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マンション売却時の取得費とは?譲渡所得の計算に必要な費用をわかりやすく解説!

マンション売却時の取得費とは?譲渡所得の計算に必要な費用をわかりやすく解説!

マンション売却にかかる税金を計算するためには、まず譲渡所得(売却益)を計算する必要があります。

譲渡所得は、売却代金から「取得費」と「譲渡費用」を差し引いて求めます。

マンション売却の譲渡費用は、売却にかかった費用をそのまま計上すればよいのですが、取得費は減価償却する必要があるため、やや複雑です。

この記事では、どのような費用が取得費になるのか、また取得費の減価償却について解説します。

マンション売却の税金はいくら?計算方法と節税に役立つ控除を紹介

マンション売却時の取得費とは

マンション売却における「取得費」とは、購入や相続などでマンションを取得した時にかかった費用のことです。

マンションの売却価格から差し引いて、譲渡所得(売却益)の金額を求めるために用います。

【譲渡所得の計算式】
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
譲渡所得には、所得税や住民税がかかります。詳しくは、以下の記事をご参照ください。

マンション売却時の取得費となるもの

マンション売却時の取得費となるものは、以下の通りです。

なお、取得費がわからない場合は、売却価格の5%の金額を取得費として、譲渡所得の計算に利用できます。

参考:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」

ここからは、取得費に計上できる費用について、それぞれ解説していきます。

マンション購入時の代金

マンションを購入した時に支払った代金は、取得費になります。

相続したマンションの場合、被相続人の購入価格を引き継ぎ、取得費に計上します。

マンション購入時の仲介手数料

マンションを不動産会社の仲介で購入した場合に、不動産会社に支払った仲介手数料は取得費になります。

マンション購入時に支払った税金

マンション購入時に支払った税金も、取得費になります。

購入時に支払った税金には、不動産取得税や、所有権移転登記にかかった登録免許税印紙税が該当します。

また、中古マンションを購入して、未経過の固定資産税を精算した場合の精算金も取得費に含められます。

マンション購入時・取得時の登記費用

登記申請を司法書士に委任した場合、司法書士に支払った報酬は取得費になります。

また、マンションを相続して取得していた場合、相続登記費用(登録免許税、司法書士報酬)も、取得費になります。

マンションのリフォーム費用

マンションを所有している間に、リフォームやリノベーションをした費用は、取得費になります。

ただし、バリアフリー化や、キッチン・浴室のグレードアップなど、マンションの価値を高めるようなリフォームの費用が対象です。

壊れた設備の修理など、維持や修繕を目的としたリフォーム費用は、取得費に含められません。

なお、売却するためにリフォームをした場合の費用は「譲渡費用」に計上します。

マンションの設備費

マンション購入後に新たに設置した設備に支払った費用は、取得費になります。

住宅ローンの事務手数料

マンションを購入した住宅ローンの借入にかかった事務手数料は、取得費になります。

借入日から入居までの住宅ローンの利子・保証料・団信保険料

住宅ローンの利子や保証料は、借入日から入居(使用開始)までの期間に対応する金額については取得費にできます。

また、団体信用生命保険料についても、借入日からマンションの使用開始までの期間に対応する金額は、取得費にできます。

マンションの使用開始日以降にかかる利子や保証料、団信保険料は取得費にできません。

その他マンションの購入・取得にかかった費用

その他、以下のような費用も取得費になります。

  • 当該のマンションを購入するために別の契約を破棄したことで支払った違約金
  • マンションを取得するための訴訟費用
    (ただし遺産分割に関する訴訟費用は含められません。)
  • マンションを取得するために前所有者に対して支払った立退料

土地と建物の取得費は分けて計上する必要がある

取得費は「土地の取得費」と「建物(設備)の取得費」に分けて計上する必要があります。

これは「土地は経年で劣化しないが、建物や設備は経年劣化していく」という考え方のもと、建物部分のみ「減価償却」の計算をする必要があるためです。

減価償却とは
経年で劣化して損なわれた資産価値を、金額で表し、元の価格から差し引く会計手続きのこと。
すまリス
普段意識することは少ないですが、マンションを区分所有していると「マンションが建っている土地の所有権」も持っています!
建物・設備のみに関わるリフォーム費用や設備費以外の取得費は、土地の取得費と建物の取得費に按分する(分ける)必要があります。
マンションの購入代金が、売買契約書に土地価格と建物価格に分けて記載されている場合は、その割合で土地と建物の取得費を按分します。
土地価格と建物価格が分けて記載されていない場合は、消費税から逆算したり、固定資産税評価額の比から計算したりできます。
更に詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

建物の取得費からは「減価償却費」を差し引く

前章でも説明した通り、建物部分の取得費は減価償却しなければなりません。

そのためには、建物の「減価償却費」を計算し、建物部分の取得費から差し引く必要があります。

耐用年数と償却率

会計上、建物が経年劣化して、資産価値がゼロになるまでの年数を「耐用年数」といいます。

耐用年数は、建物の「用途」と「構造」に基づいて、法律で定められています

たとえば、居住用の鉄筋コンクリート造のマンションの耐用年数は、70年です。

また、70年かけて資産価値がゼロになるため、1年あたり「0.015」ずつ価値が減っていくということになります。

この毎年価値が減っていく割合を「償却率」といいます。

建物の減価償却費は、マンションの用途と構造ごとの償却率を用いることで、計算できます

以下に、自宅用マンションの構造ごとの償却率と耐用年数をまとめました。

材質・構造償却率法定耐用年数
鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート(SRC造)0.01570年
レンガ造、石造、ブロック造0.01857年
軽量鉄骨造骨格材の肉厚が4mm超0.02051年
骨格材の肉厚が3mm超4mm以下0.02540年
骨格材の肉厚が3mm以下0.03628年
木造、合成樹脂像0.03133年
木骨モルタル造0.03430年

減価償却費の計算方法

減価償却費は、以下の式で計算できます

減価償却費=建物部分の取得費×0.9×償却率×経過年数
経過年数は、マンションを購入してから売却するまでの所有期間の「年数」です。
端数は、6ヶ月以上の場合は切り上げ、6ヶ月未満の場合は切り捨てします。
なお、リフォーム費用や設備費の減価償却費は、リフォームした日・設備を設置した日からの経過年数を用いて、個別に計算します。
減価償却費の計算について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

マンション売却時の取得費の計算例

この章では、以下のケースを用いて、具体的にマンションの取得費を計算してみましょう。

マンションの構造:RC造
購入した日:平成14年2月1日
売却した日:令和4年3月1日
購入当時のマンションの取得費:5,000万円
うち土地の取得費:2,000万円
うち建物の取得費:3,000万円

マンションの取得費のうち、建物の取得費については購入当時の価格から減価償却をする必要があります。

マンションの購入から売却までの経過年月は、20年1ヶ月です。

減価償却費を計算する時の「経過年数」は、6ヶ月未満は切り捨てるため、「20年」を計算に用います

建物の減価償却費
建物の取得費×0.9×償却率×経過年数
=3,000万円×0.9×0.015×20

810万円
よって、現在におけるマンションの建物の取得費は、以下のように計算します。
現在における建物の取得費
=3,000万円-810万円

2,190万円
今回のケースで、マンションの譲渡所得の計算に用いる取得費は、以下の通りになります。
マンションの取得費
土地の取得費+建物の取得費(減価償却後)
=2,000万円+2,190万円
4,190万円

まとめ

本記事では、マンション売却時の譲渡所得を計算するための「取得費」について解説してきました。

マンション売却時の取得費は、購入時の代金だけでなく、仲介手数料や各種税金、登記費用など、購入にかかった費用全般を計上できます。

ただし、マンションの建物部分の取得費については、減価償却をする必要があります。

取得費を正しく計上できると、譲渡所得の金額を抑えられる可能性があります。

マンションが高く売れて、特別控除を利用しても譲渡所得が出そうな場合は、「なにが取得費にあたるか」をしっかり確認し、領収書など証明できる書類を用意しておくのがおすすめです。

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