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不動産の時価の定義と調べ方|しっかり把握して相続税対策も

  • 更新日:2024年1月19日
不動産の時価の定義と調べ方|しっかり把握して相続税対策も

「時価とは何なのか知りたい」
「どこで見ることができるのか」
「相続税対策にも利用できるの教えて欲しい」

このような方にお伝えしたいことは、時価には地価公示価格等の4つがあり、国土交通省等のサイト等から閲覧して、調べることができるということです。

また、うまく利用すれば相続額の2割以上を節税可能です。

この他に、路線価の算定方法についても解説します。最後まで読んでいただければ、時価についてしっかりと理解して、相続税対策に利用できます。

不動産における時価の定義

例えば、高級寿司店に行った場合、ネタの料金が時価だということもあるでしょう。これと同様に、不動産でも時価が存在していますが、大きく違う点があります。それは、不動産における時価は4種類あると言うことです。
また、不動産における時価にはさまざまな違いや相関関係があります。ここでは、これらについて詳しく解説していきます。

不動産価格の2024年までの推移と2024年の推移予想を解説!【2024年最新版】

不動産における「時価」には4種類ある

不動産の時価は、地価公示価格、基準値標準価格、相続税路線価格、固定資産税評価額+実勢価格の4つあります。まず、価格では「公示価格」か「基準値標準価格」が基準となり、「相続税路線価格」や「固定資産税評価額」は、それよりも低く算出されています。
また、それぞれ発表している機関や時期が異なっており、それが売り主と買主との取引が成立した場合の価格である「実勢価格」との差を発生させています。つまり、時価とはおおよその価格であると考えたほうが良いです。

「地価公示価格」

都市計画区域において選定された、全国3万地点程の標準値について、単位面積(1m2)あたりの価格を公示しています。こちらについては、「ニュースなどで銀座の地価が上がった」などとよく報道されている価格のことです。
次の基準値標準価格とほぼ同じようなもので、価格についても同様と言って良いです。ただし、違いもあります。

「基準値標準価格(都道府県調査地価)」

地価公示価格が、都市計画区域であるのに対して、こちらは都市計画区域外の価格について公示しています。性質については、地価公示価格と同様なものであり、簡単に言えば、発表される時期が異なっている程度です。

「相続税路線価格」

全国の都市の中心部およびその周辺に限って、その範囲全域の道路、つまり路線の価格について公示している価格です。不動産以外の用途としては、相続税や贈与税などの課税価格を算出するために、用いられています。なお、価格は公示価格や基準値標準価格よりも、低くなっています。

「固定資産税評価額」+「実勢価格」

まず、固定資産税評価額について解説します。こちらは、市町村役場に備え付けの固定資産税課税台帳の登録価格です。不動産以外の用途としては、固定資産税や不動産取得税等の税金の課税に用いられます。なお、価格は公示価格や基準値標準価格よりも、低くなっています。
次に実勢価格とは、実際に売買されている価格のことです。ただし、こちらの価格はあくまでも、過去の取引を元に算出される価格であり、実際にその価格で売買されるとは限りません。

4種類の「時価」について比較

それぞれの時価を実際に比較してみた場合に、どのような違いがあるのかを知ることも大切なことです。ここでは価格や公開日、担当期間、有料もしくは無料で調べられるのかなどを比較していきます。

公示価格を100とした数値

価格については以下の様になります。

  • 地価公示価格:100
  • 基準値標準価格:100
  • 相続税路線価格:80
  • 固定資産税評価額:70

相続税路線価格と固定資産税評価額では、算出される価格は公示価格等よりも低くなっています。これは、地価公示価格を基準にして計算しているために、このような差が生まれています。
正確ではありませんが、もしおおよその地価を計算したいなら、算出された額を0.8もしくは0.7で割れば、おおよその額として計算できます。実際の不動産売買の際には、こちらを利用することもあります。

基準日および公開日

基準日および公開日については、以下のようになります。

  • 地価公示価格:3月下旬発表(基準日1月1日)
  • 基準値標準価格:9月下旬発表(基準日7月1日)
  • 相続税路線価格:7月発表(基準日1月1日)
  • 固定資産税評価額:4月発表(基準日1月1日

1年で、最も早く発表されるのが地価公示価格であり、最も遅く発表されるのが基準値標準価格です。また、基準値標準価格のみ基準日が7月1日となっており、それ以外は新年のデータを元にしています。

担当機関ごと

それぞれを担当している機関は、以下のようになります。

  • 地価公示価格:国土交通省
  • 基準値標準価格:都道府県
  • 相続税路線価格:国税庁
  • 固定資産税評価額:市町村(ただし、23区は除く)

上記のように時価として、よりメジャーなほうを省庁で担当しており、それ以外は都道府県や市町村で担当しています。

有料か無料なのか

4つのすべてにおいて、基本的に無料となっています。閲覧方法としては、ネットから価格を調べたり、税務署等に赴いて確認したりすることもできます。

公示価格と標準価格の違い

公示価格と標準価格は、基本的にはどちらも社会インフラとして、地価を公示すると言う目的は一緒です。大きな違いは、調査の対象地域と公表時期にあります。

調査の対象地域

公示価格では、銀座等の都市計画区域を、主に調査して公示しています。一方で標準価格では、都市計画区域外も調査して公示しています。
つまり、メジャーな場所は「公示価格」で時価を公示し、メジャーな場所だけでなく、マイナーな場所までも調査して公示するのが「標準価格」です。したがって、都市部なら前者、都市部から外れているなら後者で見れば良いと言うことです。

公表時期

公示価格は1年に1回、新年の地価を3月に公表します。一方で、標準価格はこちらも1年に1回、7月1日の地価を9月に発表します。
実はこのように、2つの価格を発表しているのは、実勢価格との差を発生させないためにしています。当然ながら、1年の期間があれば経済が変化して、それが地価に影響することも十分に考えられます。その場合、新年の価格を公示する「公示価格」では、おおよその地価として使うのに不便です。
しかし、ここで半年発表がずれている「標準価格」でそれを補えば、おおよその地価として機能します。このようにして2つの時価として機能させています。したがって、3月から8月までは公示価格、9月から2月までは標準価格を時価として使うと良いでしょう

「公示価格」と「地価公示」の相関関係とは

公示価格と地価公示には、どのような相関関係があるかと言えば、必ずしも地価公示=公示価格とならないことは言えます。なぜなら、地価公示は新年のデータを元にして公示されるので、時間が立つほどに公示価格との変動率は大きくなるからです。
例えば、ある土地が1年間で、新年よりも地価が緩やかに上昇したとします。この場合は、3月の発表のタイミングで購入すれば、変動は比較的少ないでしょうが、年末で購入したとすれば、間違いなく「地価公示<公示価格」となります。なお、これとは逆に、緩やかに下落した場合には、「地価公示>公示価格」となるでしょう。
このように、地価公示と公示価格の相関関係は、購入のタイミングや経済状況等によって左右されます。

・時価の種類は4つ
・比較すると違いがある
・相関関係がある

それぞれの時価の調べ方

以下のように、それぞれの時価を調べることができます。

時価の種類調査方法
1.公示価格国土交通省地価公示・都道府県地価調査
2.基準値標準価格国土交通省地価公示・都道府県地価調査
3.相続税路線価格財産評価基準書路線価図・評価倍率表
4.固定資産税評価額固定資産税の課税明細書で調べる、固定資産税台帳を閲覧する、固定資産評価証明書を取り寄せる
5.実勢価格不動産取引価格情報検索

なお、4の固定資産税評価額を調べる際に、固定資産税台帳を閲覧する場合や、固定資産評価証明書を取り寄せる場合には、閲覧するためには申請が必要です。また、その資格としては、納税義務者、相続人、借地人等に限られます。

家の査定方法と正しい依頼方法を解説

相続税に関わる路線価の算定方法

路線価は時価の一つであり、相続税等の計算に用いられます。では、この相続税にも関わってくる路線価を、どう算出すればよいのでしょうか。
実は路線価は、状況に応じて路線価方式で算出される場合と、倍率方式で算出される二つのパターンがあります。ここでは、具体的な算出方法について解説していきます。

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2つの方式が存在する理由

路線価ですが、ポイントは全国の都市の中心部および、その周辺の道路に面しているという点です。例えば、交通量の多い国道等なら公示されているため、路線価は算出できます。しかし、極端に言えば秘境のような場所の土地では、公示されていないため算出できません。
そのため、路線価が公示されていない場所では、「固定資産税評価額を利用した算出方法」で算定すると言う手法が取られています。

路線価方式での算出

路線価方式で算出する場合、まずは「路線価」と「土地の面積」を確認してください。確認できたら、以下の計算式で算出できます。

(路線価±土地の状況による加算もしくは減算)×土地の面積=評価額

上のようになりますが、分かりやすくするために、例で解説します。

例えば、路線価が20万円だとします。そして、土地の状況による加算が1.0土地の面積が400m2の場合には次のようになります。
200,000×1.0×400=80,000,000円
つまり、この場合には8,000万円と評価されます。

なお、路線価や土地の状況による加算もしくは、減算について知りたい場合には、国税庁の財産評価基準書 路線価図・評価倍率表からご覧になってください。
参考:http://www.rosenka.nta.go.jp/

倍率方式での算出

倍率方式で算出する前に、まずは固定資産税評価額について解説すると、取引時価の60〜70%で算定するものです。そのため、このまま当てはめると不公平になってしまうので、以下のような計算式で算出しています。

固定資産税評価額×評価倍率=評価額

こちらは評価倍率によって額が決まるので、路線価方式と同様に、国税庁の財産評価基準書 路線価図・評価倍率表から確認して算出してください

建物込みの実勢価格について知りたかったらすまいステップで

すまいステップなら土地だけでなく、建物込みの実勢価格についても知ることができます。どのぐらいの資産家価値があるのか知りたいならぜひすまいステップからどうぞ。

・路線付近は路線価方式
・離れていれば倍率方式
・実勢価格はすまいステップで

みんなの不動産売却体験談

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査定価格700万円売却価格850万円

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時価の違いを利用して相続税対策をする

できることなら、相続税対策についても知っておきたいと思いませんか。実は、時価の違いを利用すれば、それが可能になります。路線価の公示価格と不動産を賃貸物件として利用することで、税金対策ができます。ここでは、これ等について解説していきます。

路線価の公示価格を上手く活用

路線価は、公示価格の80%となっています。これを利用すると、例えば1億円を現金で相続した場合には、相続額は1億円になりますが、1億円の家を相続した場合には、8,000万円が相続額となります。
つまり、単純に考えれば2,000万円を節税したことになります。これだけでも大きいですが、次に解説することを利用すれば、さらに節税することができます。

さらに不動産を賃貸物件として利用

例えば、1億円の不動産を賃貸物件として相続した場合には、さらに節税が可能です。この場合は、建物は借家権割合を差し引いて評価し、土地は貸家建付地の評価されます。
簡単に言ってしまえば、それぞれ%がかかる計算になり、この賃貸物件が仮に土地、建物のそれぞれが5,000万円だとすると、以下のように計算されます。

  • 建物:5,000×70%=3,500
  • 土地:5,000×79%=3,950(借地権70%)

合計の評価額:計7,450万円

つまり、仮定の話になりますが、1億円の家を相続した場合は、8,000万円が相続額になるのに対して、550万円節税できることになります。ただし、当然ながら立地によっては入居者が決まらずに、収支がマイナスになるリスクがあります。しかし、うまく利用すれば節税できるでしょう。

・不動産にすれば節税
・賃貸等ではさらに節税
・ただし、リスクもある

相続した不動産は有効活用し大切な財産にしよう

時価には4種類あり、発表される時期が違います。また、それぞれの時価については、さまざまな方法で閲覧が可能です。さらに、相続税に関わる路線価は二つの方法で算定でき、時価の違いを利用して、現金でなく不動産や賃貸アパート等で相続すると、節税ができます。
大切なことは、時価についてしっかりと理解して、相続した不動産は有効活用することです。そうすれば、あなたも財産を有効活用することができるでしょう。

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