「マンションの査定で評価されるポイントは何だろう・・?」
マンションを売却する際に、査定時に見られているポイントを知っている方は少ないと思います。
今回はマンションの査定で見られるポイントを余すところなく紹介していきます。さらに、高額査定を得るためのコツまで解説していきます。
【シミュレーションあり】マンション査定とは?査定の種類や評価ポイント、流れを解説
マンション査定で見られる建物や管理に関する8つのポイント
マンションの査定方法は不動産会社によって異なりますが、査定時に見ているポイントはどの不動産会社も大きく変わりません。
まずは、マンション査定で見られる「建物や管理のポイント」について見ていきましょう。
建物や管理に関するポイントは以下の8つです。
- マンションの築年数
- マンションの階数
- マンションの方角
- 耐震基準・構造
- 維持管理状況
- 共用部分の状態
- 管理費・修繕積立金
- 施工・販売会社
マンションの築年数
立地条件と並んで査定額に大きく影響するポイントが「マンションの築年数」です。
築年数とは、マンションが建築された年月から査定年月までの日数のことをさします。築年数が査定に与える影響は大きく、築年数が古いほど査定額は低くなる傾向があります。
(引用:東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2017年)」)
上記のグラフは中古マンションの築年数と平均価格の相関性を示したグラフになりますが、築年数が上がるほど価格が下がっていくことが分かると思います。
築年数 | ㎡単価 | 変化割合 | 価格 | 専有面積 |
---|---|---|---|---|
築0~5年 | 74.4万円 | 100.0% | 4895万円 | 65.91㎡ |
築6~10年 | 61.2万円 | 82.2% | 4243万円 | 69.37㎡ |
築11~15年 | 56.5万円 | 75.9% | 3931万円 | 69.63㎡ |
築16~20年 | 46.7万円 | 62.8% | 3159万円 | 67.61㎡ |
築21~25年 | 31.6万円 | 42.4% | 1899万円 | 60.19㎡ |
築26~30年 | 30.0万円 | 40.3% | 1670万円 | 55.74㎡ |
築31年~ | 29.8 万円 | 40.1% | 1678万円 | 56.33㎡ |
上の表はより詳細に築年数と売却額の相関性を示した表になりますが、築5年以内の「築浅マンション」の売却価格を100とした場合に、築10年経つと82.2%、築20年を超えると42.4%と推移していきます。
内装に目立った傷がないマンションでも、目には見えない建物の構造部分は築年数の経過とともに劣化が進むため、自動的に査定額も低くなることを覚えておきましょう。
マンションの階数
所在階はエレベーター付きのマンションだと階が上がるほど評価額は高く査定されます。
以下のグラフでも所在階による評価点の違いが如実に分かると覆います。
(引用:公益財団法人不動産流通推進センター「査定価格マニュアルによる査定方法」)
階段のみのマンションだと3階を基準としてそれ以上の階層だと評価額が下がります。
マンションの方角
窓などの開口部の方位によって、日当たりや風通りの良さは変化します。
開口部の方位は日当たりとも関係があり、角部屋など採光の取りやすい部屋が人気です。
例えば方位が南東か南西かだけの違いでも日の入り方が変わってくるので評価に大きな差が出ます。
耐震基準・構造
1981年6月1日以降に施工されたマンションは「新耐震基準」を満たしていますが、それ以前の古いマンションは「旧耐震基準」のため、地震が起きたときの不安や住宅ローンの組みにくさから評価が下がります。
(引用:公益財団法人不動産流通推進センター「査定価格マニュアルによる査定方法」)
また、マンションの構造が「鉄筋コンクリート造」か「鉄骨造」「木造」でも査定価格が変わってきます。
「鉄筋コンクリート造」のマンションは耐震性や遮音性に優れているため、査定価格が高く出やすいです。
維持管理状況
維持管理状況とは、マンション全体の維持管理状況のことを指し指します。
この項目は、さらに以下の3つに分けられます。
- 修繕・管理状況
- 保守・清掃状況
- 管理員の勤務形態
修繕・管理k状況の項目は、マンションを修繕するための月額費用に焦点が当てられ、修繕積立金や管理費の住民負担額が高いと評価は悪くなります。
また、保守・清掃の状況は実際にマンションの共用部分がきれいに清掃されている状態かを見られています。
管理員の勤務形態は、勤務頻度を中心に評価が付けられ、週3~5日は管理人がいる日勤の状態は良い評点を得られます。
(引用:公益財団法人不動産流通推進センター「査定価格マニュアルによる査定方法」)
管理費・修繕積立金
マンションの住民が毎月支払う費用のうち、管理費は主に管理会社への委託費用、修繕積立金は共用部分の維持・修繕に充てられます。
この管理費や修繕積立金が高いマンションは、買主の負担になるため査定額が低くなります。
築年数が経つにつれて修繕工事が必要なるので管理費の負担が大きくなる傾向があります。
共有部分の状態
マンションの査定では、専有部分以外の箇所、つまり共有部分もチェックされるポイントです。
その他にも、以下のようなポイントが見られます。
- 外壁が剥げていないか
- エントランスが薄暗くないか
- オートロックのみか
- 二重鍵構造か
- インターネットに対応しているか
- 宅配ロッカーや歓談スペースの有無
- 駐車場の有無
施工・販売会社
マンションの施工会社も、査定の際にチェックされる場合があります。
また、マンションの売却を検討しているなら簡易査定シミュレーションをご利用ください。匿名で自宅の売却価格をシミュレーションできるのでおすすめです。
マンション査定で見られる部屋に関する5つのポイント
不動産会社によるマンション査定では、実際に室内に入って「部屋の状態」「専有部分の状態」を確認します。
この章では、以下の5つのポイントについて紹介します。
- 壁紙の状態
- 水回りの状態
- 部屋の清潔感
- 専有部分の状態
- 左右の部屋の隣人関係
壁紙の状態
部屋に入ってまず見られるのが、壁紙やクロスの状態です。傷や汚れ、色褪せなどがないか確認されます。
著しく汚れていたり、劣化している場合は、新しいものに取り替える必要があるため、交換が必要かどうかもチェックされています。
水回りの状態
キッチン、お風呂場、洗面化粧台などの水回りの設備のグレードや保存状況も念入りにチェックされるポイントです。
高級システムキッチンや大型の給湯質があれば、査定額が上がる可能性は高いでしょう。
一方で、長年生活していれば水回り設備は劣化があります。清潔が保たれにくい場所なので普段からのメンテナンスが大切です。
部屋の清潔感
直接査定につながるポイントではありませんが、査定時はできるだけ部屋をきれいにし、清潔感を出しておくことをおすすめします。
実際にマンションを売却するとなると、売り出すために部屋の写真を撮ることもあります。購入希望者が部屋を見た時に、「きれいな部屋だな」と思えるように、整理整頓しておきましょう。
また、部屋の片付けだけでなく、カーテンを開けて採光することで、部屋全体を明るく見せることができます。
専有部分の状態
マンション査定では、部屋の状態だけでなく、専用の庭やテラス・バルコニーといった専有部分も含まれます。
同じマンションでも、専有部分の有無で査定額が大きく変わることもあります。
また、専有部分をリフォームしていれば査定額にプラスになることがありますが、基本的にはリフォーム前に不動産会社に相談することをおすすめします。
左右の部屋の隣人関係
部屋の状態だけでなく、左右の部屋の隣人関係も査定ポイントです。
例えば、真夜中にお隣さんが楽器を弾くような騒音がある部屋は、査定額が下がる要因となります。
しかし、査定額が下がる可能性があるからといって、隠しておくことはおすすめしません。売買契約が進んだ後に発覚すると、法的に責任を負う必要があるからです。
不動産売却時の瑕疵責任について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
マンション査定で見られる立地条件に関する4つのポイント
続けて、マンションの「立地条件」に関するポイントを4つ見ていきましょう。
- 交通の便
- 生活利便性の高さ
- 周辺の騒音や景観
- 周辺エリアの治安
交通の便
交通の便とは、最寄り駅までの距離や、駅が徒歩圏にない場合はバス停までの距離のことを指します。
基本的には会社や学校が密集している中心街に近いエリアほど査定額が高くなります。
物件の売り込み文句などで「駅チカ」という言葉を聞くことがあると思いますが、特に駅から10分以内にあるマンションは需要が高いです。
逆にアクセスが悪く、人口も減少しているエリアは利便性が低いとみなされて査定額が下がります。
もし駅から遠く車が必須の立地であれば、駐車場の有無も査定額に影響します。
生活利便性の高さ
マンション周辺にスーパーや病院など、生活するために必要な施設がある方が高く評価されます。
一般的にはこれらの施設から徒歩10分(800m)が相場の目安となり、それ以上近いとプラス、遠いとマイナスになります。
▼近くにあると評価が高くなりやすいもの
- 駅(複数の路線が通っている・最寄り駅が2つ以上ある)
- バス停
- スーパー・コンビニ・商店街
- 学校・幼稚園・保育園・公園
- 病院・郵便局
- 大きな商業施設・ショッピングモール
周辺の騒音や景観
周辺の施設などから騒音がないか・景観として問題ないかもチェックされます。
振動の項目は近くに高速道路や新幹線があると窓を閉めていても騒音や振動を生じると判断され大きく評価を落とします。
逆に、近くに工場などもないような閑散とした住宅街などは高い評価を得ます。
眺望や景観の項目は周囲を見渡せるような高地にあるか、自然に囲まれているかなどが高評価に繋がります。
周辺のエリアの治安
周辺環境の1つとして、エリアの治安も確認されることが多いです。
治安が悪いエリアは一般的に需要が低くなるため、需要に合わせて物件の評価が下がる可能性があります。
例えば、子育て世帯は、購入予定のマンションがどの学校の校区内にあるのか、その学校の治安はどうなのかまで見ていることが多いです。
反対に、治安が良いエリアであれば評価が上がることを期待できます。
マンション査定に影響する3つの外的ポイント
マンションの査定額を決めるのは、マンション本体の要因だけではなく、周辺の売り出し状況や経済的要因にも左右します。以下で外部要因の代表的な項目を解説します。
周辺物件の価格
周辺のマンションの売り出し状況、特にあなたの住んでいるマンションと似た条件の物件は競合として見られ、査定価格が左右されます。
いくらあなたのマンションの状態が良くても、競合のマンションが極端に安く売りだされている場合は査定価格が安くなる場合が多いです。
大規模マンションの場合は、同じマンションの別の部屋で売りに出ていることもあります。
同じマンションであれば部屋の状態はそれほど変わらないので、競合物件の売り出し価格が査定額の基準になります。
周辺の相場を調べる方法
マンションマーケットは「日本最大級のマンション相場サイト」というキャッチコピーの通り、100万件以上の価格データから算出した相場価格を確認することができます。
マンション名を入力すると相場価格を算出するだけでなく「過去の売買価格」「資産評価」またマンション内に現在販売中の物件があると「現在販売中の中古物件」として表示されるので、自分のマンションの売り出し価格の相場を調べるにはうってつけです。
ただし、掲載されている金額が実際に売買契約を結んだ金額(成約価格)ではなく、売り出し価格であるという点です。売り出し価格とは、買主側が「この金額で売りたい」という金額です。
売り出し価格で成約するわけではないので、あくまで「売り出し価格」の参考値として活用してください。
マンション周辺の開発予定
駅や新路線の誕生、大型スーパーなの商業施設の建設予定、公園など、今後人口が集中しそうな都市や地域のマンションは査定価格が上がる可能性が高いです。
例えば、2027年に開通が予定されているリニア中央新幹線によって、名古屋駅周辺のマンション価格が5年後には大幅に上昇すると予想されています。
(参考記事:PRESIDENT Online「AIが選ぶ物件価格が上がる町下がる町」)
逆に近隣に別のマンションが建てられたり、ビルの建設で日当たりが悪くなる可能性があれば査定にマイナスの影響が出るでしょう。
売却時の景気動向
景気もマンションの査定価格に深く影響を与えます。
日経平均株価が下がっているなど、日本経済が低迷しているときはマンション含む不動産の購買需要も減り、価格も減少していきます。
以下のグラフでも日経平均株価とマンションの売却額(成約価格)との相関性が分かると思います。
他にも金融緩和による住宅ローン金利の引き下げや東京オリンピックによる新築・中古マンションの価格高騰など外部の要因を挙げるとキリがありません。
マンションの査定方法
この章ではマンションの査定方法について紹介していきます。
マンションの査定方法には以下の4種類あります。
- 机上査定(簡易査定)
- 訪問査定
- 匿名査定
- AI査定
①簡易査定と②机上査定は、これからすぐに売却活動を始めていきたい方、③匿名査定と④AI査定は売却価格だけざっくりと知りたい方にお勧めの方法です。
それではそれぞれについて解説していきます。
机上査定(簡易査定)
「机上査定」は簡易査定とも呼ばれ、面積や築年数、周辺での過去の売買取引や、現在の市場動向、さらに売り出し中の物件価格などから査定額を算出する方法です。
訪問査定
「訪問査定」とは、不動産会社の担当者が、実際に不動産を見て査定額を算出する方法です。実物を見て評価するため、正確な市場価値を知ることができます。
匿名査定・AI査定
「匿名・AI査定」は、Web上で住所や築年数、面積などの簡単な不動産情報を入力し、AIが査定額を出してくれる方法です。簡単である一方で、実際の物件状況や周辺環境などは加味されないので、正確性に欠けることに注意です。
すまいステップでは、匿名査定、AI査定、それぞれのコンテンツがあります。
マンションの場合は、それぞれのマンションの売却実績から、AIが売却価格を算出するマンションAI査定がおススメです。
マンションAI査定は以下のボタンから体験できます。
マンションで高額査定を得るためのポイント
マンションを高く・スムーズに売却するには、査定で失敗しないことが大切です。
マンション査定で重視されるポイントを理解したら、査定を受ける時に気を付けたい注意点を見ていきましょう。
以下の3つの注意点を解説します。
- リフォームは不要だが修繕はしよう
- 売却予定があるなら「訪問査定」を依頼する
- 複数の不動産会社に査定依頼する
ポイント①リフォームは不要だが修繕はしよう
査定額に影響を与える箇所で比較的に安価で実施できる簡易的な修繕はやっておくと良いでしょう。
「壁や障子に穴があいている」「畳の傷みがひどい」「ドアが閉まらない」など明らかに査定額に悪影響が出る箇所は修繕した方が良いです。
例えば、畳は1枚1万円程なので印象を良くするには費用対効果の高い修繕です。
タバコやペットによって汚れた壁紙、給湯器など生活に必要な設備が壊れて使えない場合は部分的修繕しておくと良いです。
簡易リフォーム箇所 | リフォーム費用相場 |
---|---|
畳の張替 | 1.3万円/枚 |
障子の張替 | 2000円/枚 |
ドアの修繕 | 5万円/枚 |
壁紙の張替 | 1000円/㎡ |
給湯機の修繕 | 2万円 |
ポイント②売却予定があるなら「訪問査定」を依頼する
一般的にマンションの査定方法は「机上査定」と「訪問査定」の2種類があります。
机上査定とは、実際に不動産をみないでデータや概要をもとに簡易的に査定額を算出する査定方法のことです。
簡易査定とも呼ばれ、数時間~1日の期間で手軽に行われます。近年では、特別に書類を用意することなくネット経由で無料で査定依頼を出すことができるようになっています。
ただし、実際に物件を見て査定するわけではないので、机上査定時の査定額は市場価格とかけ離れているリスクがあります。
一方、訪問査定とはデータだけではなく、現地の状況を加味して査定額を算出する査定方法のことです。
査定結果が出るまで3~4日の期間がかかってしまいますが、不動産会社の担当が実際にマンションを訪れて調査を行うので机上査定よりも正確な査定額を算出できます。
訪問査定のメリット
- より正確な査定額を算出することが可能
- 査定時の対応力や審査力など、不動産会社の見極めが出来る
訪問査定のデメリット
- 査定結果が出るまで3~4日の期間を要してしまう
ポイント③複数の不動産会社に査定依頼する
正確な査定額を知るには、複数の不動産業者に査定を依頼することが大切です。
不動産会社によって査定で見るポイントは同じだったとしても、査定方法が異なるので会社によって査定額にも差が生じます。
不動産会社の中には、あなたのマンションを高い価格でも買いたいお客を抱えている場合もあります。
1社にしか査定をしていなければ、その会社が出した査定価格が高いか低いか判断できず、安い価格で売り出すことになりかねません。
複数の不動産会社から査定を受ければ、各社が提示する査定額を比較できるので、高い査定額を得やすく、結果的に高額売却をできる可能性も高まります。
一括査定サイトの利用を検討しよう
ただし、自分自身で1社1社不動産会社を調べてアポイントを取るために何度も同じ説明をするのは手間がかかります。
手間を省くのであればインターネットの不動産一括査定サービスすまいステップがおすすめです。
このサービスを使えば、マンションの住所や間取りなど簡単な情報を入力するだけで、マンションを高く売ってくれる不動産会社を自動的にマッチングし、複数の会社へ一度に査定依頼ができます。
大手から中小まで、全国の優良不動産会社に簡単な入力だけで最大4社から見積もりを受け取るれるので、マンションの査定価格を手軽に知りたいのであれば、まずは一括査定サービスを利用してみましょう。