所有している土地を売却する際には、「所得税」「住民税」「登録免許税」「印紙税」といった税金がかかります。
ただし、状況によって税額が変わったり、納税が不要になることもあります。
「土地を売却したらいくら税金がかかるんだろう?」と疑問や不安を抱えている方は、是非この記事をご参考にしてください。
- 本記事が参考にした各省庁の公式ページはこちら
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土地売却にかかる税金【どんな税金がいくらかかる?】
所有している土地を売却すると、状況に応じて「所得税」「住民税」「登録免許税」「印紙税」といった税金がかかります。
税金の種類 | 概要 |
---|---|
所得税 | 土地の売却益にかかる税金。 売却した翌年(2/16~3/15)に支払う。 |
住民税 | 土地の売却益にかかる税金。 売却した翌年に住民税と共に支払う。 |
印紙税 | 売買契約時に支払う。 |
登録免許税 | 抵当権抹消手続きが終わっていない場合に支払う。 |
この章では、それぞれの税金について概要を解説していきます。
【所得税・住民税】売却益の約40%または約20%
土地を売却して譲渡所得がある場合、所得税と住民税が課されます。
譲渡所得とは、土地を売却して得られた利益(売却益)のことです。給与所得や事業所得とは合算せずに、個別に税金を計算します。
譲渡所得は、売却代金から売却の経費(取得費と譲渡費用)を差し引いて求めます。
つまり、売却にかかった経費の総額が売却代金を下回る場合には、所得税と住民税を支払う必要があります。
所得税を支払うタイミングは、土地を売却した翌年の2月16日~3月15日の間です。確定申告した上で、国に納税します。
土地の売却益にかかる所得税率は、土地の所有期間が5年を超える場合は15%、5年以下の場合は30%です。
一方、住民税は売却した翌年度の6月以降に納税します。通常、市区町村から送付される納税通知書に従って、年4回に分けて分割で納付します。
土地の売却益にかかる住民税率は、土地の所有期間が5年を超える場合は5%、5年以下の場合は9%です。
なお、サラリーマンの場合は、給与所得に課税されている住民税と合わせて源泉徴収による納税(特別徴収)を選んで納税することも可能です。
所得税と住民税の計算方法については、2章で更に詳しく解説します。
【印紙税】数千円から数万円必ずかかる
印紙税は、売買契約書を作成した時に課される税金です。
不動産売却では、売主と買主の間でが取引が成立すると、必ず売買契約を結び、売買契約書を作成します。
そのため、印紙税は土地を売却する上で必ず支払う税金であると言えます。
印紙税額は、売買契約書に記載された契約金額(土地の売却価格)に応じて決まります。
契約金額 | 本則税率下の税額 | 軽減税率下の税額 |
---|---|---|
10万円以下 | 200円 | 200円 |
10万円を超え 50万以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
(出典:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」を参考に一部抜粋して表を作成)
【登録免許税】土地1筆あたり1,000円
登録免許税は、不動産登記を行う時に支払う必要のある税金です。
不動産について変更があった際には「不動産登記」を行って、法務局にその事実を登記簿に登録してもらいます。
たとえば、土地の所有者が売主から買主に変わる場合には「所有権移転登記」が必要です。所有権移転登記の登録免許税は、一般的に買主が支払います。
しかし、土地に設定されていた抵当権の抹消がまだだったり、登記簿上の住所氏名が現在の売主の住所氏名と異なるなど、所有者を変更する前に行わなければならない登記がある場合には、その登録免許税は売主が負担します。
売主が登録免許税を支払う主な登記は、以下の通りです。
登記の種類 | 概要 |
---|---|
抵当権抹消登記 | 「抵当権」を抹消する手続き。 ローンを利用して購入された土地には、金融機関によって抵当権が設定されているが、完済しても自動では抹消されず、登記手続きが必要。 |
住所変更登記 | 登記簿上の所有者の住所と、売主の現住所が異なる場合に必要な手続き。 |
相続登記 | 登記簿上の土地の所有者を被相続人から相続人に変更する手続き。 |
抵当権抹消登記と住所変更登記は、登録免許税が土地1筆につき1,000円かかります。
不動産1件につき1,000円課税されるため、土地に家屋等が残っている場合には土地・建物それぞれ1,000円ずつ、合計2,000円支払います。
また、相続登記には、不動産の評価額×0.4%の登録免許税がかかります。
なお、登記の手続きを司法書士に代行してもらう場合には、登録免許税とは別に司法書士への報酬を支払う必要があります。
抵当権抹消登記は1~2万円、相続登記は7~10万円が報酬の相場です。
相続登記について詳しくはこちらをご参照ください。
土地売却にかかる所得税・住民税の計算方法
前章で解説した通り、土地を売却して譲渡所得があると譲渡所得税(所得税と住民税)がかかります。
譲渡所得税は課税される場合には高額になりやすいため、売却代金からいくらぐらい税金で差し引かれることになるか、あらかじめ相場を元に税金額を試算しておきましょう。
まずは「譲渡所得」を計算する
税金額を計算するためには、まずは譲渡所得の金額を計算する必要があります。
譲渡所得は、売却代金から「譲渡費用(土地の売却にかかった費用)」と「取得費(土地の購入にかかった費用)」を差し引いて計算します。

譲渡費用(売却にかかった費用)
- 不動産会社に支払った仲介手数料
- 土地売却時の印紙税
- 土地を売却するために家屋を取り壊した費用
- 土地の売却するために行った測量費用
など
取得費(購入にかかった費用)
- 土地の購入代金
- 土地購入時に不動産会社に支払った仲介手数料
- 土地を相続した時の登記費用
- 不動産取得税
- 登録免許税
- 土地購入時の印紙税
- 解体前提の建物付き土地を購入した際の取り壊し費用
など
(参考:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」、「No.3252 取得費となるもの」)
相続した土地を売却する場合、土地の取得費は、被相続人から引き継げます。
被相続人の支払った土地の購入代金がわかれば、それを取得費に計上して税金額を計算できます。
しかしながら、土地購入時の領収書や売買契約書がなくなってしまっていたり、先祖代々受け継いできた土地なので購入費用がわからないというケースもたくさんあります。
この場合には、売却代金の5%の金額を「概算取得費」として計上して、譲渡所得を計算できます。
税率は土地の「所有期間」で異なる
譲渡所得が計算できたら、税率をかけ合わせて税金額を求めます。
譲渡所得にかけ合わせる税率は、土地の所有期間によって異なります。
税率 | 所有期間が5年以下 (短期譲渡) | 所有期間が5年超 (長期譲渡) |
---|---|---|
所得税率 | 30.63%(※) | 15.315%(※) |
住民税率 | 9% | 5% |
合計税率 | 39.63%(※) | 20.315%(※) |
なお、所有期間は「土地の取得日から売却した年の1月1日時点まで」を数えます。
また、相続した土地の場合、所有期間を被相続人から引き継げます。
たとえば、父が4年前に購入した土地を、息子が相続から3年後に売却した場合、所有期間は7年とみなされます。

相続した土地を売却する場合にかかる税金については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
土地売却にかかる税金の計算シミュレーション
ここからはイメージしやすいように、具体的な金額で所得税と住民税をシミュレーションしてみましょう。
たとえば、10年間所有した土地を売却するケースで税金額をシミュレーションしていきます。
- 売却価格:2,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:2,000万円
- 所有期間:10年(長期譲渡)
譲渡所得の計算式は、以下の通りです。
=2,000万円-(300万円+2,000万円)
=-300万円
譲渡所得が0円を下回るため、このケースでは所得税も住民税も課税されません。
それでは、取得費がわからない時の計算方法を見ていきましょう。取得費以外は先程と同じ条件で、シミュレーションしていきます。
- 売却価格:2,000万円
- 譲渡費用:300万円
- 取得費:不明
- 所有期間:10年(長期譲渡)
購入にかかった経費がわからない場合は、売却価格の5%の価額を概算取得費として計上して、譲渡所得を計算できます。
=売却価格-(譲渡費用+売却価格×5%)
=2,000万円-(300万円+2,000万円×5%)
=2,000万円-(300万円+100万円)
=1,600万円
今回の計算例では、所有期間が10年間なので、所有期間5年超(長期譲渡)の税率を適用して所得税と住民税を計算します。
=1,600万円×15.315%
=245万400円
=1,600万円×5%
=80万円
土地売却にかかる税金の負担を抑える方法
せっかく土地を手放して売却しても、税金がかさんで手元に残るお金が少なくなってしまっては、あまり報われませんよね。
そこで、この章では土地売却にかかる税金の負担を抑える方法をご紹介します。
大切な財産を活かすためにも、是非ご参考にしてください。
控除や特例を利用して節税する
土地売却にかかる税金のうち、譲渡所得税(所得税と住民税)は、条件を満たしていれば特別控除や税率の軽減措置を受けられる特例が複数設けられています。
【例】
自分が住んでいた家(土地)を売却した時に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる特例。
特定の要件を満たしている場合、相続した空き家(あるいは空き家を取り壊した土地)を売却した譲渡所得から最大3,000万円まで控除できる特例。適用には、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却している必要がある。
都市計画域内にある、活用されていない土地を500万円以下で売却した場合、譲渡所得から最大100万円まで控除できる特例。
不動産売却における特別控除は譲渡所得金額から一定の控除額を差し引くため、適用を受けられれば大幅に節税できます。
適用のための要件は細かく設定されている上、確定申告時に書類を準備して申請しなければなりませんが、税金の負担を大きく減らすことができるため、土地売却時には必ず適用申請できる特例がないか確認しておきましょう。
土地を売却した時に適用できる可能性のある控除や特例は、以下の記事にて紹介・解説しています。
抵当権抹消登記を自分で行う
過去に、売却する土地や建物を担保にして融資を受けていた場合、所定の手続きを行っていなければ「抵当権」の設定が不動産に残ったままになっています。
抵当権の抹消は、土地の売却時に所有権の変更と合わせて司法書士に依頼できますが、司法書士に依頼すると登録免許税のほかに報酬として1万5,000円程度かかります。
しかし、既にローンの返済が終わっている場合、抵当権は抜け殻として残っているだけの状態ですので、ご自身で書類を用意して抵当権抹消登記の手続きをすることも可能です。
自分で抵当権を抹消するのであれば、多少の手間はかかるものの、登記事項証明書の取得費用に数百円、登録免許税に1,000円しかかからないため出費を抑えられます。
できる限り土地を高く売却する
土地を売却した後に手元に残るお金は、支払う税金を抑えるだけでなく、土地を高く売却することでも増やせます。
ただし、土地を高く売りたいと思った時に、ただ高い値段で売りに出すだけでは思うように買主が見つかりません。
土地をできる限り高く売るためには、売りたい土地のあるエリアで、土地売買の実績が豊富な不動産会社に土地売却の仲介を依頼しましょう。
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土地売却にかかる税金に関するよくある質問
この章では、土地の売却時によくある質問について解説します。
土地を売却したら確定申告は必要?
土地を売却して、売却益(譲渡所得)が出た場合は、翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告をしなければなりません。
土地の譲渡所得は分離課税の対象であるため、例年源泉徴収で所得税や住民税を支払っているサラリーマンであっても、確定申告した上で税金を納付する必要があります。
たとえ、特例の適用で非課税になったとしても、特例の適用自体を確定申告にて申請しなければならないため、譲渡所得がある場合は確定申告は必須となります。
譲渡所得の計算方法は、2章をご参考にしてください。
相続した土地の売却にかかる税金はいくら?
相続した土地であっても、税金は自分の所有している土地と同じように計算します。
なお、相続直後の土地に関しては、売却時に特別に受けられる特例が設けられています。
相続にあたっては、別途相続税がかかる可能性があります。また、相続登記がまだ終わっていない場合には相続登記の登録免許税がかかります。
まとめ:土地売却時の税金を事前に調べた上で売却に臨もう
この記事では、土地売却にかかる税金について、どんな税金がいくらぐらいかかるか、かかる税金の負担を軽くする方法はないかといった内容を解説してきました。
土地売却にかかる税金で高額になりやすいのは譲渡所得税(所得税と住民税)ですが、税額は売却益に応じて決まるため、収入額を大きく上回る税金がかかるということはありません。
しかしながら、土地を売却して得た代金を資金に活用したい方は多くいらっしゃるでしょう。
手元に残るお金を事前に把握しておきたい方は、不動産会社の査定を受けて、査定額から売却後の税金額をシミュレーションしておくと安心でしょう。
また、手取り額を多く確保するためには、土地をできる限り高く売却することを目指すという手段があります。