を取り壊した土地を売却までに別の用途(貸駐車場など)に使用していないこと
- 売却相手が親子や配偶者などの特別な関係にある人(法人含む)ではないこと
- 売った年の前年・前々年に以下の特例の適用を受けていないこと
- 同じ特例(ただし相続空き家を売却した場合に適用される3000万円特別控除は除く)
- マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例
- マイホーム買い換えによる特例
- その他土地収用による控除などの特例
- 住宅ローン控除の併用も不可
この特例は、所有期間の長短に関わらず適用を受けることができます。
また受けられる控除は1人につき最大3,000万円であるため、所有が夫婦の共有名義であれば合わせて6,000万円まで控除を受けることが可能です。
▼3,000万円控除を適用したときの譲渡所得税の計算式
※詳しい内容は『No.3302 マイホームを売ったときの特例』をご覧ください。
マイホームを売ったときの軽減税率の特例
売却する土地が、「家を建てて売主が住んでいた土地」かつ「所有期間が10年以上(※)」の場合、「所有期間が10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」を利用できます。(※)家屋を取り壊した日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超える
この軽減税率の特例では、課税対象となる譲渡所得金額の6,000万円までの部分に、軽減税率が適用できます。
▼マイホームを売ったときの軽減税率の特例の要件(一部)
- 譲渡所得が6,000万円超えであること
- 家屋を取り壊している場合、以下の条件をすべて満たす、自分が住んでいた土地を売ること
- 家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること
- 家屋を取り壊した日から1年以内に売買契約が締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
- 現在住んでいない場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
▼マイホームを売ったときの軽減税率の特例が適用される場合の税率
種類 | 6,000万円までの部分 | 6,000万円を超える部分 |
---|---|---|
所得税率 | 10.21% | 15.315% |
住民税率 | 4% | 5% |
▼マイホームを売ったときの軽減税率の特例を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー 6,000万×税率) +(6,000万 × 軽減税率)
※詳しい内容は『No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例』をご覧ください。
特定のマイホームを買い換えたときの特例
住んでいた土地を売却した後、新たにマイホームを購入する場合には、課税を繰り延べられる特例を受けることもできます。
繰り延べられた課税は、将来買い替えた新たなマイホームを売却したときに、その譲渡益への課税と合わせて支払うことになります。
▼特定のマイホームを買い換えたときの特例の要件(一部)
- 以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件すべてに当てはまること
- 家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が10年を超えるものであること
- その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
- 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと
- マイホームを売った年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること
- 売った年、その前年および前々年にマイホームを売却した場合にその他の特例をうけていないこと
本特例控除を利用する場合、他のマイホーム売却に関する特例控除や、収用に関する特別控除と併用して適用を受けることはできません。
また買い替えた住宅について、住宅ローン控除を受けることもできませんので注意しましょう。
※詳しい内容は『No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例』をご覧ください。
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特例控除
平成21年に取得した土地を平成27年に売却する、または平成22年中に取得した土地を平成28年以降に売却した場合、1,000万円を控除できます。
▼1,000万円特例控除の要件(一部)
- 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得していること
- 平成21年に取得した土地等は平成27年以降、平成22年に取得した土地等は平成28年以降に売却すること
- 譲渡した土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど他の譲渡所得の特例の適用を受けないこと
▼1,000万円特例控除を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー1,000万)×税率
※詳しい内容は『No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除』をご覧ください。
収用等により土地建物を売ったときの特例
土地収用法やその他の法律で収用権が認められている公共事業のために土地建物を売った場合、以下の2種類のうちいずれかを受けられます。
▼非課税にする場合の適用要件
以下の適用要件をすべて満たす場合、非課税(=売却自体をなかったこと)にできます。
- 売った土地は固定資産であること(=不動産業者などが販売目的で所有している土地建物ではない)
- 買い替えの対象は土地であること(=売った資産と同じ種類の資産を買い換えること)
- 次の期間内に代わりの資産を取得すること
- 土地の収用等のあった年
- 土地の収用等のあった年の前年
- 土地の収用等のあった年の翌年1月1日から収用等のあった日以後2年を経過した日までの期間
▼5,000万円控除を利用する場合の適用要件
以下の適用要件をすべて満たす場合、5,000万円の控除を適用できます。
- 売った土地は固定資産であること(=不動産業者などが販売目的で所有している土地建物ではない)
- その他の課税の特例の適用を受けていないこと
- 最初に買取り等の申出があった日から6か月を経過した日までに土地を売っていること
- 公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者(その者の死亡に伴い相続または遺贈により当該資産を取得した者を含む)が売却していること
▼5,000万円控除を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー5,000万)×税率
※詳しい内容は『No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例』をご覧ください。
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除
国や地方公共団体などが行う土地区間整理事業により土地を売却した場合、譲渡所得から最大2,000万円の控除を受けられます。
また、土地区間整理事業以外でも、住宅街区間整理事業、第一種市街地再開発事業、防災街区整備事業などのために土地を譲渡した場合にも適用を受けられます。
ただし、1つの事業に年を跨いで売却が行われる場合、最初の年だけしか控除を受けられませんのでご注意ください。
▼2,000万円控除を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー2,000万)×税率
※詳しい内容は『特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除』をご覧ください。
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特例控除
特定住宅地造成事業などのために土地を譲渡したとき、譲渡所得から最大1,500万円を控除することができます。
以下のいずれかに該当する必要があります。
- 地方公共段代などが行う住宅の建設または宅地造成のために買い取られた
- 収用などの事業を行う人にその収用の対償地に充てるために買い取られた
- 特定の民間の宅地造成事業、住宅建設事業などを供するために買い取られた
- 公有地の拡大の推進に関する法律の規定により買い取られた
ただし、買い取られる土地全て(または一部)について、交換・買い替えなどの特例や、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の軽減税率等の特例を受けている場合には、適用を受けることができません。
▼1,500万円控除を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー1,500万)×税率
※詳しい内容は『特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除』をご覧ください。
農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の所得の特別控除
個人または農業生産法人が保有する農地区域内の農地などを、農業委員会のあっせんなどにより認定農業者などへ譲渡した場合に、譲渡所得から最大800万円の控除を受けられます。
また、農業営利基盤強化促進法の規定の買い入れ協議に基づく譲渡である場合は1,500万円の控除が適用されます。
農業の効率化を行う政策のための特例であるため、通常の農地売買(農地法第3条許可に基づく)には適用されません。
▼1,500万円控除を適用した場合の譲渡所得税の計算式
=(譲渡所得 ー1,500万)×税率
※詳しい内容は『No.3223 譲渡所得の特別控除の種類』をご覧ください。
土地売却の税金をシミュレーション
土地売却にかかる税金は、売却価格や所有期間、取得費などの条件で大きく金額が変わります。
ここでは4つのケースを解説しますので、ご自身の土地売却にかかる税金をシミュレーションする際にお役立てください。
取得費1,500万の土地を10年所有して2,000万円で売却した場合
【シミュレーション条件】
- 売却価格:2,000万円
- 取得費:1,500万円
- 譲渡費用:300万円
- 所有期間:10年
取得費1,500万の土地を10年間所有して2,000万円で売却する場合、長期譲渡所得が適用されます。
譲渡費用が300万円なので、課税譲渡所得の計算式は以下のようになります。
譲渡所得
=売却価格ー取得費ー売却費用
=2,000万円ー1,500万ー300万円
=200万
譲渡所得税
=所得税 + 住民税
=(譲渡所得×所得税率)+(譲渡所得×住民税率)
=(200万×15.315%)+(200万×5%)
= 30万6,300円 + 10万円
= 40万6,300円
相続した土地を2年所有した後で4,000万円で売却した場合
【シミュレーション条件】
- 売却価格:4,000万円
- 取得費:不明
- 譲渡費用:400万円
- 被相続人の所有期間:10年
- 相続人の所有期間:2年
親から相続した取得費不明の土地を4,000万円で売却する場合、課税譲渡所得は概算取得費で計算します。
概算取得費
=売却価格×5%
=4,000万円×5%
=200万円
「概算取得費」が200万とわかったので、売却代金から譲渡費用と概算取得費を引いて課税譲渡所得を計算します。
課税譲渡所得
=売却価格ー概算取得費ー譲渡費用
=4,000万円ー200万ー400万円
=3400万被相続人と相続人の所有期間を合計すると12年になるので、長期譲渡所得の税率を掛け合わせます。
譲渡所得税
=所得税 + 住民税
=(譲渡所得×所得税率)+(譲渡所得×住民税率)
=(3,400万×15.315%)+(3,400万×5%)
= 520万7,100円 + 170万円
= 690万7,100円
所有期間が7年の取得費5,000万の土地を8,000万円で売却した場合
【シミュレーション条件】
- 売却価格:8,000万円
- 取得費:5,000万
- 譲渡費用:500万円
- 所有期間:7年
取得費5,000万の土地を、500万の譲渡費用をかけて8,000万で売却した場合、課税譲渡所得の計算式は以下のようになります。
譲渡所得
=売却価格ー取得費ー譲渡費用
=8,000万円ー5,000万ー500万円
=2,500万
譲渡所得税
=所得税 + 住民税
=(譲渡所得×所得税率)+(譲渡所得×住民税率)
=(2,500万×15.315%)+(2,500万×5%)
= 382万8,750円 + 125万円
= 507万8,750円
所有期間3年の土地を100万円で売却した場合
【シミュレーション条件】
- 売却価格:100万円
- 取得費:不明
- 譲渡費用:30万
- 所有期間:3年
取得費不明の土地を100万円で売却した場合、課税譲渡所得を計算するためにまずは概算取得費を計算しましょう。
概算取得費
=売却価格×5%
=100万円×5%
=5万円
概算取得費が5万円と出たので、売却価格から概算取得費と譲渡費用30万円を差し引いて課税譲渡所得を計算します。
課税譲渡所得
=売却価格ー概算取得費ー譲渡費用
=100万円ー5万ー30万円
=65万
譲渡所得税
=所得税 + 住民税
=(譲渡所得×所得税率)+(譲渡所得×住民税率)
=(65万×30.63%)+(65万×9%)
= 19万9,095円 + 5万8,500円
= 25万7,595円
土地売却の手続きにも税金はかかる
冒頭でも解説したとおり、土地売却では手続き時にも税金がかかります。
相続登記や抵当権抹消時に支払う登録免許税
土地売却における登録免許税は、相続登記・抵当権の抹消登記の際などに必要です。
種類 | 概要 | 計算式 |
---|---|---|
相続登記 | 相続による土地の名義人の変更をする登記 | 土地の固定資産税評価額 × 0.4% |
抵当権抹消登記 | 金融機関が土地を担保にするために設定した権利(抵当権)を抹消する手続き | 土地1つにつき1,000円 |
相続登記とは、土地の名義を被相続人から相続人(売主)へ変更するための登記です。
相続した土地は名義が被相続人のままになっているケースが多いので、名義変更が必要かは確認してください。
相続登記にかかる登録免許税は『固定資産税評価額×0.4%』で金額が決まります。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の土地の相続登記にかかる登録免許税は「1,000万×0.4%」で4万円になります。
抵当権抹消登記は、相続した土地に抵当権が設定されている場合のみ必要になります。
住宅ローンを完済している土地でも、抵当権抹消登記がなされていないと、土地の抵当権は消えません。抵当権の設定されている土地は原則売却不可なので、売却するためには抵当権抹消登記が行われているかを確認して実施しましょう。
売買契約時に支払う印紙税
印紙税とは、売買契約手続きにかかる税金のことです。具体的には、売買契約書や領収書を作成する際に課せられます。
印紙税は契約書1通ごとに課税され、収入印紙を売買契約書に張り付けて納税します。
印紙税の金額は、契約金額(土地の売却価格)に応じて異なります。
なお、平成26年4月1日~令和6年3月31日の売買契約では、軽減税率が適用されます(右端の欄をご参照)
契約金額(土地の売却価格) | 本来の税率の税額 | 軽減税率の税額 |
---|---|---|
10万円を超え 50万以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
(参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」より、一部抜粋して作成)