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住んでいない家の売却にも税金はかかる?税金の種類や節税できる控除を解説

  • 更新日:2023年11月28日
住んでいない家の売却にも税金はかかる?税金の種類や節税できる控除を解説

親と同居を始めたり、親が介護施設に入所したりして、空き家状態になっている家がある。あるいは、相続したままに放置してしまっている家がある。

以上のような事情から、住んでいない家をどうすべきか、頭を悩ませている方は多いのではないでしょうか。

現在、人が住んでいない家でも、売却する時には税金がかかります。

この記事では、家を売却する時にかかる税金や、かかる税金の節税方法について解説しています。

「使わずに余らせてしまっている家をどうするか」のご判断に、ぜひ本記事をお役立てください。

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住んでいない家の売却に税金はかかる?

誰も住んでいない家を売却した場合でも、税金はかかります。

まず、利益に対して「所得税」と「住民税」がかかります。税率は家の所有期間によって決まります。

売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超える場合、所得税率は15%、住民税率は5%です。所有期間が5年以下なら所得税率は30%、住民税率は9%です。

(なお、2037年12月31日までは更に所得税の2.1%分の復興特別所得税が上乗せして課せられます。)

また、利益があるかどうかにかかわらず「印紙税」と「登録免許税」がかかります。

住んでいない家の売却にかかる印紙税の金額は、一般的に数千円から数万円の間に収まることがほとんどです。

印紙税額を詳しく見たい方はこちらをクリック
令和6年3月31日までの間に作成される売買契約書に関しては、軽減税率が適用されて、以下の税額となります。
売買契約書に記載された契約金額印紙税額
1万円未満非課税
1万円以上50万円以下200円
50万円を超え100万円以下500円
100万円を超え500万円以下1,000円
500万円を超え1,000万円以下5,000円
1,000万円を超え5,000万円以下1万円
5,000万円を超え1億円以下3万円
1億円を超え5億円以下6万円
5億円を超え10億円以下16万円

国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」(2023.2.20閲覧)を参考にすまいステップ編集部が表を作成

登録免許税は、家の売却時に登記申請をする場合にかかります。

金額は、抵当権抹消登記の場合は2,000円、相続登記の場合は「固定資産税評価額×0.4%」相当です。

なお、売却時の所有権移転登記の登録免許税は、一般的に買主が負担するため、売主は支払う必要がありません。

住んでいない家の売却にかかる税金の計算方法

住んでいない家を売却した時の利益にかかる税金の金額を知るためには、まず「利益」を正しく計算する必要があります。

家を売却した時に出る利益のことを「譲渡所得」といいます。

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所得税と住民税は、どちらも譲渡所得にかかる税金であることから、まとめて「譲渡所得税」と呼ぶことも多いです。
この章では、譲渡所得と、かかる税金の計算方法について解説します。

譲渡所得を計算する

譲渡所得とは、いわゆる売却益のことです。以下の式で計算します。

譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
売却価格家が売れた価格。収入金額。
取得費家を購入・取得した時にかかった費用。
【例】家や土地の購入価格、建築代金、購入時に支払った税金や仲介手数料など
譲渡費用家を売却するためにかかった費用。
【例】売却時に支払った仲介手数料・印紙税など

計算の結果、譲渡所得がプラスだった場合は、確定申告をして所得税と住民税をそれぞれ納付する必要があります。

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譲渡所得が0円以下の場合は、課税されません。
なお、取得費が不明の場合は、「売却価格×5%」相当の金額を「概算取得費」として代用して譲渡所得を計算できます。

税金額を計算する

所得税と住民税の金額は、以下の式で計算します。

所得税=譲渡所得×所得税率
住民税=譲渡所得×住民税率
税率は「家の所有期間」によって異なります。
所有期間が5年超所有期間が5年以下
所得税率(※)15.315%30.63%
住民税率5%9%
合計(譲渡所得税率)20.315%39.63%

(※)所得税の税率は、2037年までの復興特別所得税(所得税額2.1%分)を含めて表記しています。

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所有期間が5年を境に、税率が倍ほど変わります!

なお、相続した家の場合は、被相続人の所有期間を、相続人が引き継ぎます。

【例】被相続人の親が1990年2月1日に購入した家を、相続人である息子が2019年3月1日に相続し、2020年2月1日に売却したケース
  • 売却価格:2,000万円
  • 譲渡費用:100万円
  • 取得費:不明
所有期間:1990年2月1日~2020年1月1日
29年11ヶ月(長期譲渡所得税率が適用)
譲渡所得=売却価格-(譲渡費用+取得費)
=2,000万円-(100万円+2,000万円×5%)
=1,800万円
所得税=譲渡所得×所得税率
=1,800万円×15.315%
275万6,700円
住民税=譲渡所得×住民税率
=1,800万円×5%
90万円

親名義のままの家でも、査定を依頼することは可能です。

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売却のきっかけ
古家が老朽化し、周りに迷惑を掛ける可能性が増大したのがきっかけ。
税金対策の関係上、期間に制約があったので、そこまでに売却できるかが不安だった。


不動産会社を選んだ際の決め手
見積金額が一定額以上であること。
販売実績が豊富であり、対象地域のマーケティングに強いこと。
担当者と実際に会話して信頼できること、また本件の売却に対して熱意が感じられること。

プロフィール詳細

千葉県市川市 / 50代 / 相続 / 土地 / /

査定額4,500万円→売却価格4,300万円

不動産会社住友林業ホームサービス京葉支店(担当者:門馬梨沙)
不動産会社の決め手信頼できる担当者だった
担当者の特徴こまめに連絡をもらえた
満足度
4.7
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住んでいない家の売却にかかる税金を安くする方法

譲渡所得税(所得税と住民税)には、税金額を抑えられる対策がいくつかあります

この章では、以下の2つの方法について、解説します。

譲渡所得税は、課税される場合には特に高額になりがちな税金です。

節税対策をして可能な限り税金の負担を減らすことで、家売却による手取り額を確保しましょう!

購入時にかかった費用を調べる

まず紹介する節税方法は、売却する家の「購入時・建築時の費用」がわかる書類をきちんと調べることです。

家を取得した当時の費用から減価償却費を差し引いた金額は、譲渡所得から「取得費」として差し引くことができます

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課税のベースとなる譲渡所得を小さくすることで、かかる税金を節減できるのです。
なお、親から相続した家を売却した場合、取得費には、親の支払った購入代金や建築代金を引き継いで申告できます
もしも家を取得した当時の費用がわからない場合には「売却価格×5%」の金額を概算取得費として代用し、譲渡所得を計算します。
しかし、概算取得費を用いて譲渡所得を計算すると、本来の取得費で計算した場合と比べて、譲渡所得が高額になることが多いです。
そのため節税するためには、昔の売買契約書や工事請負契約書、領収書を探し出して、取得費に計上しましょう。

控除や特例を利用する

次に紹介する節税方法は、「譲渡所得に控除を受けられる特例や、税率を軽減する特例を利用する」ことです。

現在、人が住んでいない家を売却した時に、適用要件を満たして利用できる可能性のある特例は以下の通りです。

ケース特例
存命中の親の実家を売却した場合
相続した空き家を売却した場合
相続税を支払った不動産を売却した場合

特に控除を受けられると譲渡所得を大きく減らせるため、譲渡所得税の課税がなくなることも多いです。

なお、各種特例を利用するためには、確定申告で適用を申請しなければなりません。

特例を利用すると課税がなくなる場合でも、確定申告は必須です。

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適用要件を満たしていても、自分で申請して必要書類を提出しなければ、控除を受けられません!

売却した翌年の2/16~3/15までに、忘れずに確定申告の手続きを済ませましょう。

親が住まなくなった実家を売る時に使える控除・特例

この章では、施設や病院に入所・入院したり、子と同居を始めたという事情から、親が住まなくなった実家を売却した時に利用できる特例について、具体的に解説していきます。

3,000万円特別控除の特例

3,000万円特別控除の特例とは、自宅(家、マンション、家を取り壊した土地)を売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円まで控除を受けられる特例です。

譲渡所得が3,000万円以下だった場合は、譲渡所得税がかからなくなります。

3,000万円特別控除の適用を受けるためには、家に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

家屋を取り壊している場合は、取壊し日から1年以内に売却し、かつ住まなくなってから3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

所有期間の長短にかかわらず、居住していた家であれば適用を受けられるため、自宅売却の際には是非とも利用したい特例です。

所有期間10年超の軽減税率の特例

売却した自宅の所有期間が10年を超える場合は、通常の長期譲渡所得税率よりも、さらに安い税率を適用することができます

課税譲渡対象となる所得の金額所得税率住民税率
6,000万円以下の部分10.21%4%
6,000万円を超える部分(通常税率)15.315%5%

この特例は、先述した「3,000万円特別控除」と併用可能です。

そのため、所有期間が10年を超える自宅を売却する場合は、以下のように税金の負担を軽減できます。

【例】譲渡所得が1億円の自宅

  1. 「3,000万円特別控除」を適用して課税対象となる譲渡所得金額が7,000万円になる
  2. 7,000万円のうち、6,000万円分は税率が14.21%になる
  3. 残りの1,000万円の税率は20.315%になる

譲渡所得が3,000万円を超える場合には、併せて適用を申請しましょう。

10年超所有軽減税率の特例って何?|譲渡所得の税金を安くする

親から相続した空き家を売る時に使える控除・特例

この章では、親が亡くなり、空き家となった家を相続した場合に使える特例について、解説します。

相続した空き家の3,000万円特別控除の特例

相続した空き家の3,000万円特別控除の特例とは、相続した空き家を売却した場合に、譲渡所得に最大3,000万円の控除を受けられる特例です。

ただし、自宅を売却した場合の「3,000万円控除」に比べて要件が細かく、利用できるケースが限定的です。

適用要件の一例

  • 1人暮らしをしていた親から家と敷地の両方を相続している(マンション不可)
  • 家が昭和56年5月31日以前に建築されている
  • 売却した家が耐震リフォームされているか取り壊されている
  • 売却代金が1億円以下

また、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する必要があります。

以下の記事にて、さらに詳しく解説しています。

相続した空き家の3,000万円控除の適用要件をわかりやすく解説

取得費加算の特例

取得費加算の特例とは、相続した空き家について、支払った相続税の一部を「取得費」に加算できるという特例です。

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相続税の総額のうち、空き家に相当する金額分を取得費に加算できます。

譲渡所得税は、譲渡所得に税率をかけ合わせて金額が決まります。

譲渡所得は、売却価格から取得費と譲渡費用を差し引いて求めます。

そのため、取得費に計上できる金額が増加すると、譲渡所得税は減少し、節税に繋がります。

注意点として、取得費加算の特例は、先述の相続した空き家の3,000万円控除の特例と併用不可です

相続税を軽減できる「小規模宅地等の特例」とは併用可能ですが、取得費に加算できる金額は、小規模宅地等の特例の適用後に減額された相続税額に基づいて計算します。

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住んでいない家の売却は税金について調べてから進めよう

家の売却で譲渡所得税がかかる場合には、金額が高額になりやすいです。

「せっかく売却したのに、手取り額が少なくなってしまった…」といった事態を避けるためにも、あらかじめ売却にかかる税金について調べてから、準備を整えていきましょう!

家を売却した時の税金の制度についてわかりにくいところは、不動産売却のプロフェッショナルである不動産会社に相談してみるのも手です。

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各社エース級の営業担当者が査定に当たってくれるので、家の売却について損をしない方法や不安な点について、ぜひ相談してみましょう。

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記事のおさらい

住んでいない家の売却に税金はかかる?

現在人が住んでいない家を売却した場合でも、税金はかかります。

売却による利益に対しては所得税と住民税がかかります。

売買契約時には、印紙税を必ず支払います。また、売却に伴って相続登記や抵当権抹消登記をする場合は、登録免許税がかかります。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

住んでいない家の売却にかかる税金を安くすることはできる?

家を取得した当時の費用がわかる書類を探すことで、税金の課税対象となる譲渡所得の金額を小さくして、節税に繋げられます。

また、一定の適用要件を満たしていれば、控除や税率を軽減できる特例を利用して節税できます。たとえば、住んでいない家の売却では、以下の特例を使える可能性があります。

  • 3,000万円特別控除の特例
  • 所有期間10年超の軽減税率の特例
  • 相続した空き家の3,000万円特別控除の特例
  • 取得費加算の特例

詳しくは住んでいない家の売却にかかる税金を安くする方法をご覧ください。

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