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戸建ての減価償却について基本から解説。計算までできるようになろう

  • 更新日:2022年6月9日
戸建ての減価償却について基本から解説。計算までできるようになろう

戸建てを売却するときには、自宅用に使っていた戸建てであっても減価償却費を計算する必要があります。また、事業用として賃貸経営や店鋪用として利用している戸建ての減価償却費は確定申告で費用として計上できます。

しかし、不動産の売買が初めての人や、初めて確定申告を行う人にとっては、どのように減価償却費を計算したらいいのかわからない、という人も少なくありません。この記事では、戸建ての減価償却とはどのようなもので、どのように計算すればいいのか、詳しく解説します。

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戸建ての減価償却の基本

減価償却というのはどのようなもので、どうして計算することが必要なのでしょうか。減価償却の意味や、どのような場合に減価償却費を使うのか、減価償却の計算する上で欠かせない耐用年数と償却率について詳しく解説します。

減価償却の意味

減価償却とは、建物や車両、備品などの価値を減少させる手続きのことです。主に事業を行っている場合の会計処理で必要になるものですが、戸建てを売却する時には自宅用として利用していた戸建てでも計算する必要が出てきます。

建物や車両、エアコンや冷蔵庫などの備品は比較的長い期間利用できるものです。しかし、購入して使い始めれば、どのように気をつけて使っていても経年劣化を避けることはできません。年々価値が下がってしまいます。

事業を行っていると、建物や車両、長期間使える備品などは資産として計上しますが、年々下がっていく価値を会計ルールにのっとって計算することが減価償却です。

建物や車両などの劣化具合は使い方やメンテナンスの頻度などによって大きく異なります。しかし、減価償却は実際の劣化具合とは関係なく、会計上のルールとして行うものです。国税庁が定めた耐用年数と減価償却率によって毎年その価値を減じていきます。

なお、不動産の場合には土地は減価償却しません。その理由は、建物のように土地そのものが経年劣化することはないからです。戸建てを減価償却する時には、建物部分の購入価格だけで計算します。

戸建てで計算した減価償却費の使い道

戸建てで計算した減価償却費はどのような場合に利用するのでしょうか。賃貸などの事業用として利用していたわけではなかった戸建ての場合には、売却したときの譲渡所得の計算に必要となります。売却時の価値は取得時よりも経年劣化により下がっているので、取得したときの価格から減価償却費を差し引いて計算しなければいけません。

賃貸経営を行っていたり、店鋪や事務所として利用していたり、事業用として戸建てを利用しているのなら、毎年減価償却費を計上していきます。戸建ての取得費を一度に計上するのではなく、減価償却費として分割して毎年計上することで、利益を減らして節税に役立てることができます。

耐用年数の種類と特徴

建物の耐用年数の考え方には「物理的耐用年数」「法定耐用年数」「経済的残存耐用年数」の3種類あります。この3種類の耐用年数とはどのようなものなのか次の表で見ておきましょう。

  • 物理的耐用年数
  • 法定耐用年数
  • 経済的耐用年数

物理的耐用年数とは、建物の構造や材質などが物理的な面で使用に耐えられなくなるまでの年数のことです。建物そのものの劣化具合を考慮した考え方になります。

法定耐用年数は国が定めた基準です。不動産の価値を公平に計算するために、不動産の種類と構造、用途によって一律の基準を設けています。減価償却の計算で使われます。

経済的耐用年数は建物の経済的な価値を持つ期間を表すものです。物理的耐用年数に加えて、今後の修繕や補修の費用と効果も算定して考えます。

戸建ての構造別の耐用年数と償却率

減価償却の計算に使われるのは法定耐用年数です。法定耐用年数の期間と、毎年どのくらいの価値が減っていくのかを表す償却率は建物の材質と構造によって国税庁によって定められています。建物の構造別の耐用年数と償却率は次の表のとおりです。なお償却率は定額法の場合です。

非業務用とは事業用に利用しないマイホームや自分で利用するための別荘などの場合です。業務用の住宅とは賃貸収入を得るための物件のことです。

建物の構造非業務用(自宅用等)
耐用年数
非業務用
償却率
業務用(住宅・店鋪)
耐用年数
業務用業務用
(住宅・店鋪)償却率
鉄骨鉄筋コンクリート造または
鉄筋コンクリート造
70年0.01547年0.022
れんが造、石造またはブロック造57年0.01838年0.027
骨格材の肉厚4mm超の金属造51年0.02034年0.030
骨格材の肉厚3mm超4mm以下の
金属造
40年0.02527年0.038
骨格材の肉厚3mm以下の金属造28年0.03619年0.053
木造または合成樹脂造33年0.03122年0.046
木骨モルタル造30年0.03420年0.050

参考:確定申告書作成コーナーよくある質問 耐用年数 国税庁 減価償却費の計算について 減価償却資産の償却表率

戸建ての減価償却の計算方法

戸建ての減価償却費を計算する必要が生じた場合にはどのように計算すればいいのでしょうか。戸建ての減価償却の計算方法の定額法と定率法をそれぞれ解説します。

毎年の償却費が一定の定額法

定額法とは毎年同じ金額の減価償却費を計上する方法です。2016年度の税制改革で定率法は廃止されました。今後、新しく購入する戸建ての減価償却費の計算方法は定額法のみとなります。しっかりと計算方法を理解して正しく計算できるようにしておきましょう。

定額法の計算式は次のとおりです。

減価償却費=取得価格×定額法の償却率

例えば、建物部分の取得価格が3,000万円の自宅用木造モルタル住宅の場合には、減価償却率が0.034であるので次のような計算式となります。

3,000万円×0.034=102万円

毎年102万円ずつ価値が下がっていき、法定耐用年数の30年後には価値が0円になると計算されます。

初年度の償却費が一番多い定率法

定率法とは、定額法とは違い毎年減価償却される金額が少なくなっていく計算方法です。減価償却費が少なくなる理由は、減価償却率をかける取得費の計算方法が、取得費から減価償却累計額を差し引いた金額になるためです。

そのために、取得してから1年目が最も高額な減価償却費となり、次の年からは少なくなっていきます。しかし、2016年で建物部分の定率法での減価償却は廃止されているので、このような計算方法がある程度で理解しておけばよいでしょう。

戸建ての3パターンの減価償却計算例

ここからは、減価償却費の具体的な計算方法を具体例を出してご紹介します。戸建てをマイホームとして新築で建てた場合と、中古で購入した場合、賃貸経営や店鋪に使う事業用として取得した場合のそれぞれの減価償却費の計算方法について見ていきましょう。

新築で建てた戸建ての減価償却の計算

新築の土地付き木造戸建てを3,500万円で購入して、築10年で売却する場合の減価償却費の計算方法について見ていきましょう。

土地付き建物を購入した場合には、まずは建物部分の価格を計算しなくてはいけません。

新築の場合には、売買契約書や明細書に土地と建物が明確に分けて記載されていることもあります。建物部分の価格の記載があればそちらを参照しましょう。土地と建物の総額しか記載されていない場合には、消費税から建物部分の価格を計算できます。土地は消費税が非課税なので、消費税は建物部分のみに課税されているためです。

消費税から建物部分の価格を算出する計算式は次のとおりです。

建物部分の価格=(消費税額÷消費税率)+消費税額

10%の消費税で消費税が180万円と記載されていれば次の計算になります。

  • 建物部分の取得価格:(180万円÷10%)+180万円=1,980万円
  • 土地部分の取得価格:3,500万円-1,980万円=1,520万円

減価償却を計算するべき建物部分の取得価格は1,980万円、減価償却の対象にならない土地部分の取得価格は1,520万円になります。

実際に売買や確定申告などで減価償却費を計算するときの計算式は次のとおりです。経過年数は6ヶ月未満は切り捨て、6ヶ月以上は切り上げで計算します。今回は10年で計算しましょう。

減価償却費=建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数

自宅用の木造住宅なので償却率は0.031です。この場合の計算式は次のようになります。

1,980万円×0.9×0.031×10年=552万4,200円

減価償却費は552万4,200円です。

中古戸建ての減価償却の計算

次は、自宅用に購入した中古住宅を耐用年数を超えてから売却するときの減価償却の計算方法について見ていきましょう。

築10年の木造の中古住宅を3,000万円で購入して15年後に売却したときの減価償却費の計算方法です。売買契約書に建物と土地の記載は明確でなく、消費税が5%で65万円と記載されています。

まずは消費税から建物部分と土地部分の取得費を計算します。

  • 建物部分の取得価格:(130万円÷5%)+130万円=1,365万円
  • 土地部分の取得価格:3,000万円-1,365万円=1,635万円

自宅用に購入した物件の場合には、減価償却率は新築時とまったく同じ数字が適用されます。経過年数も築年数ではなく購入したときからの年数で計算できます。この場合の減価償却費の計算式は次のようになります。

1,365万円×0.9×0.031×15年=571万2,525円

減価償却費は571万2,525円です。

事業用戸建ての減価償却の計算

次に、不動産投資用の賃貸戸建てや店鋪用として利用する事業用戸建ての減価償却の計算方法について見ていきましょう。

3,000万円で新築で購入した木造戸建てを賃貸に出した場合の減価償却について見ていきましょう。今回は購入時の明細に土地1,000万円、建物部分2,000万円と記載されています。建物部分の減価償却の計算方法は次のとおりです。

事業用不動産の場合には木造の法定耐用年数は22年で償却率は0.046です。事業用不動産を売却する場合の減価償却費の計算式は次のとおりです。

減価償却費=建物の取得費×償却率×業務に利用した月数÷12

この物件を5年3ヶ月(63ヶ月)賃貸に出したあとで売却する場合、減価償却費は2,000万円×0.046×63ヶ月÷12=483万円となります。

戸建ての減価償却で損をしないコツ

戸建てを売却するときには、減価償却費の計算方法で大きく損をしてしまうこともあります。特に、不動産売買についての知識がない人でも行う自宅の売却では、売却後に課税される譲渡所得税の税額が減価償却費の計算で大きく変わってしまう場合もあります。戸建ての減価償却の計算方法で損をしないためにはどうしたらいいのか、そのコツを解説します。

減価償却する戸建ての価値を正確に算出

売却するときには、取得費を正確に計算するようにしましょう。取得費とは、戸建てを購入したときの購入金額から減価償却費を差し引いた金額です。取得費を証明するためには、購入時の売買契約書や領収書などの正式な書類が必要です。もしも契約書や領収書がなく、取得時の購入金額を正式に証明できない場合には、概算法で計算することになります。

概算法とは、売却した時の売却価格の5%を取得費としてみなす計算方法です。2,000万円で売却した場合には、その5%の100万円が取得費となります。しかし、購入後の資産価値がよほど上がった場合を除き、取得費が売却価格の5%ということはまずありません。

取得費は正確に計算できないと、売却金額から取得費と売却時の手数料を差し引く譲渡所得が高額になり、譲渡所得税の課税額が高額になる可能性があります。戸建ての価値と減価償却は正確に計算して、節税に努めましょう。

確定申告の減価償却の計算間違いはすぐに修正

事業用として戸建てを利用している場合に、確定申告で減価償却の計算を間違えてしまった時にはどのように対応したらいいのでしょうか。

確定申告で減価償却の計算間違いをしてしまった場合にはすぐに修正しましょう。5年以内なら修正することが可能です。申告額が多すぎて税金を多く納めすぎた場合には、構成申告を行って払いすぎた税の還付を受けられます。申告額が少なすぎた場合には、修正申告をして税金の不足分と延滞税を収めましょう。

また、次の年からは正確に計算して申告するように気をつけましょう。

税金の専門家に減価償却について相談

戸建てを売却したときの、減価償却費の計算方法がよくわからない、事業用として利用している戸建ての減価償却の確定申告に自信がない、という場合には税金の専門家に相談することをおすすめします。

国税庁の電話相談センターや最寄りも税務署なら無料で相談に乗ってもらえます。税理士にも相談できますが、税理士への相談は2回目以降は有料になることがあります。

よく理解できないままに自分で適当に計算してしまうと、後から更生申告や修正申告が必要になる場合もあります。そのようなことにならないように、自信がないのなら確定申告の前に早めに専門家へ相談してみましょう。

戸建ての売却で減価償却以外の現金収入を増やす方法

戸建てを売却すると、取得費から減価償却費を差し引かなければいけないので、物件の築年数がたっていると譲渡所得が高額になってしまう場合もあります。減価償却を差し引かなければいけない分だけ、戸建ての売却で現金収入を増やすためにはどうしたらいいのでしょうか。戸建てを売却したときに、手元に残るお金を少しでも多くするための方法について解説します。

適用できる控除・特例の申請

自宅として使っていた戸建てを売却したときには、確定申告で控除や特例を申請することで大幅な節税が可能です。マイホームの売却で利用できる控除や特例は次のとおりです。

利用できる控除・特例解説
特定の居住用財産の買換え特例マイホームを売却して新しいマイホームを購入した場合に、売却で発生した譲渡所得を次の売却時に繰り延べることができる。
3,000万円特例控除マイホームの譲渡所得から3,000万円が控除される。
10年超所有軽減税率の特例10年を超えて所有している物件の場合には、6,000万円までの譲渡所得に対する税率が所得税は10.21%、住民税は4%に軽減される。
譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例マイホームの売却で損失が出た場合に、給与所得や事業所得と損益通算して、全体の所得を抑えることができる。

なお、3,000万円の特例控除は住宅ローン控除と併用できない、といったルールがそれぞれの特例や控除にあります。利用したほうがいいのかどうかは、事前によく調べてから決めましょう。

売却にかかる税金以外の費用を節約

戸建ての売却には譲渡所得税の他にもさまざまな費用がかかります。譲渡所得税以外の費用を節約することで、最終的に手元により多くの金額が残るように工夫しましょう。戸建ての売却にかかる費用は次のとおりです。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登記費用
  • 住宅ローンを一括返済する場合の金融機関への手数料
  • 引越し費用
  • ハウスクリーニング代
  • 敷地の測量費用

この中で特に金額が大きくなるのが仲介手数料です。仲介手数料は売却に成功したときの成功報酬として支払うもので、売却金額の3%から5%という上限金額が法律で定められています。

場合によっては数十万円から数百万円の費用がかかることがあります。仲介手数料の割引交渉をしてみたり、仲介手数料が安い不動産会社を探したりすると費用を大幅に節約できます。

また、ハウスクリーニングや引っ越しをできるだけ業者に依頼せずに自分で行うなどの節約方法も考えられます。

戸建てを適正価格で売却

戸建ての売却でできるだけ手元に残る金額を多く残すために、色々と節約するのもよいですが、仲介手数料の割引交渉は不動産会社がやる気を無くしてしまうことも多いので、実はあまりおすすめはできません。

仲介手数料は成功報酬なので、万が一売却に失敗したら不動産会社は損をします。また、チラシをポスティングしたり、不動産情報サイトに掲載料を支払って掲載したりといった宣伝活動の費用はすべて不動産会社の負担です。割引交渉をやりすぎると、宣伝の内容や量を減らされてしまう可能性も高まります。

経費の節約よりも確実に手元により多くのお金が入ってくる方法は、適正価格で戸建てを売却することです。複数の不動産会社に相見積もりをしてもらったり、周辺地域の不動産相場を自分で調べたりすることで、不動産会社の査定額が適正な価格かどうかを自分でしっかりと判断しましょう。

より適正価格での売却を目指すのであれば、すまいステップで一括査定を依頼してみることをおすすめします。一括査定サイトのすまいステップには、全国から厳選した良心的な不動産会社が100社以上登録されています。

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戸建ての減価償却は正確に計算をして、売却や賃貸経営で損をしない

減価償却費の計算方法というのは、初めて減価償却を行う人にとってはかなりややこしく、大変なものです。しかし、正確に計算して申告しないと売却時の譲渡所得税が高額になったり、賃貸経営での費用の計上額が少なくなってしまい、大幅に損をしてしまいます。

減価償却費の計算は大変ですが、しっかりと理解して計算すれば初めての人でもできないことはありません。また、税務署などでも相談に乗ってくれます。ぜひ、自分で計算することに自信がない場合には、専門家へ相談して減価償却で損をしないようにしましょう。

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