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住み替えで失敗しないために、『正直不動産』原案者が「売り先行」を進める理由とは?

  • 更新日:2022年4月6日
住み替えで失敗しないために、『正直不動産』原案者が「売り先行」を進める理由とは?

こんにちは。すまいステップ編集部です。

今、住んでいる家から、新たな新居へ引っ越す「住み替え」を行う人は少なくありません。

この記事を読んでいる方にも、家族が増えたり家の老朽化で住み替えを検討する人もいるのではないでしょうか。

しかし住み替えで失敗すると、多額のローンを背負ってしまう可能性も。

NHK総合で連続ドラマが放送中の「正直不動産」や「クロサギ」の原案を担当してきた夏原武さんも、そうしたケースを数多く見てきた一人です。

夏原さんに住み替えで失敗しないための注意点を伺いました。

夏原 武 さん
夏原武さん

夏原さん

作家、ルポライター。NHKにてドラマ化されたマンガ『正直不動産』原案者。漫画原作担当作品に、『クロサギ』、『逃亡弁護士成田誠』、『任侠転生-異世界のヤクザ姫-』、『カモのネギには毒がある-加茂教授の〝人間〟経済学講義-』など多数。

後編不動産売却での会社の選び方は?『正直不動産』原案者 夏原武 氏にコツをインタビュー

「買い先行」での住み替えは失敗しやすい

―近年は「住み替え」で不動産を売ったり買ったりする方が増えていると聞きます。何か注意点はありますか?

夏原さん:次に住む所が決まっているからといって、今住んでいる家を売り急がないことです。

売り急ぎの原因になるため、はっきり言って「買い先行」はおすすめできません

編集部補足:買い先行とは

マンション売却居住中 売り先行と買い先行

住み替えでは、現在住んでいる家を売ってから新居を購入する「売り先行」と新居を購入してから自宅を売却する「買い先行」のどちらかの方法を取ります。「買い先行」は、新居をゆっくり選ぶ時間がある一方、資金計画が難しいなどのデメリットもあります。

ダブルローンになる可能性

―どうして買い先行は避けたほうがよいのですか?

夏原さん:それは、買い先行ダブルローンになる可能性があるためです。

買い先行の場合は、次に住む物件の購入申し込みをして、そこから今住んでいる家の売却に着手することになります。

ダブルローンになるケース

夏原さん:不動産会社に、「大きなお金が入ったらそこで精算すればいいじゃないですか」と言われて、新居のローンの支払いを開始してしまうのです。

家が売れるタイミングが遅くなると、新居現在の家ダブルローン状態になります。

ところが、いつまでたっても家が売れない。毎月ローンが苦しい。

銀行は一度でも焦げ付きが発生したら、その瞬間にローンの全額返済を求めてきます。

そうなれば完全に破綻です。家も失って、さらに借金が残る。そんな例はたくさん見てきました。

でも、誰が助けてくれるんですか?誰も助けてくれないですよ。

こうした破綻を避けるために、お金が入る日が決まってから新居を購入する手順を踏む必要があると思います。

不動産会社が物件を「干す」

夏原さん:支払いが苦しくなると、家を一刻も早く売却しようと売り出し価格の値下げを検討する人も出てきます。

しかし売り出し価格が値下げされることを狙って、一部の不動産会社は物件を「干す」ことがあります。

専任媒介契約専属専任媒介契約を結んだら、広告などの売却活動をせずに放置しておく。

すると、売り出した物件がなかなか売れない

値こなしと買取再販への囲い込み

夏原さん:4000万円で売り出したマンションがあるとします。

不動産会社の担当者は3カ月間物件を「干し」て、「この値段だと難しいですね、少し売り出し価格を下げましょう」と値下げを提案する。

そこであなたは3500万円に値下げする。それでもマンションは売れない。

最終的には、「仕方ない、弊社が3000万円で買いましょう」と相場より安い価格で買い叩く

ひどい場合だと、当初の価格の半額程度で売却することになります。さらには膨大なローンが残る。

買い先行は自己資金に余裕がある人だけ

夏原さん:「どうしてもこの部屋が欲しいから、買い先行にしたい」という場合は、ダブルローンになっても余力があるのか考えるべきです。

例えば、ダブルローンになっても半年ほど払い続けられる経済力があるのなら買い先行でも良いのではないでしょうか。

経済的な余裕がないのであれば、買い先行は諦めた方がいい。

―大きな金額が動く住み替えだから、無理な資金計画を立てないほうが良いということですね。

住み替えで失敗しないための対策ポイント

―他にも、住み替えで失敗しないためのポイントはありますか?

夏原さん:以下のようなポイントでしょうか。

  • 住み替えについて家族とよく相談する
  • 売ると決めたら売る、貸すと決めたら貸す
  • 不動産は売り急がない
  • 購入先がマンションなら、「管理で選べ」

住み替えについて家族とよく相談する

夏原さん:まず、住み替えについて家族でよく話し合うことが大切です。

家族に相談することで、決断に焦って失敗する可能性を少なくできると思います。

夫婦仲が良い家庭では、住み替えの計画性が良いことが多い印象です。

反対に旦那さんが独善的に何でも決めるような家では、無計画に話が進んでしまうことがあると聞きます。

家族一人一人が不安に思うことは違うため、事前に相談して書き出しておきましょう

夏原武氏

―住み替えのかなり前から家族に話しておくのが大事なのですね。

夏原さん:そうです。家族にも意見を聞いて住み替えの希望条件を決めておく。

部屋はいくつあった方がいいとか、最低でもこの街がいいとか。

よく話し合っておけば、焦らなくても必ずよい住み替え先は見つかると思います。

とある口コミで人気の不動産会社には、理想の物件が見つかることを6年ぐらい待っているお客様もいると聞きます。

極論ではありますが、中長期的なスパンで計画を立てることで本当に住みたいとこに住めるのではないでしょうか。

売ると決めたなら売る、貸すと決めたなら貸す

―家族で話し合って住み替えすることが決まった状態で不動産会社に相談したほうが良いのでしょうか?

夏原さん:そこは結構難しいですよね。良い不動産会社や営業マンにあたれば親身になって相談にのってくれますが、場合によっては住み替えを焦らされたりする。

さらには、自分に都合のよい方法に誘導する不動産会社もいると聞きます。

実際にそのような提案を受けた方もいて、「マンションを売却したい」と不動産会社に相談しに行ったら「賃貸に回したほうが得ですよ」と。

新居の分と合わせると、ローンの総額は1億円ぐらいなっちゃう(笑)。

でも、不動産会社はそういうことを平気で言ってきますから。

美味しい話だと思っても、それは不動産会社にとって美味しい話なんですよ。

売ると決めたなら売る。貸すと決めたなら貸す

住み替えについて良く調べた上で、自分の意思を大切にすることをおすすめします。

売り急がない

夏原さん:前述の「買い先行は避けたほうがいい」という話とも関係するのですが、不動産は売り急がないことが肝心です。

絶対一か月以内に売りたい」などと思わないほうがいい。

足元を見られる原因になります。

ある程度、長期戦になる覚悟をしておくことがおすすめです。

編集部補足:不動産売却にかかる期間

下のグラフは株式会社Speeeが不動産売却の経験者約1,500人に、「不動産を売り出してから売買契約までにかかった期間」を尋ねた結果です。

成約までにかかった期間(1500人にアンケート)

全体の半分以上にあたる人が、3カ月以上かかったと答えています。不動産会社を探したり、引き渡しまで時間が空く場合があることも考慮すると、半年程度の余裕を持っておくことが理想的です。

夏原さん:売り急いでしまう他のケースとしては、不動産会社に「相場が上がっているから売り時」と言われて焦ってしまうパターン。

しかし、不動産というのは非常に安定した相場です。

焦らずに冷静でいれば、大きな損は避けられるのではないでしょうか。

購入先の物件は「管理」で選べ

―住み替え先にはマンションを選ぶ方も多いと聞きます。住み替え先を選ぶ際のコツはありますか?

夏原さん:「マンションは管理で選べ」は鉄則です。

しかし、チェックするべきことは「常駐管理人がいるか」といったものではない。管理会社の姿勢が重要です。

まずは、購入候補のマンションの共有部分をチェックしましょう。

マンションの共有部分のチェック項目
  • ゴミは規則を守って出されているか
  • 自転車は決まった部分に止められているか
  • 住民の私物が共有部分に置かれていないか
  • ペット禁止の場合、動物の鳴き声などはしないか

夏原さん:今、老朽化しているマンションや、高齢者が多いマンションの管理を断る管理会社が出てきています。

管理会社が入らないマンションは、「自主管理」となります。自主管理のマンションは管理が甘くなりがちです。

マンションは日常を過ごす場所ですから、管理がしっかりしていないとストレスの元です。

夏原さん:いずれマンションを売ることを考えても、管理がちゃんとしているマンションは売りやすい

もちろん、買主はマンションの立地など他の条件も見ています。

しかし最終的な判断の際には、「管理がちゃんとしているか」を気にする方も多い。

管理が杜撰なマンションを買うと、売却も難しくなってしまいます。

ですから、マンションを購入する際には管理体制が良い物件を選ぶことがおすすめです。

―本日はお忙しい中ありがとうございました!

『正直不動産』を読んで不動産売買の正しい知識を

今回、お話を伺った夏原さんが原案者をつとめる『正直不動産』はNHK総合で連続ドラマが放送中の大ヒット作です。

住み替えについてもシリーズの中で詳しく解説されています。

『正直不動産』を読むことで楽しんで不動産取引の知識を学べます。

不動産会社やWebメディアが教えてくれない業界の裏側を教えてくれることも、この作品の魅力の一つ。

住み替えでの失敗の中には知識を身につけておくことで回避できるものもあります。『正直不動産』を読んで、後悔のない住み替えを行いましょう。

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【放送予定】
毎週火曜 NHK総合 よる10時~10時45分

【原作】
大谷アキラ(漫画) 夏原武(原案) 水野光博(脚本)

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