マンションを購入してから所有5年以内の売却は、税金が高くなると言われています。
ですが、実際には、ほとんどの場合で3,000万円特別控除が適用できるため、譲渡所得税はかからないことが多いです。
また、中古マンションの売却価格は築年数が増えるにつれて値下がりするため、売却を考えるのであれば早期売却がおすすめです。
本記事では、どうして所有5年以内の売却は税金が高くなると言われているのか、その理由と、5年以内に売却するメリットを紹介します。
マンションを5年以内に売却すると税金が高くなる?
マンションを購入してから所有5年以内の売却は、税金が高くなると言われています。
ですが、実際には、ほとんどの場合で3,000万円特別控除が適用できるため、譲渡所得税はかからないことが多いです。
マンションを売却する際、必ずかかる税金を除いて、売却で利益が生じた際は譲渡所得税がかかります。
譲渡所得税は、マンションの所有期間によって税率が異なります。税率は以下の通りです。
所有期間 | 譲渡所得の区分 | 譲渡所得税率 |
---|---|---|
5年以内 | 短期譲渡所得 | 39.63%(※) |
5年を超える | 長期譲渡所得 | 20.315%(※) |
(※2037年12月31日までの復興特別所得税を含めた税率)
また、マンションの所有期間が5年以内の場合、適用要件を満たせる特例が少ないことも税金が高くなると言われている理由です。
たとえば、購入から5年以内でマンションを売却した場合には、以下の特例を適用できません。
所有期間10年超が適用要件の特例
所有期間5年超が適用要件の特例
ただし、ほとんどの場合で3,000万円特別控除の特例が適用できるため、所有5年以内であれ譲渡所得税はかからないことが多いです。
また、中古マンションの売却価格は築年数が増えるにつれて値下がりするため、売却を考えるのであれば早期売却がおすすめです。
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マンションを5年以内に売却するメリット
マンションの売却を考えているのであれば、早期売却がおすすめです。2章では、マンションを5年以内に売却するメリットを紹介します。
売却価格が高い
築浅のマンションであれば、中古であっても購入希望者の数が多く、それに伴って売却価格が高い傾向にあります。
一方で、築古のマンションであれば、築浅のマンションと比較して購入希望者数が少なく、希望者が見つかるまで価格を下げるなどの調整が必要となる場合があります。
リフォーム費用がかからない
築年数の浅いマンションは、建物の劣化が少ないため、売却時リフォーム費用がかかりません。
一般的に中古マンションを売却する際は、リフォームを行うことが多いですが、築10年以内の築浅マンションであればそのままの状態で売りに出せるのがメリットです。
修繕積立金による負担が軽減される
築年数が浅いうちにマンションを売却するのであれば、修繕積立金の金額が上がる前に売却できるというメリットがあります。
また、修繕積立金が安い方が、買い手がつきやすくもあります。
地価高騰で購入価格を上回る可能性も!
近年、地価の価格は高騰傾向にあります。地価の値上がりはマンションの売却価格にも影響を与えます。
よって、築浅のマンションであれば、著しく地価高騰した地域では、購入価格よりも高く売れる可能性があります。
マンションを5年以内に売却する時にも使える節税方法
ここでは、所有5年以内のマンション売却でも使える特例を紹介します。
3,000万円特別控除の特例
「3,000万円特別控除の特例」は、売却するマンションが、実際に居住していたマンションであれば、所有期間の長短に関係なく適用できる特例です。
マンション売却の譲渡所得から最大3,000万円まで控除できます。
つまり、譲渡所得が3,000万円以下の場合は、特例を適用すると課税がなくなります。
>3,000万円特別控除の特例について詳しくはこちらをご覧ください。
住宅ローン控除(住宅ローン減税)
「住宅ローン控除(住宅ローン減税)」は、マンションを売却した後に、新居を住宅ローンを借入して購入した場合に使える制度です。
最長13年間に渡って「年末時点での住宅ローン残高の0.7%」の金額を、所得税や住民税から控除できます。
注意点として、「3,000万円特別控除の特例」と「住宅ローン控除」は併用できません。
住み替えのためにマンションを手放す方は、将来的にどちらの控除を利用する方が税金の負担が少なくなるか検討してから利用する必要があります。
所有5年以内のマンション売却では「買い替え特例」が使えない!
「マイホームを買い替えたときの特例(居住用財産の買換えの特例)」は、所有期間が10年を超える物件を売却した場合にのみ適用されます。
且つ、新しく建物50平米以上・土地500平米以下の住居を購入するなど一定の条件を要する特例のため、所有期間が5年以内の築浅物件に対しては適用されない点には注意が必要です。
マンション売却後も住宅ローン控除は適用できる│適応条件や注意事項を解説
マンションを5年以内に売却する際の注意点
4章では、マンションを5年以内に売却する際の注意点を説明します。
控除を受けるには確定申告が必要
マンション売却を行った場合には、売却した年の翌年の2月から3月の間に確定申告を行う必要があります。また、特別控除を利用したい場合であれば、確定申告は必須です。
確定申告を行うことで特別控除の要件を満たしているかを確認してもらい、満たしていれば特別控除が適用された状態の金額で課税されます。
マンションを売却して損益が出た際、確定申告をすることで特例措置を利用することができる可能性があります。
特例措置が適用されると納税額を抑えることができるため、譲渡益の有無に関係なく確定申告をすることがおすすめです。
住宅ローン控除と特例の併用は不可
マンションを売却して得られた資金で新しい家を購入することを検討している人もいるでしょう。
この場合に注意しておきたいのは、「住宅ローン控除」と「3,000万円特別控除の特例」の併用ができないという点です。
マンション売却で利益が出たため3,000万円の特別控除が適用されるかを確認したうえで、譲渡所得税を節税したとしましょう。
その後、新しい家を購入するために住宅ローンを組んだ際に、住宅ローン控除を受けようとしても3,000万円の特別控除を受けていることを理由に断られてしまいます。
そのためマンション売却を行う場合には信頼できる不動産会社に相談してどちらが得になるのかをしっかり確認しましょう。
事業用の売却には消費税がかかる
貸付や店舗・事務所として用いるために購入した事業用のマンションを売却した場合には、消費税がかかります。
ただし、売主が「免税事業者」である場合には、消費税は課税されません。
マンション売却における譲渡所得の計算方法
控除を適用させる際は、譲渡所得から控除分を差し引いて計算します。
ここでは、譲渡所得の計算方法を解説します。譲渡所得は以下の計算式で求めます。
売却価格、取得費、譲渡費用はそれぞれ何を指し、どのように求められるか見てみましょう。
譲渡価額
譲渡価額とは、基本的にはマンションを売った売却価格を指します。
しかし、売却時に固定資産での生産を一緒に行うため、正式には売却価格に固定資産税精算金を加えたものを譲渡価額といいます。
取得費
取得費とは、マンションを購入するのにかかった価格を指します。
取得費は以下の計算式から求めます。
まずは建物の取得価額から求めましょう。
取得価額にあたる費用は以下の通りです。
- マンションの購入代金
- 仲介手数料
- 登記費用
- 設備費
- 改良費
参照:国税庁
さらにマンションは、経年によって劣化していくので取得価額から滅却費相当額を引きます。
マンションの建物部分は経年劣化しますが、土地は劣化をしません。
したがって減価償却をするのは、建物のみの代金です。
マンションの減価償却費の計算方法は以下の通りです。
償却率は建物の構造によって決まっています。
構造 | 非事業用の償却率 |
---|---|
木造 | 0.031 |
木造モルタル | 0.034 |
鉄骨造(3mm以下) | 0.036 |
鉄骨造(3mm超4mm以下) | 0.025 |
鉄骨造(4mm超) | 0.020 |
鉄筋コンクリート造 | 0.015 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 0.015 |
- マンションは「鉄筋コンクリート造」または「鉄筋コンクリート造」で建てられていることが多いです。
- 経過年数とは、購入してから売却するまでの「所有年数」を指します。
- マンションの「築年数ではないこと」に注意してください。
- 経過年数は、6カ月以上は1年として切り上げ、6カ月未満は切り捨てます。
譲渡費用
譲渡費用とは、売却のために支払った費用のことを指します。
譲渡費用に含まれるのは以下の事項です。
- 仲介手数料
- 測量費など、売却に直接かかわる費用
- 貸家の売却のために借家人に支払った立退料
- 建物を取り壊した場合の取り壊し費用や取り壊し損
- 売却時に売買契約書に添付した印紙税
修繕費や固定資産税のように、マンションの維持や管理に要した費用は含まれません。
マンションを売却するのに適したタイミング
6章では、マンションを売却するのに適したタイミングについて説明します。
時期:需要の多い2~3月
マンションは2~3月が最も売れやすい時期です。
以下は、レインズが公表している2021年の首都圏地域別中古マンション(東京都)の成約件数を表したものです。
月 | 成約件数(件) |
---|---|
1月 | 1,775 |
2月 | 1,824 |
3月 | 2,221 |
4月 | 1,757 |
5月 | 1,675 |
6月 | 1,609 |
7月 | 1,555 |
8月 | 1,275 |
9月 | 1,610 |
10月 | 1,765 |
11月 | 1,782 |
12月 | 1,521 |
引用元:REINS_TOWER(東日本不動産流通機構):月例マーケットウォッチ(2021年度)
1月から成約数が増えており、3月は2,221件と1年のなかで唯一2,000件を超えています。
この背景に、新年度に向けた引っ越しや、住み替えを検討する人の増加があります。
よって、最も需要の多い時期から逆算し、12、1月ごろから売却活動を始めるとよいでしょう。
金利状況:低金利の時
金利状況もマンションを売却するタイミングに大きく影響します。
今までは超低金利時代であり、金利1%以下で住宅ローンを借りられる金融機関もあるため、資金力が豊富でなくても不動産を購入しやすい状況といえました。
しかし、2024年3月19日、日銀はマイナス金利政策の解除を決定しました。
日銀は、19日まで開いた金融政策決定会合で、「マイナス金利政策」を解除し、金利を引き上げることを決めました。
日銀による利上げはおよそ17年ぶりで、世界的にも異例な対応が続いてきた日本の金融政策は正常化に向けて大きく転換することになります。引用:NHK
これにより、今後は金利上昇していくと想定されるため、今よりも買い手が少なくなる可能性が高いといえます。
ただし、今すぐに金利が大幅に上昇するわけではないため、随時金利状況をチェックしておくのがよいでしょう。
築年数:5年以内
築5年以内の築浅マンションは、最も高く売れやすいです。
以下は、首都圏中古マンションの築年数別成約価格を表してグラフです。
REINS TOPIC「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」を参考にすまいステップ編集部が作成
築5年以内のマンション成約価格は6,638万円と非常に高いのがわかります。
マンションに限らず、建物は築年数の経過とともに価格が減少していきます。
築5年であれば新築時と比べて価格の減少率も低く、条件によっては新築時と同等の価格で売れる可能性もあります。
このように、マンションの成約価格は築年数が大きく関係しているため、高く売りたい方はなるべく早い段階で売却活動を始めるのがおすすめです。
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