公示地価とは、国土交通省が毎年発表する土地価格のことです。公示地価は不動産取引の規準になっており、公人はもとより、土地の相場を知りたい個人にも活用されています。
不動産の売却を検討している場合、所有する土地や建物の価値を知ることは何より大切です。公示地価を調べることで、所有物件エリアのおおよその相場を把握できるのが大きなメリットと言えるでしょう。
ここでは、全国の公示地価、変動率の最新上位ランキングTOP10をはじめ、知っておきたい公示地価の基礎知識や、不動産会社に査定依頼する際の注意点などを、わかりやすく紹介します。
また、土地の売却相場は以下の記事から調べることができますので、ご確認ください。
【全国】公示地価高額地点ランキングTOP10
令和5年度の全国の公示地価を見ると、前年度に比べ地価は上昇傾向にあります。ここでは、全国に約2万6000地点ある標準地の中で、高額だった上位10地点を住宅地、商業地別に紹介します。
住宅地
景気の改善や住宅取得支援施策、また低金利環境が継続していることもあって、全国の住宅地の取引件数は前年に比べて増加しており、全国的に地価は上昇傾向です。
三大都市圏の東京、大阪、名古屋のほか、札幌市や仙台市、広島市及び福岡市などの地方4市を見ても地価の上昇率が拡大しており、周辺地域の需要も上昇傾向にあります。
ただし、都市部や地方4市を除く、人口が減少している地域では地価の下落が続いている状況です。
2023年度の住宅地の高額地価は、前年度に引き続き東京都に集中しています。全国で最も公示地価が高いのは「東京都港区赤坂1丁目1424番1」で1平方メートル当たりの公示地価は512万円という結果でした。
【住宅地の公示高額価格ランキングTOP10】
順位 | 標準地の住所 | 令和5年公示価格 | 変動率 |
---|---|---|---|
1 | 東京都港区赤坂1丁目1424番1 『赤坂1-14-11』 | 512万円 | 2.4% |
2 | 東京都千代田区六番町6番1外 | 428万円 | 3.1% |
3 | 東京都港区白金台3丁目55番4外 『白金台3-16-10』 | 399万円 | 2.8% |
4 | 東京都港区南麻布4丁目12番1 『南麻布4-9-34』 | 375万円 | 2.7% |
5 | 東京都港区南麻布1丁目35番1外 『南麻布1-5-11』 | 339万円 | 4.3% |
6 | 東京都千代田区三番町6番25 | 334万円 | 3.1% |
7 | 東京都千代田区一番町16番3 | 318万円 | 3.2% |
8 | 東京都千代田区九段北2丁目6番26 『九段北2-3-25』 | 311万円 | 3.3% |
9 | 東京都渋谷区恵比寿西2丁目20番1? 『恵比寿西2-20-7』 | 304万円 | 5.2% |
10 | 東京都港区赤坂6丁目1911番 『赤坂6-19-23』 | 291万円 | 3.6% |
商業地
都心近郊の繁華性のある地点では、景気の改善からマンション・店舗用地などの需要が高まったこともあり商業地の地価も上昇傾向にあります。
また、地方4市もオフィスの需要が高まり相場が上昇傾向にあることに加え、再開発事業やマンション用地の需要の拡大から地価が上昇傾向です。
ただし、国内や外国からの観光客が回復していない地域や、人口減少が見られる地域では地価の下落が継続しています。
商業地も東京都が高額地価の上位を占めていて、全国で最も公示価格が高額だったのは、「東京都中央区銀座4丁目2番4(山野楽器銀座本店) 」の5,380万円/1平方メートルでした。
【商業地の公示高額価格ランキングTOP10】
順位 | 標準地の所在地 | 令和5年公示価格 | 変動率 |
---|---|---|---|
1 | 東京都中央区銀座4丁目2番4『銀座4-5-6』(山野楽器銀座本店) | 5,380万円 | 1.5% |
2 | 東京都中央区銀座5丁目103番16『銀座5-4-3』(対鶴館ビル) | 4,600万円 | 1.1% |
3 | 東京都中央区銀座2丁目2番19外『銀座2-6-7』(明治屋銀座ビル) | 3,950万円 | 1.0% |
4 | 東京都中央区銀座7丁目1番2外『銀座7-9-19』(ZARA) | 3,860万円 | 1.0% |
5 | 東京都千代田区丸の内2丁目2番1外『丸の内2-4-1』(丸の内ビルディング) | 3,670万円 | 0.0% |
6 | 東京都新宿区新宿3丁目807番1外『新宿3-24-1』(NEWNO・GS新宿) | 3,660万円 | 0.8% |
7 | 東京都新宿区新宿3丁目30番13外『新宿3-30-11』(新宿高野第2ビル) | 3,500万円 | 1.4% |
8 | 東京都千代田区大手町2丁目4番2外『大手町2-2-1』(新大手町ビルヂング) | 2,880万円 | 0.0% |
9 | 東京都中央区銀座4丁目103番1外?『銀座4-2-15』(塚本素山ビルディング) | 2,860万円 | 1.4% |
10 | 東京都中央区銀座6丁目4番13外『銀座6-8-3』(銀座尾張町TOWER) | 2,850万円 | 1.1% |
10 | 東京都渋谷区宇田川町77番14外『宇田川町23-3』(渋谷第一勧銀共同ビル) | 2,850万円 | 2.5% |
【全国】変動率上位ランキングTOP10
平均変動率も、昨年度に比べて全国的に上昇傾向にあります。商業地の変動率上位ランキングTOP10を、住宅地と商業地別に見ていきましょう。
住宅地
住宅地の変動率が全国で最も高かった都道府県は北海道です。順位1位の北広島の変動率は30.0%と、前年比で7.6%上昇しています。
東京圏の平均変動率は2.1%、大阪圏は0.7%、名古屋圏は2.3%と、いずれも上昇し続け、札幌市、仙台市、広島市、福岡市の平均変動率は8.6%と、10年連続で上昇しています。
そのほかの地域の平均変動率は、前年比で0.1%下落していましたが徐々に上昇してきています。
【住宅地の変動率上位ランキングTOP10】
順位 | 標準地番号 | 所在地 | 令和5年公示価格 | 変動率 |
---|---|---|---|---|
1 | 北広島-1 | 北海道北広島市 | 5万9,800円 | 30.0% |
2 | 北広島-4 | 北海道北広島市 | 6万0,800円 | 29.4% |
3 | 北広島-6 | 北海道北広島市 | 3万8,500円 | 29.2% |
4 | 北広島ー14 | 北海道北広島市 | 6万9,500円 | 29.2% |
5 | 江別ー2 | 北海道江別市 | 1万1,100円 | 29.1% |
6 | 江別ー3 | 北海道江別市 | 6万0,000円 | 29.0% |
6 | 恵庭ー9 | 北海道恵庭市 | 3万2,000円 | 29.0% |
8 | 恵庭ー10 | 北海道恵庭市 | 2万5,800円 | 29.0% |
9 | 北広島-9 | 北海道北広島 | 3万6,500円 | 29.0% |
10 | 江別-1 | 北海道江別市 | 4万2,500円 | 28.8% |
商業地
商業地の変動率が最も高かったのは、北海道北広島市の28.4%で、前年の変動率19.6%から大幅に上昇しています。
圏域別の平均変動率に見ると、東京圏は3.0%、大阪圏は2.3%、名古屋圏は3.4%といずれも上昇しています。
一方、地方4市の平均変動率は8.1%と10年連続で上昇しています。
そのほかの地域の平均変動率は前年0.5%と下落していましたが上昇傾向にあると言えます。
【商業地の変動率上位ランキングTOP10】
順位 | 標準地番号 | 所在地 | 令和5年公示価格 | 変動率 |
---|---|---|---|---|
1 | 北広島5-2 | 北海道北広島市 | 8万6,000円 | 28.4% |
2 | 北広島5-1 | 北海道北広島市 | 5万5,000円 | 25.0% |
3 | 恵庭5ー4 | 北海道恵庭市 | 4万9,200円 | 24.6% |
4 | 江別5-5 | 北海道江別市 | 2万9,800円 | 24.2% |
5 | 江別5ー6 | 北海道江別市 | 3万7,200円 | 24.0% |
6 | 恵庭5ー3 | 北海道恵庭市 | 2万7,000円 | 23.9% |
7 | 江別5ー7 | 北海道江別市 | 5万0,000円 | 23.5% |
8 | 千歳5ー2 | 北海道千歳市 | 5万9,000円 | 22.9% |
9 | 恵庭5ー6 | 北海道恵庭市 | 4万9,000円 | 22.5% |
10 | 江別5ー1 | 北海道江別市 | 3万3,000円 | 22.2% |
10 | 江別5ー3 | 北海道江別市 | 5万5,000円 | 22.2% |
公示地価の知っておくべき基礎知識
「公示地価とはなにか」「地価が変動する理由が知りたい」「地価が高騰したり下落したりするとどんな影響があるのか」など、公示地価に関する知っておきたい基礎知識を紹介します。
公示地価とは
「公示地価」とは、国土交通省が発表する全国の標準地の土地価格のことです。
毎年1月1日時点の評価をその年の3月に発表するもので、公共事業用地の取得はもとより、土地取引や相続税評価、また固定資産税評価の目安にもなっています。
全国に約2万6,000ヵ所ある地価調査地点を「住宅地」や「商業地」などに分類し、1地点につき2人以上の不動産鑑定士によって評価されるのが一般的です。
公示地価は、適正な取引を行うための規準になっており、公人だけではなく、土地の価値を知りたい個人にも活用されています。
公示地価が変動する理由
公示地価は、経済状況や都市開発、またインバウンドや人口増加などさまざまな理由が絡み合って変動します。
リーマンショックなどの経済問題で地価が下落することもあれば、再開発で、商業施設や交通機関が整備され、そのエリアの需要が高まると地価が高騰する場合もあります。
また、外国からの観光客によるインバウンド需要なども地価が変動する要因のひとつです。観光地などでは、ホテル建設などに使用する土地の需要が増える傾向にあります。
人口増加も公示地価が上がる要因です。人口が増えれば一戸建てやマンション・アパートなど住宅の需要が増加するなど、公示地価の変動要因は多岐に渡ります。
公示地価の高騰・下落の影響
公示地価が高騰すると、土地を高く売却できるのがメリットです。築年数や建物の状態によって価格は上下しますが、エリアの地価が上がると売却に有利に働きます。
しかし、相続税や固定資産税などの税負担が増えるというマイナス面もあります。土地の価格が上昇すると相続税も高くなるため、不動産相続の予定がある場合にはデメリットに働く可能性もあるでしょう。
一方、公示地価が下落した場合、不動産の資産価値が落ちて高額で売却できない可能性があります。
しかし反面、固定資産税や相続税が減って税負担が軽くなるほか、買手にとっては、不動産を購入しやすい点がメリットです。
公示地価と基準地価の違い
公示地価と基準地価は、どちらも毎年、公的機関が発表する土地価格ですが、調査機関や公表時期、また評価対象の範囲などに違いがあります。
公示地価は国が公表する土地価格ですが、基準地価は都道府県が公表する土地価格です。調査ポイントを1名以上の鑑定士によって評価し、7月1日時点の価格を9月下旬に公表するのが特徴です。
また公示地価は都市部の価格を主に公表していますが、基準地価は、公示価格にはない各都道府県内全域の土地価格を掲載しています。
基準地価は、いわば公示地価の都道府県版と言えるもので、公示区域外の土地価格を調べたい場合に便利なのが特徴です。
【公示地価と基準地価の違い】
項目 | 公示地価 | 基準地価 |
---|---|---|
調査機関 | 国土交通省 | 都道府県 |
評価時期 | 毎年1月1日時点 | 毎年7月1日時点 |
公表時期 | その年の3月中旬 | その年の9月下旬 |
評価方法 | 1ヵ所につき2人以上の不動産鑑定士が評価し国土交通省土地鑑定委員会が審査決定 | 1ヵ所につき1人以上の不動産鑑定士が評価 |
公式サイト | 「土地総合情報システム」 | 各都道府県の財務局のホームページ |
参考:国土交通省「土地総合情報システム」
参考:東京都財務局「東京都基準地価格」
最新の不動産価値は査定で調査
不動産のおおよその相場は自分でも調べることが可能ですが、最新の不動産価値を知るには、プロである不動産会社に査定依頼するのがおすすめです。
不動産会社の査定とは
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不動産の査定ポイント
不動産の査定は、築年数や面積、立地など、さまざまな点を評価して算出します。
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また査定額は、駅までの距離や周辺環境にも大きく影響を受けます。駅付近で、スーパーや病院、学校などが揃った生活しやすいエリアは、需要が高いことから査定額も上がるのが一般的です。
また、2000年以降に建てられた物件は新耐震基準を満たしているため評価が高くなるなど、さまざまな要素が査定額に影響をおよぼしています。
【不動産の主な査定ポイント】
- 築年数
- 面積
- 立地
- 耐震性
- 周辺環境
- 日照・眺望
- 管理状態など
相場の調査は一括査定がおすすめ
査定を依頼する際は、複数の不動産会社に頼むのがポイントです。査定額は不動産会社によって異なるため、最初から1社に絞ると結果が妥当であるか判断がつきません。
複数社を比較検討し、各会社が出した査定額の平均を取って相場を把握するのがポイントです。
しかし、実際に複数の会社に足を運ぶのは難しいケースもあるかもしれません。仕事で訪れる時間がない場合や、手間をかけたくない場合は、一括査定サイトを活用するとよいでしょう。
(株)Speeeが運営する「すまいステップ」は、厳選された全国の不動産会社の中から、条件に合った最大4社に一括査定依頼できる、無料の不動産一括査定サイトです。
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参考:すまいステップ
調査した相場の注意点
不動産会社の査定額はあくまでも目安のため、その金額で売却できるとは限りません。実際にいくらで売れるのかは、売主と購入希望者との交渉次第となります。
また不動産会社を比較検討する際は、査定額の高さだけで選ばないよう注意しましょう。
中には、成約を取るために相場よりも高額な値段を提示する会社もいます。相場よりも高いとなかなか買手が見つからず、後で値下げを余儀なくされるケースも少なくありません。
失敗を回避するためにも、査定額の根拠をしっかり説明できる不動産会社を選びましょう。
公示価格のランキングを参考に不動産売却しよう
最新の公示地価によれば、前年度に比べ都市圏や地方4市などの地価は上昇傾向にあります。一方、人口減少や国内外からの観光客が回復していない地域は、地価が減少していますが下落率は縮小傾向です。
土地の価値は、経済状況や都市開発のほかインバウンドや人口増加など、さまざまな要因で変動しますが、公示地価を参考にすることで、所有する物件エリアのおおよその相場を把握できるのがメリットです。
不動産売却を成功させるためには、所有する物件相場の把握が不可欠です。最新の公示価格のランキングを参考にして、不動産売却を有利に進めましょう。