不動産査定を受けて、思っていたよりも高い査定額を提示されたら、胸が躍ることでしょう。
一方で「本当にこの価格で売れるならぜひ売却したいけれど、信じてもいいのかな……」と、不安を感じる方もいらっしゃるはずです。
結論から申し上げますと、売却を任せる不動産会社を査定額の高さで決めるのは危険です。
この記事では、不動産の高額査定を安易に信じてはいけない理由や、不動産会社を選ぶときに注意するべきポイントについて解説していきます。
不動産査定で高すぎる査定額が出されるカラクリとは
不動産査定は、売却相場を知るために受けるもの。それなのに、相場よりも高すぎる査定額が提示されては困ってしまいますよね。
これには、不動産査定の仕組みと、不動産会社の思惑が影響しています。
そもそも査定額とはどのような価格か
不動産査定における査定額は、売却方法によって意味合いが異なります。
不動産を売却する方法には、「仲介」と「買取」の2種類があります。仲介の方が、より一般的な売却方法です。
買取:不動産会社に直接売却する
不動産買取の査定額は、不動産会社が「この金額で購入します」と提示してくれる金額なので、査定額=売却価格と考えて問題ありません。
これに対して、仲介の査定では「この金額で売り出せば買主が見つかるだろう」という金額が査定額として提示されます。
さらに、「この金額で売り出せば買主が見つかるだろう」という査定額は、各不動産会社が独自の基準で算出しています。
利用者に対して査定の根拠を明示しなければならないというルールはあるものの、何を根拠とするかについては、各社に委ねられています。
つまり、不動産会社には各自の裁量で提示する金額を決める余地があるのです。
契約を取るために高い査定額を出す会社がある
本来、査定額は「買主が見つかるであろう金額」を提示するものですが、あえて相場よりも高い金額を提示する不動産会社があるのも事実です。
そのような不動産会社の狙いは、高い査定額で売主に期待を持たせて、売却の契約を結ぶことにあります。
一般的に、高額査定は高額売却のイメージが持たれやすいです。
先述の通り、仲介での不動産売却では査定額が高いからといって、高く売れるとは限らないのですが、このことはあまり浸透していません。
高額査定を謳った中古品のCMや広告に触れる機会が多いというのもあるでしょう。
さらに、提示された査定額を見て「この価格で売れるなら…」と、不動産売却を決める方も多いです。
このような背景から、売主の気持ちを煽るために、相場よりも高すぎる査定額を出す会社が存在しています。
以下は、すまいステップのアンケート調査に寄せられた「実際に不動産売却を経験された方の体験談」です。
査定額1,900万円の不動産を900万円で売却
早いうちに連絡があり、アドバイスの上に進めることが出来た、しかし 初期の査定額よりも かなり売買価格が低くなり、そこで手放すしかない事になり 残念でした。最終的には整理が付いて良かったが、査定額は最初にもう少し正確に判定して欲しかった
査定額3,280万円の不動産を2,780万円で売却
始めに提示されてきた金額が他の不動産屋さんより高かった。しかし、どんどんと値下げされ、最終的には後悔が残る取引になってしまいました。口ばかりいいことを言い、なかなか売れず、私の大事な財産を託しているのに、そんな自覚もなく軽々しい態度で今も思い出すと腹が立ってきます。
不動産会社は、不動産が売却できなければ利益を得られません。
仲介での売却が成立した時に、その価格に応じた仲介手数料を売主に支払ってもらうことで収入を得ているからです。
しかし、売主と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結べば、契約期間中は自社以外を介して不動産を売却できません。
途中で値下げをしてでも契約期間中に売却さえできれば、仲介手数料を取り損なうことはないのです。
不動産査定を複数社から受けると、提示される金額の「相場」が見えてきます。
査定額が妥当かどうかを見極めるために、一括査定などを利用して、複数の不動産会社の査定を比較するのがおすすめです。
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高すぎる査定額を鵜呑みにしてはいけない理由
仲介で損をすることなく不動産を売却するなら、提示される査定額の妥当性をきちんと見定める必要があります。
この章では「高すぎる査定額を鵜呑みにしてはいけない理由」について解説します。
「もしかしたら査定額通りに売れるかもしれないし、駄目なら少し値下げしてでも売れればいいんじゃない…?」と考えている方こそ、是非ご一読ください。
売却価格は売主と買主の交渉で決まるから
繰り返しになりますが、仲介での不動産の売却価格は、査定額では決まりません。
不動産の売却価格は、最終的に売主と買主の交渉で決まります。
不動産の購入希望者は、主に立地と価格(予算)から不動産を検討しています。その過程で、相場もある程度把握しています。
売り出し価格が買主の希望よりも少し高い程度なら、購入の問い合わせ後に、値引きや価格以外の条件の交渉が行われることになります。
しかし、相場を大きく上回る価格で売りに出してしまうと、そもそも購入検討の選択肢に入らず、問い合わせが来ないという事態に陥ります。
問い合わせが来なければ、もちろん交渉にも至りません。開店休業状態で、売却は進まないのです。
早期に売れる機会を逃してしまうから
初めから適正価格で売りに出していればすぐに売れたかもしれない不動産を、高すぎる価格で売り出すことで、買主が見つからないまま長い時間を無為に過ごしてしまう恐れがあります。
不動産会社に支払う仲介手数料は成功報酬なので、長引くことで直接費用の負担が増えるわけではありません。
とはいえ、住み替えなど売却代金を当て込んだ資金計画を立てているなら、計画に狂いが生じてしまいます。
「なかなか売れない不動産」のことを考えながら生活するという精神的な負担も無視できないでしょう。
後から値下げをしても売れにくくなるから
また、後から値下げをすればすぐに売却できるかというと、そうとは限りません。
既に数ヶ月売りに出している物件には、売れ残りイメージがつきます。そして売れ残りのイメージは、値下げをしても残ってしまいます。
売り出しから時間が経過している物件は「何かよくない理由があって売れていないのではないか」と購入検討者から思われやすいです。
その他にも「もう少し待てば更に値下げをするのではないか?」と、様子見をされてしまうこともあります。
近隣で新しく登録される物件よりも不利な状況が続けば、売り切るためには更なる値下げを検討する必要が出てきてしまうのです。
初めから「囲い込み」を狙われている場合もある
囲い込みとは、不動産会社が買主も売主も自社の顧客で取引を成立させるために、他社からの問い合わせを断ったり、不動産の情報を正しくレインズに登録しないという行為のことです。
囲い込みは不動産会社にとっては効率のよい営業手法ですが、売主にとってはデメリットしかない行為です。
不動産売買において、買主・売主のどちらも自社の顧客である取引を「両手取引」といいます。両手取引では、不動産会社は通常の2倍の仲介手数料を得ます。
囲い込みをすると、他社からのお客さんが不動産を購入できなくなるため、両手取引を成立させやすくなります。
不動産の価格を多少値下げしたとしても、両手取引を成立させられれば仲介手数料の収入が増えるため、高く売れる買主を見つけるよりも「効率がいい」のです。
相場以下に寝こなしをすれば、当然買主を見つけるのは容易になります。こういった点からも、囲い込みは不動産会社に都合がいい営業手法です。
しかし売主にとっては、囲い込みをされてしまうと、不動産を購入してくれる候補者が1社の顧客に限られてしまいます。
売却期間も長引きやすいため、囲い込みは売主のデメリットが大きいです。
高すぎる査定額をもとに売りに出すと「売れないので値下げ」という流れにしやすいので、高額査定は囲い込みのリスクが高いことに留意しておきましょう。
高すぎる査定額にだまされない!不動産会社を見極める注意点
ここでは、高すぎる査定額に振り回されずに不動産会社を見極めるための3つの注意点について解説します。
査定の根拠を確認する
1章でも触れましたが、不動産会社には「不動産査定の利用者に対して根拠を明示しなければならない」という規制があります。
不動産会社は、査定の根拠を示すために「不動産査定書」を作成します。
この不動産査定書は、利用者側から希望しないと渡してくれないこともあるため、必ず受け取りの希望を伝えましょう。
不動産査定書を受け取り、査定の説明を受ける時には、特に以下のポイントに注意しましょう。
査定結果を聞く時の注意点
- 比較されている取引事例は適切か
- 売り出し中の物件価格は考慮されているか
- ごまかさず、わかりやすく説明してくれるか
不動産の査定額は、よほど流通の少ない地域でない限り、過去の取引事例と比較して査定額を算出します。
特に、高い査定額を出すために恣意的に高い成約価格の取引が選ばれていないかどうかには注意すべきでしょう。
以下のサイトでは、過去に成約した不動産の匿名化された情報を、一覧で見られます。
サイト | 調べられる物件種別 |
---|---|
レインズマーケットインフォーメーション | マンション、戸建て |
土地総合情報システム | 不動産全般 |
特に「レインズマーケットインフォーメーション」では、最寄り駅や間取り、時期などの条件を絞り込んで、相場のグラフを閲覧できます。
全ての取引が掲載されている訳ではありませんが、査定結果で提示された取引事例に偏りがないか確認したい時に、利用してみるとよいでしょう。
また、現在売り出し中の物件価格については、各種不動産ポータルサイトで閲覧できます。
条件を絞って検索し、現在どのような物件が売り出されているか、自分でもチェックしてみましょう。
担当者の言動・人柄にも注意する
一般的に、不動産査定後に売却を依頼すると、査定の担当者がそのまま売却の営業担当者になります。
大事な不動産の売却を任せるに足る人物かどうか、査定という機会に見定めましょう。
たとえば、その場で決断を急かしたり、根拠のない物言いで請け負おうとする人物は、誠実さに欠けています。
疑問点があれば、遠慮なく質問することで、不動産の知識や地域の事情に精通しているかどうかを窺い知れます。
また、営業担当者は購入希望者への応対も行います。買い手側の印象を損ねて売却の機会を潰してしまうことのないように、時間にルーズな人は避け、言葉遣いや人柄においても信頼できる人物を選ぶのがおすすめです。
複数社の査定結果を比較する
不動産査定は、ぜひ複数の会社の査定を受けて、対応を比較しましょう。
受け取った査定結果の信ぴょう性を精査するのは、個人では限界があります。
そこで、先述した取引事例の選定や売り出し価格の提案だけでなく、査定額についての説明の仕方や、売却するためのプランを比較することで、「担当者に信頼が置けるかどうか」を判断しやすくなります。
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まとめ
この記事では、不当に高すぎる不動産の査定額について解説してきました。
不動産会社と専任媒介契約や専属専任媒介契約を結ぶと、3ヶ月の間は他の会社と契約を結べません。
また、売却期間が延びていくと、本来相場通りの価格で売れた物件でも、相場以下に値下げせざるを得なくなる状況になる可能性があります。
売却を成功させるなら、不動産会社は査定額に惑わされず、契約を結ぶ前によく吟味して選ぶようにしましょう。
不動産一括査定サイトのすまいステップでは、厳選された不動産会社のみが査定に参加しています。
実力のある担当者があなたの不動産売却をサポートするので、早く・高く売ることを目指せます。
不動産会社選びで失敗したくない方は、ぜひご利用してみてください。
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記事のおさらい
高すぎる査定額は信じても大丈夫?
高すぎる不動産査定額を鵜呑みにして不動産を売り出すのは危険です。査定額は、その価格で売れることを保証するものではないからです。
また後から相場通りに値下げしたとしても、売れ残りのイメージがついてしまって、更に値下げしなければ売れなくなる事態に陥る恐れがあります。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
高すぎる査定額に振り回されないためにはどうすればいい?
不動産会社の査定を受ける時に、以下のポイントに気をつけましょう。
- 査定の根拠を確認する
- 担当者の言動・人柄に注意する
- 複数社の査定を比較する
詳しくは高すぎる査定額にだまされない!不動産会社を見極める注意点をご覧ください。