不動産を売却して利益が出ると、所得税だけでなく、住民税も増額します。
ただし、不動産の売却益は、計算してみると出ないことも多いです。
そのため、支払う住民税が増えるかどうかを知るためには、まずは不動産の売却益を計算する必要があります。
不動産の売却益に対する所得税と住民税を支払う場合は、売却した翌年に支払います。
受け取った代金は全て使い切らずに、税金の支払いのために残しておきましょう。
不動産売却には税金がかかる!節税方法や支払い時期を分かりやすく解説!
不動産売却の利益に「住民税」と「所得税」がかかる
不動産を売却して得た利益は、「譲渡所得」といいます。
そして、他の所得と同じように、譲渡所得に対して、住民税と所得税がそれぞれ課せられます。
所得税:所得に応じて「国」に支払う税金
不動産の譲渡所得は、以下の式で計算します。
以下の費用シミュレーターを使って、あなたの不動産を売ったときにかかる費用を算出してみましょう!
「売却価格」「購入価格」「物件の所有期間」「現在住宅として住んでいるか」をそれぞれ入力し、「費用を算出する」ボタンを押すと、売却時にかかる費用が自動で算出されます。
※購入価格が分からない場合は空欄で大丈夫です。
費用の内訳も表示されますので、まずはどんな費用がいくらかかるのかを把握しておきましょう。
「住民税」の確定申告は不要
譲渡所得があった場合には、確定申告をする必要があります。
しかし、税金額を確定申告して納付するのは「所得税」のみです。
「住民税」の申告は、所得税の申告時に同時に済ませた扱いとなります。
自治体に対して別途、住民税を申告する必要はありません。
不動産売却後の住民税はいくらかかる?
不動産売却にかかる住民税の金額は、譲渡所得に税率をかけ合わせて計算できます。
譲渡所得に関する住民税、および所得税は、売却した不動産を所有していた期間に応じて異なります。
住民税の税率 | 所得税の税率 | |
---|---|---|
所有期間が5年以下 (短期譲渡所得) | 9% | 30.63% |
所有期間が5年超 (長期譲渡所得) | 5% | 15.315% |
(所得税の税率は、2037年までの復興特別所得税を含めて表記しています。)
なお、所有期間は、売却した年の1月1日を基準に計算します。
譲渡所得が1,000万円だったケースを仮定して、所有期間による税額の違いをシミュレーションしてみましょう。
所有期間:2017年10月1日~2022年1月1日⇒4年3ヶ月(短期譲渡所得)
所得税:1,000万円×30.63%=306万3,000円
住民税:1,000万円×9%=90万円
所有期間:2017年10月1日~2023年1月1日⇒5年3ヶ月(長期譲渡所得)
所得税:1,000万円×15.315%=153万1,500円
住民税:1,000万円×5%=50万円
不動産売却後の住民税はいつ支払う?
確定申告によって税額が決まった住民税は、売却した翌年の6月以降に1年かけて支払います。
不動産売却にかかる住民税の支払い時期と支払い方法は、確定申告の時に住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」を選ぶか「特別徴収」を選ぶかによって異なります。
自分で納付(普通徴収)の場合
「自分で納付」を選んだ場合、6月、8月、10月、翌年1月の4回に分けて、住民税を納めます。
(具体的な期日は、自治体によって異なります。)
住民税を自分で納付する納税方法を「普通徴収」といいます。
自営業者や年金生活者は、基本的に住民税を普通徴収で納めていますが、給与所得者であっても確定申告時に「自分で納付」を選べば、譲渡所得に関する住民税を普通徴収で納付できます。
各市町村から6月上旬に届く納付書を使って、納付しましょう。
なお、第1期(6月)に一括で納付することも可能です。
特別徴収の場合
「特別徴収」を選んだ場合は、普段支払っている住民税と同じように、毎月の給与所得から天引きで納めることになります。
「特別徴収」を選べるのは給与所得者のみです。
納税のために特別な手続きをする必要がなく、また納税額が月々に分割されるので、支払い1回あたりの負担は軽くなります。
給与所得以外に所得があったことを会社に知られたくない場合には、「自分で納付」を選ぶとよいでしょう。
不動産売却で増える住民税の負担を軽減するには
不動産売却による住民税は、分割して支払うものですが、支出が増額するのは家計の負担になりますよね。
この章では、住民税の負担を軽減する方法について解説します。
譲渡所得の控除を受けられる特例などを利用する
譲渡所得(不動産売却の利益)は、「特別控除」を受けられる特例があります。
控除を受けられれば、譲渡所得の金額が小さくなるため、その分住民税が安くなります。
▼控除を受けられる特例(一部紹介)
特例 | 控除金額 | おおまかな条件 |
---|---|---|
居住用財産を譲渡した場合の特別控除 | 最大3,000万円 | 住んでいた家屋や敷地を売却する。 |
被相続人の居住用財産を譲渡した場合の特別控除 | 最大3,000万円 | 相続した空き家や敷地を売却する。 |
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡した場合の特別控除 | 最大1,000万円 | 平成21年・22年に取得して、5年以上保有した土地を売却する。 |
農地保有の合理化のために農地等を譲渡した場合の特別控除 | 最大800万円 | 農業委員会の斡旋などによって農地を認定農業者等に売却する。 |
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 | 最大100万円 | 都市計画区域内の活用されていない土地を500万円以下で売却する。 |
▼その他の特例
特例 | 内容 | おおまかな条件 |
---|---|---|
所有期間10年超の軽減税率の特例 | 課税対象の長期譲渡所得のうち、6,000万円以下の部分の税率が10%になる | 10年を超えて所有している居住用不動産を売却する。 (3,000万円控除と併用可能) |
特定のマイホームを買い換えたときの特例 | 売却した家に対する課税を、買い換えた家を将来売却する時に繰り延べられる。 | 10年以上居住し、10年を超えて所有している不動産を売却し、売却価格よりも高い金額で買い換えをする。 |
利用できそうな特例は詳しい適用条件をチェックし、確定申告で申請しましょう。
控除の限度額が上がったふるさと納税を活用する
譲渡所得の控除が受けられない場合は、所得が例年よりも増えることを活かして、「ふるさと納税」を活用してみましょう。
自己負担金2,000円を支払い、地方自治体に寄附をすることで、寄附金額分の税控除を受けながら、自治体からの返礼品を受け取れる制度です。
税金から控除を受けられる金額には、限度額があります。
「控除の限度額」は、その年の総所得金額に基づいて決まります。
そのため、不動産売却をした年は譲渡所得が増える分、例年より「控除の限度額」が増えるのです。
不動産売却の住民税・所得税は翌年支払うことを覚えておこう
不動産を売却する前に譲渡所得を見積もるためには、精度の高い売却予想金額を知るのが不可欠です。
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