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1500人の『家を売る理由』!買主に伝えるべき範囲とは

気になる家がきれいであればあるほど、あるいは古ければ古いほど売主が売却を決断した理由が気になります。「何か曰く付きの物件であるかもしれない」「重大な欠陥を抱えているのかも」と不安になることもあるでしょう。

そこでこの記事では、売却経験のある1514人に聞いた売却理由をまとめました。
一般的にどんな理由から売却を決意する方が多いのかを統計的に把握し、その傾向まで確認していきましょう。

監修者:山本健司
監修山本 健司
東急リバブル株式会社、ソニー不動産株式会社(現SREホールディングス株式会社)で1位を連続受賞。不動産相談件数16,000件以上。ミライアス株式会社を立ち上げ不動産売買仲介、不動産コンサルティング業務を行っている。【URL】ミライアス株式会社

みんなが家を売る理由を調査

すまいステップ編集部で『2017年以降に不動産を売却した1514人を対象にした調査』を実施しました。
上位の売却理由は以下の様になりました。

売却理由割合
住み替え35.60%
資産整理23.00%
相続13.90%
転勤・転職9.60%
離婚7.30%
金銭的な理由5.90%
その他4.80%

すまいステップ編集部:売却経験者へのアンケート

住み替えを理由に売却を行う方が最も多い結果となりました。
単純な資産整理相続、金銭的な理由など、相続とお金に関わる売却理由も目立ちます。

以下ではそれぞれの売却理由の特徴を解説していきます。

1位:住み替え(35.60%)

単純に家をグレードアップしたい30~40代の方や、子供の独立のために小さな家へ引っ越しを検討する50~60代の方多く想定されます。

住み替えが理由の場合、売却資金を新居の購入資金に充てること方もいるため、引渡し日の近くまで、住んでいるまま売却を行うことがあります。

さらに、グレードアップを目的とした住み替えでは、築5年程度の築浅物件を売却されることもあります。

「住みながら売却を行っている」場合は、統計的に見ても住み替えが売却理由の可能性が高いでしょう。

2位:資産整理(23.00%)

資産整理は、相続税対策やお金に困っている場合などに行われます。

お金に困っている場合は、早急に売却しようと価格を下げているケースがあります。
通常より、安い価格で売りに出されていた場合、金銭的理由で売り急いでいるのかもしれません。

同様にお金に困っている場合でも、高く売り出されるケースもあります。
不動産は通常ローンを完済できなければ売却することができので、売却金額をローン返済可能額まで高く設定している場合です。
売り出し価格を相場よりも高くしてしまうと、買い手が付きにくくなるので、売却期間が長期化する傾向にあります。

長い期間売りに出されていて、且つ大幅な値下げがされていない場合は、金銭的理由かつローン残債による縛りがある方の可能性が高いと言えます。

3位:相続(13.90%)

相続と同時に売却を行う方も多くいらっしゃいます。
例えば、「相続後住む予定がないから」「財産を平等に分配するため」「相続税を支払うため」などの細かい理由が考えられます。

相続税を支払うための売却であれば、相続税の支払期日(相続開始の翌日から10カ月以内)までにお金を用意する必要があるため、売り急いでいる可能性があります。

相続税を気にしていない場合は、比較的時間に余裕をもって売却を行っている可能性が高いでしょう。
固定資産税等の維持費は発生しますが、売り急ぎ値下げをするよりは、時間をかけて高く売却した方が手取り額が高くなりやすいためです。

4位:転勤・転職(9.60%)

転勤や転職など、仕事の関係で売却する方が1割近くもいる結果となりました。

転職の場合は売却を計画的に考えていくことができるため、1位で紹介した住み替えを理由としている方を傾向は似通ってきます。

対して、転勤の場合は急に言い渡されることも多く、予期せぬ引っ越しとなる場合が往々にしてあります。

30~40代はマイホームを購入する方が最も多い年齢層ですが、同時に転勤も増える時期です。
そのため、「新築を購入したばかりなのに転勤」となる方もいらっしゃいます。

築年数の非常に浅い物件が売却されている場合、急な転勤があったことが可能性として考えられます。

5位:離婚(7.30%)

離婚した際の家の行方としては、どちらか一方が家に残る場合と、売却する場合の2パターンが一般的です。

結婚5年間は離婚率が高い傾向に、中でも結婚2年目は離婚率が最も高くなります。
離婚が目的の売却となる場合、離婚率の統計から考えても築浅物件が売却されるケースが良くあります。

すまいステップ編集部が行った『離婚により家を売却した方へのアンケート』では、住宅取得から4年目に離婚した方が最も多く、住宅取得から2年目に売却した方が2番目に多い結果となりました。

築浅の物件が売りに出されているのは離婚が原因となっている可能性があります。
その上で、売主が一人で対応していたり、別居している様子が感じられるのであれば、離婚により売却している可能性が非常に高いと言えます。

6位:金銭的な理由(5.90%)

「金銭的な理由」と答えた方は5.90%でした。
(この数値がコロナ禍により増加する見立てもありましたが、その後行った調査でも、金銭的理由で売却をする方の割合には大きな変動がありませんでした。)

金銭的な理由で売却する場合、住宅ローンが残っている、あるいは大幅に残っているケースが考えられます。

住宅ローンをすでに滞納している方の場合は、場合によって任意売却が行われているかもしれません。

任意売却とは

通常、不動産はローンを完済できなければ売却することはできませんが、住宅ローンの支払いが困難な場合に金融機関承諾の上例外的に売却を可能にする方法が任意売却です。

任意売却物件の場合、特に家に問題があるわけではありませんが手続き等の都合から、相場価格よりも安く売りに出される場合があります。

売却相場よりも1~3割程度安く売却されている物件は、金銭的な理由で任意売却をしている物件の可能性があります。

売却理由はどこまで伝える?重要な告知義務

「住み替えや結婚などポジティブな売却理由ならまだしも、離婚やご近所トラブルなどネガティブな売却理由はできるだけ伝えたくない」

そう考えてしまう方も少なくないはずです。

売却のためには、どこまでを買主に伝えるべきなのしょうか。

買主に必ず伝えるべきことを『告知義務』という

買主に必ず伝えるべきことは、宅地建物取引業法の第47条で定義されており、これを告知義務といいます。

告知義務に含まれる情報は必ず買主に伝える必要があります。

告知義務を守らずに売却した場合告知義務違反となります。
売買のシーンでいえば、売主にある契約不適合責任により、『補修請求』『減額請求』『契約解除』『損害賠償請求』等の対応をする必要があります。

告知義務に該当する『瑕疵』

物件にある欠陥や不具合など、本来の品質・機能・性能・状態が備わっていないことを瑕疵(かし)といいます。

瑕疵は4種類あり、これらは告知義務に該当します。

  • 物理的瑕疵:シロアリ被害や雨漏りなど目に見える欠陥や不具合
  • 心理的瑕疵:事故や事件などが起こった事実。事故物件と呼ばれるもの
  • 環境的瑕疵:悪習、騒音、嫌悪施設など周辺環境によって生じるもの
  • 法律的瑕疵:再建築不可物件など法律的な制限について

日常的に事故物件と呼ばれるものは、心理的瑕疵がある物件を指します。
文字通り心理的なものなので、線引きが難しい部分ではありますが、不自然死(自殺、他殺)は心理的瑕疵となります。

自然死(病死や老衰)は、ほとんど心理的瑕疵に該当せず、告知義務もありませんが、孤独死で長期間放置されていた場合は、そこに心理的ストレスが生まれる可能性があります。その場合は心理的瑕疵となります。

また、環境的瑕疵に関しても線引きが難しくあります。どの程度を不快と感じるかが人それぞれだからです。

重要なのは「契約と違う」と思われないこと

前述した契約不適合責任は、契約内容とは異なる物件を譲渡した場合に売主が負う責任です。
瑕疵で説明したように、構造上の問題だけでなく、心理的、環境的、法律的な部分まで含まれます。

したがって、買主に伝える基準としては「契約と違う」「契約時に聞かされてない」と思われない範囲と言えます。

買主に売却理由を伝えるコツ

多くの方が、ここまで解説してきた理由で売却を行いますが、全てではありません。

中には、家や周辺環境に問題があって売却をしている場合もあるので注意が必要です。

ここからは、注意すべきネガティブな売却理由について紹介していくと共に、買主に伝える際のコツを紹介していきます。

注意すべき売却理由

  • 家の老朽化
  • ご近所トラブル
  • 金銭的な理由
  • 離婚・別居のため
  • 立地や環境が悪い
  • 事故が発生した

「家の老朽化」が理由の家売却

例えば「シロアリ被害が出た」「雨漏り被害が激しい」など明らかに修繕の必要があるにも関わらず、伝えないことは「物理的瑕疵(かし)」とみなされます。劣化が激しい場合は正直にお伝えするとともに改善策も一緒に伝えてあげましょう。劣化が激しくてもリフォームやリノベーションで改善できるので、正直に伝えた方が買主が安心する場合もあります。

一方、仮に明らかな劣化がないとしても「劣化が進んできたので~」とストレートに理由を伝えてしますと「ほかにも劣化している箇所があるのでは?」と購入検討者が疑心暗鬼になってしまう可能性もあります。

そのため、明らかな劣化がない場合は他の無難な理由を伝えて問題ありません。

「ご近所トラブル」が理由の家売却

近隣トラブルは判断が難しい部分です。
「個別事象」の場合はストレートに理由をお伝えしなくても大丈夫です。
明らかに隣人に難がある場合は別ですが「隣人とそりが合わなかった」程度であれば無難な理由をお伝えした方が良いでしょう。

「金銭的な理由」が理由の家売却

金銭的な問題は直接的に買主に関係する理由ではないので正直に伝える必要はありません。金銭的な理由をストレートに伝えることで、足元を見られ買主への交渉力が弱くなってしまうので無難な理由をお伝えした方が良いでしょう。

「離婚・別居のため」が理由の家売却

離婚を理由に購入意欲が下がる購入検討者はそれほど多くはいません。多くの場合離婚が直接的な原因でネガティブに働くことはないでしょう。

しかし、中には印象が悪いという理由でケチをつけてくる方もいらっしゃるでしょう。また、比較している物件の条件が同じだった場合、選ばれない理由の1つになる可能性もあります。

この様に売却の選択肢を狭めたくない場合は、直接的な伝え方を避けるのが得策です。明らかな「嘘」を伝えるのはモラルの観点で良くありませんが「一時的な離れて暮らすことになったので~」など伝え方を工夫すればリスクを解消できます。

「立地や環境が悪い」が理由の家売却

めったにないと思いますが、「家の近くに嫌悪施設がある」「夜に騒音がひどい」など明らかに住環境に適さない場合は、精神的な影響を及ぼす「心理的瑕疵」に該当するので必ず正直に伝えましょう。

一方で「通勤に不便」「近くにスーパーがなくて不便」といった理由は、主観であり、印象に個人差が出る理由のため伝えるべき事項ではありません。

「事故が発生した」が理由の家売却

「自殺や事故死など」は明らかに伝えるべき重要な理由です。部屋の見た目に問題がなくても「心理的瑕疵(かし)」とみなされます。

正直に伝えていないと、後に契約を解除される可能性も高いので注意してください。すでに買主が引っ越していれば、引っ越し費用の他慰謝料まで負担しなければいけない場合もあります。

基本的には「殺人」「自殺」「火災」など自然死を除く事件があった場合はきわめて重い理由になってくるので、一度不動産会社に相談してみると良いでしょう。

まとめ

家を売却する理由にもいろいろとありますが、たとえネガティブな理由であっても、買主にきちんと伝えることが大切です。欠陥を秘密にしてしまうことで売主は瑕疵担保責任が問われ、買主は家の購入を失敗したと感じ、双方にとってメリットはありません。

離婚が売却理由の家を、新婚夫婦が購入することは躊躇しがちですが、気にしない人もいます。売却理由の伝え方で悩んだら、不動産会社に相談するなどプロの力を借りることもおすすめします。

 

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