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不動産売却の売買契約の注意点とは?契約書のチェックポイントを解説します

  • 更新日:2022年11月4日
不動産売却の売買契約の注意点とは?契約書のチェックポイントを解説します

不動産を所有する売主と、不動産を購入したい買主が取引の契約を結ぶ「売買契約」。

はじめて不動産売買を行う場合、法律や費用が絡む売買契約には不安を抱く方もいるでしょう。

この記事では、売買契約で失敗しないための注意点を解説します。

しっかり予習して不動産売却を成功させましょう。

【図解】不動産売却の流れを7ステップで解説!必要な手続きをわかりやすく解説

注意点1:不動産の売買契約を結んだ後の契約解除は難しい

不動産売却において、いったん売買契約を結ぶとそキャンセルすることが難しいです。

売買契約を結んだ後にキャンセルを行いたいような場合、契約解除を行います。
契約解除とは、売主・買主どちらかの意志で契約をなかったことにすることを意味します。

契約解除が可能な条件

契約解除を行えるのは、以下の条件に該当する場合です。

  • どちらかが契約の履行に取りかかる前
  • 売却した不動産が契約不適合責任に該当し、買主から申し出があった場合
  • 買主が住宅ローンの審査に落ちた(=住宅ローン特約による解除)
  • どちらかが契約を履行しない場合(期日までに売却金を支払わないなど)

ただし、契約解除を行うためにどちらかが相手方に損害賠償を行うケースがあります。
万が一、契約解除になる場合を考え、売買契約時に契約解除について確認しておくようにしましょう。

契約解除ができる期間

契約解除は、どちらかが契約の履行に着手するまでの間であれば行うことができます。
つまり、売主が所有権を移転するまで、もしくは買主が料金を振り込むまでの間です。

期間内であっても、相手に契約解除を行う旨を伝えなければ契約解除が無効になってしまいます。
「言った」「言わない」でトラブルにならないよう、必ず書面で契約解除の意志を伝えましょう

注意点2:手付金の金額と取り扱いを知っておく

手付金とは

売買契約時には、売り主から買主に手付金が支払われます。
手付金」とは、契約時に買主から売主に支払われる売却金額の一部のことです。

手付金の額は売主と買主の間で取り決められます。
一般的には、売却金額の5~20%です。

法律の解釈上、手付を支払う目的は下記の3つに分類されます。

種類目的
証約手付契約が成立したことを示すため。
解約手付どちらかの都合で契約を解除する際、契約解除の損害賠償額とするため。
違約手付どちらかが契約を履行しない場合、契約不履行の損害賠償として没収するため。

契約書に特に記載がない場合、手付金は「解約手付」とみなされます。
つまり、手付金は契約解除(=売買契約を実行に移さないこと)の賠償金としての性質を持つということです。

例えば売買契約を結んだ後で買主が契約をキャンセルしたくなった場合、手付金は帰ってきません

反対に売主が契約をキャンセルしたい場合は、買主に手付金の2倍の金額を支払って損害賠償とするのが慣習です。

注意点3:契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)の内容を確認する

契約不適合責任とは

雨漏りやシロアリによる被害など、建物の欠陥はぱっと見ただけで分かるものばかりではありません

もし購入した物件に欠陥があった場合、高いお金を払って不動産を購入した買主は損をしてしまいます。

こうした事態を避けるために設けられているのが「契約不適合責任」です。

物件を購入してから特定の期間内に欠陥が見つかった場合、買主は補修損害賠償を売主に対して求めることができます。

建物の欠陥(=瑕疵)とは

契約不適合責任の対象となる建物の欠陥には以下のようなものです。

  • 雨漏り
  • シロアリ被害
  • 給排水管の故障
  • 建物構造上主要な部分の腐食
  • 土地の瑕疵

契約不適合責任の期間

買主が契約不適合責任を負う期間に関して、通常は引き渡しから2~3カ月と契約書で定められます。
ただし契約書に記載がない場合は、引き渡しから1年が保証期間となるため、売主も買主もチェックしましょう。

注意点4:ローン特約について理解しておく

ローン特約とは

不動産売却の売買契約では、特定の条件に対して特約が設けられることがあります。
中でも多いのが、「住宅ローン特約」があるケースです。

住宅ローン特約とは、買主が住宅ローンの審査に通らなかった場合にキャンセルできる(=契約解除)できる特約です。

買主が住宅ローンの審査に落ちた場合、売り主は手付金を返還しなければいけません。

売主は、買主がローンに通らなかった場合の対応を契約時に確認しておきましょう

また手付金を返還する可能性を考慮し、可能なら売主がローンに通過するまで手付金を使わずにおくことをおすすめします。

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注意点5:売買契約時の持ち物を準備する

売買契約を結ぶためには、書類などを準備する必要があります
売買契約に必要な書類は不動産会社から案内が来ますが、下記に代表的なものをまとめました。

書類発行場所取得にかかる時間
建築確認通知書再発行不可
ローン残高証明書各金融機関の支店1週間程度
固定資産税納付書市役所などその場で発行
マンションの使用細則(維持費のわかる書類)
※マンション売却の場合のみ
マンションの管理組合などマンションの管理組合による
地積測量図法務局その場で発行
境界線確認書法務局その場で発行
銀行口座書類・通帳各金融機関の支店その場で発行
本人確認書
実印
仲介手数料の半額
印紙代

注意点6:不動産売却の売買契約の流れを把握しておく

不動産売却売買契約を結ぶにあたって、当日の流れを確認しましょう。当日行うことは主に3つです。

不動産売却の売買契約当日の流れ

①重要事項説明書の読み合わせ、署名・捺印

買主に対して、宅建士から口頭と書面で不動産の重要事項の説明があります。

不動産売却は大きな金額の動くイベントであるため、思いがけないアクシデントや間違った思違いがないようにするためです。

宅建士の説明をしっかり聞いて不明点を質問した上で重要事項説明書に署名・捺印しましょう。

②契約書への署名・捺印

買主が重要事項説明書に署名・捺印したあと、売買契約書に署名・捺印をすると売買契約が締結されます。

基本的に、売買契約書は不動産会社が作成してくれます。

その内容に齟齬がないか、自分の希望する条件と違った内容が書かれていないかを確認しましょう。

③手付金・仲介手数料等の支払い

売買契約が成立成立したら、買主は売主に手付金を支払います。

売主は不動産会社に仲介手数料の半額を支払います。

不動産売却における売買契約は、買主と売主が合意のもとに結ばれます。

売買契約当日は、売買契約書をよく読むことで、予期せぬトラブルを避けることができます。
特に、以下の点に留意しましょう。

  • 売買契約は一度結ぶとキャンセルが難しい
  • 契約をキャンセルする場合の手付金の取り扱いを確認する
  • 契約不適合責任の期間と補償内容を確認する
  • 住宅ローン特約の有無と内容をチェックする

売買契約時でも気を抜かず、不動産売却を成功に導きましょう。

売買契約書のチェックポイント

売買契約は一度結ぶとキャンセルが難しいです。

そのため、売買契約書はすべて熟読し些細な疑問でも質問し解決するようにしましょう。

契約書は全てに目を通すことが鉄則ですが、特に確認すべきポイントを下記に記載しました。

最終チェックの参考にしてください。

重要事項説明書のチェック事項(売主)

  • 登記簿と実測面積は異ならないか。異なる場合はその理由を確認する。
  • 不動産の位置は間違いがないか。公図を見て確認する。
  • 測量に信頼性があるか(信頼性が高い順に確定測量>現状測量>地積測量)
  • 床面積は何平方メートルか、その根拠は何か
  • 登記上の所有者と売主は同じか
  • 不動産に賃借人がいないか
  • 差し押さえはないか
  • 抵当権があるか
  • 市街化調整区域でないか(市街化調整区域の場合、どのような制限があるか)
  • 用途地域(商業地域や工業地域は周辺に高い建物が建つ可能性がある)
  • 建ぺい率、容積率に問題はないか
  • 再建築不可物件でないか(敷地と道路の関係を確認する)
  • 対象不動産に関係する制限の内容(宅地造成等規制法、文化財保護法に該当する場合は要注意)
  • 対象不動産は造成宅地防災区域外か(区域内の場合は対処方法を確認する)
  • 建物状況調査(インスペクション)を実施しているか
  • インフラ(電気・ガス・水道)を追加費用なく利用できるか
  • 建築確認及び検査証が取れているか(取れていない場合、安全性は確保できていない)
  • 契約解除に問題はないか(手付解除と住宅ローン特約による解除は可能か)
  • 添付される書類に問題はないか(再発行のできない建築確認通知書は添付されているか)
  • マンションの場合、管理費や修繕費に滞納がないか
  • マンションの場合、長期修繕計画通りに修繕が行われているか

売買契約書のチェック事項(売主・買主)

  • 対象不動産の取引範囲は事前の説明通りか
  • 売却代金とその内訳に問題はないか
  • 売却金を授受する日時は事前の説明通りか
  • 手付解除の期限日がいつか
  • 手付解除の条件は何か
  • 実測清算(売買契約後に土地を実測して土地単価で清算すること)の有無
  • 住宅ローン特約の解除期限
  • 住宅ローン解除の条件
  • 契約不適合責任の期間
  • 契約不適合責任に該当する場合の対応
  • 万が一、地震等で建物が無くなった場合の対応
  • マンションの場合、土地は敷地利用権か(敷地利用権でないと、建て替えなどの修繕の際に苦慮する可能性あり)

まとめ

不動産売却の売買契約時に注意すべきポイントを見てきました。

不動産売却は大きな金額が動くイベントです。そのため、後悔がないよう売買契約書をよく確認することが重要です。

この記事を参考に、万全の準備で売買契約に臨みましょう。

記事のおさらい

買主は、売買契約時にどうして手付金を支払わなければならないのですか?

契約解除の際の賠償金として、売却金額の5~20%を支払うことが慣習となっています。詳しく知りたい方は手付金の取り扱いをご覧ください。

売買契約後にキャンセルをすることはできますか?

一旦売買契約を結ぶと、契約のキャンセル(=契約の解除)は一般的に難しいです。詳しくは契約解除の条件をご覧ください。

契約不適合責任とは何ですか?

契約不適合責任とは、売主の自覚の有無に関わらず、建物に瑕疵があった場合に買主が売主に補償等を請求できることを指します。詳しく知りたい方は契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)をご覧下さい。

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