- 不動産売買契約とは?
- 不動産売買契約とは、買主が売主に購入代金を支払い、所有権移転を約束する契約
- 不動産の買主を保護するため、売主が不動産会社の場合は契約内容に制限がある
- 契約締結後の解除は特定の条件下でのみ可能。違約金が発生することが一般的。
不動産売買契約は、多くの人にとって一生のうちで数回しか経験しない大きな取引です。
そのため、契約内容や手続きに関する不安や疑問を持つ方も多いでしょう。
特に、契約後の解除や違約金についての知識は、後悔しないための重要なポイントとなります。
この記事では不動産売買契約について分かりやすく解説します。
不動産売買契約の基礎知識
これから不動産売買を控えている方に向けて、売買契約の基礎知識を解説します。
初めての売買契約で不安を抱えている方はぜひ参考にご覧ください。
不動産の売買契約とは
不動産における売買契約とは、買主が売主に購入代金を支払って買主が所有権移転を約束する契約のことです。
契約を結ぶと同時に手付金を支払い、不動産の引渡しに移ります。
売主が不動産会社の場合は契約内容に制限がある
売主が不動産会社で買主が一般の方の場合は、契約内容に制限があります。
- 手付金や違約金の制限
- 契約不適合責任に関する制限
これは不動産取引において素人である買主を保護するために設けられています。
不動産売買契約と手付金
手付金の金額や扱い方を解説します。
売買契約時には、売り主から買主に手付金が支払われます。
契約時に買主から売主に支払われる売却金額の一部のことです。
手付金の額は売主と買主の間で取り決められ、一般的に売却金額の5~20%である場合が多いです。
法律の解釈上、手付を支払う目的は下記の3つに分類されます。
種類 | 目的 |
---|---|
証約手付 | 契約が成立したことを示すため。 |
解約手付 | どちらかの都合で契約を解除する際、契約解除の損害賠償額とするため。 |
違約手付 | どちらかが契約を履行しない場合、契約不履行の損害賠償として没収するため。 |
契約書に特に記載がない場合、手付金は「解約手付」とみなされます。
つまり、手付金は契約解除(=売買契約を実行に移さないこと)の賠償金としての性質を持つということです。
例えば売買契約を結んだ後で買主が契約をキャンセルしたくなった場合、手付金は帰ってきません。
反対に売主が契約をキャンセルしたい場合は、買主に手付金の2倍の金額を支払って損害賠償とするのが慣習です。
不動産売買契約を結ぶと簡単に解除できない
不動産売買契約は、一度結んでしまうと簡単には解除できません。
少なくない金額が動く不動産売買において、買主・もしくは売主が一方的な都合で契約を解除すると、相手方は大きな不利益を被ります。
そのため、契約を軽々しく解除することはできず、特定の条件下でしか解除が許されないのです。
以下の段落では、不動産売買契約の解除に関する注意点を説明します。
不動産売買契約の解除には違約金がかかる
不動産売買契約を途中で解除する場合、違約金が発生することが一般的です。
違約金は、契約書に記載されている金額をもとに決まり、契約を解除した側が相手方に対して
契約によって異なりますが、違約金の相場は売却代金の1~2割が設定されることが一般的です。
4,500万円で家を売る場合、違約金は450~900万円になる計算です。
契約解除になって損をしないよう、売買契約前には契約内容と違約金の金額をよく確認することをおすすめします。
売主が個人の場合はクーリングオフが適用されない
不動産売買契約において、売主が個人の場合、クーリングオフの制度は適用されません。
クーリングオフとは、一定の期間内に契約を無条件で解除できる制度のことを指します。
しかし、この制度は不動産会社との契約にのみ適用され、個人間の取引では利用できないのです。
そのため、売主が個人の場合は、契約内容を十分に確認し、納得の上で契約を結ぶことが重要です。
また、売主が不動産会社の場合でもクーリングオフができないことがあります。
例えば、不動産会社の事務所以外の場所で売買契約を締結したすると、買主はクーリングオフを行使できません。
売主が不動産会社となる場合は、事前にクーリングオフの適用条件を確認しておきましょう。
「特約」を結んでいる場合は解除できることも
不動産売買契約に「特約」が含まれている場合、特定の条件下で契約を解除することが可能です。
例えば、住宅ローン特約は、ローンの審査が通らなかった場合に契約を解除できる特約です。
この特約がある場合、ローンが通らなかった買主は違約金を支払うことなく契約を解除できます。
特約の内容や条件は契約書に明記されているため、契約前に十分に確認することが必要です。
以上、不動産売買契約の解除に関する基本的な知識を解説しました。契約を結ぶ前に、契約内容や条件をしっかりと理解し、後悔のない取引を心がけましょう。
不動産売買契約の流れ
不動産売却売買契約を結ぶにあたって、当日の流れを確認しましょう。当日行うことは主に3つです。
①重要事項説明書の読み合わせ、署名・捺印
買主に対して、宅建士から口頭と書面で不動産の重要事項の説明があります。
不動産売却は大きな金額の動くイベントであるため、思いがけないアクシデントや間違った思違いがないようにするためです。
宅建士の説明をしっかり聞いて不明点を質問した上で重要事項説明書に署名・捺印しましょう。
②契約書への署名・捺印
買主が重要事項説明書に署名・捺印したあと、売買契約書に署名・捺印をすると売買契約が締結されます。
基本的に、売買契約書は不動産会社が作成してくれます。
その内容に齟齬がないか、自分の希望する条件と違った内容が書かれていないかを確認しましょう。
③手付金・仲介手数料等の支払い
売買契約が成立成立したら、買主は売主に手付金を支払います。
売主は不動産会社に仲介手数料の半額を支払います。
不動産売却における売買契約は、買主と売主が合意のもとに結ばれます。
まとめ
不動産売却の売買契約時に注意すべきポイントを見てきました。
不動産売却は大きな金額が動くイベントです。そのため、後悔がないよう売買契約書をよく確認することが重要です。
この記事を参考に、万全の準備で売買契約に臨みましょう。
記事のおさらい
買主は、売買契約時にどうして手付金を支払わなければならないのですか?
契約解除の際の賠償金として、売却金額の5~20%を支払うことが慣習となっています。詳しく知りたい方は手付金の取り扱いをご覧ください。
売買契約後にキャンセルをすることはできますか?
一旦売買契約を結ぶと、契約のキャンセル(=契約の解除)は一般的に難しいです。詳しくは契約解除の条件をご覧ください。
契約不適合責任とは何ですか?
契約不適合責任とは、売主の自覚の有無に関わらず、建物に瑕疵があった場合に買主が売主に補償等を請求できることを指します。詳しく知りたい方は契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)をご覧下さい。