マンションや土地などの不動産は、経済的要因や社会的要因が大きく影響します。
現在の日本においては、2019年10月の消費税率の引き上げや2020年7月から開催される東京オリンピックの影響で、不動産の駆け込み需要が高まっており、首都圏を中心としたマンションの価格が上昇し続けています。
ここでは、経済や社会が与える不動産価格の影響や価格が上がる要因について解説していきます。
現在の不動産価格は上昇傾向
日本では、低金利政策によって、住宅ローンが組みやすくなっていることが住宅の購入に繋がっている要因の一つと考えられています。
最新の不動産価格の動向は以下の記事を参考にしてください。
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これまでの不動産の価格推移
2008年のリーマンショックが影響し、世界全体の経済情勢が不安定となり、倒産を余儀なくされる企業も増加しました。しかし、現在は、少しずつ取り戻しを見せ、不動産の価格もリーマンショック直前と同じくらいに回復しています。
また、日本においては、低金利政策やアベノミクス効果により、2013年以降の不動産価格が上昇しています。さらに、全国各地で空き家問題が深刻化する一方で、都市部を中心としたタワーマンションの建設が相次ぎ、駅からの距離が近く利便性の良い集合住宅への需要が高まる傾向が見られています。
現在の不動産の価格推移
現在の日本においては、金融緩和による低金利政策が影響し、住宅ローンが組みやすくなったことから、住宅を購入する人が増加したことに加え、富裕層以外の投資家も増加しました。
また、中国や台湾の富裕層が、日本の不動産投資に乗り出し、日本は不動産投資市場として、世界各国から注目が集まっている状況です。このような状況を受けて、現在の不動産価格は、東京23区内の新築マンションで7,000万円を超える勢いで推移しています。
今後の不動産の価格推移
不動産価格は、経済的要因や社会的要因の影響を受けやすい傾向にあります。そのため、日本においては、2019年10月からの消費税率の引き上げや2020年7月から開催される東京オリンピックが、不動産価格に大きな影響を与えている状況となっています。
具体的には、消費税率引き上げ前に、一般的には高価な買い物となる住宅などの不動産を購入しておこうという「駆け込み需要」や、東京オリンピック開催による基準地価の上昇が挙げられます。このような影響によって、東京オリンピック開催までは、不動産の価格上昇が見込まれています。
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・不動産投資の増加
・駆け込み需要の高まり
経済的要因が不動産価格に与える影響
不動産価格は、日本や世界で起こる経済情勢の影響を受けやすく、経済情勢は日々変動しているのが現状です。ここでは、経済的要因が不動産価格に与える影響について解説していきます。
大規模災害の影響
日本では、2011年3月に大規模な震災が発生しました。この災害によって、多くの建物が倒壊し、未曾有の被害を与えました。また、この災害は、被害の大きかった東北地方のみならず、全国規模で不動産市場への影響も与えています。
その理由は、被災地への復興支援のために、全国各地から建築資材と人材が集中し、被災地以外では、建築資材不足と人材不足が深刻化しました。そのため、マンションや住宅を建設する際には、建築資材の価格や人件費が高騰し、不動産の価格上昇へと繋がっていると考えられています。
海外の投資家による買い占めの影響
現在の日本においては、外国人観光客が増加傾向にあり、2020年の東京オリンピック開催に向けて、益々の増加が見込まれています。このような状況の中で、中国や台湾を中心とした海外の投資家が、マンション価格が上昇している日本に注目しています。
そのため、日本のマンション価格の上昇や不動産の魅力によって、投資家による不動産の買い占めが広がりを見せており、不動産価格の上昇へと繋がっていると考えられています。
金融緩和によるマイナス金利政策の影響
日本においては、金融緩和によるマイナス金利政策が2016年に開始されました。この政策は、住宅ローンを組んで住宅を購入する人にとっては、金利の低い状態で住宅ローンを組めるため、住宅の購入者が増加傾向にあります。
また、長期間固定金利で住宅ローンを組める「フラット35」が普及したことも、住宅の購入者が増加した要因の一つとなっています。このように、住宅の購入者が増加することによって、少しくらい価格を高く設定しても売れる状態となり、不動産の価格上昇に繋がっていると考えられています。
基準地価の上昇による影響
インバウンドなどが影響し、2018年7月時点の基準地価は、前年と比べると27年ぶりに上昇に転じています。また、三井不動産や住友不動産などの大手不動産業者の株価が、高値を推移しています。このような状況を受けて、商業施設やホテルなどが集まる商業地における基準地価が上昇し、全国的に基準地価が上昇することが予想されています。従って、基準地価の上昇が、不動産の価格上昇に繋がっていると考えられています。
・買い占めによる影響
・地価の上昇による影響
社会的要因が不動産価格に与える影響
過去にオリンピックを開催した国において、開催後は経済情勢が悪化しており、日本においても、2020年以降の不動産価格の下落が不安視されています。ここでは、社会的要因が不動産価格に与える影響について解説していきます。
大規模なイベント開催による影響
日本においては、直近に大規模なイベントの開催が予定されています。このような大規模なイベントが、不動産価格の上昇に繋がっていると考えられています。
東京オリンピック
2020年7月から、56年ぶりに東京オリンピックの開催が予定されています。前回の東京オリンピック時にも、基準地価が上昇し、その上昇率が全国平均を上回る状態となっていました。また、オリンピック開催に向けて開催地周辺では、インフラ整備に加え、都市機能を強化する動きが活発化しており、不動産価格の上昇に繋がると考えられています。
大阪万博
2025年には、日本万国博覧会開催地の候補として、大阪の夢洲(ゆめしま)が名乗り出ています。この大阪万博が開催されると、約2,800万人の入場者が想定されており、日本国内だけでなく、世界各国からの観光客が訪日することが見込まれています。
大阪での開催が決定した場合、東京オリンピックと同様に、インフラ整備に加えて都市機能を強化することが予想され、不動産価格の上昇に繋がると考えられています。なお、開催地が正式に決定されるのは、2018年11月23日となっており、今後の動向が注目されています。
地方都市における再開発による影響
現在は、地方都市における再開発が活発化しており、大型商業施設などの建設が相次いでいます。再開発されると、商業施設が充実することによって人が集まり、ブランド価値が付くなどの理由から不動産価格は上昇することが考えられます。また、現在の再開発地域は、「都市レポ全国の再開発情報・再開発マップ」や「街から」などの専門サイトで確認できます。
都市部の人口増加による影響
現在の日本においては、少子高齢化が深刻な社会問題となっています。しかし、2016年1月1日時点の人口動態調査では、7年連続で人口が減少しているにも関わらず、東京を中心とした首都圏の人口は増加していることがわかりました。
そのため、東京都内だけで見ても、2015年の坪単価は270万円を超える状態となっており、前年と比べても5.13%上昇しているのが現状です。このようなことから、都市部の人口増加が、不動産価格の上昇に繋がっていると考えられています。
・地方都市の再開発
・都市部の人口増加
不動産価格が下落してしまう要因とは
不動産価格の上昇は、経済的要因や社会的要因が要因で変動します。また、不動産価格が下落してしまう可能性もあるため、今後のリスクに備えて、不動産を売買する際の参考にしてみてはいかがでしょうか。
地盤や地質の状態による影響
不動産価格の上昇は、土地の地盤や地質の状態による影響も考えられます。具体的には、地震や集中豪雨などによる災害で、土地の地盤や地質の状態が脆弱になることが挙げられます。
また、排水管の亀裂や破損による有害物質の漏洩や、有害物質が入ったドラム缶の埋設物からの漏洩によって、土壌汚染が認められる場合は、健康被害の懸念もあるため、周辺の不動産価格が下落する要因として考えられています。
生産緑地の軽減措置満了による影響
1991年に生産緑地法が改正され、翌年に一部の農地を生産緑地として、固定資産税などを軽減する措置がなされました。この軽減措置の期間は、30年間と定められているため、2020年には軽減措置の適用から外れ、自治体に買い取られなかった農地は、一般的に売買されることになります。
このような問題は、「2020年問題」と呼ばれており、土地の供給過多によって、不動産価格が下落すると考えられています。
・有害物質による健康被害
・生産緑地の軽減措置満了
高値で売却するにはタイミングの見極めがポイント
不動産価格に影響を及ぼす経済情勢や社会情勢は、いつ発生するのか誰にも予想できないのが現状です。ここでは、不動産の売却するタイミングを見極めるポイントについて解説していきます。
不動産の資産価値が上昇している時
不動産の資産価値は、路線価や基準地価を基準として算出されるケースが多いですが、それ以外にも資産価値を左右する要因があります。その要因とは、駅からの距離などの立地条件や物件自体が人気であることが挙げられます。
また、物件の相場や販売状況を調べる際には、以下のような点と類似した物件を選ぶと良いでしょう。
- 最寄り駅
- 駅からの距離
- 物件の広さ
- 築年数
- 間取り
このような点を注視した上で物件の相場を調べると、どのくらいの価格で売買されているかを参考にできます。また、不動産の相場を調べる際には、「土地総合情報システム」や「レインズ」などを参考にして、資産価値の高いタイミングで売却すると、高値での売却が期待できます。
物件の築年数を考慮する
新築マンションを購入した場合、1年後には約10%の資産価値が下落してしまうと言われています。また、リフォームやリノベーションできる中古マンションへの需要が高まっており、築年数10年以内の物件における売買が活発化しています。
なお、築年数10年の中古マンションでも、価格上昇が顕著なエリアにおいては、購入時よりも売却価格が上回った状態で取り引きされた事例もあるため、物件の築年数を考慮したタイミングで売却すると、高値での売却が期待できます。
物件の所有期間を考慮する
マンションや土地などの不動産を売却した際には、売却益が発生するケースもあります。売却益は、税法上、給与などの収入の一つと考えられているため、譲渡所得税の納税が義務づけられています。
この譲渡所得税は、物件の所有期間によって税率が異なり、5年以上所有している場合の税率が低く設定されています。そのため、物件の所有期間を考慮したタイミングで売却すると、節税対策にも繋がると言えます。
大規模イベントが終了するまでは動向を見守る
過去にオリンピック開催地となった国では、国によってバラつきがあるものの、オリンピック終了後の経済情勢が不安定となっていると言われています。このことから、東京オリンピック開催後の不動産価格は、上昇か下落かの判断は、決して断言できないのが現状です。
また、2013年に購入した不動産の所有期間が、2019年には5年を経過します。このことによって、不動産を売却した売却益に対して課税される譲渡所得税が、長期譲渡所得税の対象となると税率が低くなることから、投資目的の不動産の売却が急増し、不動産価格が下落する可能性があります。
従って、大規模なイベントの影響でによって、不動産価格の下落が予想されているタイミングを避けた時期に売却することで、高値での売却が期待できます。
・築年数や所有期間を考慮
・下落予想の時期は回避
不動産の売却は不動産市場の繁忙期を狙う
不動産の売却は、経済情勢や社会情勢の悪影響を受けないタイミングを見極めることに加え、不動産の売買が活発な時期を狙うことがポイントです。
不動産市場の繁忙期とは
不動産市場の繁忙期は、毎年春と秋だと言われています。この時期は、新学期や人事異動による転勤のタイミングと重なるため、毎年1~3月と9月頃に不動産の売買が活発になります。このようなタイミングを狙って不動産を売り出すと、長い期間売れない状態を回避でき、スムーズで高値での売却が期待できます。
・新学期や人事異動
・スムーズで高値の売却
経済的要因などを考慮して高値での売却を目指そう
不動産の価格は、経済的要因や社会的要因が絡みながら変動し、人口が集中している首都圏を中心に価格が上昇しています。
また、不動産価格が上昇したタイミングでの売却を検討している場合は、所有している不動産の相場を知っておくことがポイントです。