「放置状態になってしまっている土地を手放したいけれど、なるべく費用をかけたくない…」
「ボロボロの空き家や空き地でも、売却に使える控除はあるのかな?」
「低未利用土地等の100万円特別控除」は、現在利用されていない空き地や空き家を低廉な価格で売買した時に使える控除です。
この記事では、低末利用土地控除についてわかりやすく解説しています。
低未利用土地控除の基本的な知識や申請方法をはじめ、注意点等の知識を得られるため、今後の土地活用の検討に、是非お役立てください。
低未利用土地控除に関する5つの基礎知識
この章では、低末利用土地控除について、以下の5つの基礎知識を解説していきます。
基礎知識その1:低未利用土地控除とは?
「低末利用土地等の100万円特別控除の特例」は、都市計画区域内の特定の未利用地等を500万円以下で売却した場合、譲渡所得の金額から最大100万円を控除できる特例制度です。
(令和5年1月1日から令和7年12月31日に売却された土地に関しては、一部土地について売却価格の要件が800万円に引き上げられます。)
なお、譲渡所得額が100万円に満たない場合は、譲渡所得税の課税がなくなります。
基礎知識その2:低末利用土地控除の対象は長期譲渡所得のみ
低未利用地控除を受けられるのは、所有期間が5年を超える不動産を売却した時です。
所有期間5年以下の土地の売却には、低末利用土地控除は使えません。
不動産の譲渡所得(売却益)は、売却した不動産の所有期間に応じて「長期譲渡所得」と「短期譲渡所得」の区分に分けられます。
それぞれの定義は以下の通りです。
- 長期譲渡所得:不動産を売却をした年の1月1日時点で保有期間が5年を超える
- 短期譲渡所得:不動産を売却した年の1月1日時点で保有期間が5年以下
低未利用土地控除の特例は、長期譲渡所得のみを適用対象としています。
譲渡所得については、以下の記事でも詳しく解説しています。
不動産売却時の税金計算方法!譲渡所得税についてや節税対策も解説!
基礎知識その3:低未利用地と未利用地の違い
低末利用地とは、未利用地と低利用地を総称した言葉です。
本来、適切に利用されるべきなのに長期間利用されていない未利用地と、利用頻度や整備度合いが低く、管理状況などが周辺の利用状況に比べて悪い傾向にある低利用地を掛け合わせた意味合いです。
例えば、工場跡地や取り壊し予定の建物の跡地、公共施設の駐車場、農地の休耕地などが代表的と言えるでしょう。
低末利用土地と未利用地には隔絶された違いはなく、低利用地と未利用地を合わせることで両方の意味をまとめて表現しています。
基礎知識その4:低未利用土地控除を受けるために必要な7つの要件とは?
低未利用土地控除を受けるためには、7つの条件を満たす必要があります。
- 売った土地等が、都市計画区域内にある低未利用土地等(※1)であること。
- 売った年の1月1日において、所有期間が5年を超えること。
- 売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。特別な関係には、生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。
- 売った金額が、低未利用土地等の上にある建物等の対価を含めて500万円以下であること。(※2)
- 売った後に、その低未利用土地等の利用がされること。
- この特例の適用を受けようとする低未利用土地等と一筆であった土地から前年または前々年に分筆された土地またはその土地の上に存する権利について、前年または前々年にこの特例の適用を受けていないこと。
- 売った土地等について、収用等の場合の特別控除や事業用資産を買い換えた場合の課税の繰延べなど、他の譲渡所得の課税の特例の適用を受けないこと。
基礎知識その5:低未利用土地控除の対象となる土地の条件とは?
低未利用土地控除の適用対象となる土地は、都市計画法第4条第2項に定義されている都市計画区域の土地で、居住の用、業務の用その他の用途に供されていないあるいは類する土地であることが条件となります。
土地が住宅や事務所、店舗等、あらゆる形態で未利用で放置あるいは何らかの理由で利用されていない土地が該当します。
都市計画区域は更に、以下のの3種類のエリアに分類されます。
- 市街化区域
- 市街化調整区域
- 非線引き区域
準都市計画区域外や都市計画区域外の土地は、低未利用土地控除の対象外であるため、控除は利用できません。
市街化調整区域内の土地を手放す際の注意点などは、以下の記事でも詳しく解説しています。
市街化調整区域の土地を手放したい時の注意点と売却方法を解説!
「低未利用土地」の認可を受ける方法
低末利用土地控除を受けるには、「低未利用土地等確認書」を発行してもらう必要があります。
低未利用土地等確認書は、土地の所在する地域の市区町村に発行を申請します。
確認書の申請には、決められた書式で作成する「申請書」の他に、以下の要件を証明するための書類の添付が必要です。
- 都市計画区域内にある低未利用土地等であること
- 低未利用土地等の譲渡の後の利用があること
- 譲渡の年の1月1日において当該低未利用土地等の所有期間が5年を超えること
実際に提出を求められる書類は自治体によって異なるため、事前にHPなどで確認しましょう。
なお、申請には手数料が300円かかります。
また、申請から確認書の発行までには、2~3週間ほどの期間がかかります。
記載漏れや不備があった場合は、再度手続きが必要となります。確定申告書の提出に間に合うように、早めに準備に取り掛かりましょう。
低末利用土地の増大による問題対策
日本では昨今、適切に管理・利用されていない土地が増加しています。
低末利用土地控除は、未利用地による問題を解決するために制定・施行された制度です。
この章では、以下の2つのポイントを解説します。
ポイントその1:放置される空き地の増大
日本では近年、利用されていない土地が増え続けています。
国土交通省が公表した「増加する空き地の現状について」によると、空き地の比率が6.5%だった2008年から2018年にかけて12.4%に増加し、10年間で約2倍も増加していることがわかっています。
(画像引用:国税庁「増加する空き地の現状について(pdf)」)
なかでも、地方都市に空き地が生じる傾向にあり、空き地が増加している原因として人口減少による土地需要が低下した要因があるのではないかと考えられています。
空き地全体の約6割は65歳以上の高齢者が所有していることもわかっており、土地所有者の親族が亡くなったあとは相続されるのですが、その後有効活用されることなく放置されて空き地が増え続けています。
空き地を放置して生じる弊害は、景観や生態系の破壊につながり、地域の持続的な発展に悪影響をもたらす等が挙げられます。
放置された土地は肥料や水を必要としないため、将来的には農業用地や緑地としての活用が困難になると予想され、雑草や不快な植物が生えることで、周囲の生態系にも悪影響を及ぼすリスクが考えられます。
そのため、低末利用土地控除は、空き地が放置されることで考えられるリスクを避け、適切に管理・運用してもらえる買主に行き渡るように設けられた制度といえるでしょう。
ポイントその2:低末利用土地控除で売却促進
「なぜ、空き地が増えて土地の景観が損なわれてしまうのにも関わらず、土地の所有者は空き地を放置しているのか」という疑問を抱く方も多いでしょう。
主な理由は、土地の売却や処分には多額の費用が生じるケースが多く、安価な土地となれば売却で得られる利益が低く所有者にとってはメリットを感じられにくい傾向にあるからです。
土地の売却には、地盤調査や測量をはじめ、不動産会社に支払いをする仲介手数料や登録費用等の費用が発生してしまいます。
土地売却に生じる費用について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご参考にしてみてください。
土地売却の費用はいくら?手数料や税金など仕訳や計算方法を紹介
費用を売却によって得た金額から差し引いて、さらに最終的には税金も支払うとなれば手元にはほとんど利益が残りません。
土地を相続しても所有者は売却できず、かといって土地活用できるわけでもないといった状況に直面する場合が大半でしょう。
しかし、低末利用土地控除を活用すれば、売主の利益確保にも貢献し、空き地の売却意識を高める効果を期待できます。
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【2つの知識】低未利用土地控除の申請方法を知ろう!
低未利用土地控除の申請には、以下の2つの知識が必要不可欠です。
それぞれ解説していきます。
申請の知識その1:低未利用土地控除の必要書類
低未利用土地控除の必要書類には、低未利用土地等申請書、売買契約書の写しなどが含まれます。
目的 | 必要書類 |
---|---|
低未利用土地の判断資料 |
|
譲渡後の利用について確認資料 | 【宅地建物取引業者の仲介譲渡した場合】 低未利用土地等の譲渡後の利用についての書面【宅地建物取引業者を介さず相対取引にて譲渡した場合】 低未利用土地等の譲渡後の利用についての書面 |
その他の要件の確認資料 |
|
(引用:広島市「低未利用土地等確認書の交付について(低未利用土地等の譲渡に係る所得税及び個人住民税の特例措置))
提出する際には、必要事項が漏れていないか確認し、期限内に市役所の指示に従って手続きを行いましょう。
申請の知識その2:低未利用土地控除の手続きの流れ
低未利用地控除を受けるためには、下記の流れで手続きを進めます。
- 低未利用土地等確認書の交付申請書等を申請
- 審査
- 市が低未利用土地等確認書を交付
- 交付された低未利用土地等確認書をもとに、確定申告を実施
低未利用土地等確認書の申請から発行まで、2~3週間程度かかるため、確定申告の時期に間に合うように日数に余裕をもって対応しましょう。
低未利用土地控除の2つの注意点
低未利用土地控除には、以下の2つの注意点があります。
それぞれ、解説していきます。
注意点その1:土地活用が制限される
ひとつの土地を複数に分けて登記された土地は、原則として1回のみ低末利用土地控除に適用できるのですが、以降の年には適用できません。
例えば、1,200万円の土地をA、B、Cの3区画に区分して毎年400万円ごとに売却する場合、初年度のA区画の売却に低末利用土地控除を適用すると、翌年、翌々年のB、C区画には適用できなくなってしまいます。
他にも、他の譲渡特例との併用はできないことや法人の適用が認められていない等、制限が設けられている点は忘れられやすいポイントです。
注意点その2:土地活用の計画がないと適用外
低末利用土地控除を適用するには、譲渡後の土地の具体的な予定・計画を定めなければなりません。
そのため、申請を行う際に譲渡後の利用計画を証明できる書類を添付して裏付けを示さなければいけません。
例えば、譲渡後の土地を買主がしばらく、露天駐車場として利用していつかは倉庫等の建築物を建てたい。このような、裏付けとなる書面の提出ができない場合は適用対象外となります。
低未利用土地控除に関するポイント【まとめ】
この記事では、土地の売却を検討している方に向けて、「低未利用土地控除」について解説してきました。
売却価格が低廉な土地は、売却しても利益が出ないことが多く、処分に踏み切れない方も多くいらっしゃいますが、売却にかかる費用の負担を軽減してくれるのが低未利用土地控除です。
ただし、利用には細かな条件があり、自治体への申請手続きも必要です。
適用申請における注意点を押さえて、費用を節減しながら土地を売却しましょう。
土地の売却について不安のある方は、不動産売買のプロである不動産会社への相談してみるのがオススメです。
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