一度買った家も、子供の成長などの理由で手狭に感じることはあるのではないでしょうか。もっと快適な環境で暮らすことができるならそうしたいですよね。
昨今は中古物件市場の拡大が著しく価格はじわじわと上昇傾向にありますが、調査によると「持ち家から買い替えることを考えたことはない」という方が全体の約6割を占めています。実際に、買い替えをした人の体験談を聞く機会は多くはないでしょう。
しかし、買い替えたことがあるという回答も全体の546件と、12%を占めており家を持っている方の8人に1人は買い替えを検討しているということでもあります。
この記事では、家の買い替えをしようか悩んでいる方に向けて、実際に家を買い替えた方の体験談・アドバイスをもとに流れや注意点をまとめています。
家の買い替えは売却と購入どちらが先?
家を買い替える際には売却と購入を並行する必要がありますが、この2つを完全に同タイミングで行うのは非常に難しいものです。
そこで、家を買い替える方のほとんどが、ご自身の状況に合わせて、「新居購入を先にする」か、「居住中の物件の売却を先にする」かを判断し、買い替えの計画を立てています。
購入先行がおすすめの人
家の買い替えの際、以下のいずれかに当てはまる方は購入先行がおすすめです。
- 住宅ローンを完済している、または貯蓄で残債を精算できる
- 居住中の住宅の売却代金を新居購入に充てる予定がない
- 貯蓄と時間に余裕があり、焦らず理想の新居を探したい
- 居住中の物件が好条件の売れやすい物件である
金銭的に余裕がある方は、ご自身の希望条件に合う新居購入を優先するのが良いでしょう。
旧宅の引き渡しまでの期間を気にする必要がないので、心ゆくまで理想の新居を探すことができるのが魅力です。
また、新居に移り住んでから旧宅を売りに出すことになるので、引っ越しが一度で済むほか、物件の内覧の際の片付けや清掃が不要になります。
さらに売却までにかかる期間は、居住中の物件よりも空き家になっている物件のほうが短い傾向にあります。売却代金を新居購入に利用する必要がないなら、物件を先に購入するメリットは大きいでしょう。
売却先行がおすすめの人
以下に当てはまる方は家の買い替えに際して売却を先行するのがおすすめです。
- 居住中の住宅のローンが残っている
- 居住中の住宅の売却代金を新居購入に充てる予定
- 不動産売却が初めてである
ローンの残債を旧宅の売却代金で支払い、新居購入の際に新たに住宅ローンを組みたいと考えている方は、資金調達ができないリスクを避けるために、まずは売却を優先して動くのがよいでしょう。
よほど好条件の物件でない限り、売却には平均2~3ヶ月ほどの時間がかかると言われています。
見切り発車で購入を優先したものの、想定通りに物件が売れなかった場合には、ローンを二重で払う期間が生まれてしまいます。また、売却金額が当初の計画よりも下がった場合も、資金計画が大きく狂います。
また、金銭的には多少余裕がある場合でも、不動産の売却自体が初めての方にはリスクの少ない売却先行の買い替えをおすすめします。
不動産の売買は事前にしっかりと時期と資金の計画を立てて行うものですが、一方で全てが計画どおりに進むケースというのは多くありません。物件の売却額が思ったよりも低かったり、当初予定していた時期までに売れなかったり……ということはよくあります。
先に売却をして買い替えるのであれば、事前に立てていた計画が狂った場合にも、新居の予算を下げたり、仮住まいを用意したりすることで柔軟に対応ができるので安心です。
購入先行の買い替えの流れ
多く見られる新居の購入を先行する場合、家の買い替えは以下のような流れで行われます。
購入先行のメリット
購入先行のメリットは以下のような点になります。
- 新居探しに時間を使えるので、焦らずに理想の家を探せる
- 仮住まいが不要なので、引っ越しが一度ですむ
- 居住中に内覧の対応をしなくてすむので、清掃などの手間が減る
購入先行のデメリット
一方、購入先行のデメリットは以下のようになります。
- 当初想定していた価格で売却できなかった場合、資金計画が狂ってしまう
- 家がなかなか売れなかった場合、二重ローンの期間が発生する
- 物件を売り急ぎ、相場よりも安い価格で売却してしまう可能性がある
残債があるけれど購入を先行したい場合は?
「今の家のローンが残っているけど、どうしても先に引っ越したい!」
そのように考えておられる方もいるかもしれません。
その場合、居住中の物件が好条件の売れやすい物件なのであれば、「つなぎ融資」という融資を受けて購入を先行する選択肢もあります。
ただし、つなぎ融資は一般的に住宅ローンよりも高金利の傾向にあり、融資の期間も6~12ヶ月以内と短期間なのが一般的です。融資期間中に月々の返済などは発生しませんが、期間内に一括で返済できなければ遅延損害金が発生します。
そのため、融資期間内に売れなければ、不動産会社に相場の70~80%ほどで買い取ってもらうという特約がついている場合が多いようです。
例えば、つなぎ融資の期間内に物件が売れず、相場の売却額が2000万円の物件を、その70%で不動産会社に買い取ってもらった場合、差額は以下のようになります。
仲介会社を通じての売買に比べると600万円も安くなってしまう!
このように、買取になってしまった場合の損失は決して安いものではありません。
つなぎ融資の利用は、必ず居住中の物件の需要や類似物件の売却事例を確認した上で決めましょう。
家を購入する際の手順について詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。
参考記事→家を購入する際の手順について|手続き方法や注意点について解説
売却先行の買い替えの流れ
一方、居住中の物件の売却を先行する場合は、以下のような流れで行われます。
売却先行のメリット
売却先行のメリットは以下のような点になります。
- 売却資金を新居の購入費用、あるいは住宅ローンの枠に充てることができる
- 実際の売却金が先に分かるので、新居購入の際の予算をより具体的に決められる
売却先行のデメリット
一方、売却先行のデメリットとしては以下のようなものが考えられます。
- 売却した物件の引き渡しまでに新居が見つからない場合、賃貸などの仮住まいが必要になる
- 仮住まいの用意を避けようとして妥協した新居選びを行ってしまう可能性がある
まずは家の査定がおすすめ
とはいえ、居住中の物件がどのくらいの値段で売れるのかによって、判断が変わってくるのではないでしょうか。
居住中の物件の売却価格の検討がつかないことには、新居の予算をはじめとした資金計画を組むことはできません。
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家の買い替えを検討した人の体験談
実際に家を買い替えるとなると、「残債があるのに買い替えなんて本当にできるの?」「売却に失敗したらどうしよう」などと、様々な不安を感じますよね。
一戸建てからの買い替え
プロフィール詳細神奈川県川崎市中原区 / 30代 / 住み替え / 一戸建て / 築1年以下 / 3LDK
査定額6,580万円→売却価格6,460万円
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不動産会社 東急リバブル武蔵小杉支店(担当者:田上晃裕) 不動産会社の決め手 信頼できる担当者だった 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
プロフィール詳細東京都葛飾区 / 60代 / 住み替え / 一戸建て / 築21年~25年 / 5LDK以上
査定額3,500万円→売却価格4,800万円
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不動産会社 ポラスグループ ポラス住まいの情報館 綾瀬営業所(担当者:須田俊介) 不動産会社の決め手 信頼できる担当者だった 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
プロフィール詳細兵庫県西宮市 / 50代 / 住み替え / 一戸建て / 築10年~15年 / 4LDK
査定額4,600万円→売却価格4,950万円
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不動産会社 株式会社日住サービス 武庫之荘店(担当者:加島成剛) 不動産会社の決め手 信頼できる担当者だった 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
分譲マンションからの買い替え
プロフィール詳細大分県大分市 / 40代 / 住み替え / マンション / 築10年~15年 / 3LDK
査定額1,700万円→売却価格1,800万円
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不動産会社 こうや不動産大分(担当者:吉崎) 不動産会社の決め手 対応が早かった 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
プロフィール詳細東京都西東京市 / 40代 / 住み替え / マンション / 築6年~10年 / 3LDK
査定額4,600万円→売却価格4,680万円
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不動産会社 イエステーション 西東京店 西武エステート株式会社(担当者:仲井光希) 不動産会社の決め手 地元に強いと感じた 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
プロフィール詳細大分県大分市 / 40代 / 住み替え / マンション / 築10年~15年 / 3LDK
査定額1,700万円→売却価格1,800万円
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不動産会社 こうや不動産大分(担当者:吉崎) 不動産会社の決め手 対応が早かった 担当者の特徴 積極的に販売活動を実施 満足度 5
マンションから戸建てに買い替える際の注意点はこちらの記事でも解説しています。
マンションから一戸建てへの不安解消!戸建てに住み替える対策
家の買い替えの失敗パターンと注意点
家の買い替えは、一般的な家の購入や売却のみの場合よりもやることが多いため、失敗するケースや後悔につながってしまうケースも少なくはありません。
満足のいく家の買い替えを行うには、買い替えの流れや体験談のほかにも、典型的な失敗パターンやそうならないための注意点なども知っておくべきです。
購入時と売却時に分けて、よくある家の買い替えの失敗パターンと注意点を確認しておきましょう。
購入の際の注意点
家の購入時に起こる失敗として、以下のようなものが挙げられます。
- 将来的な資産価値を考慮せずに物件を購入してしまう
- 新居購入にかかる費用を高くしすぎてしまう
- 住宅ローンの仮審査を行わず、想定以下の融資しか受けられなかった
- 居住後に騒音などの近隣トラブルが発生する
いずれも重要な項目なので一つ一つ見ていきましょう。
将来的な資産価値を考慮せずに物件を購入してしまう
物件を購入する際には、その物件の将来的な資産価値も検討要素の一つ入れておく必要があります。
昨今は、定年退職を迎えたリタイヤ世代の方が今まで住んでいた戸建て物件を売却し、その売却益で利便性の高いマンションなどに買い替えるケースも増えています。
そのようなライフプランを想定しているのであれば、築が古すぎる物件や、立地の悪い物件は避けるべきです。
将来的に売れなくなってしまう可能性が高いからです。
一般的に不動産は、30年を過ぎると建物の価値が0円になり、価値は土地だけになります。
そのことを念頭に置きながら、できる限り資産価値の落ちにくそうな物件を新居に選ぶことは、のちのちまで後悔のない家の買い替えに大事な観点です。
新居購入にかかる費用を高くしすぎてしまう
これは、買い替えを行う際に最も注意すべきことの一つです。
新居選びにはわくわくしてしまい、つい無理をしてしまいがちなのですが、将来世帯収入が減少しても支払っていける金額を現実的に考えましょう。
せっかく理想の家に住み始めても、ローンの返済に困窮してしまうと家を買い替えたことへの後悔につながってしまいます。
また、住宅ローンが払えなくなってしまった場合には、手に入れたはずの理想の家を手放さなくてはなりません。
旧宅のローン総額よりも新居のローン総額が高くなる場合などには、ご自身の経済状況に照らし合わせて「本当にローンを完済できるのか」をよく考えましょう。
基準として、定年退職の歳である65歳までに無理なく完済できるようにローンの計画を立てるのが無難です。
例えば40歳で家を買い替えた場合には、残りの25年間で新居のローンは問題なく払えるのかしっかりとシミュレーションすべきです。
はじめに家を購入したときよりもローン返済にかけられる年数は少ないほか、年齢が上がると介護保険料や子供の学費なども捻出しなければならなくなるので、買い替えたあとのローンの返済は想像以上にシビアです。
その点を考慮し、新居の購入費用は余裕をもって返済できる額までに留めておくべきです。
住宅ローンの仮審査を行わず、想定以下の融資しか受けられなかった
新居の購入でも住宅ローンを利用したい場合、事前に住宅ローンの仮審査を行っておかないと、想定以下の融資しか受けられなかった場合に購入したい物件を諦めなければならないことがあります。
このような失敗を防ぐために、物件を選んでいる段階で住宅ローンの仮審査を同時並行しておきましょう。
特に住み替えローンの利用を検討しているのであれば、ローンの審査基準が一般的な住宅ローンよりもかなり厳しいので、可能な限り事前の仮審査を行うべきです。
住宅ローンの仮審査を事前に行っておくことは、「あとになって希望物件を購入できなくなる」という失敗を防ぐ他にも、条件交渉の際に「事前の住宅ローン審査に通っているので、~万円だと購入を即決できます」と値引き交渉の材料にできるというメリットがあります。
居住後に騒音などの近隣トラブルが発生する
売却先行の買い替えで、買い替え先の物件選びにあまり時間をかけられなかった場合、買い替え先に居住し始めてから騒音などの近隣トラブルに見舞われることがあります。
検討する時間が少なくても、家の間取りや日照、立地などはしっかり検討して購入する方が多いですが、近隣の環境までしっかりと確認を取ることはなかなか難しいものです。
内覧する時間の多くが「休日の昼間」という人の出払ったタイミングなので、騒音などの問題は特に気が付きにくいといえるでしょう。
住み始める前に近隣の環境を把握するのはなかなか難しいですが、近隣住民を訪ねてみたり、仲介の不動産会社に確認したりするなどして検討情報を集めておくべきです。
家の購入を失敗したくない方は下記の記事を参考にしてみてください。
「家なんて買うんじゃなかった…」と後悔した理由11選と2つの対策
売却の際の注意点
売却時の典型的な失敗パターンとしては、以下のようなものがあげられます。
- 不動産査定を一社でしか行わず、満足のいく売却ができなかった
- 近隣の類似物件の売却事例を確認せず、相場より安い金額で売ってしまった
- 売却の希望額が明確になっておらず、売り急いで売却額が安くなってしまった
それぞれを以下で詳しく解説します。
不動産査定を一社でしか行わず、満足のいく売却ができなかった
家の買い替えを行う際には、購入先行・売却先行に関わらず、まず居住中の物件の査定を行う必要があります。
今の家が大体いくらで売れるのかを知らなければ、買い替えの資金計画を立てられないからです。
この不動産査定を一社にしか依頼しないケースは、売却額で損をしてしまう可能性が高いようです。
不動産の査定額なんてどこも同じだと考えられている方も多いですが、実は不動産会社ごとに金額が全く異なります。
これは、不動産会社にごとに営業の強いエリア・弱いエリアなどがあるからです。当然、営業の弱いエリアよりも強いエリアの方が、物件を高く売れる可能性が高いです。
損をしない家の買い替えを行うには、複数社で査定を依頼し、自分の物件の立地している場所に強い不動産会社を見つけるのが重要ということですね。
最低査定額の不動産会社と最高の査定額の不動産会社では、査定額が30%近く変わることもあるようです。
不動産の売買は非常に大きな金額を取り扱う取引なので、後悔しないために必ず複数社の査定額を聞きましょう。
自分で不動産会社を探すのが面倒という方は、すまいステップなどの不動産一括査定サイトを利用すれば簡単に査定額を知ることができます。
近隣の類似物件の売却事例を確認せず、相場より安い金額で売ってしまった
不動産仲介会社の提示した査定額を鵜呑みにすると、相場よりも安い価格での売却になってしまうことも珍しくありません。
査定額はそのまま不動産の価値というわけではなく、「今の時期にうちで売るならこの金額で売れると思います」という、いわば不動産仲介会社の都合ありきの金額です。
相場よりも安い価格のことも多いので、自分自身でも相場を調べて妥当かどうか判断すべきです。
不動産取引情報提供サイト「レインズ」や、国土交通省が運営する「土地総合情報システム」などで相場情報を集められるので、同じような物件が直近でいくらで売れたのかを必ず把握しておきましょう。
そうすれば、「思ったよりも売却金額が安くて、候補にしていた新居の購入ができない」などの状況に陥る可能性を下げられます。
居住中の物件と同じような条件の不動産の売却事例においては、特に以下の項目を確認すべきです。
- 売却までにどれくらい時間がかかったのか
- 当初の売却希望額はいくらで、実際はいくらで売れたのか
不動産の売却事例は査定を依頼した不動産会社にも教えてもらえるますので、忘れずに聞いておきましょう。
売却の希望額が明確になっておらず、売り急いで売却額が安くなった
複数の不動産会社から査定額を聞き、相場価格を掴めたら、現在居住中の物件の希望売却額を明確にしておきましょう。
「最低でもこれ以上の価格で売りたい」という明確な基準を設けなかったがために、売り急いでどんどん値下げに応じてしまった……ということはよくあります。
家の買い替えで損をしないためには、新居の予算との兼ね合いを見つつ、希望売却額と最低ラインをしっかり定めておくべきです。
家を買い替えるなら、複数社での査定が最重要
本記事を読まれた方は、家の買い替えについて検討をはじめた段階の方が多いかと思います。
家の買い替えは大きなお金が動く人生のビッグイベントなので、後悔をしない・損をしないために事前にしっかり計画を立てることが必須になります。
とはいえ、計画と言っても検討する材料や専門知識なしにはそれも難しいですよね。
家の買い替えを検討中の方は、まずはじめに居住中の自宅を複数の不動産会社に査定してもらうべきです。
このとき、一社ではなく、複数の不動産会社とコンタクトを取ることが最重要です。
複数の選択肢の中から、最も信頼できる・安心して任せられると感じる不動産会社を選んで買い替え計画の相談をしましょう。
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