余った土地活用の手段のひとつとして、駐車場利用が挙げられます。駐車場は少ない初期投資で始められるため、土地活用の方法としては人気ですが、始めた後も固定資産税がかかるため、コストが全くなくなるわけではありません。
むしろ固定資産税の支払いが多く、出費が増えてしまうこともあります。駐車場にはどれくらいの固定資産税がかかるのか、計算方法や節税の方法を知り、上手な土地活用を考えましょう。
駐車場の固定資産税に関する知っておくべき3つのこと
そもそも固定資産税とは、不動産に対してかけられる税金ですが、細部まで理解できている人は多くありません。特に駐車場特有のポイントについては、知られていないことも多いです。
- 住宅用地と比べると最大で6倍高くなる
- 駐車場の設備にも固定資産税がかかる
- 税額は納税通知書で確認できる
駐車場利用した場合の固定資産税について理解を深めるには、これら3つは必ず押さえておかなければなりません。
住宅用地と比べると最大で6倍高くなる
土地を駐車場利用して固定資産税に悩まされる人は多いものの、反面土地を持っているならどちらにしても固定資産税がかかるのではないかと考える人も多いです。確かに不動産を所有している限り固定資産税はかかりますが、駐車場利用の場合は住宅用地と比較すると、固定資産税が最大6倍も高くなることは覚えておきましょう。
これは住宅用地の利用では、固定資産税の軽減措置が受けられるからです。軽減措置は住宅用地のみ適用対象となり、駐車場では適用できません。つまり、全く同じ土地を活用しても、駐車場に用途を変更しただけで税金の軽減がなくなり、税負担が重たくなってしまうことは理解しておく必要があります。
駐車場の設備にも固定資産税がかかる
土地を駐車場活用した場合に固定資産税が高くつきやすいのは、軽減措置が受けられないだけではなく、駐車場の設備にも固定資産税がかかり、課税対象が増えることも原因です。
固定資産税は不動産だけに限らず、それに付随する各種設備も課税対象とし、設備が増えるほど金額も上がっていきます。該当するものは多数ありますが、駐車場関連だと主に次のものが挙げられるでしょう。
- アスファルト舗装
- センサー式停車機
- フェンス
その他設備があると、その分も固定資産税が上乗せされるため注意が必要です。駐車場の利用者を増やすには設備を充実させて利用しやすい環境を作る必要がありますが、設備を整えるほど、固定資産税は上がるため、出費も増えてしまいます。
税額は納税通知書で確認できる
固定資産税は毎年納税通知書が届くため、これによって納付額を確認できます。また、納税通知書には税額だけではなく該当不動産の価格や固定資産税の計算方法も記載されているため、確認しておくことが大切です。
固定資産税がいくらかかるのかというコストの把握はもちろん、金額が間違っていないかもチェックしておかなければなりません。固定資産税は毎年かかる費用のため、税額を確認してどれだけの納税があるのかを覚えておくことが大切です。
駐車場の固定資産税の計算方法
固定資産税の税額は納税通知書を見ることで判断できますが、概算程度なら自分でも計算できます。これから土地の購入を考えている場合や、今支払っている税額が多すぎないか確認するためにも、一度自分で計算してみるとよいでしょう。計算方法は駐車場の土地自体と駐車場設備、地域ごとの都市計画税の3つがあります。
駐車場の土地にかかる固定資産税の場合
土地そのものにかかる固定資産税は、次の式で計算します。
駐車場の土地にかかる固定資産税=固定資産税評価額×税率(1.4%)
固定資産税評価額とは、その不動産がどれくらいの価値があるかを示したものです。これは次の式で計算できます。
固定資産税評価額=路線価(/m²)×面積(m²)
路線価は道路に面した土地の価値がどれくらいなのかを示したものであり、国税庁の路線価図を参考にして確認しましょう。正確な固定資産税評価額を算出するには土地の面積を把握しておかなければならないため、大きさが分からない場合は調査するか登記登録の情報を確認する必要があります。
参考:路線価図
駐車場の設備にかかる固定資産税の場合
駐車場に付属する設備の固定資産税は、次の式で計算します。
駐車場の設備にかかる固定資産税=償却資産税評価額×税率(1.4%)
償却資産税評価額とは、設備の価値を示したものであり、取得費用の7~8割程度とされています。あくまで概算にはなりますが、税額をチェックするために計算しておくことが大切です。
また償却資産は年々消費していくと考えられているため、評価額も減少していきます。評価額の算出は取得費用の7~8程度になることが多いですが、年数が経つとこの割合が下がり、最低5割まで減少します。これを減価残存率と呼び、5割以下になることはありません。
市街化区域内の土地に発生する都市計画税の場合
地域によっては都市開発のための費用として、都市計画税が徴収されることがあります。都市計画税は固定資産税と一緒に納付するものであり、支払いが必要かどうかは市区町村の役場で確認しましょう。
役場で都市計画地図を確認すると、住まいの地域で都市計画税の納付が必要かどうかが分かります。都市計画税は、次の式で計算します。
都市計画税額=課税評価額×0.3(最高税率)
評価額に税率をかけるだけのシンプルな計算式ですが、税率は地域によって変動することもあるため注意が必要です。設定額はそれぞれ異なりますが、都市計画税の最高税率は0.3%と一律決められており、これより高くなることはありません。
駐車場の固定資産税の計算例
実際の計算例を参考にして、固定資産税額がいくらくらいになるのか、さらに理解を深めていきましょう。計算例に合わせて数字を入れ替えることで、手持ちの不動産の固定資産税額もある程度計算できます。計算方法は同じであるため、当てはめるところさえ間違えなければ、税額の算出は難しくありません。
【東京23区】未舗装の駐車場200平方メートルの場合
東京23区にある未舗装の駐車場で、面積が200㎡あるとします。この時㎡当たりの路線価を50万円とするなら、200㎡×50万円で、土地の評価額1億円となります。これを固定資産税の式に当てはめてみましょう。
駐車場の評価額1億円×固定資産税税率1.4%=140万円
評価額が1億円の土地の場合は、土地本体の固定資産税だけで140万円かかることになります。
【東京郊外】砂利舗装の駐車場150平方メートルの場合
同じ東京でも郊外とするなら、路線価はもう少し安くなります。150㎡で砂利舗装の駐車場があり、路線価を㎡当たり15万円とするなら、駐車場の評価額は2,250万円です。これを固定資産税の計算式に当てはめると、次のようになります。
駐車場の評価額2,250万円×固定資産税税率1.4%=31万5,000円
東京郊外でも固定資産税は30万円を超えることが多く、税負担を大きいといえます。
【東京23区】2階建て機械式100平方メートルの駐車場の場合
23区内で㎡当たりの路線価を同じ50万円とした場合でも、駐車場の広さや設備によっては、税額が異なります。駐車場の広さを100㎡とした場合は、100㎡×50万円で駐車場の評価額は5,000万円です。これを固定資産税の計算式に当てはめると、次のようになります。
駐車場の評価額5,000万円×固定資産税税率1.4%=70万円
さらにこの駐車場が2階建ての機械式であった場合、設備の取得費用が750万円かかったとします。取得費用750万円をそのまま評価額として換算するなら、次の式で設備の固定資産税が計算できるでしょう。
設備の取得費用750万円×固定資産税税率1.4%=94,100円
これらを合計すると、この駐車場の設備込みの固定資産税は79万4,100円となります。ただし、実際には設備の取得費用はそのまま計算せず、経年劣化を見込んで評価額が下がるため、設備の固定資産税はもう少し安くなる可能性があります。
駐車場の固定資産税を減らすには3つの方法がある
土地や設備の評価額が高いほど税額が上がる駐車場の固定資産税ですが、実は税負担を減らす方法もあります。
- 土地と建物を一体利用する
- アスファルトで舗装する
- アパート経営に変更する
これら3つの方法で税負担を引き下げられるため、ぜひ参考にしてみてください。
土地と建物を一体利用する
駐車場はそれ単体で利用すると固定資産税の軽減措置を受けられませんが、建物と一体利用することで軽減措置の適用対象となります。
建物部分と駐車場を繋げ、一体の不動産として提示することで、600㎡までの部分は固定資産税が6分の1となります。
アスファルトで舗装する
駐車場の単体利用でも、地面をアスファルト舗装することで固定資産税は減額できます。これは舗装によって貸付事業用宅地等と認められるからであり、200㎡の評価額を50%減額可能です。アスファルト舗装に費用はかかるものの、毎年の税負担が減らせるため、土地の評価額が高い場合におすすめの方法です。
アパート経営に変更する
そもそも駐車場の経営をやめて、アパート経営など建物利用にするという方法もあります。駐車場の固定資産税が高いのは建物と違って軽減措置が受けられないからであり、建物利用に変更することで軽減対象となるため固定資産税は確実に下がります。
駐車場経営からアパート経営に変更することで、軽減措置によって固定資産税を6分の1に減額できるため、土地活用で利益を上げたいなら転用を考えてもよいでしょう。
駐車場の固定資産税に関するQ&A
固定資産税についてさらに理解を深めるために、よくある疑問を知っておくことも大切です。駐車場にかかわる問題はもちろん、固定資産税全体の疑問も把握しておくと、土地活用をよりスムーズに行い、税金の負担を軽減する方法も見つけやすくなるでしょう。
【Q1】駐車場の固定資産税は雑所得の経費にできるか?
駐車場経営によって得た利益は雑所得となりますが、土地の固定資産税はこの経費として計上できません。税金の支払いは完全自己負担となるため、所得税の課税対象を縮小するには、別の点で経費計上を行う必要があります。
ただし、土地そのものの固定資産税は経費にできなくても、設備の固定資産税は一括償却で経費計上が可能です。設備が充実しているなら経費に上げないともったいないため、忘れずに申告しましょう。
【Q2】駐車場の固定資産税の納付場所はどこ?
駐車場に限らず、固定資産税の納付は次の場所で行えます。
- 市区町村の役場
- コンビニ
- 銀行など各種金融機関
詳細な場所については納税通知書に記載されているため、それを参考にしましょう。
【Q3】固定資産税が高く、収益性の低い駐車場の活用法は?
土地の評価額が高いからといって確実に収益が上がるとは限らず、収益性が低いにもかかわらず、固定資産税の負担ばかりが大きいということもあるでしょう。駐車場による利益と固定資産税を考えた場合に、固定資産税の負担が大きいと感じるなら、駐車場の売却を考えることも大切です。
売却することで少なからず資金を手に入れることができ、かつ固定資産税の負担も免れられます。また、不動産活用で収益を上げたいなら、売却によって得た資金を元に、新たな収益物件を購入するとよいでしょう。
土地の形状や立地によって収益物件として向いているかどうかは異なるため、いつまでも利益が上がらないなら早めに手放すことも大切です。
売却を検討するならまず一括査定サイトの利用がおすすめ
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固定資産税を含めた収支計画を立てよう
土地の収益化を測る際には利益を獲得できるかどうかはもちろん、出費がどれくらいあるかも考慮しなければなりません。
特に固定資産税は駐車場の場合だと高額になりやすく、毎年必要なコストのため注意が必要です。固定でかかる費用を念頭に置き、出費も考慮した上で収支計画を立てて、その土地に合った活用方法で上手に利益を上げましょう。