マンションに限らず不動産の売却では、買った時より売った時のほうが値下がりして損することも少なくありません。
本記事ではマンション売却で大損しないために以下の内容を解説しています。
- マンション売却における損益状況
- マンションの売却損とはどのような状態か
- 売却で損をしないためのポイント
「マンションを売却したいけど損をしたらどうしよう」と悩んでいる方は、後悔しないマンション売却をするための一助として、最後までお読みください。
マンション売却における損益状況の推移
「マンションを売却するとどれくらい損をするの?」と思っている方は多いのではないでしょうか。
まずは、マンション売却によってどれくらいの損失や利益が発生しているのか(売却損益)を見ていきましょう。
以下はマンション売却時の損益状況の推移を表したグラフです。
取得価格 | 売却価格 | 売却損益 | |
2017年 | 3,359万円 | 2,439万円 | -920万円 |
2018年 | 1,844万円 | 2,597万円 | -753万円 |
2019年 | 3,243万円 | 2,446万円 | -797万円 |
2020年 | 3,212万円 | 2,989万円 | -223万円 |
2021年 | 4,360万円 | 4,497万円 | 137万円 |
グラフを見てもわかる通り、売却損益はほとんどの場合で損失の方が多くなっています。
2021年では若干利益の方が多くなっていますが、平均すると約511万円の損失が発生している状況です。
このことからも、マンション売却をすると損をしやすいということが分かるでしょう。
しかし、なかには購入時よりも高く売却しているケースもあるので、一概に「マンション売却は損をする」とは言えません。
「マンション売却は損をしやすい」ということを理解しておきましょう。
マンションの売却損はどのような状態か?
マンションの売却損とは、購入した時より売却した時のほうが安い状態を指します。
「新品より中古のほうが安くなることは当然、当たり前のことでは」とご指摘がありそうですが、実はもう少しだけ深掘りした計算が必要です。
その深掘りした内容とは、マンションの売却損益を検討するために必要な事項である「減価償却費」です。
減価償却を踏まえてマンションの損益を算出するためには以下の計算式を用います。
購入価格から売却時点の減価償却費を減額することで、売却時点のマンションの価値と売却金額を比較し、損益を計算します。
その計算により発生した損失がマンションの売却損です。
売却損が出た場合は税金が発生しない
マンションの売却損が出た場合には、契約時に必要になった印紙税以外の税金が発生しません。
マンションの損益を計算した場合に、利益が出ることもあります。
その利益を譲渡所得と呼び、給与所得と同様の「所得」としてみなされます。
そして、この所得は自ら確定申告して、税金を納税する必要があります。
売却損が出ると税金を軽減できる
売却損が出ると所得税や住民税を最大3年間軽減できる措置があります。
「譲渡損失の繰越控除」という制度です。
マンションを売却して損失が発生した場合、その年の他の所得と合算して所得税や住民税を抑えることが可能です。
そして、合算して控除しきれなかった分の損失は、翌年以降、損失がその他の所得と相殺してゼロになるまで最大3年間に渡って控除できます。
そのため、マンション売却により大損してしまっても、所得税や住民税を控除することが可能です。
売却損が出た時に使える特例3つ
売却損が発生した場合に使える特例として、以下の3点があります。
- 3,000万円の特別控除
- 軽減税率
- 居住用財産の買換え特例
これらの特例は売却損だけではなく、譲渡所得が発生した場合に利用できる特例や控除、軽減税率なので、マンション売却や不動産売却に備えて覚えておきたい内容です。
具体的にどのようなものか解説します。
3,000万円の特別控除
3,000万円の特別控除とは、譲渡所得に対して3,000万円までが課税対象から控除される制度です。
先ほど解説した例では、取得費が分からない場合でも3,000万円の控除により譲渡所得が0円になるので、518万円もの税金を支払う必要がなくなります。
この制度を利用するためには以下の条件があります。
- 居住用財産(マイホーム)を売却すること
- 売主と買主が親子や夫婦ではないこと
- 特例を受けることだけを目的として購入したマンションではないこと
- 別荘や倉庫、保養などのために一時的に利用される物件ではないこと
- 売った年の前年、及び前々年に3,000万円の特別控除など、他の特例を受けていない
- 住まなくなった日から3年目の年末までに売却する
3,000万円の特別控除は以下の控除と併用ができないことも覚えておきましょう。
- 住宅ローン控除(3,000万円控除を利用した前後2年間)
- 買換え特例
- 譲渡損失の損益通算
なお、「10年超所有の軽減税率の特例」は併用できます。
10年超軽減税率の特例
10年超所有軽減税率の特例とは、10年以上居住していたマイホームを売却した際に、長期譲渡所得より低い税率で売却できる軽減税率です。
- 売却した年の1月1日現在でマイホームの所有期間が10年以上
- 親子や配偶者など特別な関係者への売却ではない
- 住まなくなった日から3年後の12月31日までに売却する
- 3,000万円の特別控除以外の特例を使っていない
- 過去3年間に軽減税率の特例を使っていない
これらの条件を満たすと、譲渡所得が6,000万円までの部分について住民税を含めた税率が14.21%まで下がります。
税理の差額は6.105%なので、控除を含めた計算の結果1,000万円の譲渡所得が発生したのならば、60万円強の譲渡所得を節税できます。
特例を利用する際の注意点として、その他の控除制度や特例などの利用時と比較し、どちらが有利なのか確認することが重要です。
内容を把握してしっかりとシミュレーションしましょう。
特定の居住用財産の買換え特例
居住用財産の買換え特例とは、居住用財産を買換えた際の売却した不動産の譲渡所得税の納付を、新居を売却するタイミングまで繰り延べられる特例です。
この特例は売却する家と購入する家にそれぞれ条件が設定されています。
売却する家は以下の条件を満たす必要があります。
- 自分自身が住んでいたマイホーム
- 居住しなくなってから3年以内に売却
- 国内にある
- 直近2年間に他の控除制度を利用していない
- 売却代金が1億円以内
- 10年以上居住
- 買主が配偶者や親族ではないこと
購入する家は以下の条件を満たす必要があります。
- 国内にある
- 延床面積が50㎡以上
- 売却の前年から翌年までの3年間で買い替えしている
- 新耐震基準を満たしている
- 耐火建築物の中古マンションならば取得日から25年以内に建築されている
これらの条件を満たすことで居住用財産の買換え特例を利用できます。
マンション売却で大損をしないためのポイント5つ
マンション売却で損をしないためには以下の5つのポイントを押さえましょう。
- 価格が上昇している時に売却
- 余裕を持った売却計画
- 複数の不動産会社に査定依頼
- 内覧対応で好印象に
- 売却時の総費用を計算
いずれも売却前に取り組むことで、スムーズな引渡や、気持ちに余裕を持てるようになります。
意識して、マンション売却を成功させる準備をしましょう。
価格が上昇している時に売却
マンション売却で損しない、大損しない方法として、価格が上昇している時に売却を始めることもポイントのひとつです。
そのためには、自分自身である程度の相場を確認できなければなりません。
また、「売れたらラッキー」と思われるようなチャレンジした価格設定で売却を始めないで、適正価格で売却を始めることを念頭に置きましょう。
マンションが売却しやすいタイミングのひとつに、大規模修繕の前があげられます。
大規模修繕前は修繕費を上げるための決議が行われるので、決議の前に売却を決めましょう。
余裕を持った売却計画
マンション売却で大損する方の特徴として、時間に余裕がなく、焦っていることが挙げられます。
焦った状態の売却では、足元を見られて値下げ交渉が多くなることが少なくありません。
一般的に不動産売却は6か月以上の期間が必要なものです。
売却の理由にもよりますが、適正価格で売却するためには時間に余裕を持ち、ゆとりのある売却計画が望ましいでしょう。
複数の不動産会社に査定依頼
査定時は複数の不動産会社に依頼しましょう。
1社だけの査定だと、査定価格が適正か判断できません。
複数社へ依頼すれば、査定価格やその根拠を比較し、適正価格を導き出すために必要な情報を取得できます。
また、営業担当の人柄や知識を比較するためにも、複数社に査定依頼したほうが良いです。
もし、不動産会社を複数社選ぶことが負担ならば、一括査定を利用する方法もあります。
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内覧対応で好印象に
内覧対応で重要なことは、買い手に好印象を与えることです。
内覧は購入予定者が実際に物件に訪問して品定めをするため、いかに内覧者に対して良いイメージを持ってもらうかが非常に重要です。
扉のたてつけが悪い、照明が切れている、水道のパッキンが劣化して水が滴るなど、修繕が必要な個所があればマイナスなイメージを持たれる可能性が高いです。
内覧前に掃除や修繕を済ませておきましょう。
売却時の総費用を計算
売却時の総費用を把握することで、マンション売却で大損する可能性を引き下げられます。
特に諸費用で大きな割合を占めるものは仲介手数料と譲渡所得税です。
仲介手数料は以下の速算式を用いれば容易に計算できます。
譲渡所得税については本記事で計算方法を解説しています。
あらかじめ資金がどれくらい必要なのかを把握し、余裕を持って計画を建てることも、マンション売却で損しないために重要です。
【まとめ】マンション売却で大損をしないために、知識をつけよう!
マンション売却で大損しないためには、譲渡損益の計算方法や売却に必要な諸経費を把握し、査定価格を確認したうえでしっかりと売却に向けて準備することが必要です。
また、売却損が出ても譲渡損失の繰越控除が利用できるなど、マイナスの要素だけではありません。
時間に余裕を持ってマンション売却の計画を検討し、複数社の不動産会社に相談しつつ、売却依頼に適した不動産会社を選択しましょう。
そのためには、不動産一括査定サイトで複数の不動産会社に査定依頼しましょう。
手間も時間もかからず信頼できる不動産会社の査定結果を知れるので、マンション売却を検討している方は利用をおすすめします。