家は住宅ローンや固定資産税を発生させる支出の源ですが、大きな現金に換えられる資産でもあります。
家をできる限り早く売却し現金化できれば、お金の悩みを解決できるでしょう。
ただし、最速で現金化する『買取』と呼ばれる売却方法は、売却金額が少なくなってしまうデメリットがあります。
反対に、高値で売却を行うには『仲介』という方法をとる必要がありますが、こちらは3~6カ月程度の期間を要します。
早さをとるか、高さをとるか。
現状に合わせて、最良の方法をとっていきましょう。
- 最短1週間で現金化できる『買取』
- 高値で売却可能な『仲介』
- できる限り高い価格で売却する方法
- 仲介での売却にかかる費用と抑えるコツ
お金がない!状況に合わせた家を売る2つの方法
現金化までの早さを優先するか、今後の生活や支払いのため手取り額の高さを優先するかで売却方法が異なります。
現状を正しく把握し、どちらの方法をとるべきか確認していきましょう。
売却方法は『買取』と『仲介』
『買取』は、不動産会社(不動産買取業者)に直接家を売る方法です。
古着屋で服を売る際に、その場で現金化できるように、早く現金化できる方法です。
業者にとっては仕入れの場になりますので、後述する仲介で売れる価格の7割程度と、安くなります。
『仲介』は、不動産会社を通して、第三者に家を売る方法です。
フリマアプリのように、買い手が見つかるかどうかで売却期間が変わります。
不動産会社が間に入るため仲介手数料が発生しますが、買取に比べて高い価格で売却できます。
仲介 | 買取 | |
---|---|---|
第三者(身内も可) | 取引相手 | 不動産会社 |
100% (仲介での価格を100%として比較) | 売却価格 | 70% |
3~6カ月 | 売却期間 | 1週間~1カ月 |
売却価格の3~5% | 仲介手数料 | なし |
ローンの状況によっては買取は使いにくい
住宅ローンが残っている家はそのまま売却できません。
そのため、現時点で住宅ローンが残っている家を売りたい場合は、『自己資金』か『自己資金と売却金額』でローンを完済する必要があります。
『仲介』は、買い手となる第三者との条件さえ合意できれば、価格は自由に設定できます。(周辺の売却相場に見合わない価格では売れない、又は売れるまでに時間がかかる)
一方の買取は、不動産会社が算出する査定価格がそのまま売却金額となります。
買取価格は、仲介での売却相場の7割程度とされるため、自己資金が豊富にある状況でないと、ローンを完済しきれない可能性が高くなります。
ローン残債と査定価格を確認してから売却方法を選ぶようにしましょう。
まずは仲介の査定を受けてみて、査定額を把握しておきましょう。
家が1週間で売れる『買取』
買取は、不動産会社(買取業者)に直接家を売る方法です。
最短1週間で売却できる
買取の魅力は、現金化までのスピードです。
大金が動く契約に加え、登記手続きが必要なため当日即金とはいきませんが、早くて1週間程度で現金化できます。
目安としては1週間~1カ月としていますが、中には、3日で買取ができたという方もいらっしゃいます。
売却にかかる費用を最小限に抑えられる
家を売却するためには、ある程度の費用がかかります。
契約書作成にかかる印紙税や、利益が出た場合にかかる譲渡所得税などの税金。
引越し費用や、家の情報を法的に証明するための『登記』などにも費用が掛かります。
仲介の場合は、以上の費用に加えて仲介を頼む不動産会社に支払う『仲介手数料』が発生します。
買取は、不動産会社を仲介として挟まないので、仲介手数料を浮かせられます。
仲介で売れる価格の7割程度になる
買取の唯一のデメリットは、売却価格の安さです。
不動産会社は、買取で仕入れた不動産に手直しを加えて再販します。その際に利益を生み出す必要があるので、買取時(仕入れ)の価格は安く提案されるのです。
仲介での売却相場のおよそ7割となることが多いため、前項で解説した仲介手数料こそ浮きますが、手取り額は少なくなります。
例えば、仲介では3000万円で売却できる家が、買取では2100万円になる。といった具合です。
仲介でも売却チャレンジできる『買取保証』
不動産会社によりますが、一般的に買取には2種類あります。
不動産会社にすぐに買取してもらう『即時買取』と、仲介の売却方法を試して売れなかった場合に買取をしてもらう『買取保証』です。
買取保証では、例えば「3ヶ月以内に仲介で売却できなかった場合は買取してもらう」といった保証を受けられます。
仲介での売却方法の方が圧倒的に高い価格で売却できますので、買取保証を付れば、安全に仲介売却にチャレンジできます。
家を『買取』で売るために必要なお金
買取の場合でもいくらかの費用が必要になります。
例えば、2,000万円で買取してもらう場合、30万円弱(ほとんど引っ越し費用)かかります。
以下でそれぞれの費用を詳しく解説いたします。
- 印紙税
- 登録免許税(+司法書士の報酬)
- 引っ越し費用
- 譲渡所得税(利益が出た場合に翌年発生する税金)
印紙税は売買契約書を作る際に発生する税金です。
売却金額に応じて変動しますが、売却金額1,000万円以下の物件出れば200円~5,000円、売却金額5,000万円以下の物件であれば10,000円と、大きな金額ではありません。
登録免許税は、家の所有権を移転する手続きをする際に発生する費用です。
一つの不動産につき1,000円なので、例えば戸建てを売る場合は『土地:1,000円』と『建物:1,000円』で合計2,000となります。
所有権移転の手続きは司法書士に代行する方が多く、その場合は5,000円~1万円程度の報酬も必要になります。
引越し費用は、手配するトラックの大きさと数、移動の距離に応じて大きく変動します。
戸建てからの引っ越しであれば20万円前後はみこんでおくべきでしょう。
譲渡所得税は、売却して利益が出た場合に、その利益分に課される税金です。
この利益とは、購入した時の価格や売却にかかった費用などを考慮して考えるため、買取で大きく利益が出るケースはほとんどありません。
また、マイホームの売却であれば、利益の3,000万円までを非課税にする特例を利用できるため、多くの場合で譲渡所得税0円で買取ができます。
3~6カ月かけて高く売る『仲介』
仲介とは、不動産会社を通じて、第三者に家を売る方法です。
不動産会社が仲介業務を担い、個人や企業などに売却を行います。
手取り額を最大化できる
買取と比べて仲介の方が圧倒的に売却価格が高くなります。
後述する仲介手数料等により、売却の際に払わなければいけない費用は多くなりますが、採取的な手取り額は仲介が多くなります。
実際に、不動産会社に査定をしてもらい仲介での売却価格をイメージできるようになりましょう。
査定価格の7割が、買取価格の目安となります。
買取よりも売却費用がかさむ
不動産会社が売主と買主をつなぐ仲介業務を行うため、不動産会社に対しての報酬(仲介手数料)を支払う必要があります。
不動産会社が請求できる仲介手数料には、法律で定められた上限額があるため、売却金額の3~5%とになります。
例えば、3,000万円の家を売却した場合は最大で1,056,000円の仲介手数料が発生します。
その他、買取では家のクリーニングやリフォームが必要ないのに対し、仲介では魅力的な物件にするためにクリーニングやリフォーム等が必要になる場合があります。
ただし、必ず行わなくてはいけない工程ではないので、不動産会社に査定を依頼した後、相談を重ねてから考えていきましょう。
地域や時期、物件状況で売却期間が長引く
仲介では、売却期間が想定よりも長引いてしまう可能性があります。
例えば、都心に比べて住宅需要のない田舎では、売却にかかる期間は長くりやすいでしょう。
不動産市場が活発になるのは、新年度手前の2~3月です。5月は購入ニーズが少なくなるので売却期間も長引く可能性があります。
他にも、物件の状態や価格、不動産会社の売り出し方によって売却期間は長引く可能性があります。
多くの人が3~6カ月で売却しているという事実はありますが、中には、1年から2年かかる方もいらっしゃいます。
最も気を遣うべきは売却金額の設定です。
不動産会社の査定価格を参考にしながら、周辺の売却相場と比較して妥当な価格を設定していきましょう。
下のフォームに簡単な情報を入力すると、全国から厳選された不動産会社に向けて一括で査定依頼を送れます。
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家を『仲介』で売るのに必要なお金
仲介の場合は以下のような費用が発生します。
(家の売却でかかる費用は、売却金額の4~6%程度と言われています。例えば、2,000万円で売却した場合は80~120万円ほどかかります。)
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税
- 引越し費用
- 諸費用
- 譲渡所得税
印紙税や登録免許税、引っ越し費用に関しては1章でも解説させていただきました。
引越し費用は相場として20万円前後かかりますが、印紙税・登録免許税はほとんどの場合で2万円とかからないでしょう。
仲介手数料は、不動産会社の仲介によって売却の話が進み、無事に売買契約を結べた際に不動産会社に支払う費用です。
簡単に説明すると、売却金額に3%をかけた金額が、不動産会社が売主に請求できる仲介手数料となります。
この価格が法律で決められた上限額であり、不動産会社との条件交渉によって値引きも行えます。
諸費用は、リフォーム代やクリーニング代、境界線を確定させる測量等にかかる費用です。
基本的に売却前にリフォームを行う必要はありませんが、ハウスクリーニング等はできる限り実施するべきでしょう。
古い家で、隣地との境界線が確定されてない場合は、境界線を確定させる測量を行う必要があります。
家売却時の諸費用相場
かかる費用 | 費用相場 |
---|---|
リフォーム費用 | 400万円前後(水回りのリフォーム) |
ハウスクリーニング費用 | 60,000円(3LDK で居住中の家) |
境界線確定測量費用 | 35万∼45万円(100㎡の土地) |
譲渡所得税は、仲介での売却によって利益が出た場合に、その利益に対して課される税金です。
マイホームの売却であれば、利益の3,000万円までを非課税にする特例を利用できるため、仲介であっても、譲渡所得税がかからない場合が多いでしょう。
家を高く売る6つのコツ
手元に残るお金を最大化させたいのであれば、高く売るコツと費用を抑えるコツを理解し取り入れる必要があります。
買取・仲介、いずれの売却方法でも使えるコツから、仲介ならではのコツまで紹介します。
買取・仲介どちらで使えるか、コツのタイトル横に()で記載しておきます。
- 複数の不動産会社を比較する(買取・仲介)
- 2~3月に売却できるように動き出す(買取・仲介)
- 閑散期に引っ越しできるよう調整する(買取・仲介)
- 売買契約書はコピーを補完し、印紙税を折半(買取・仲介)
- 仲介手数料を値引きする(仲介)
- 利益が出なくても確定申告する(仲介)
複数の不動産会社を比較する(買取・仲介)
売却を行う際は、不動産会社に査定額を算出してもらう必要があります。
査定額は不動産会社ごとに大きく異なり、複数社を比較しないと、「もっと高くうれたかも…」と後悔を残しかねません。
できる限り良い条件で売却するためには、仲介でも買取でも、3社以上の不動産会社を比較するのがオススメです。⇒仲介業者の選び方についてはこちら
(買取の場合は査定価格が売却価格となります。)
2~3月に売却できるよう動き出す(買取・仲介)
2~3月は、子供の進学や転勤の必要から売買の需要が高まります。
下の図は、2020年と2021年の成約件数(売買が成立した件数)をグラフ化したものです。
コロナ化でありながらも、2~3月の成約件数が顕著に上昇しています。
需要があれば、高値での売却できる可能性が高まります。
閑散期に引っ越しできるよう調整する(買取・仲介)
12月や1月など、引っ越し業者の閑散期に引っ越しをすれば、引っ越し費用を節約できます。
閑散期は値引きをしている業者も多く、繁忙期と比較すると半額程度の費用で引っ越しができる場合があるのです。
繁忙期は新生活を目前にした3月や、異動などで引っ越しの多い9月から10月あたりです。引っ越し費用を節約したいなら、繁忙期はできるだけ避け、閑散期を狙うとよいでしょう。
家を高く売った方が手取りは大きくなりやすいですが、持ち出しの費用を抑えたい場合は、引っ越し費用が安く済むタイミングも考慮してみましょう。
売買契約書はコピーを保管し印紙代を折半(買取・仲介)
売買契約書は売主と買主それぞれ1通ずつで、合計2通作成します。しかし、売主は売買契約書の原本を持っておく必要がなく、買主が作成するもののコピーで構いません。
印紙税は、契約書の原本作成にかかる税金ですので、1通をコピーとすれば1通分の印紙代が不要となります。
仲介手数料を値引きする(仲介)
仲介によって売却する場合は、成功報酬として不動産会社に仲介手数料を支払います。仲介手数料は法律によって上限が定められていますが、下限については不動産会社が任意に設定可能です。
そのため、交渉次第では仲介手数料の値引きができる場合もあります。
仲介での売却を始める際は、不動産会社と媒介契約を結びます。
不動産会社は何としても、媒介契約を結び自社で売却のお手伝いをしたいと考えておりますので、「媒介契約をする代わりの値引き」を交渉するといいでしょう。
利益がでなくても確定申告をする
家を売って利益が出た場合は、翌年に確定申告をして節税しましょう。売却時の状況によっては、特例控除が適用できるケースもあり、多くの場合で節税が可能になったり、適用する特例控除次第では非課税にもなります、
また、売却によって損失が出ている場合は確定申告は必須ではありませんが、申告して払い過ぎた税金が返還される場合もあります。
家の売却によって出た損失は確定申告で他の所得と合算し、損益通算が可能です。
少しでも手元にお金を残すには、利益の有無にかかわらず、売却した翌年に確定申告をすると覚えておきましょう。
まとめ:家は高く売るか、早く売るか
どうしても現金が必要な事情がある方は、最短で現金化ができる買取を選ぶといいでしょう。
買取は持ち出しの資金も必要としないため、負担なくスムーズに売却ができます。
一方で、仲介に比べて売却金額が大きく下がるので、できる限り仲介での売却をおすすめしています。
不動産会社のサービスである、買取保証をつければ、万が一仲介で売却できなかった場合に不動産会社に買取をしてもらうえますので、最もリスクが少ない方法と言えます。
仲介を検討し、仲介のデメリットが許容できなければ買取保証を。買取保証すら現実的でない場合に即時買取を検討するようにしましょう。