一戸建ては、マンションに比べて需要が少ないため、売却期間も長くなりやすい傾向にあります。
中には、1年以上も売れない人もいます。
この記事では、一戸建ての平均的な売却期間と、平均期間よりも早く売る5つのコツを紹介しています。
また、不動産会社の選び方まで解説していますので、売却に向けて行動を始める前にぜひご覧ください。
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また、「家を売る基礎知識を知りたい」方は家を売る記事が参考になります。
一戸建ての売却にかかる期間は6カ月が目安
マンションと比較すると一戸建ての売却期間はやや長い傾向にあります。
すまいステップ編集部が実施した調査では、『6ヶ月未満で売却できた方』が45.5%と、約半分を占める結果となりました。
一戸建て売れやすさは、地域によりも異なります。
すまいステップが行った売却期間の調査から、東京圏の都道府県別に傾向を見ていきましょう。
殆どの地域で、6~7割の人が6ヶ月以内に売却できていることが分かります。
東京都
東京都では6カ月が最も多い売却期間でした。
6カ月以内に売却できた方は、合計で72.09%です。
神奈川県
神奈川県では6カ月が最も多い売却期間でした。
6カ月以内に売却できた方は、合計で71.29%です。
千葉県
千葉県では6カ月が最も多い売却期間でした。
6カ月以内に売却できた方は、合計で67.6%です。
埼玉県
埼玉県では6カ月が最も多い売却期間でした。
6カ月以内に売却できた方は、合計で71.14%です。
茨城県
茨城県では1年が最も多い売却期間でした。
6カ月以内に売却できた方は、合計で61.11%です。
一戸建て売却期間の流れ
何でこんなに時間がかかるんだろう。
次に、一戸建て売却の流れと、行動ごとにかかる期間まで解説していきます。
売却の流れから全体像を捉えて、自分が実際に一戸建てを売却している様子をイメージしながら、各ステップの売却期間の目安を確認していきましょう。
ステップ | すること | 期間の目安 |
---|---|---|
売り出し前 | 相場を調べや書類収集 | 1~4週間 |
査定を受ける | ||
媒介契約を結ぶ | ||
売り出し中 | 売り出し開始~内覧 | 3~6ヶ月 (※買主が見つかるまで) |
条件交渉 | ||
売買契約 | ||
売り出し後 | 決済・引渡し | 1~2ヶ月 |
翌年:確定申告・納税 | 翌年 |
上の表のように、戸建売却は売り出し前・売り出し中・売り出し後の3ステップで完了します。それぞれのステップで売主が行うことや何のために行うのか・それぞれの手続きにかかる所要時間を時系列で詳しく紹介していきます。
売り出し前
相場を調べや書類収集(約1週間)
査定価格は不動産会社によって異なるので、査定価格の妥当性をはかるために相場価格を自分で調べておきましょう。
また、必要な書類を準備しておくと、売却に関する手続きをスムーズに進められます。
これらの準備をしなければ査定を受けられないわけではありません。
期間を短縮したい方は、先に査定の依頼だけでも済ませておきましょう。
査定を受ける(1~2週間)
続いて不動産会社に査定を依頼し、査定額を出してもらいましょう。
査定担当者が直接物件を訪問して行う査定を訪問査定といい、査定日の調整と査定額の結果送付までにおおむね1~2週間かかります。
媒介契約を結ぶ(~1週間)
査定後に売却を進めたい行きたい場合は、気に入った不動産会社と媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産会社に売却の仲立ちをしてもらうために必要な契約です。
売り出し中
売り出し中の期間を、目安として3~6カ月としていますが、買主が見つからない限りは際限なく期間が延びます。
中には売り出しから1週間程度で買主が見つかる方もいます。
売り出し開始~内覧(~6ヶ月)
査定価格を参考に売り出し価格を決定したら、売り出し開始です。
不動産会社が集客を担当するので売主がやるべきことは殆どありませんが、内覧の予約前には必ず掃除を済ませておきましょう。
また、内覧の際は売主もできる限り立ち会うようにしましょう。
条件交渉~売買契約(約2週間)
値下げ交渉がされることもあるので、いくらまでなら下げてもいいか決めておくとスムーズです。
条件交渉が無事終わったら、売却を成立させるための売買契約を結びます。
これにて、売却活動は終了になります。
売り出し後
決済・引渡し(1~2ヶ月)
売買契約から目安として1カ月後に決済と引渡しを同時に行います。
買主の売却代金決済が確認出来たら、物件と鍵の引渡し、名義変更(所有権移転登記)手続きをします。
確定申告・納税(翌年)
一戸建てを売却して利益が出た場合は確定申告を行い納税する必要があります。
確定申告は売却の翌年2月16日~3月15日に行います。
以上が売却の流れです。
売却期間が長くなるケース
買主が見つからない限り売却期間は長引きます。
買主が見つからない原因を知ることで、売却期間が長くなるケースを理解できます。
買主が見つからない(売却期間が長くなる)原因
- 不動産会社選びを失敗している
- 地域に住宅需要がない
- 売り出し価格が高すぎる
- 物件に需要がない
- 築年数が25年以上
- 再建築不可物件(市街化調整区域内、接道義務を満たしていない土地)
- 周辺に嫌悪施設(墓地、工場、養豚場)
- 周辺の利便性が悪い(スーパーやコンビニ、病院がない)
不動産会社選びを失敗している
一戸建てを売却する際、不動産会社が熱心に売却活動をしてくれるかどうかが非常に重要です。
不動産会社選びを誤ると他の売却物件を優先するために後回しにされたり、自社で買主を探すため(買主を自社で探せると不動産会社が買主からも報酬をもらえる)全国の不動産会社に売買情報を共有してもらえないことがあります。
不動産会社の実績や実力はもちろん、質問や悩みに真摯に向き合ってくれる信頼できる担当者を選びましょう。
不動産会社選びについては、3章で詳しく解説いたします。
地域に住宅需要がない
人口減少が進む地方では、住宅需要がないために住宅を売却できないケースがしばしばあります。
人口減少が進めば進むほど一戸建ては売りにくくなり、売却期間が長期化すると言えます。
売り出し価格が高すぎる
売り出しの価格を高く設定しすぎると、購入希望者が激減し内覧までたどり着きません。
売り出し価格は査定価格を参考に決定しますが、不動産会社によっては相場価格よりも高く見積もっている場合もあります。
中古一戸建てを購入検討者は、価格を一番の判断材料とする傾向にあります。
相場価格から逸脱した価格を設定すれば、広告の段階で候補から弾かれてしまいます。
物件に需要・魅力がない
需要や魅力がない物件は当然、売却期間が長引きやすくなります。
こうした、売れにくい物件の条件はいくつかあります。
築25年以上の一戸建て
まず、築年数が25年を経過すると需要が激減する傾向にあります。
下のグラフは、買われた一戸建ての築年数を調査したものです。

再建築不可物件(市街化調整区域内、接道義務を満たしていない土地)
都市計画区域・準都市計画区域内の土地で、接道義務を満たしていない一戸建ては再建築できません。
また、都市計画区域内の市街化調整区域は建築制限があるため、再建築不可となる場合は多くあります。
現行の建築基準法を満たさない再建築不可物件は総じて築年数が古く非常に売れにくい物件です。
周辺に嫌悪施設(墓地、工場、養豚場)
購入希望者は物件の周辺環境も気にします。
例えば、墓地や工場、養豚場などの嫌悪施設が近くにある物件を買いたいと考える方は比較的少ないでしょう。
周辺の利便性が悪い(スーパーやコンビニ、病院がない)
日常的に使いたい施設が近くにない場合も需要は少なくなります。
例えば、スーパーやコンビニ、病院があるかどうかは非常に重要です。
駅や役所などの生活に便利な施設が近くに密集しているほど需要は高まり、同時に相場も高まります。
一戸建てを平均売却期間より早く売る5つのコツ
売却期間中も築年数は経過していくので、一戸建ての価値は徐々に減っていきます。
売却の長期化によって、1~2割程度の値下げを余技なくされる場合もあります。
ここからは、平均的な売却期間である6カ月よりも早く売却するためのコツを紹介します。
一戸建てが売れやすい時期に合わせて売る
転勤や進学がある4月の前、2~3月は最も住宅の需要が高まります。
さらに9~10月も購入希望者が見つかりやすい傾向にあります。
逆に閑散期といわれる1月と8月は購入希望者が見つかりにくくあります。
また、2~3月に売却したいのであれば、2月頭には売り出しを開始する必要があります。
遅くても、売り出しから逆算して1カ月前には査定等の準備を開始していきましょう。
広告写真・内覧で魅力をアピールする
購入希望者は、SUUMOなどのポータルサイトで多くの物件を目にしています。
気になった物件すべてを内覧する人は少なく、ほとんどの物件が条件や印象で選択肢から外れていきます。
そのため、広告に掲載する写真やアピールポイントは非常に重要です。
写真のかずはできるだけ多く、不動産会社が作成した広告が正解と考えずに適宜差し替えも考えていきましょう。
また、内覧までたどり着いてもなかな成約まで至らないケースもよくあります。
この場合、広告とのギャップを感じられているか、売主や物件に対して不信感を感じている可能性があります。
内覧前は必ず掃除して、丁寧な言葉遣い・対応を心掛けましょう。
人は、「誰から買うか」を気にしています。好印象を持たれるよう徹底しましょう。
購入希望者が理想の生活をイメージしやすくなるね。
専任媒介契約を結ぶ
一戸建て売却では、不動産会社に仲介を依頼するために媒介契約を結びます。
媒介契約には以下3つの種類があり、下に行くほど契約の拘束力が高まります。
- 一般媒介契約:複数の不動産会社に仲介を依頼できる
- 専任媒介契約:一社にしか依頼できない。自分で買主を見つけてもよい
- 専属専任媒介契約:一社にしか依頼できない。自分で買主を見つけられない。
おおきな違いとしては、仲介を依頼できる不動産会社の数です。
一見、複数の不動産会社に依頼できる一般媒介契約の方が有利に見えますが、買主を見つけられなかった不動産会社はただ働きになるため、積極的な売却活動がされにくい傾向にあります。
加えて、一社に仲介を依頼する(専属)専任媒介契約は、契約期間が3ヶ月と法律で決められているため、さらに契約中に売り切れるよう尽力してくれ安い仕組みとなっています。
熱心でない不動産会社、悪質な方法をとる不動産会社を選んでしまうと、かえって売却期間が長期化してしまう可能性があります。
優良な不動産会社を見つけるために、3章で紹介する不動産会社の選び方を覚えておきましょう。
相場価格を理解して売り出し価格を設定する
購入希望者は、不動産会社やネットから多くの売り物件を閲覧しています。
数多くの売り物件は相場価格を形成し、購入希望者にもある程度の相場感が身についている状態にあります。
「この条件でこの価格は高い」「この条件でこの価格は破格」と理解できる状態です。
そのため、売り出し価格を相場価格に準じた価格で設定しないと、見向きされません。
売り出し価格を決定する際、不動産会社の査定価格を参考にしますが、査定価格が相場価格よりも高めに(強気で)設定されていることもあります。
高い価格で売却できる可能性もありますが、長期化する可能性も多くあります。
そのため、早く売却するには、売主が売却相場を適切に理解して売り出し価格を設定する必要があります。
買取保証を利用する
一戸建てを、不動産会社を通して第三者にすることを仲介といい、不動産会社に直接買取してもらうことを買取といいます。
買取は、最短1週間程度で売却できるメリットがありますが、仲介での売却相場に比べ3割ほど安い価格取引されます。
「できるだけ早く売却したいけど、できるだけ高く売りたい」と考えている場合、仲介と買取どちらを選択するか迷います。
そこで、不動産会社の買取保証を利用すると安全です。
買取保証は、設定した期間内は仲介売り出し、万が一仲介で売却できなかった場合に不動産会社に買取してもらえるサービス。
売却が長期化してしまうリスクをなくし、時間が許す限り高い価格の売却を期待できます。
買取保証サービスはすべての不動産会社で提供されているわけではありません。
買取保証サービスを提供しているかどうか、不動産会社のホームページでも確認できますが、査定の際に確認すると間違いがありません。
一戸建て売却のコツをさらに知りたい方はこちらをご覧ください。
期間内に売り切ってくれる不動産会社の選び方
1章では、売却の大まかな流れまで解説していますが、この中で最も長期化するのは売り出し中の段階です。
要は、買手を早く見つけられるかどうかで、売却期間は何倍にも長く、また短くなります。
早く買手を見つけるために最も重要なのは、適切な不動産会社を選べるかどうかです。
中には、積極的に売却活動をしない会社もいます。担当者自身の得意不得意や実力にも差があります。
売りたい一戸建てに合った不動産会社・担当者を選ぶことで売却期間内に売却できる確率が大きく上がります。
ポイント1:一戸建ての売却実績があるか
一戸建ての売却を依頼する不動産業者は宅地建物取引業の免許を受けている業者であればどこでもいいというわけではありません。宅地建物取引業の免許で行う業務は会社によって異なります。
- 分譲業者 (マンションデベロッパーや開発業者、建売業者など)
- 買取再販業者 (新築売れ残り物件や中古物件の買取再販、競売物件の買取再販など)
- 媒介業者 (売買物件の媒介、投資用物件の媒介、事業用物件の媒介など)
- 専門系・その他 (企画開発業、不動産投資ファンド、テナントビルや商業施設の運営など)
家の売却を依頼するのは、媒介業者になります。この中でも一戸建ての売却実績が多くある不動産会社を選びましょう。また、不動産会社が決まって担当者に話を聞くときに担当者自身が一戸建ての売却をした経験があるかを聞いておくと良いでしょう。
ポイント2:営業力があるか
不動産会社との契約形態によって課題は多少異なります。例えば、「一般媒介契約」の場合に不動産会社が積極的に営業活動をしていないことがあります。一般媒介契約の場合は報告義務が無いため、広告活動をせず放置している場合もあります。不動産会社からの連絡がないようであれば、売主側からこまめに連絡を取って状況を聞くようにしましょう。
「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を結んだ場合には報告義務があるため、上記の問題は解消されますが、一方で囲い込みをしている場合がある点に注意が必要です。囲い込みとは、情報を広く開示せずに自社の顧客情報の中から買主を探そうとする行為のことで、他の業者からの問い合わせに応じていない可能性があり、売却が遅くなってしまう可能性があります。この場合も売主の側からこまめに連絡を取るようにするのが効果的です。
ポイント3:行政処分歴が無いか
信頼出来る不動産会社を選ぶためには、不動産の仲介には宅地建物取引業の免許が必要だということです。不動産会社を選ぶ時に、不動産会社の免許番号を確認するようにしましょう。この番号を確認することで無免許業者との取引を防げます。
過去に行政処分歴がないかの確認は、免許を交付した行政庁に行けば、宅地建物取引業者名簿を無料で閲覧できます。この名簿を見れば、過去の実績や行政処分歴などが分かります。
行政処分情報の閲覧はネット上でも確認できます。国土交通大臣、各地方整備局長、北海道開発局長及び沖縄総合事務局長が宅地建物取引業者に対して行った行政処分等を過去5年分見られるのが、国土交通省ネガティブ情報等検索システムです。情報はおおむね1ケ月に1度更新されています。
このシステムの中で、都道府県知事が行った監督処分情報は監督処分情報で確認できます。都道府県ごとにまとめられていて、中には県のサイトにリンクしているものもありますが、得られる情報は同じです。
ポイント4:信頼ができるか
担当者の実績や実力はもちろん、信頼ができる人であることが重要です。
投げやりな態度をしたり、答えを濁したりする担当者は避け、質問や要望に対して真摯に受け答えしてくれる人を選びましょう。
不動産会社も万能ではなく、会社の利益も当然考えますので、言われるがままではいけません。
担当者と一緒に早く売れる努力をしていく必要があるのです。
良好な関係性、担当者の態度が重要になります。
まとめ
さて、ここまでご覧になった方は一戸建ての売却に一歩足を踏み入れたも同然です。
それぞれの売却ステップで行うことを把握して、事前に一戸建ての売却計画を立て、早く売却を完了させましょう。
また、一戸建て売却を成功させるには、早く売却するだけではなく高く売却することも考えなければなりません。
こちらの記事から一戸建てを高値で売却するために必要なことを確認していきましょう。
監修者から一言
一戸建ては個別性が高く、土地やマンションより売却に時間がかかってしまいます。しっかりと計画を練って辛抱強く売却活動を行わないと、場合によっては年単位で売却が決まらないということになりかねません。本記事でご紹介した通り、準備期間中にさまざまな工夫を暮らすと共に、いざ売却が始まったら、毎回の内覧時にきっちり清掃しておくといったことを欠かさず行うことをおすすめします。売却の工夫にはさまざまなものがありますが、一番大切なのはやはりよい不動産会社に売却を依頼することです。すまいステップを利用して信頼できるパートナーを見つけるようにしましょう。
記事のおさらい
一戸建て売却期間の目安は?
一戸建ての売却期間はおおよそ6ヵ月程度と言われています。詳しく知りたい方は一戸建て売却期間の目安をご覧ください。
一戸建て売却期間を短くする業者の選び方って?
業者を選択するポイントとして、以下の項目を確認する事をオススメします。
- 一戸建ての売却実績があるか
- 営業力があるか
- 行政処分歴がないか
詳しくは一戸建ての売却期間を短縮するための不動産会社の選び方をご覧ください。
一戸建て売却期間を短くする方法って?
売却期間を短くするためには以下のポイントに気をつけましょう。
- 売却タイミングを変える
- 物件の魅力の伝え方を変える
- 相場よりも安く売りだす
- 買取を検討する
詳しく知りたい方は一戸建ての売却期間を早くするためにはをご覧下さい。