戸建ての売却は、おそらく多くの方が初めての経験であると思います。なかなか契約が決まらないと、不安になってしまいますよね。
戸建てを売り出してから売却までの期間は、3ヶ月から、長くて11ヶ月程度が一般的です。もしもこれよりも売却が長引いてしまっているのなら、なにか原因があるかもしれません。
以下の状況で、ご自身に当てはまるケースはないでしょうか?
- そもそも内覧希望者が現れない
- 内覧希望はあるけれど、成約につながらない
- 不動産会社の担当者からの連絡が少ない・ずさん
以下の章から、ケース別に原因と対策を紹介していきますので、ぜひご参考にしてください。
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戸建ての売却が難しい原因と対策【ケースで早見】
戸建ての売却がうまくいかないのには、さまざまな原因があります。ご自身の場合の原因を見極めて、取れる対策を行っていきましょう。
そもそも内覧希望者が現れない
そもそも内覧の申し込みがない場合は、売り出し価格が高すぎる可能性があります。そうした場合は最新の相場を調べて、売却価格を見直しましょう。
あるいは、戸建てのある地域自体に「住みたい」という需要が少ないのかもしれません。その場合は、地域の不動産売買に強い会社に売却を依頼をし直すというのも手です。
また、売り出されているご自身の戸建ての広告を、チラシや不動産のポータルサイトでチェックしてみましょう。似たような条件の他の物件に比べて広告がイマイチか、もしくはそもそも広告が掲載されていない場合があります。
前者の場合は、不動産会社に出してもらっている広告をより魅力的なものにできないか、相談してみましょう。
後者の場合、不動産会社の「囲い込み」を受けていたり、担当者が営業に力を入れてくれない可能性があります。不動産会社との契約形態の見直しをするか、別の不動産会社との契約を視野に入れてみましょう。
広告でのアピールの仕方を変える
不動産会社の契約を見直す
不動産会社を変更する
内覧希望はあるけれど成約につながらない
実際に家の見学が何度も行われているにもかかわらず、成約につながらない場合、内覧時に原因があると考えられます。
このような場合は、家の掃除や整理整頓が行き届いているか確認したり、内覧当日の対応の仕方について見直してみましょう。
また客観的な視点で、戸建ての劣化状態も再点検してみましょう。
戸建ての劣化状態を確認する
不動産会社の担当者からの連絡が少ない・ずさん
複数社と契約ができる一般媒介契約をしている場合、担当者には報告連絡義務がありません。そのためこちらから担当者に働きかけて、信頼関係を築いていく必要があります。
その上で、この担当者の人に「より力を入れて売却をしてもらいたい」というときは、契約内容を専任媒介や専属専任媒介に変更することを検討してみましょう。
専任媒介契約や、専属専任媒介契約をしている場合で、担当者からの報告がずさんで信頼できない場合は、契約期間後に別の不動産会社に依頼し直すこと考えましょう。
これらの場合は定期的な活動報告が義務づけられているため、連絡が少ない場合には、契約不履行で途中解約も可能です。
不動産会社を変更する
対策①戸建ての売却価格を見直す
売却価格を決めるとき、不動産会社から査定を受け、その査定額を参考に売り出し価格を決めていることが多いかと思います。
しかしなかなか買い手が見つからない場合、その査定金額は契約を取るために高めに見積もりされていたものであるおそれがあります。
また住み替えの資金の確保のために「どうしてもこの金額で売りたい」という希望が、売却につながらないネックになってしまっている可能性もあります。
一度、ご自身の戸建ての売り出し価格と、他の戸建ての価格を比較してみましょう。そのうえで価格の見直しをすることで、状況が改善されるかもしれません。
最新の相場の調べ方
次のようなサイトを利用して最新の相場を調べてみましょう。
レインズ・マーケット・インフォメーション | 過去に実際に行われた戸建ての売買取引の成約価格が検索できる |
---|---|
不動産ポータルサイト | 現在売り出し中の戸建ての販売価格がわかる |
土地総合情報システム | 実際に取引された土地の価格がわかる |
ひとつとして同じ不動産はないため、他の戸建ての成約価格や販売価格をそのまま参考にすることはできません。
しかし、今売り出している戸建ての価格が、近隣の似たような大きさ・築年数・立地条件の戸建ての価格から大きく離れている場合は、価格設定が適正でない可能性が高いです。
また、過去の成約価格とは大差がなくても、近隣で売り出し中の戸建ての販売価格より明らかに高い値段設定の場合も、買い手の選択肢から外されやすくなってしまいます。
また、戸建ての築年数が20年を超える場合には、建物の価値は新築建物の1割程度の価値になります。家屋が古い場合は、土地の価格も調べてみましょう。
値下げを検討する際は、必ず不動産会社の担当者に相談を行いましょう。
値下げをするときの注意点
一度下げた売却価格を再び吊り上げることはできませんが、小刻みな値下げを繰り返すことはやめましょう。「この物件は売れていないんだな」というネガティブな印象を購入検討者に与えてしまうからです。
ただし、「3,000万円から2,980万円にする」というような価格帯を変更する値下げは、印象が大きく変わり、お得に映りやすいため効果的です。
値下げを行うタイミングは、不動産取引が活発になる2月~3月や9月~10月に合わせるのがおすすめです。
対策②広告でのアピールの仕方を変える
売り出している価格と相場に大きな差がないにもかかわらず内覧の申し込みがない場合、広告でのアピールの仕方を見直しましょう。
広告を見直す際のチェックポイント
インターネット広告と物件情報が掲載されるチラシ(マイソク)によってチェックすべきポイントは異なります。
インターネット広告の場合は、次の3つです。
- 戸建ての魅力が伝わる写真が使われているか
- 家の中も隅々まで分かる枚数の写真が掲載されているか
- 掲載されている写真や間取り図を補強するコメントがあるか
写真は不動産会社に撮り直してもらうこともできるため、相談してみましょう。
物件情報がまとめられたチラシはマイソクと呼ばれ、不動産会社ごと作り方が異なります。そのため、自分の家を魅力的に売り込んでいるマイソクなのか、次のポイントを確認してみましょう。
- カラー写真が掲載されているか
- 基本情報以外にも魅力を伝えるコメントが掲載されているか
- 内容に誤りがないか
また、中には不動産ポータルサイトに広告が出されていないことがあります。サイトごとに利用料を支払う必要があるため、不動産会社によっては出稿していない場合があるのです。
不動産ポータルサイトに掲載されていない場合は、不動産会社の担当者に相談し、早めに掲載してもらいましょう。
もしも掲載してもらえない場合には、不動産会社との契約の見直しや、不動産会社と再契約しないことを視野に入れてみましょう。
対策③内覧に力を入れる
内覧希望者がいても購入に至らない場合、家の見た目や印象を良くするための対策を行っていくことで、売却につながる可能性があります。
また、内覧当日の見学者への応対の仕方についても振り返ってみましょう。
家の見た目や印象を良くするには
【清掃】
特に、玄関やリビング、水回りの清掃に力を入れましょう。水回りの状態を気にする人は多いため、キッチンやお風呂場、トイレにカビや汚れがないように磨き上げましょう。
頑固な汚れがあり、どうしても自力で落としきれない場合は、ハウスクリーニングを利用するという手もあります。
【整理整頓】
住みながら売却活動を行う場合、部屋を空っぽにすることは難しいですが、内覧当日はできる限り片づけをしておき、ものが出しっぱなしになっていないようにしましょう。
また、家の中に物が多いと、どうしても狭く見えてしまいます。住み替えの前に引っ越しをすることを考えれば、不要なものはあらかじめ処分しておくとよいでしょう。
【インテリア】
可能な限り、部屋が明るく、広く見えるようにすることを心がけましょう。家具の配置を変えられるようであれば、試してみてください。
既に空き家になっている場合は、インテリアのプロがコーディネートを行ってくれるホームステージングを活用するという手段もあります。ショールームのように家具や小物をレンタルで設置することができ、見学者の第一印象を高めることができます。
内覧当日の応対の仕方
内覧の応対をする際に、売主側から積極的にアピールしすぎたり、不確実なことを伝えたりすると、かえって悪印象を持たれてしまいます。
暮らしているからこそわかることに関しては、尋ねられたときに答えられるように、準備しておきましょう。
買い手からよくある質問例 |
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アピールしすぎもよくありませんが、内覧中にテレビを見ているなど、他のことをしている姿を見られてしまうのも印象がよくありません。
立ち会いをする人が少ない方が、見学者にのびのびと室内を見てもらいやすくなるという面もあります。幼いお子さんやペットがいる場合は、内覧中は夫婦どちらかが外に連れ出しておくとよいでしょう。
対策④戸建ての劣化状態を確認する
今も戸建てで暮らしていて、特に不便を感じていない場合、なかなか客観的に戸建ての状態を見られないものです。
しかし買い手側から見たときに、建物の状態について、不安に思われている部分があるかもしれません。この章ではそれを解決するための方法を紹介しています。
ホームインスペクションを受ける
ホームインスペクションは、建築士や住宅診断士といった専門家が「家の今の状態」を調査し、アドバイスしてくれるものです。以下のようなことが調査されます。
- 現時点での物件の不具合や安全性
- いつごろ、どのような修繕が必要になるのか
- 修繕する場合の費用目安
ホームインスペクションによって、買い手は物件の状態について、プロによる客観的な情報を得られるため安心できるとともに、将来的にかかる費用まで含めて検討することができます。
不動産会社が実施してくれる場合もあるため、受けられるかどうか相談してみましょう。
既存住宅売買瑕疵保険に加入する
既存住宅売買瑕疵保険とは、中古住宅の売主が買主に対して負う瑕疵担保責任の履行を保証する保険です。
この保険に加入している物件は、審査時に建築士が住宅の基礎構造部分について検査を行うため、買主に対して「居住に問題がない」という安心感をアピールできます。
また、引き渡し後に建物の基礎構造部分の欠陥や、雨漏り被害が発覚した場合、補修費用として保険金が支払われます。
保険の適用範囲は限られますが、建物の基礎の部分の修繕は高額になってしまうため、加入により売主側も加入によって安心感を得られるでしょう。
売主側のメリット | 買主側のメリット |
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|
加入したい場合は、以下のリンク先にて保険会社が紹介されていますので、閲覧・検討してみてください。
対策⑤不動産会社の契約を見直す
不動産会社な営業活動を行ってくれていない・報告を行ってくれないという場合、契約形態を見直してみましょう。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
複数社への依頼 | 〇 | × | × |
売主も買主を探せる | 〇 | 〇 | × |
不動産会社からの活動報告 | 義務はなし | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | なし | 7営業日以内 | 5営業日以内 |
契約期間 | 定めなし | 3ヶ月以内 | 3ヶ月以内 |
不動産会社との契約形態が一般媒介契約の場合、不動産会社側に活動状況の報告義務はありません。報告義務がないことをよいことに、十分な営業をしていないケースがあります。
連絡を怠っている・後回しにしている可能性もあるため、こちらからアドバイスを求めたり、担当者へ働きかけてみましょう。
一般媒介契約のメリットは複数社と同時に契約できることですが、どの不動産会社にも十分な売り出しを行ってもらえていないなら意味がありません。
担当者とコミュニケーションを取る中で、信頼できる会社との契約を専任媒介や専属専任媒介に変更したり、一括査定を利用して信頼できる不動産会社を見つけ直すのも手です。
対策⑥不動産会社を変更する
- 地域の需要が少ない
- 不動産会社の対応が悪い・信頼できない
以上の場合は契約する不動産会社の変更を検討しましょう。
不動産会社選びのポイント
不動産会社を選ぶ際のポイントとして、次の3つが挙げられます。
- その地域の戸建て売却の実績がある
- 担当者とやり取りがスムーズに行える
- 行政処分歴がない
まず、不動産会社が、「ご自身の売却する戸建てがある地域で」「戸建ての売却に」実績があるかどうかを重視しましょう。
特に大手の不動産会社と契約をしていて売却が難航している場合は、地域密着型の中小の不動産会社にも目を向けてみましょう。
また、行政処分歴がないことも重要です。信頼できる不動産会社かどうか見極めるポイントとして、国土交通省が運営する「国土交通省ネガティブ情報等検索システム」や「監督処分情報」を調べておくと安心です。
不動産会社探しには一括査定サイトを利用する
数ある不動産会社をご自身で探すのはとても大変です。また、せっかく訪問してみても、悪徳業者であったり、感じが悪く信頼できそうにない業者であったら、骨折り損になってしまいますよね。
すまいステップは厳選された優良企業のみと提携しているため、無料の一括査定を通じて、家にいながら安心して不動産会社探しを行うことができます。
大手の不動産会社だけでなく、全国の中小の不動産会社も加盟しているため、自分ではなかなか見つけづらい地域密着型で実績のある不動産会社にも依頼を行いやすいです。
どの会社もエース級の担当者が査定対応を行うので、今まで不動産会社の対応をあまり信頼できなかった方も、ぜひ利用してみてください。



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不動産会社を変更するときの注意点
現在、不動産会社と専任媒介契約または専任媒介契約をしている場合は、契約期間が3ヶ月間と定められているため、途中で解約することができず、契約の更新日を待つ必要があります。
ただし、次の3つのいずれかに当てはまる場合は、途中解約可能です。
- 担当が業務を行っていない
- 媒介契約に関する重要な事実が知らされていない
- 契約義務に違反している
一般媒介契約の場合は契約期間の規定がないため、更新日を待たずに解約が可能です。
どうしても戸建ての売却が難しいとき
以上のような対策をすでに行っていても、うまくいかないという場合があるかもしれません。そうしたときはどうすればいいでしょうか。
「買取」での売却も検討してみる
信頼できる不動産会社のもとでも「仲介」による売却が難しい場合、「買取」での売却も検討しましょう。
買取の仲介との大きな違いは、不動産会社が買主となることです。不動産会社が査定したうえで買取価格を示すため、金額に納得できればすぐに売却できます。仲介業務自体が発生しないため、仲介手数料もかかりません。
また、契約不適合責任(瑕疵担保責任)も免除されるため、売却する戸建てに万が一瑕疵があったとしても、補償の義務はありません。トラブル発生のリスクが回避できます。
ただし、仲介による売却に比べて価格は安くなってしまうというデメリットもあります。以下の記事をご参考に、検討してみてください。
むやみなリフォームはNG
リフォームをした方がいいかどうかは、まずは不動産会社に相談するようにしましょう。
外壁や床、給湯器など重要な設備が壊れている場合は、修繕することで購入希望者が現れることもあります。
しかし、リフォーム工事にかかる期間は数ヶ月を超えることもあり、その間は売却活動が行えません。今でも長くなってしまっている売却期間が、さらに長引くおそれがあります。
また、買い手の中には「多少修繕が必要だけれど、その分価格が安いので買いたい」「自分で自由にリノベーションを行いたい」という人もいます。
独断でリフォームを行う前に、専門家である不動産会社に相談し、売却につながるリフォームとはどのようなものか相談してみましょう。
むやみな解体もNG
戸建ての売却が難航していても、解体を急ぐのはやめましょう。
解体費用の相場は、木造住宅の場合、1坪あたり4万円から5万円ほどかかります。物件が奥まった住宅地にあれば、重機が使えずにより高額になることもあるため、決して安くはありません。
また、土地に住宅が建った状態であれば受けられる固定資産税の減税も、翌年以降受けられなくなってしまいます。
築年数が古い戸建てでも、「中古の戸建て」としてではなく、「古家付き土地」として売却するという売り出し方もあります。なかなか売却が決まらない場合も、焦って更地にしてしまわないようにしましょう。
空き家バンクの利用には注意
「不動産会社と契約して売却活動をする」以外に空き家を手放す方法として、空き家バンクの活用が挙げられます。
空き家バンクとは、自治体や自治体から委託された団体を通じ、空き家が欲しい人と空き家の所有者をマッチングする仕組みのことをいいます。空き家の有効活用が目的のため、費用をかけずに利用できるのが最大の違いです。
しかし、交渉や契約書の作成に専門家が携わってくれるわけではありません。客観的なアドバイスが受けられなかった結果、大きなトラブルにつながることもあります。
また、購入希望者の対応も自分で行う必要があるため、交通費や時間・労力の負担も考えなければなりません。
助成制度や自治体が運営する空き家バンクの制度について詳しく調べたうえで、利用すべきか検討するようにしましょう。
戸建ての売却が難しいなら、原因を突き止めて対策しよう
本記事では戸建ての売却が難しい原因を、「内覧希望者が現れない」「内覧希望はあるけれど成約につながらない」「不動産会社からの連絡が少ない・ずさん」という3つのケースから検討し、対策をご紹介しました。
場合によっては原因はひとつではなく、複数当てはまることもあります。現状をひとつひとつ確認してみましょう。
いちばんの対策は、やはり信頼できる不動産会社に販売を依頼することです。
信頼できる不動産会社探しが難しいと感じている方は「すまいステップ」を利用してみましょう。
また、売却が長引いてしまっていると、以前に査定を行ったときから、状況が変わってしまっていることもあるかもしれません。査定をやり直して現状を再確認するとともに、売却を成功させられる不動産会社を見つけましょう。



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記事のおさらい
戸建ての売却が難しい原因は?
戸建ての売却が難しい原因は以下の通りです。
- そもそも内覧希望者が現れない
- 内覧希望はあるけれど成約につながらない
- 不動産会社の担当者からの連絡が少ない・ずさん
詳しく知りたい方は戸建ての売却が難しい原因と対策【ケースで早見】をご覧ください。
どうしても戸建ての売却が難しいときどうすればいい?
どうしても戸建ての売却が難しいとき
- 「買取」での売却も検討してみる
- 「買取」での売却も検討してみる
- むやみな解体もNG
- 空き家バンクの利用には注意
詳しくはどうしても戸建ての売却が難しいときをご覧ください。