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相続した不動産の売却前には名義変更が必要!しないリスクと手続きを解説

  • 更新日:2023年3月31日
相続した不動産の売却前には名義変更が必要!しないリスクと手続きを解説

『親から相続した不動産、特に手続きはしてないけれど、このまま売却できないかな…?』
『ずっとしてなかった名義変更を今からしたら、罰金を取られたりしないかな…?』

不動産の名義変更にはお金も手間もかかるため、先延ばしにしてしまっている方もいるでしょう。

しかし、相続した不動産を売却するには、まず名義を被相続人から相続人に変更しなければなりません
この手続きを「相続登記」といいます。

2023年現在は相続登記に期限はありませんが、2024年4月からは義務化し、罰則が設けられます
是非とも早い内に名義変更を済ませて、売却の準備を始めましょう。

親から相続した不動産はすぐに売却するのがおすすめ!流れや税金の控除をわかりやすく解説

相続した不動産の名義変更をしない4つのリスク

相続した不動産を売却するには、不動産の名義を変更する必要がありますが、『すぐに売却しないなら、後回しにしてもいいかな…?』と思われる方もいるかもしれません。

しかし、相続した不動産を名義変更しないままでいると、以下の4つのリスクを抱えた状態になります。

売却の予定が決まっていなくても、早めに名義変更を済ませておくのを強くおすすめします。

①不動産の売却の機会を逃す可能性がある

不動産を売却した時にも、名義変更の手続き(所有権移転登記)をします。
この時、売主から買主に名義を変更するのですが、売主と不動産の名義が異なると、所有権を移す手続きができません

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被相続人(親)の名義から、いきなり買主の名義には変更できません!
売買契約時までに相続人(売主)に名義が変更されていればよいのですが、相続登記には準備期間を含めて、数週間から長くて2ヶ月ほど時間がかかります。
この間に売却のチャンスを逃してしまうといったことがないように、早めに相続人への名義変更を済ませておきましょう。
相続した不動産の売却を急ぎたい場合は、並行して売却の準備も進めていきましょう
名義変更の完了前でも、不動産の査定は依頼できます
査定を依頼する不動産会社探しは、一括査定を利用すると手間が少なくてオススメです。
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②相続登記の義務化で罰則が設けられる

2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。
そして、正当な理由のない申告漏れには、10万円以下の過料の罰則が与えられるようになります。

2024年4/1までの相続2024年4/1以降の相続
申請期限2027年4/1まで
(改正制度施行から3年以内)
相続開始を知ってから3年以内

不動産登記制度の見直しについて、詳しくは以下の法務省作成の動画や、ホームページをご覧ください。

所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)

③数次相続が起きると権利関係が更に複雑になる

相続登記を申請して名義を変更していない場合、不動産は相続人全員が法定相続分に応じて共有している状態になっています。

この状態で、更に相続が発生すると、共有者が増加する可能性があります。

数次相続が起きた場合の権利関係の例

上記の画像の例で、Cが亡くなると、2次相続が発生します。
Cが所有していた不動産の権利(持分)は子のE、Fと配偶者のGが分割して相続します。

権利関係が複雑になる程、不動産の取り扱いについて合意が取りづらくなります
たとえばAの相続人B・C・Dの間で不動産を売却する合意があっても、新たに増えた相続人E・F・Gの反対で、売却ができなくなってしまう恐れがあります。

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名義変更の手続きに必要な書類も、集めるのが難しくなっていきます

また、Aの不動産を全てCが相続することになっていたとしても、AからCへの名義変更を省略して、直接E・F・Gへと名義変更することはできません

後の世代に手続きの手間や費用を繰り越さないためにも、相続が決まっている不動産は名義変更まで行いましょう。

④共有者が原因でトラブルになる恐れがある

共有者に税金の納付や借金の返済の滞納があると、その持分を差し押さえられ、競売にかけられてしまう恐れがあります。

また、不動産が共有状態の時、共有者が所有している分の権利(持分)を売却してしまっても、不動産は第三者との共有状態になります。

たとえ不動産を単独で相続する合意や約束があったとしても、登記簿上の名義変更をしていなければ、第三者に対して所有権の主張ができません

そして、共有状態の不動産は、共有者全員の合意がなければ売却できません
第三者に持分が渡ると、相手から持分を買い取るか、相手に残りの持分を売却するか以外の選択肢を取りづらくなってしまいます。

このような事態になってしまうと、相続人同士の人間関係の悪化も避けられないでしょう。
権利が複雑化するほどリスクは高まるため、できる限り早めに手続きを済ませることをオススメします。

【宅建士監修】不動産売却の相談は誰にするべき?お悩み別に7つの相談先を紹介!

相続した不動産の売却前にする名義変更の手続き

この章では、相続した不動産の名義変更に関する手続きの中でも、以下の3つのポイントについて、詳しく解説します。

不動産の名義変更の基礎知識については、以下の記事でも解説しています。

【初心者向け】不動産の名義変更とは?自分でもできる?概要・費用・必要書類について解説

相続した不動産の名義変更にかかる期間

相続した不動産の名義変更には、数週間から長くて2ヶ月ほどかかります。

法務局へ申請するまで数週間~
法務局の手続き期間1週間~2週間

必要な書類を集めて、法務局への申請書類を作成するのに一番時間がかかります。
相続人の数が多いほど、集めなければならない書類が増加します。

申請書を提出してから手続きが完了するまで所要時間は、各法務局ごとに異なります。
また、法務局の混雑状況によっても日数が変わってきます。

期間は余裕を持って見ておきましょう。

相続した不動産の名義変更に必要な書類

名義変更に必要な書類は、以下の通りです。

相続した不動産の名義変更に必要な書類
  • 登記事項証明書(提出は不要)
  • 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 不動産を取得する相続人の住民票
  • 遺言書
    (遺言書に従って相続する場合)
  • 遺産分割協議書
    (遺産分割協議をして相続する場合)
  • 相続人全員の印鑑登録証明書
    (遺産分割協議をして相続する場合)
  • 相続関係説明図
    (戸籍謄本の原本の返却を希望する場合)
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 相続登記申請書

相続した不動産の管轄の法務局に、以上の書類の提出と「登録免許税」の支払いをします。

不動産売却のための名義変更の手順

ここでは、売却に向けて不動産を名義変更する手順を、5つのステップで解説します。

  1. 不動産の登記事項証明書を確認する
  2. 必要な書類を集める
  3. 「登記申請書」を作成する
  4. 法務局に申請する
  5. 「登記識別情報通知」を受け取る

①不動産の登記事項証明書を確認する

まずは、相続した不動産の「登記事項証明書」を取得して、登記されている情報を確認しましょう。

この時に、たとえば名義人が父ではなく祖父だった場合、父からあなたの名義変更の前に、祖父から父への名義変更が必要です。

登記事項証明書は全国の法務局で申請するか、インターネットでも閲覧できるサービスがあります。
詳しくは、以下の記事をご覧ください。

登記事項証明書の取得・活用方法について|使用時の豆知識も紹介

②必要な書類を集める

申請に必要な書類を、市町村役場などで取得します。

必要な書類については、『相続した不動産の名義変更に必要な書類』をご参照ください。

③「登記申請書」を作成する

法務局のホームページで書式をダウンロードして、「登記申請書」を作成します。

申請書の記入方法に不安がある場合は、法務局の電話相談または窓口相談が利用できます。
法務局ごとに利用方法や予約先が異なるため、事前にホームページで確認しましょう。

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地域で無料の相談会が開催されていることもあるので、活用しましょう!

④法務局に申請する

登記申請書と添付書類を相続した不動産の所在地を管轄する法務局(または支局・出張所)に提出し、登録免許税を支払って、申請します。

管轄の法務局は、法務局のホームページで確認するか、最寄りの登記所に電話で確認することもできます。

申請書類に不備があった場合は、法務局から連絡がきます。
書類の補正や、場合によっては申請し直しが必要になるため、提出前に書類をよく確認しましょう。

⑤「登記識別情報通知」を受け取る

法務局での手続きが完了すると、「登記識別情報通知」が発行されます。

登記識別情報通知はいわゆる不動産の権利証で、不動産の売却に必要な書類です。

再発行はできないため、大切に保管しましょう。

不動産を売却したい時には、インターネットの一括査定の利用がオススメです。
一度に複数社に査定を依頼すると、査定金額の比較ができて、不動産の相場を知りやすくなります。
また、相続した不動産の所在地が遠方でも、お家にいながら、地元の不動産売買に強い会社を探せます
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相続した不動産の売却前にする名義変更の費用

名義変更には、以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
  • 書類を取得する手数料

登録免許税

名義変更にかかる登録免許税は、相続した不動産の評価額に税率をかけた金額になります

不動産の評価額には、「固定資産税評価額」を用います。

登録免許税=固定資産税評価額×0.4%
固定資産税評価額は、1,000円未満は切り捨てて計算します。
また、算出された税金額は、100円未満を切り捨てします。
▼例:土地と建物の固定資産税評価額の合計が605万1,800円の場合
固定資産税評価額×税率
=6,051,000円×0.4%
=24,204円
税金額は100円未満切り捨てなので、
登録免許税額=24,200円

書類を取得する手数料

法務局や自治体で書類を取得する時に、手数料がかかります。

自治体に申請して取得する書類は、自治体によって金額が多少異なりますが、1通数百円程度です。

相続した不動産の名義変更はプロに任せることもできる

ここまで見てきた方の中には、『手続きに必要な書類を集めたり、作成したりするのは大変そうだな…』『時間がかかりそうで億劫だな…』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。

名義変更(相続登記)の手続きは、司法書士に依頼することもできます。

依頼した場合は、必要な書類を集めるところから法務局への申請まで、全て司法書士が代行してくれます

司法書士に依頼するのがオススメな場合
  • 平日に法務局や役所に行く時間を取りづらい
  • 法定相続人の数が多い
  • 数次相続が発生して権利関係が複雑になっている
  • 簡単に手続きを済ませたい

司法書士へ依頼すると、実費(登録免許税や書類取得の手数料)に加えて報酬を支払う必要があります

司法書士の報酬の金額は、一律に決まっている訳ではなく、司法書士が各々定めています。

日本司法書士会連合会が2018年に実施したアンケートによると、平均して6万円~8万円が報酬の相場となっているようです。
(3人の法定相続人の内、1人が単独相続したケース)

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書類の取得先が多い場合や、権利関係が複雑な場合は報酬が高額になりやすいです。

依頼先や、相続の状況によって金額が異なってくるため、依頼を相談する時点で見積もりを出してもらいましょう。

相続した不動産は売却前に名義変更しよう

相続した不動産の名義変更は、できる限り早めに済ませましょう。
名義変更をしないと売却できないだけではなく、名義変更以前に数次相続が発生すると、権利関係がどんどん複雑になっていきます。

また、相続する不動産の売却を検討しているなら、単独名義で相続する方が、スムーズに売りやすくなります。
相続した不動産を上手に売却するためにも、名義変更は早い内に済ませておき、売却の準備に専念しましょう。

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