アパートを売却する前には、いくつか知っておくべきことがあります。
- アパート売却の基礎知識
- 入居者がいるアパートは「オーナーチェンジ」が定番
- 古くなったアパートは「解体して更地にする」を検討
- 所有期間が5年を超えてからの売却がベスト
アパートの売却を考える時、「投資用として購入したが経営が上手くいかなくなった」「親から相続したが維持・管理ができない」など、様々な理由があるでしょう。
アパートを売却すれば一度にまとまった現金を得られたり、固定資産税や維持費がかからなくなるなどのメリットがあります。
しかし、「入居者がいるのに売却できるのか?」「古くて売却できるか不安」というように、分からないことだらけで困っている方もいるのではないでしょうか。
そこでこの記事では、主に「入居者がいるアパートの売却方法」「古くなったアパートの売却方法」について解説します。
また、アパートの売却について不安がある方は、一括査定サイトを使って不動産会社に相談してみましょう。
以下のフォームから必要事項を入力すれば、完全無料で複数の不動産会社にアパートを査定してもらえます。
アパート売却、どうやる?
アパートの売却を考えているけど、実際にどのように行うのか分からない方も多くいると思います。
初めに、アパートの売却方法を以下の2つのパターン別で紹介します。
- 入居者がいるアパートの場合
- 築年数が古いアパートの場合
入居者がいるアパートの場合
入居者がいるアパートの売却は、「オーナーチェンジ」が定番です。
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築年数が古いアパートの場合
築年数が古いアパートは、空室率が高くなりやすい上に老朽化が進んで修繕費も高くなるので、早期の売却を考えたいですよね。
しかし、不動産は、アパートに限らず築年数が経つごとに売却価格が低くなることが一般的です。
需要も少ないため、通常の売却方法では買主が見つかりにくい可能性が高いです。
そこで、築年数が経って老朽化が進んでいるアパートの売却は、以下の3つの方法を検討してみましょう。
- 業者買取を利用する
- アパートを解体して更地化し、土地として売却する
- 建て替えやリフォーム・リノベーションで収益を見込める状態にする
まず検討したい方法が「業者買取」です。
業者買取とは、一般の投資家に売却するのではなく、不動産会社にアパートを直接買い取ってもらう方法です。
相場と比較して7~8割程度の価格での取引となることが一般的ですが、早ければ数か月で確実に売却できます。
まだアパートの売却を迷っている場合は、アパートを建て替えるなどでさらに収益を見込めないか検討する手段もあります。
売却するにも多額の費用はかかるので、建て替えやリフォームした場合と費用を比較して慎重に決めていきましょう。
また、築年数が経っているからといって全く売却できないわけではないので、まずは不動産会社に相談してみることをおすすめします。
経営を続けていたものの、老朽化に伴い改善箇所も増えてきて費用もいっそうかさむことがわかったため売却を決めました。
アパート一棟しかもそれなりに古くなっているものだったので買い手みつかるのか不安でした。売却に必要な手続きも結構煩雑で疲れました。
引用:すまいステップの独自調査「アパート1棟を売却したことがある方へのアンケート」より
アパート売却の前にやるべきこと
アパートの売却を決めたら、必ず行うべきことがあります。
以下の4つについて、それぞれ解説します。
- ローンの有無を確認する
- アパートの所有期間を確認する
- 入居者へ通知する
- 共有者へ意思確認する
それぞれの項目を1つずつ解説していきます。
①ローンの有無を確認する
1つ目に確認する事項は「アパートのローンの有無」です。
アパートを売却する時、住宅ローンが残っているケースは少なくありません。
ローンが残っている場合でもアパートの売却自体は可能ですが、アパートの売却益からローンの返済を行わなければなりません。
また、ローン額が売却益を上回っている場合は、売却益とローンの残債の差額を自分自身で負担して返済する必要があります。
そのため、ローン残債を確認せずに売却してしまうと、売却益が得られると思っていたのに早急に多額の現金を準備しなければならないという事態になりかねません。
トラブルを避けるためにも、まずはローンの有無をしっかり把握して、売却後の資金計画を立てる必要があります。
アパートを売却して手元にいくら残るか知りたい方は、不動産会社で査定を受けましょう。
アパートの売却にかかる税金・費用などは、売却額によって変わるので、正しい手取り額を知るためには正確な査定額を把握する必要があります。
『すまいステップ』なら、厳選されたエース級の不動産会社から、無料で精度の高い査定を受けられます。
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②アパートの所有期間を確認する
アパートを売却する理由は様々だと思いますが、アパートの所有期間が5年以上になったタイミングで売却することをおすすめします。
アパートの所有期間が5年を超えない状態で売却したとなると、税金面で損することになってしまうからです。
アパートを売却して利益が出たら、「譲渡所得税」という税金を必ず支払わなければなりません。
以下の表に、所有期間ごとにかかる税率をまとめました。
譲渡所得の種類 | 所有期間 | 税率(※) |
---|---|---|
短期譲渡所得 | 売却した年の1月1日時点で5年以下 | 39.63%(所得税30.63%+住民税9%) |
長期譲渡所得 | 売却した年の1月1日時点で5年以上 | 20.315%(所得税15.315%、住民税5%) |
(※短期譲渡所得・長期譲渡所得ともに、平成25年から令和49年までは、この税率に復興特別所得税2.1%が課せられることになっています。)
(参考:国税庁「短期譲渡所得の税額の計算」「長期譲渡所得の税額の計算」)
以上のように、5年を境に譲渡所得税の税率が大きく変わるため、アパートの所有期間が5年以下で売却する場合は税金が割高になってしまうのです。
しかし、アパートは築年数が経つごとに売却価格が低くなることが一般的です。
アパートの現在の価値と所有期間が5年経った時の価値を比較して、どちらのほうがより利益を得られるのか、売却するタイミングはしっかり見極めましょう。
③入居者へ通知する
2つ目は、「入居者への通知」です。
入居者がいるままアパートを売却する場合は、オーナーチェンジすることを事前に入居者に伝えておきましょう。
しかし、入居者にとっては「大家が変わる」ということになるため、礼儀として通知だけはしておくことが望ましいと言えるでしょう。
オーナーチェンジすると、当然ながら家賃を振り込む口座や名義人も変更されます。
入居者への新しい振込先の通知は、管理会社や不動産会社を通じて行われることが一般的なので、入居者が戸惑わないように事前の通知は行っておきましょう。
住人には立ち退きを拒否する権限もあるため、トラブルにならないようにできるだけ早めに通知しましょう。
オーナーチェンジの説明がかなり大変で、なぜ、私が管理者から外れるのかという理由を説明するのに苦労しました。私自身の仕事の都合を説明するに際して、納得してくれる入居者とそうでもない入居者がいて管理体制が変化することで不便が生じるのではないかという考えが入居者の中にあったのです。
引用:すまいステップの独自調査「アパート1棟を売却したことがある方へのアンケート」より
入居者の方にアパートを売却するのでオーナーが変わりますという話をしましたが、生前に父親の人柄に惹かれて入居された方や父親の知り合いだからで入居された方も居られたので、その人達にオーナーが変わるなら引っ越すと言われ、若干トラブルになったのは大変でした。
引用:すまいステップの独自調査「アパート1棟を売却したことがある方へのアンケート」より
④共有者へ意思確認する
3つ目に「共有者への意思確認」です。
アパートの経営を1人で行っている人は特に必要のない項目ですが、だれかと共同で経営を行っている場合は、その共有者に売却の意思確認をしておく必要があります。
1人で勝手に話を進めて売却してしまうと、後々その共有者とトラブルになる可能性も大いにあります。
不動産の売却は大きなお金が絡む取引なので、売却の意思の確認は事前にしっかりと行うようにしましょう。
アパート売却の流れ
アパートの売却は、一般的には以下のような流れで行います。
不動産会社に査定依頼する
不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却活動を行う
売買契約・引渡しする
利益が出たら確定申告する
不動産会社に査定依頼する
アパートの売却を決めたら、まずは不動産会社に査定依頼して「査定額」を出してもらいましょう。
査定額とは、「いくらくらいで売却できそうなのか」を予想した価格のことです。
いくつかの不動産会社に査定してもらって査定額を比較することで、アパートの売却相場が見えやすくなります。
そのため、査定は1社だけではなく、複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。
アパートの売却相場を調べる方法は、査定を受ける以外に自分で調べることもできるので、以下の記事も参考にしてみてください。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
安心して売却を任せられる不動産会社が決まったら、不動産会社と媒介契約を結びます。
売却活動を行う
不動産会社と媒介契約を結んだら、実際にアパートを売り出すために売却活動を行います。
売却活動では、主に以下のようなことが行われます。
- インターネットやチラシなどで広告・宣伝
- 問い合わせの対応
- 買主の内覧対応
売却活動は基本的に不動産会社に任せることになりますが、結んだ媒介契約によっては活動報告をもらえます。
また、事前にアパートのアピールポイントをまとめて不動産会社に伝えておいたり、空室や共有部分をきれいに掃除しておくと、買主へ良い印象を与えることができます。
黒字経営だったが利回りが想定以下だったこと、岐阜県という地域がらこれ以上地価が上がる可能性が低かったので、いつまでもこの物件で勝負するのはリスクがあると判断して売却を決意しました。
売却価格の設定が難しかったです。当初から値引きすることを前提にあえて強気の価格設定をしていたので、なかなか買い手がつかなかったです。
結果的には上手く買い手を見つけ、作戦通り値引き込みで利益を得ることができて満足しています。
引用:すまいステップの独自調査「アパート1棟を売却したことがある方へのアンケート」より
売買契約を結ぶ
売却活動を経て買主が見つかったら、売主と買主の間で「売買契約」を結びます。
売買契約の手順は以下のとおりです。
買主と条件交渉
必要書類の準備
重要事項の説明
売買契約の締結
手付金と仲介手数料の支払い
売買契約は、「買主が売主に購入代金を支払うこと」「売主が買主に物件の所有権を移転すること」を約束する契約です。
売買契約では、買主から売主へ手付金が支払われます。
手付金の金額は売却価格の5~20%が一般的であり、契約解除や契約不履行に対する賠償金としての役割を持ちます。
決済・引き渡しする
買主がローンを利用する場合は、売買契約を結んだ後にローンの本審査に入ります。
無事に本審査に通過して融資が実行されたら、「決済・引き渡し」を行います。
買主から、手付金を差し引いた残りの売却代金が支払われます。
同時に売主は、アパートを引き渡すために所有権移転の手続きをします。
決済当日は様々な必要書類や持ち物があるので、不備がないようにしっかり準備しておきましょう。
決済日に売主が用意する書類は以下の通りです。
- アパートの登記済権利証または登記識別情報通知
- 実印・認印
- 印鑑登録証明書
- 写真付き本人確認書類
- 住民票
- 買主からの入金を確認できるもの
- 抵当権抹消にかかる費用
- 固定資産評価証明書
- 仲介手数料と司法書士への報酬金
- アパートに関する資料一式
- アパートの鍵一式
決済が無事に終われば、アパート売却の全ての手続きが完了します。
以下の記事も参考に、最後まで気を抜かずに臨みましょう。
利益が出たら確定申告する
アパートを売却して利益が出たら、「譲渡所得税」が発生します。
そのため、翌年の2月16日~3月15日の間に確定申告が必要です。
アパートの売却にかかる費用や税金ってどれくらい?
アパートを売却する際には、様々な費用が必要です。
そこでこの章では、アパートの売却に必要な費用と、その費用が必要となるタイミングも合わせて解説します。
- 測量費用
- 印紙税
- 仲介手数料
- 抵当権抹消費用
- 譲渡所得税
- 立ち退き料
費用①測量費用
1つ目に必要な費用は「測量費用」です。
不動産を売却するには、土地の境界や面積などを計って証明する「測量図」が必要になります。
この測量は、土地家屋調査士の独占業務なので、必ず土地家屋調査士に依頼して測量してもらわなければなりません。
ここでの測量費用の相場は、35~45万円程度です。
ただし、この金額はあくまで相場であり、土地の広さや測量時のスタッフ数などによって金額が前後します。
また、特に境界について争っているような土地の測量については価格が跳ね上がる可能性もあることに注意しましょう。
測量を依頼してから実際に境界画定が行われるまでには3~4か月かかることもあります。
測量図は売却活動を行う上でも必要なので、売却することが決まった時点で早めに依頼するようにしましょう。
費用②印紙税
2つ目に必要な費用は「印紙税」です。
これは、不動産売却時に必ず発生する税金の1つで、売買契約を行う際に契約書に貼る印紙に対してかかる税金です。
印紙税は、不動産の売却価格によって税額が変動してきます。
納税額と売却価格については以下のグラフを参考にしてみてください。
記載金額 | 税額 |
---|---|
100万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1000万円以下 | 5,000円 |
1000万円超5000万円以下 | 10,000円 |
5000万円超1億円以下 | 30,000円 |
1億円超5億円以下 | 60,000円 |
印紙税は印紙を購入費用に含まれているため、印紙購入時に支払っていることになります。
印紙税を納めないと、印紙税の3倍の過怠税が課されるので注意しましょう。
費用③仲介手数料
3つ目に必要な費用は「仲介手数料」です。
仲介手数料とは、不動産売買を行う際に不動産会社に仲介をしてもらうことに対して発生する手数料です。
基本的に不動産売買では、買主と売主をつなぐ不動産会社が間に入るため、その場合に必ず発生する費用です。
仲介手数料の相場は不動産会社によって様々ですが、法律で一定の上限が設けられており、その金額を超える仲介手数料が発生することはありません。
定められている規定は以下のようになっています。
取引額区分 | 手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の場合 | 取引額の5%以内 |
200万より高く400万円以下の場合 | 取引額の4%以内 |
400万円をこえる場合 | 取引額の3%以内 |
前述しましたが、仲介手数料は不動産会社によって金額の幅が非常に広いです。
そのため、不動産会社を選択する際には、かかる手数料をしっかりと確認し複数社で比較した上で決定することをおすすめします。
上記の仲介手数料の上限をもとに、売却価格から仲介手数料を計算すると以下のようになります。
売却価格 | 仲介手数料(税込) |
---|---|
100万円 | 54,000円 |
400万円 | 194,400円 |
1,000万円 | 388,800円 |
2,000万円 | 712,800円 |
3,000万円 | 1,036,800円 |
4,000万円 | 1,360,800円 |
5,000万円 | 1,684,800円 |
1億円 | 3,304,800円 |
ぜひ参考にしてみてください。
費用④抵当権抹消費用
4つ目の費用は「抵当権抹消費用」です。
家を購入するときには、ほとんどの人が住宅ローンを組んで購入していると思います。
家を売却するとき、この住宅ローンが残っていると、金融機関が抵当権を設定したままになってしまい売却することができません。
売主は住宅ローンの残債を全額繰上返済し、抵当権を抹消してから売却することができます。
この抵当権抹消登記は不動産1件につき1,000円となります。
戸建ての住宅なら、土地を1筆と建物を1戸で2,000円となります。
抵当権抹消登記や住所変更登記などは、自分でも行うことができますが、スムーズに手続きを進めるなら、司法書士に依頼するとよいでしょう。
抵当権抹消の司法書士の報酬は1万円前後の費用がかかります。
費用⑤譲渡所得税
5つ目の費用は「譲渡所得税」です。
譲渡所得税とは、自分の資産を売却したことによって得られた利益に対して発生する税金で、不動産売買で売却益が出た場合には必ず支払う必要があります。
譲渡所得税の計算方法は以下の通りです。
計算式について詳しく説明していきましょう。
まず、譲渡価格とは、不動産の売却した際の価格です。
契約書の成約価格に記載されている価格がそのまま譲渡価格となります。
次に取得費とは、その不動産を取得した際に支払った金額と、その際に発生した費用の総額のことを指します。
つまり、ご自身が売却しようとしているアパートを購入した金額と、購入時に支払った手数料などを合わせた金額を「取得費」といいます。
最後に譲渡費用とは、不動産売却時に発生した費用の合計の事を指します。
不動産会社に支払う仲介手数料や、抵当権抹消費用など売却のために支払った費用がこの譲渡費用に換算されます。
成約価格から、不動産を取得したときの金額とその費用、そして売却する際に発生した費用を引いたものを譲渡所得、といい、そこに税率をかけたものを譲渡所得税といいます。
費用⑥立ち退き料
6つ目の費用は立ち退き料です。
入居者がいない状態でアパートを売却したいと考えている人は、アパートの入居者には立ち退いてもらう必要があります。
その際に、入居者に対して立退料を支払うことで立ち退きの交渉をうまく進められます。
一般的に立退料の相場は、家賃の6~10か月分、もしくは新居に入居する際に必要な費用額分を目安にすることが多いです。
立ち退き料は忘れがちな費用ですが、入居者の数が多ければ多いほどかなり大きな支出になるのでしっかりと確認しておきましょう。
アパート売却は事前準備を徹底しよう
アパートを売却する時、一時的にまとまった金額が手に入るなどのメリットがある一方で、ローンを完済できることが前提であることや入居者がいる場合の問題などデメリットも多数あります。
そのため、アパートを売却するにあたって、短期間ではなく長期間に及ぶ計画的な売却を検討することが重要だと言えるでしょう。
また、アパートの査定依頼は、複数の不動産会社に査定依頼して査定額を比較することで、より高値での売却も実現できる可能性が高まります。
事前準備を徹底して失敗のないアパート売却を目指しましょう。