不動産売買契約時に支払う手付金について解説します。
- この記事でわかること
- 手付金を払うタイミング
- 手付金の払い方
- 手付金の相場
- 契約解除時の手付金の取扱い
「手付金ってなに?」「手付金っていつ払うの?」
これから不動産の売買契約を締結する方は、このような疑問を抱えているのではないでしょうか。
この記事では、手付金とは何か、手付金の相場などを詳しく解説します。
手付金についてお悩みの方はぜひ参考にご覧ください。
不動産の売買契約を結ぶ際の『手付金』とは
そもそも、手付金とはどのようなものなのでしょうか。
不動産売買において、契約成立の証明や契約解除になった際の違約金とするために買主が売主に対して支払うお金です。
基本的に契約締結と同時に支払い、取引が完了すると売買代金に充当されます。
なお、相手が履行(売主なら不動産の引渡し、買主なら購入代金の支払い)するまでなら手付金を放棄して解約できます。
手付金が発生するタイミング
手付金は売買契約を締結するときに支払います。
売却の手順を確認して、しっかりとタイミングを把握しましょう。
売却の手順
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 売却活動開始
- 購入希望者が見つかる
- 売買契約を締結(買主が手付金を払う)
- 決済・引き渡し
どのように払われるのか
原則、手付金は売買契約時に現金で支払います。
また、高額の手付金を現金で用意するのはリスクが伴うため、振り込みを利用する場合もあります。
ただし、売買契約は銀行が休みの土日におこなわれることが多く、現金を用意して支払うケースが多いようです。
不動産売買契約における手付金の相場
手付金の相場は、不動産売買価格の5~10%程度です。
例えば、売買代金が5,000万円であれば250~500万円程度の金額といえます。
なお、不動産会社が売主の場合は売買価格の20%が上限と定められています。
設定された金額が高額だと感じたら売主に相談してみましょう。
手付金と間違えやすい費用に注意
不動産売買では、何種類もの費用が存在します。
手付金以外にも支払う費用があるため、それぞれの特徴を理解して間違えないようにしましょう。
手付金以外の費用
- 申込証拠金
- 内金
- 頭金
申込証拠金
申込証拠金は手付金と似ているため、混同しないようにしましょう。
契約する前の段階で、「この不動産を購入する」と意思表示を表すために売主に支払う費用
内金
内金は申込証拠金と似ている費用です。
契約後に、手付金とは別に売買代金の一部として売主に支払う費用
頭金
頭金は、不動産売買代金の一部を、「契約~不動産の引渡し」の間に支払う費用を指します。
不動産購入は高額なため、住宅ローンを組んで購入するのが一般的です。
頭金の額が大きいほど住宅ローンの借入額を少なくできるため、ローン完済が楽になるメリットがあります。
相場としては、売買代金の2割程度ですが法的拘束力はないため、自分の状況に合わせた金額で支払いましょう。
不動産売買契約における手付金の種類
手付金には3種類の性質があります。
- 証約手付
- 違約手付
- 解約手付
その中でも『解約手付』は売買契約後、最も重要になるのでしっかり把握しておきましょう。
証約手付
証約手付は、全ての手付に共通する意味を持つ手付で、売買契約が締結されたときに買主から売主へと支払われ、契約成立を意味します。
証約手付を出されれば、買主の購入意思がわかり、また契約が遂行されなかった際の違約金としても使われます。
違約手付
違約手付は、買主または売主によって契約通りに債務がおこなわれないときに没収し、損害賠償に充てられる手付です。
債務不履行により発生した損害賠償を請求する際には、契約書にその旨の記載が必要です。
買主に債務不履行があると、売主に支払った手付金は戻ってきません。
解約手付
不動産売買で支払う手付金のほとんどが「解約手付」を指します。
相手方が履行に着手するまでなら手付金を放棄して契約を解除できます。
売買契約後に売買を進める決定的な行為
- 売主が所有権移転登記をおこなったとき
- 買主が中間金や残金の支払いをしたとき
上記の行動を相手方がすると、手付金放棄による解除はできなくなるため、注意しましょう。
不動産売買契約を解除する際の手付金の取扱い
上述した通り、手付金を支払った後でも期間内であれば契約を解除できます。
その場合は、買主と売主とで負担が異なるので確認しておきましょう。
買主都合で契約解除する場合
買主は売買契約時に、売却金額のおよそ5%~10%の額(一般的な相場価格)を手付金として支払います。
契約の解除は、売主に支払った手付金を放棄すれば成立します。
一度結んだ契約を自己都合で自由に解除できてしまうと相手方は不利益を被る可能性があるため、責任を取る意味で手付金を放棄しなければなりません。
売主都合で契約解除する場合
売主が契約を解除する場合は、受け取った手付金と同額を上乗せして買主に支払います。
要するに、手付金の倍額を支払えば解除できます。
一見売主の方が厳重なペナルティを課せられているように感じますが、買主から受け取った手付金に手持ち分を上乗せしているため、どちらも同等の手付額の損失を被ります。
まとめ
不動産の売却は、高額な取引となるため、お金のやり取りについては慎重におこなう必要があります。
どのようなお金が必要なのか、金額や受け取りのタイミング、売却までの流れを理解しておくとトラブル回避につなげられます。
手付金については、売買代金の1~2割程度が相場であり、売主によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
もし、契約を解除したいのであれば、相手方が履行に着手するまでに手付金を放棄すれば解除できます。
手付金以外にも「申込証拠金」「内金」「頭金」などの費用もあるため、混同しないように気を付けて売買契約に臨みましょう。