戸建ての売却方法には、仲介と買取があります。
このうち買取は、買取業者に直接買取してらう方法ですが、仲介で売却する場合に比べ安く取引されます。
不動産会社を通して第三者に販売を行う仲介に比べ、手間も時間も削減できる買取ですが、本当に利用するべきでしょうか。
この記事では、買取を決める上で重要な相場・メリット・買取すべきケースの観点で、買取か仲介にするかを解説します。
戸建ての「買取」と「仲介」の違い
仲介は、不動産会社に一般の買主を探してもらって売却する方法です。

売却方法 | 売却期間 | 仲介 |
---|---|---|
買取 | 1日~14日 | 市場相場の7割以下 |
仲介 | いつ売れるか不明 | 市場相場 |
買取は、短期間で売却できますが、売却価格が低くなります。具体的に、仲介で売却した価格(市場価格)の7割程度が相場です。
一方仲介は、買主が見つかるまで売却期間は際限なく伸びます。一戸建ての場合、売却までの期間は平均6カ月です。
その分、買主さえ見つかれば、売主自身が設定した価格で売却できるため、高く売れます。
「早く売りたいなら買取」「高く売りたいなら仲介」がおススメです。
戸建ての買取相場
買取は、仲介で売却する場合に比べて売却価格が著しく安くなります。これが買取最大のデメリットです。
買取の売却価格が安い理由は、買主である不動産会社が、買い上げ後転売によって収益を上げるためです。
仲介市場の価格から、「転売利益」「修繕・活用にかかる費用」が差し引かれた価格が買取の価格となります。
上記の理由から、仲介で売却した場合の7割程度が一般的な買取価格となります。
ただし、物件の状態によってはそれ以上にも、それ以下の価格にもなります。
物件の状態毎の買取相場
前述した通り、買取の売却価格は、不動産会社の「転売利益」と「修繕・活用にかかる費用」分を差し引くため安くなります。
物件の状態が良好だと「修繕・活用にかかる費用」は大きくかかりません。
一方で、老朽化が激しい物件は「修繕・活用にかかる費用」が大きくかかるため、買取価格が低くなります
- 築浅戸建て:市場価格の9割程
- 築20年以内の戸建て:市場価格の7割程
- 解体の必要がある古家・空き家等:市場価格の5割程
- 事故物件:市場価格の1~2割程
場合によって買取価格がほぼ0円になることもあります。
例えば、「古家で建物価値が無く、地方のため土地の価格もせいぜい500万円程度」である場合、「転売利益」と「修繕・活用にかかる費用」を鑑みて、ほぼ0円とされる場合があるのです。
詳しい買取相場
売りたい物件の買取相場を詳しく知るには、ツールを使って相場価格を調べます。
以下のツールでは、仲介での売却相場を調べられます。
その価格の約7割が、買取相場の目安となります。
- レインズ・土地総合情報システム
(条件の近しい売却物件を検索して、相場価格を調べる) - 匿名査定シミュレーション
(簡単な情報入力で膨大な売却データから自動で相場価格を算出)
もっと詳しく価格を知りたい方は、不動産会社に査定を依頼してみましょう。
査定の際は、できるだけ複数の不動産会社を比較する様にしましょう。査定価格は不動産会社によって大きく異なるため、買取の場合はより高い金額の不動産会社を優先します。
一括査定サイトすまいステップでは、最大4社の、厳選された不動産会社に査定依頼ができます。
以下のフォームより3分程度の簡単入力で査定依頼が可能です。
戸建てを買取で売るデメリット
前章では、戸建てを買取で売却するメリットを紹介しました。
いくらメリットがあっても、デメリットを許容できなければ買取を決断できません。
以下では、買取のデメリットを2つ紹介します。
戸建て買取のデメリット
- 詐欺まがいの業者もいる
- 安く買いたたかれる可能性がある
- 家が残らないケースが多い
それぞれのデメリットについて詳しく解説しますので参考にしてください。
詐欺まがいの業者がいる
中には、詐欺まがいの業者もいるのが実情です。
第三者に売却する仲介と違って、直接的に被害をこうむりかねないので非常に注意すべきです。
例えば、土地の整備代を要求されたり、「買取手数料」と謳い不当な手数料を詐取するケースがあります。
買取を行う方は、基本的に「売主が費用を負担する必要はないこと」「手数料は発生しないこと」を必ず覚えておきましょう。
安く買いたたかれる可能性がある
不動産会社は、転売益を出すために買取を行いますので、できる限り安い価格で購入したいと考えています。
中には、言葉巧みに買取価格を引き下げていき、本来の価値よりもずっと安い価格で買い取る業者も存在します。
売主ができることとしては、事前に売却相場を調べておくことと、複数の不動産会社から査定を貰うことです。
仲介の場合、不動産会社は売主の見方ですが、買取の場合は不動産会社が取引相手になることを意識しておきましょう。
建物が残らないケースが多い
思い出の詰まったマイホーム、あるいはご実家を売却する場合、「そのままの状態で誰かに使ってほしい」と考える方は多いでしょう。
買取は、『不動産会社が物件を買いあげた後、転売し利益をだす』というビジネスモデルなので、転売するに適した状態に改修、あるいは解体・建て直しをするケースがほとんどです。
仲介で取引する一般の買主の方が、そのままの状態で使っていただきやすいでしょう。
戸建てを買取で売るメリット
買取を考える上で、買取にどれほどのメリットがあるのか理解しておくことは重要です。
次章で解説するデメリットと照らし合わせながら、損得を考えていきましょう。
戸建て買取のメリット
- 1週間~1カ月で手放せ、手間もかからない
- 売却してることを周囲に知られにくい
- 仲介手数料等の費用が掛からない
- 契約不適合責任が免責になる
仲介手数料等の費用が掛からない
買取は、不動産会社との直接取引ですでの、仲介手数料がかかりません。
仲介では、不動産会社を通して第三者へ売却するため、売買契約が成立した際に、不動産会社に仲介手数料(成功報酬)を支払います。
一般的に、仲介手数料の半額は売買代金の受領前に支払いますので、ある程度手持ち資金がないと支払いが困難になります。
仲介手数料の目安
- 売却金額500万円の場合:231,000円
- 売却金額1,000万円の場合:396,000円
- 売却金額2,000万円の場合:726,000円
また、老朽化の激しい家では解体が余儀なくされる場合もありますが、買取で売却する際は解体の必要がないため、手持ち資金が無くても売却可能です。
1週間~1カ月で手放せ、手間もかからない
買取で売却する場合、最短1週間~1カ月で売却できます。
戸建てはマンションに比べ売りにくく、仲介で売却する際は平均的に6カ月以上かかります。
仲介でも、買主さえ見つかれば1カ月~2か月で売却できる場合もありますが、よほど条件のいい物件であるか、運が必要です。
売却してることを周囲に知られにくい
売却理由がデリケートなものであったり、近隣住民とのトラブルが関与している場合は、売却している事実を周囲に知られたくないと考える方が多くいます。
仲介で売却する場合は、チラシの配布や購入希望者の内覧が続くため、ほとんど確実に売却していることが知られます。
一方で買取は、チラシの配布も内覧もないため、周囲に知られるリスクを最小限に抑えられます。
唯一警戒すべきは査定時です。
査定を依頼する際は、事前に、「周囲に売却していることを知られたくない」と伝えておきましょう。
契約不適合責任が免責になる
一般的に売主は、契約書に記載された不動産の品質等を保証する責任(契約不適合責任)を負います。
例えば、第三者に売却したのち、契約内容に無い欠陥等が見つかった場合は、損害賠償や契約解除等の対応が必要になります。
ただし、買取で業者(不動産会社)に直接販売した際は、売主の契約不適合責任は免責(責任を負わないこと)となります。
買取に向いている戸建て
ここまで買取の相場やメリット・デメリットを確認してきました。
それらを踏まえて、どのような戸建ての売却であれば買取に向いていると言えるでしょうか。
以下では、買取が向いているケースについて解説していきます。
買取が向いているケース
- 直ぐに売却・現金化したい
- 売却しなければいけない期限が決まっている
- 仲介で売りにくい戸建て(旧耐震基準の物件や事故物件など)
- 費用をかけずに売却したい
- 売却を人に知られたくない場合
すぐに売却・現金化したい
買取の最大のメリットは、売却・現金化までの早さです。
不動産会社を通して買手を募集する仲介売却に比べて売却価格が安くなりますが、時間と手間をかけたくない方には買取がおすすめです。
例えば、相続した地方の戸建てや、離婚により売却したい場合など、手間なく早く売ってしまいたい場合に検討してみましょう。
売却しなければいけない期限が決まっている
住み替えをする場合や相続後に戸建てを売却する場合は、「いつまでに売却しなければいけない」と期限が決まっていることもあります。
仲介は買主が見つかるまで売却できませんが、買取であれば決めた日ちょうどに売却できます。
期限に2,3ヶ月の余裕がある場合は、買取保証というサービスも検討してみましょう。
買取保証は、仲介で買手が見つからなかった場合に、不動産会社に買取してもらえるサービスです。
仲介では買い手がつきにくい物件で売却したい
以下のような物件は、仲介で売りにくい傾向にあるため、買取を考えて見ましょう。
- 築年数が40年以上超える旧耐震基準の物件
- 立地が悪い
- 事故物件
- 接道義務を果たしていない(再建築不可物件である)
安全性への不安から、仲介では築40年を超える旧耐震基準の物件は売れにくいと言われています。
更に立地が悪い等の条件が重なると、更に売却が難しくなります。
事故物件と言われる物件や、前面道路との接面義務を満たしていない物件も、非常に需要が少なく売却しにくい物件です。
買取は、このような「仲介で売れにくい物件」でも比較的売りやすく、また手間もかかりません。
買取で売却できるか知りたい方は、査定を依頼し買取について相談してみましょう。
一括査定サイトすまいステップは、買取や仲介を得意とする不動産会社に一括で査定が依頼できるサービスです。
たった3分の入力で最大4社の不動産会社に査定が依頼できるため、簡単に査定額を比較できます。
以下のフォームより、厳しい基準で厳選された優良不動産会社にのみ査定が依頼できます。
費用をかけずに売却したい
古い家の売却では、場合によって解体やリフォームが必要になり、100~200万円単位で費用が掛かります。
加えて、仲介で売却する場合は不動産会社への仲介手数料も必要になります。
買取で売却する場合は、費用の負担がないため、手持ち資金がない方や、仲介で売却しても高く売れない物件の場合におすすめです。
高く買取してくれる業者選びのコツ
仲介と違って、査定価格がそのまま取引価格になる買取では、より高く買取をしてくれる業者を探せるかが重要です。
以下では、3つのコツを紹介していきます。
戸建てを高く買取してもらう3のコツ
- 買取再販実績が豊富な不動産会社を比較する
- 買取専門でない不動産会社の査定もうける
- 価格交渉をする
買取再販実績が豊富な不動産会社を比較する
不動産会社は買取後に再販(転売)によって収益を出します。
買取再販実績の豊富な不動産会社は、再販力が強いため、より高く売却するノウハウを持っています。
高く売却できるということは、買取価格が高くても充分に利益を出せるということになります。
買取再販の実績が豊富な不動産会社を中心に、複数社の査定価格を比較する様にしましょう。
以下は、買取再販実績が豊富な不動産会社です。
リフォーム産業新聞「買取再販年間個数ランキング2021」を元に作成した表になります。
順位 | 不動産会社名 | 再販売上高 | 仕入れ戸数 |
---|---|---|---|
1 | カチタス | 657億円 | 4502戸 |
2 | リプライス | 315億円 | 1355戸 |
3 | インテリックス | 348.6億円 | 1294戸 |
4 | 大京穴吹不動産 | 390億円 | |
5 | フジ住宅 | 32.7億円 | 973戸 |
6 | スター・マイカ・ホールディングス | 388.5億円 | 1,180戸 |
7 | レジデンシャル不動産 | 174億円 | 1,055戸 |
8 | イーグランド | 176億円 | 803戸 |
9 | マイプレイス | 240.3億円 | 522戸 |
10 | オークラヤ住宅 | 185.1億円 | 653戸 |
業界最大手のカチタスは、地方の中古住宅の買取再販に力を入れている会社です。
また、リプライスはカチタスの子会社です。2社合計で1000億円近い売上高を誇ります。
上記のような大手不動産会社は、高く再販する技術もあれば、安く買い上げる技術も持っています。
足元を見られないよう、複数社の比較は面倒がらずに行う様にしましょう。
買取専門でない不動産会社の査定もうける
買取再販のみを行う不動産会社の査定担当者は、買い上げのプロです。
ただし、売却の知識が十分ではない場合があります。
そのため、買取再販のみを行う会社の査定担当者の視点と、仲介業を行う会社の査定担当者の視点には相違があります。
不動産会社の中には、仲介業も買取業も行う会社もあります。
前項で紹介したカチタスのような買取専門の業者だけでなく、仲介業と買取業どちらも行っている不動産会社からも査定を受けるようにしましょう。
一括査定サイトのすまいステップは、独自の基準で厳選された不動産会社にのみ一括で査定を依頼できるサービスです。
仲介・買取共に行っている不動産会社とも多く提携しております。
以下のバナーより、たった3分で最大4社の不動産会社に査定が依頼できます。
価格交渉をする
不動産会社に価格交渉をしてみましょう。
不動産会社は交渉ごとに慣れているので、売主側はいくらか材料をもって交渉に挑む必要があります。
交渉しやすいポイントは以下の2点。
- 他社の買取価格を引き合いに出す
- 同じ不動産会社で購入も行う
査定額を比較するだけなく、その中で最も高い価格を引き合いに、さらなる価格の引き上げが期待できます。
2つ目のポイントは住み替えをする方限定ではありますが、非常に交渉しやすい材料です。
買取価格が引き上げられなくても、購入時の仲介手数料を安くしてもらえる可能性もあります。
不動産会社やハウスメーカーが販売する物件を直接購入する場合は仲介手数料がかかりません。
ただし、購入を仲介する不動産会社を挟むと仲介手数料が発生します。
そのため、上述の方法で価格交渉をする場合は、仲介手数料が必要な中古物件か、取引している不動産会社が販売している新築物件を購入する場合に限られます。