- 不動産売買契約とは?
- 不動産売買契約とは、買主が売主に購入代金を支払い、所有権移転を約束する契約
- 不動産の買主を保護するため、売主が不動産会社の場合は契約内容に制限がある
- 契約締結後の解除は特定の条件下でのみ可能。違約金が発生することが一般的。
不動産売買契約は、多くの人にとって一生のうちで数回しか経験しない大きな取引です。
そのため、契約内容や手続きに関する不安や疑問を持つ方も多いでしょう。
特に、契約後の解除や違約金についての知識は、後悔しないための重要なポイントとなります。
この記事では不動産売買契約について分かりやすく解説します。
不動産売買契約を結ぶ流れ
不動産売買契約では以下のような流れで行われます。
①重要事項説明書の読み合わせ、署名・捺印
買主に対して、宅建士から口頭と書面で不動産の重要事項の説明があります。
不動産売却は大きな金額の動くイベントであるため、思いがけないアクシデントや間違った思違いがないようにするためです。
宅建士の説明をしっかり聞いて不明点を質問した上で重要事項説明書に署名・捺印しましょう。
②契約書への署名・捺印
買主が重要事項説明書に署名・捺印したあと、売買契約書に署名・捺印をすると売買契約が締結されます。
基本的に、売買契約書は不動産会社が作成してくれます。
その内容に齟齬がないか、自分の希望する条件と違った内容が書かれていないかを確認しましょう。
③手付金・仲介手数料等の支払い
売買契約が成立成立したら、買主は売主に手付金を支払います。
売主は不動産会社に仲介手数料の半額を支払います。
不動産売却における売買契約は、買主と売主が合意のもとに結ばれます。
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不動産売買契約と手付金
不動産売買契約では買主は売主に手付金を支払うのが一般的です。この章では、手付金の金額や扱い方を解説します。
契約時に買主から売主に支払われる売却金額の一部のことです。
手付金の額は売主と買主の間で取り決められ、一般的に売却金額の5~20%である場合が多いです。
法律の解釈上、手付を支払う目的は下記の3つに分類されます。
種類 | 目的 |
---|---|
証約手付 | 契約が成立したことを示すため。 |
解約手付 | どちらかの都合で契約を解除する際、契約解除の損害賠償額とするため。 |
違約手付 | どちらかが契約を履行しない場合、契約不履行の損害賠償として没収するため。 |
契約書に特に記載がない場合、手付金は「解約手付」とみなされます。
つまり、手付金は契約解除(=売買契約を実行に移さないこと)の賠償金としての性質を持つということです。
例えば売買契約を結んだ後で買主が契約をキャンセルしたくなった場合、手付金は帰ってきません。
反対に売主が契約をキャンセルしたい場合は、買主に手付金の2倍の金額を支払って損害賠償とするのが慣習です。
不動産売買契約で解除が可能な条件
一度売買契約を結んでしまうと、解約は難しいです。ですが、以下の条件に限り、契約の解除が可能になります。
手付解除
不動産売買契約では、契約締結時に「手付金」と呼ばれる金銭を、買主が売主に支払うことが一般的です。手付金の相場は「売却価格の5〜20%」ほどです。
手付解除では、買主は、売主に支払った手付金を放棄することにより、売買契約を解除することができます。
反対に、売主は、買主から支払われた手付金額の倍額を買主に返すことにより、売買契約を解除することができます。
契約不適合責任に基づく削除
契約不適合責任とは、売主と買主が合意をした契約の内容に適合していない場合(不適合)の責任のことです。
例えば、安心して住めると思っていた家に、傾きや、故障がないとされていた設備が故障していた場合、契約不適合責任として、補償や代替え物の引き渡し、損害賠償を請求できます。
この契約不適合責任に基づいて、物件が契約内容に適合していない、尚且つ不適合が軽微でない場合は、買主は契約の解除ができます。
契約不適合責任の具体例は、土地の瑕疵(かし)や設備の故障、シロアリの害、雨漏り、構造上の欠陥などがあります。
また、この契約不適合責任には期限があります。売主が責任を持つ期間は個人が売主の場合は3ヶ月、法人の場合は1年(不動産会社の場合は2年)になります。
特例による解除
特約の内容に応じて解除が可能です。
例えば、住宅ローンの特約では買主に不備がなく、住宅ローンが通らなかった場合、買主は無条件で契約を解除することができます。
違約による解除
違約による解除とは、売買契約を締結したにもかかわらず、相手方が登記や売買代金の支払いに応じない場合、一定期間の催告と書面の通知で契約の解除が可能です。
また、相手方が債務を履行しなかった場合に限り、違約金の請求ができます。違約金の相場は、売買価格の1~2割が相場です。売主が宅建業者の場合は、宅地建物取引業法によって、違約金の上限は2割になります。
例えば、4,000万円の中古マンションを契約した場合、400万~800万円の違約金が発生します。
クーリングオフによる解除
不動産会社以外の場所、例えば、モデルルームや展示場、自宅、飲食店などで不動産売買契約を結んだ場合は、クーリングオフが可能です。
クーリングオフとは、契約後でも一定の要件を満たしていれば、書面で契約解除の申し込みを行える制度です。
不動産の売買契約において、クーリングオフできる要件は以下の通りです。
- 売主が宅建業者である
- 買主が宅建業者でない
- 契約場所が宅建業者の事務所や自ら申し出た場所以外である
- 物件代金の支払いが済んでいない
- 物件の引き渡しが行われていない
また、不動産売買契約におけるクーリングオフの申し込み期限は、クーリングオフについて通知されてから8日以内です。
危険負担による解除
天災による物件の滅失等により、契約の目的が達せられない場合は、買主は無条件で契約を解除できます。
例えば、売買契約を交わした後、引き渡しまでに、売主・買主双方に原因が無いことが原因(地震や隣家の火災からの延焼など)で建物が消失・損傷してしまった場合、買主は売主に代金の支払いを払わずに契約を解除できるということです。
合意による解除
合意解除とは、売主と買主双方の合意に基づき、契約の解除が可能です。
よって、解除を求める意思が、売主と買主のどちらか一方によるものである場合は、合意解除にあたりません。
売主と買主双方の合意のもとで契約を解除する場合は、解除の条件を自由に決められます。違約金についても売主と買主双方の合意によるものであれば自由です。
不動産売買契約で必要な書類一覧
不動産売買契約で必要な書類等は以下の通りです。
必要書類 | 内容 |
登記済証(権利書) | 登記が完了した際に登記所から登記名義人に交付される書類 |
実印 | |
印鑑証明書 | |
住民票 | |
銀行口座 | |
本人確認書類 | |
耐震診断報告書等 | 建物が耐震基準を満たしていることを証明する書類 |
設備表 | 売却する物件の設備に関する内容を記載したもの |
管理規約(ある場合) | マンションなど、集合住宅における規約書 |
建築確認通知書(ある場合) | 対象住宅の建築確認が済んでいることを証明する書類のこと |
建築協定書(ある場合) | 建築協定書とは、住民が合意した街並みを守る協定に関する記述が示された書類 |
固定資産税納付書 | 一般的に毎年4〜5月に交付される |
印紙代 | 契約書など、課税文書を作成する際に課せられる税金 |
不動産会社への仲介手数料 | 「(売買価格×3%+6万円)×1.1」で算出 |
売買契約時は以上のように必要なものがたくさんあります。見落としがないようにしっかりと確認しておきましょう。
不動産売買契約を結ぶ際の注意点
不動産売買契約締結後の契約解除は、可能ではありますが、解除するには細かい条件があり、違約金も発生するため、そう簡単に解除ができません。
そのため、契約締結前に、売買契約書の内容が「希望条件」に沿っているか、また「不明確な条件はないか」不動産業者と慎重に確認しておく必要があります。
とはいえ、始めての売買契約では契約書のどこを見ればいいのか分からないという人も多いと思います。
ここでは、売買契約を結ぶ際に、最低限目を通しておきたい項目とポイントを紹介します。
土地の実測及び土地代金の精算
不動産の売買取引では、引き渡しまでに、売主が土地の境界を明示する義務を負うのが一般的です。
しかし、この際、具体的にどのようにするのか、できない場合にどうなるのか、というところが曖昧なケースがあります。
すでに境界標が設置されているようなケースでは問題にはなりませんが、隣地との境界線が曖昧な場合、契約後に土地の境界においてトラブルになるケースが多いため、この項目は十分に確認しておく必要があります。
手付解除
手付解除では、買主は、売主に支払った手付金を放棄することにより、売買契約を解除することが可能です。
手付解除の可能な時期について、民法の原則では、相手方が「履行に着手するまで」とされています。「履行に着手するまで」というのは実に曖昧なものです。
そのため、契約書上、手付解除の期限を日時で確認しておくようにしましょう。
ローン特約
特約の内容に応じて解除が可能です。
例えば、住宅ローンの特約では買主に不備がなく、住宅ローンが通らなかった場合、買主は無条件で契約を解除することができます。
売買契約を結ぶ段階では、まだローンの審査に通っていない場合があります。ローンの審査が通過しなければ当然、不動産を購入することができません。
こういった場合、契約の解除が可能かといった項を確認しておきましょう。
契約不適合責任
契約不適合責任とは、売主と買主が合意をした契約の内容に適合していない場合(不適合)の責任のことです。
例えば、安心して住めると思っていた家に、傾きや、故障がないとされていた設備が故障していた場合、契約不適合責任として、補償や代替え物の引き渡し、損害賠償を請求できます。
この契約不適合責任に基づいて、物件が契約内容に適合していない、尚且つ不適合が軽微でない場合は、買主は契約の解除ができます。
契約不適合責任の具体例は、土地の瑕疵(かし)や設備の故障、シロアリの害、雨漏り、構造上の欠陥などがあります。
また、この契約不適合責任には期限があります。売主が責任を持つ期間は個人が売主の場合は3ヶ月、法人の場合は1年(不動産会社の場合は2年)になります。
まとめ
不動産売却の売買契約時に注意すべきポイントを見てきました。
不動産売却は大きな金額が動くイベントです。そのため、後悔がないよう売買契約書をよく確認することが重要です。
この記事を参考に、万全の準備で売買契約に臨みましょう。
#不動産売却 #不動産売買契約