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マンション売却時の《減価償却費》とは?意味と計算方法をどこよりもわかりやすく解説!

  • 更新日:2022年9月8日
監修畑中 学
不動産に関わる相続や債務問題のトラブルシューティングを得意とし、その真摯な取り組みがNHK、読売新聞、日本経済新聞などで紹介されている。武蔵野不動産相談室株式会社代表取締役。
【保有資格】宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター、マンション管理士、管理業務主任者
【URL】武蔵野不動相談室株式会社
マンション売却時の《減価償却費》とは?意味と計算方法をどこよりもわかりやすく解説!

マンション売却でかかる税金を調べてる途中で、減価償却費という言葉が出てきたものの、『何のことだかよくわからない』『説明を読んでもわかりづらい』という方は多いのではないでしょうか?

「減価償却費」は、譲渡所得を計算する「取得費」を正しく計算するために必要なものです。

すまリス
「利益」の計算に関わるからとっても大事!

この記事では「確定申告時に必要なマンション売却における減価償却費にフォーカスして、「減価償却」の意味と、減価償却費の計算方法を、どこよりもわかりやすく解説しています。

マンション売却の税金はいくら?計算方法と節税に役立つ控除を紹介

マンション売却時の減価償却費とは

「減価償却費」とは、「経年で建物の価値が下がった分」を金額として表したものです。

そもそも「減価償却」とは、資産の価値を年ごとに減らす会計手続きのことをいいます。
たとえば事業用の機械について、毎年少しずつ経費として計上することで、事業者は安定して税金を納めることができます。

しかし、自宅用のマンションを売却した時の減価償却は、事業の経費を計上するための減価償却とは、少し意味合いが異なります
マンションを売却すると、売却で得た収入金額から、経費を差し引いた金額に対して課税されます。
この経費に「マンションを購入した時の代金」を計上できるのですが、売却した時点では、購入当時よりも経年劣化によってマンションの価値が下がっていると見なされ、全額を計上できません。
確定申告をする時に、経費を正しく申告するために、減価償却費の計算が必要なのです。
事業用資産の減価償却費自宅マンションの減価償却費
毎年の所得と税金の負担を調整するために申告する譲渡所得税の計算に、マンションの現在の価値を反映させるために申告する

減価償却の対象は「建物部分」のみ

マンションの建物部分は、「建物は築年数と共に経年劣化していく」という考え方のもと、税金を計算する時に減価償却を適用します
一方、「土地は経年で劣化しない」という考え方のもと、マンションが建っている土地部分については、減価償却の適用の対象外になります

自宅マンション売却では「定額法」で計算する

減価償却の計算方法には「定額法」と「定率法」の2種類があります。

マンションの減価償却費の計算には「定額法」を利用します。

定額法とは、対象の資産の取得価額を、「法定耐用年数」で均等に割り、毎年同じ金額ずつ減価償却していく計算方法です。

平成19年の税制改正で、定額法の計算方法が新しくなりましたが、自宅用マンションの減価償却費は「旧定額法」で計算します
すまリス
建物の価値が1円まで減価償却される新定額法よりも、購入代金の10%分残る旧定額法の方が、譲渡所得税の計算では税金が抑えられます

減価償却のペースは「法定耐用年数」で決まる

「建物がいつまで使えるか」は、建材や使われ方によって異なります。また建物の実際の寿命は、建築当初にはわかりません。

そこで国は、建物の価値がなくなるまでの年数を、建物の構造や用途などの基準によって定めています。
これを「法定耐用年数」といいます。

たとえば、鉄筋コンクリート造のマンション(自宅用)は、耐用年数が70年となっています。

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70年かけて価値がゼロになっていくため、毎年0.015ずつ価値が減っていきます。この割合を「償却率」といいます

購入時の価値が、決められた年数をかけて均等に目減りしていくので、法定耐用年数が長いほど、償却率の値は小さくなります

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マンション売却における減価償却費の計算方法

自宅用マンションを売却した際の減価償却費の計算式は、以下の通りです。

減価償却費 = 建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数
なお、減価償却費は、建物部分の取得費(購入費用)の95%が限度となっています。
すまリス
マンションがどんなに古くなっても、買った時の価格の5%分は取得費として計上できるよ。

ちなみに、計算式の「0.9」という数字は、建物の購入費用から残存価額(購入費用の10%)を差し引いた金額にするために、かけ合わせられている数字です。

「残存価額」とは、法定耐用年数を過ぎても建物に残る価値のことです。
旧定額法では、残存価額は取得価額の10%と定められています。

購入費用から10%分引くのと、購入費用に0.9をかけるのでは計算結果が同じになるため、計算式では0.9をかけ算しています。

それでは以下から、1つずつステップを追って、減価償却費の計算をしていきましょう。

Step1:マンションの建物購入代金を調べる

マンションを買った時の値段は、土地部分と建物部分の合計金額になっています。

減価償却するのは建物部分のみの価格なので、まずはマンションの建物部分の購入代金を調べましょう。

方法①売買契約書の記載を確認する

基本的には、マンション購入時の売買契約書に記載されている金額を計算に使用します。

建物の価格と土地部分の価格が分けて記載されている場合、建物の価格をそのまま計算に用います

建物と土地部分の価格が分かれていない場合には、次の方法②で建物の価格を計算しましょう。

>建物購入代金がわかった人は次のステップへ

方法②消費税額から計算する

売買契約書に記載されたマンションの購入金額が、建物と土地で分かれていない場合、消費税の記載があるか確認しましょう。

消費税が記載されていれば、消費税の金額から建物のみの価格を算出できます

すまリス
土地には、消費税が課税されないからです。
建物購入代金=売買契約書に記載の消費税÷消費税率+消費税
(自宅用マンションの場合、建物購入代金に、消費税の金額を含めて計算できます。)

消費税率は購入時の税率で計算するようにしましょう。以下は、各年の消費税率をまとめた表です。

購入年月消費税率
平成元年4月1日~平成9年3月31日まで3%
平成9年4月1日~平成26年3月31日まで5%
平成26年4月1日~令和元年9月30日まで8%
令和元年10月1日~10%

たとえば、平成8年に5,000万円(うち消費税90万円)で購入したマンションの場合の建物のみの購入代金は、以下の通りになります。

建物購入代金=消費税÷消費税率+消費税
=90万円÷3%+90万円
=3,000万円+90万円
=3,090万円

>建物購入代金がわかった人は次のステップへ

方法③標準建築単価から計算する

個人の売主からマンションを購入していた場合など、売買契約書に消費税の記載がないこともあります。

売買契約書に消費税の記載がない場合は、「標準建築単価」を利用して、建物の推定価格を計算できます

標準建築単価とは、国土交通省が毎年発表している「床面積1㎡辺りの工事費の平均値」です。建物の構造ごとに金額は異なります。

建物購入代金=マンションの建築年の標準建築単価×専有面積

方法④固定資産税評価額から調べる

売買契約書に消費税の記載がない場合の建物購入代金の調べ方には、他にも固定資産税評価額から調べる方法があります。

固定資産税評価額は、土地と建物で別々に決められているので、固定資産税評価額の比から建物購入代金を算出できます。

建物購入代金=マンションの購入代金×建物の評価額÷(建物の評価額+土地の評価額)

他にも相続税評価額を利用して求める方法などもありますが、複雑な計算になるため、自分ひとりで調べる方法としてはおすすめしません

すまリス
①~④の方法で解決できない場合は、税理士や、不動産会社に相談してみましょう!

Step2:購入代金以外の建物を調べる

譲渡所得を計算する「取得費」には、マンションの購入代金以外にも、マンションの取得に関わった費用を計上できます

このうち、建物部分の取得費は、マンションの購入代金同様に、減価償却します

取得費となる費用【土地+建物】

  • 購入時の仲介手数料
  • 購入時の登記費用(登録免許税、司法書士報酬)
  • 不動産取得税
  • 購入時の印紙税
  • 購入時に支払った固定資産税の精算金
  • 住宅ローンの事務手数料
  • 住宅ローンの金利・保証料(借入日~使用開始日)
  • 団体信用生命保険料(借入日~使用開始日)

取得費となる費用【建物のみ】

  • リフォーム費用

【土地+建物】の費用は、金額を土地分の価格と建物分の価格に分ける(按分する)必要があります。

【例】仲介手数料100万円、マンションの土地価格400万円、建物価格600万円の場合
土地:建物=4:6
建物分の仲介手数料=100万円×6/10=60万円
すまリス
土地価格と建物価格の割合は、【Step1】で求めた金額を用いましょう。

Step3:マンションの償却率を調べる

「償却率」は、マンションの材質・構造によって異なります。

以下は、自宅用マンション(非事業用資産)の、材質・構造ごとの償却率をまとめた表です。

材質・構造償却率法定耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)0.01570年
レンガ造、石造、ブロック造0.01857年
軽量鉄骨造骨格材の肉厚が4mm超0.02051年
骨格材の肉厚が3mm超4mm以下0.02540年
骨格材の肉厚が3mm以下0.03628年
木造、合成樹脂像0.03133年
木骨モルタル造0.03430年

なお、非事業用資産は、耐用年数が事業用の資産の1.5倍に設定されています。

Step4:経過年数の端数を切り上げる

「経過年数」は、マンションを購入してから売却するまでの所有期間の年数です。

端数は、6ヶ月以上の時は切り上げて1年とします。6ヶ月未満の場合は、切り捨てします。

たとえば、経過年数が15年7ヶ月の時、「7カ月」の部分は切り上げて、経過年数は「16年」と計算することになります。

なお、リフォーム費用の減価償却費は「リフォームした日からの経過年数」を使って、個別に計算します。

マンション購入日からの経過年数で計算してしまうと、多めに減価償却してしまうことになるため、気をつけましょう。

Step5:計算式に代入する

Step1~4で手元に用意した数字を、減価償却費の計算式に代入して、求めましょう。

ここでは、以下の例を用いて計算します。
  • マンションの建物部分の取得費:4,000万円
  • 鉄筋コンクリート造(RC造)
  • 購入した日:平成14年2月1日
  • 売却した日:令和4年3月1日

マンションの構造が鉄筋コンクリート造なので、償却率は「0.015」になります。

経過年月は、20年1ヶ月です。6ヶ月未満の端数は切り捨てるので、減価償却費の計算では「20年」を使用します。

減価償却費 = 建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数
=4,000万円×0.9×0.015×20
=1,080万円
求めた減価償却費を取得費から差し引くことで、「売却時点での取得費」を正しく計算できます。
すまリス
実際に計算する上での疑問点は、税務署の相談口や、税理士にご相談ください。

まとめ

マンション売却による利益と税金を正しく申告するためには、減価償却費の計算が必要不可欠です。

減価償却費の計算は複雑そうに見えますが、マンション購入当時の建物購入代金と購入にかかった費用、マンションの構造、そして所有していた期間がわかれば算出できます。

マンションの売却後の確定申告は、翌年の2月16日から3月15日までに行わなければならないため、早めに取りかかりましょう。

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記事のおさらい

マンション売却の確定申告時に必要な減価償却費とは?

減価償却費とは、「経年によってマンションの建物部分の価値が下がった分」を金額で表したものです。

マンション売却時の譲渡所得税は、利益に応じて課税されます。この「利益」は、売却代金から経費を差し引いて求めるのですが、購入時の費用は全額計上できず、「経年劣化でマンションの建物部分の価値が下がった分」を差し引かなければなりません。

そのため、「減価償却費」の計算が必要なのです。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

マンション売却時の減価償却費の計算方法は?

以下の計算式で、減価償却費は求められます。

減価償却費=建物部分×0.9×償却率×経過年数

また、購入費用の95%が限度額で、古くなった建物でも、元の価格の5%までは取得費として計上できます。

詳しくはマンション売却における減価償却費の計算方法をご覧ください。

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