【専門家監修】不動産売却コラム|すまいステップ公式

不動産売却の登記費用は誰が払うの?登記の種類や費用を解説!

  • 更新日:2025年12月12日
大熊 厚史

宅地建物取引士

行政書士

マンション管理士

監修者大熊 厚史

所属:行政書士ダンディ法務事務所 代表

不動産売却の登記費用は誰が払うの?登記の種類や費用を解説!

不動産の売却時には多くの費用がかかり、少しでも節約したいと考える人が多いのではないでしょうか。

不動産の売買をおこなうときによく耳にする登記という手続きには、登録免許税などの費用がかかります。

登記の費用も不動産売買で発生する費用の1つで、この手続きは不動産の売買を円滑に行い、不動産の権利を守るために必要な手続きです。

不動産登記とは?
権利関係などを明らかにする制度のこと。入手した土地や建物が誰のものかはっきりさせるために行われています。

この記事では、不動産の売却時にかかる登記費用について解説しています。この登記にはどのような必要性があるのか、またかかる費用や注意点について解説しているので参考にしてください。

家の売却にかかる税金や費用を知りたい方は、あわせてこちらもご覧ください。

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不動産売却の登記とは

前述の通り、不動産売却の登記とは権利関係などを明らかにする制度のことです。入手した土地や建物が誰ものかはっきりさせるために行われています。

この章では、登記はなぜ必要なのかや、登記の種類と誰が払うのかについて解説していきます。

登記はなぜ必要?

土地や建物は、実際に使用している人が持ち主とは限りません。

土地や建物に所有者の名前を書いているわけではないので、所有者本人やその土地を使っている人以外には誰が所有者なのかわかりません。

なかには、親の名義のまま家に住み続けているケースが多く見られます。

しかし、いざ売却するときには、親の名義のままだと子供は家を売却できません。

また、登記をしていないといざというときに、第三者に権利を主張できません。

このように登記は、第三者に権利を主張して、自分の持ち物であると示すためにおこなわれます

不動産登記の種類と払う人

不動産売却では、1つの手続きだけでなく、複数の登記を同時に、または事前に行う必要があります。

まず、どの登記をどちらが負担するのか、全体像を以下の表で確認しましょう。

登記の種類費用負担者主な目的・内容
住所変更・氏名変更登記売主
登記簿の所有者情報(住所・氏名)を現在のものに更新する
相続登記売主
亡くなった方から相続人へ不動産の名義を変更する
抵当権抹消登記売主
住宅ローンを完済し、不動産の担保権を消す
所有権移転登記買主
不動産の名義を売主から買主へ変更する
抵当権設定登記買主
買主が住宅ローンを組む際、金融機関が不動産を担保に設定する

このように、登記費用は売主と買主で折半するのではなく、「その登記によって誰が利益を得るか」という考え方に基づき、登記の種類ごとにどちらが負担するかが商慣習として決まっています

以下で、それぞれの登記について詳しく見ていきましょう。

【売主の義務①】売却の前提となる登記(住所変更/相続登記)

所有権を買主に移転する前に、まず「登記簿に記載されている所有者と、現在の売主が間違いなく同一人物である」ことを証明する必要があります。そのために必要なのが、以下の登記です。

  • 住所変更・氏名変更登記
    • 引越しによる住所の変更や、結婚による氏名の変更があった場合、登記簿の情報を最新のものに更新します。これを怠ると、売主本人であることの確認が取れず、売却手続きを進めることができません
  • 相続登記
    • 相続によって取得した不動産を売却する場合、まず故人から相続人へと名義を変更する「相続登記」が必須です。なお、2024年4月1日から相続登記は義務化されており、正当な理由なく怠ると過料の対象となる可能性もあります。

【売主の義務➁】抵当権抹消登記

上記の前提となる登記を済ませた上で、住宅ローンが残っている場合に必要になるのが「抵当権抹消登記」です。

住宅ローンを組むと、金融機関が不動産に「抵当権」という担保権を設定します。売主は、売却代金などでローンを完済し、この抵当権を消して、買主へ完全な所有権を引き渡す義務があります。そのため、この登記費用も売主が負担します。

【買主の権利】所有権移転登記

「所有権移転登記」とは、その不動産の所有者が売主から自分に変わったことを法務局の登記簿に記録し、公的に新しい所有者として権利を確定させるための手続きです。

この登記によって「不動産の所有権」という利益を得るのは買主であるため、その費用は買主が負担します。

また、多くの買主が住宅ローンを利用しますが、その際、金融機関が不動産を担保に取るための「抵当権設定登記」を行います。これも買主が融資を受けるために必要な手続きですので、費用は買主の負担となります。

なぜこの分け方なのか

「どちらが費用を払うか」について、法律で厳密に定められているわけではありません。しかし、不動産取引では、以下のような考え方に基づく長年の取引慣習として、負担者が明確に分かれています。

  • 売主の役割: 所有権を妨げる要因(昔の住所、前の所有者の名義、自身の抵当権など)をすべて解消し、クリーンな状態で引き渡す。
    • ⇒ そのための費用を負担する。
  • 買主の役割: 引き渡された所有権を、自分のものとして公的に登録し、権利を守る。
    • ⇒ そのための費用を負担する。

このように、それぞれの登記の目的を理解すれば、誰が費用を負担するのかが自然とわかります。売買契約書にも費用の負担者について必ず記載がありますので、契約時に改めて確認しましょう。

売主が不動産登記でかかる費用と必要書類

前の章で解説した通り、売主は主に「抵当権抹消登記」や、必要に応じて「住所変更登記」「相続登記」などの費用を負担します。登記費用は、主に国に納める税金である「登録免許税」と、手続きを代行する専門家への「司法書士報酬」で構成されています。

ここでは、それぞれの登記にいくらくらいかかるのか、具体的な費用の内訳と相場を見ていきましょう。

売主が払う登記費用の内訳と相場

① 住所変更登記・相続登記の費用

これらは、売却の前提として登記簿の情報を最新にするために必要な手続きです。

費用内訳】

  • 登録免許税: 住所変更登記は不動産1つにつき1,000円。相続登記は固定資産税評価額の0.4%です。
  • 司法書士報酬: 住所変更登記で1万円~2万円程度、相続登記では手続きの複雑さにより5万円~15万円程度が相場です。

費用の目安】

相続登記が必要な場合、合計で数万円~十数万円の費用がかかることもあります。売却活動を始める前に登記簿の内容を確認し、必要な場合は早めに手続きを済ませましょう。

② 抵当権抹消登記の費用

不動産1つにつき、1,000円の登録免許税がかかります。戸建てのように土地と建物の場合には、2,000円かかります。

通常、抵当権を設定するときには、土地の上に建物がある場合、土地と建物両方に抵当権が設定されます。そのため、2,000円の登録免許税がかかります。

また、2筆ある土地の上に建物がある場合には、不動産の戸数は3個となり3,000円かかります。

司法書士に手続きを依頼した場合の報酬は、10,000円から20,000円程度になります。

計算例:一戸建ての場合
【抵当権抹消登記を自分で行った場合】
登録免許税:2,000円
登記事項証明書:1,200円
合計:3,200円

【抵当権抹消登記を司法書士に依頼した場合】
登録免許税:2,000円
登記事項証明書:1,200円
司法書士への報酬:10,000円~20,000円
合計:13,200円~23,200円

売主が登記で準備する必要書類一覧

決済日(引渡し日)には、以下の書類がすべて揃っている必要があります。実際に手続きを行う司法書士の指示に従い、早めに準備を始めましょう。

  • 登記済権利証 または 登記識別情報通知書(いわゆる「権利証」)
  • 登記原因証明情報(通常は売買契約書が該当します)
  • 印鑑証明書(発行後3ヶ月以内)
  • 実印
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 固定資産評価証明書
  • 金融機関から受け取る抵当権抹消書類一式(ローン完済後に受け取ります)
  • 委任状(司法書士が用意します)

もし引渡し当日に書類が一つでも欠けると、登記申請ができず決済が延期になり、最悪の場合、契約違反として違約金を請求される可能性もあります。

不動産売却に必要な費用一覧!手数料の相場や税金の計算方法を解説!

買主が不動産登記でかかる費用と必要書類

続いて、買主が負担する費用と必要書類です。買主が負担する登記費用は、ほぼ「所有権移転登記」の費用と考えてよいでしょう。

売主の費用とは異なり、物件の価値に応じて金額が大きく変動するため、事前にしっかりと資金計画を立てておくことが重要です。

買主が払う「所有権移転登記」の費用内訳と相場

所有権移転登記の費用は、大きく分けて「①登録免許税」と「②司法書士報酬」の2つです。まずは、費用の大部分を占める登録免許税から詳しく見ていきましょう。

① 登録免許税

登記費用の中で最も大きな割合を占める国税で、「固定資産税評価額 × 税率」で計算します。固定資産税評価額とは、市町村が固定資産税を計算する基にするための価格です。物件の価値が高いほど、この登録免許税も高額になります

しかし、自己の居住用として住宅を購入する場合、一定の要件を満たすことで登録免許税の税率が大幅に引き下げられます。

登記の種類本則軽減措置(適用期限:R8.3.31まで)
土地の所有権の移転2.0 %1.5 %
住宅用家屋の所有権の移転2.0 %0.3 %

参考:国税庁「登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

この軽減措置を使えるかどうかで、税額が数十万円単位で変わることもありますので、物件が要件を満たすか必ず確認しましょう。

② 司法書士報酬

登記手続きを代行する司法書士に支払う報酬で、報酬額は自由化されているため事務所によって異なります。相場としては5万円~10万円程度ですが、物件の価値や手続きの難易度によって変動します。

見積もりには、この報酬のほかに、日当や書類取得費用(登記簿謄本など)といった実費が含まれることもあります。

買主が準備する必要書類一覧

売主と同じように、決済日(引渡し日)には、以下の書類がすべて揃っている必要があります。実際に手続きを行う司法書士の指示に従い、早めに準備を始めましょう。

  • 住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの)
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
  • 印鑑
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)
  • (住宅ローンを組む場合)印鑑証明書と実印

不動産売却に必要な書類一覧!取得方法からなくした場合の対処法までまとめて紹介!

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不動産登記における注意点

司法書士は誰が選ぶ?

不動産売買の登記は、不動産会社から紹介される司法書士に依頼するのが一般的です。

売主が行う「抵当権抹消登記」と、買主が行う「所有権移転登記」は、決済日に同時に申請する必要があります。そのため、売主と買主が別々の司法書士に依頼すると、連携が複雑になり、手続きに支障が出る可能性があります。

実務上は、買主側の不動産会社が指定する司法書士が、売主・買主双方から依頼を受け、すべての登記手続きをまとめて代行するケースがほとんどです。これにより、決済から登記申請までをスムーズかつ確実に行うことができます。

もちろん、自分で司法書士を探して依頼することも不可能ではありませんが、取引の安全性や円滑さを考えると、不動産会社提携の司法書士に任せるのが最も安心な選択といえるでしょう。

登記費用を少しでも安く抑えるには?

登記費用の内訳は、国に納める税金である「登録免許税」と、専門家への「司法書士報酬」です。登録免許税は法律で定められているため減額はできません。費用を抑えるポイントは「司法書士報酬」にあります。

方法① 複数の司法書士から見積もりを取る

司法書士の報酬は自由化されているため、事務所によって料金が異なります。そのため、複数の司法書士から見積もり(相見積もり)を取ることで、より安価な事務所を見つけられる可能性があります。

ただし、前述の通り、売買取引では不動産会社が司法書士を指定することが多いのが実情です。もし自分で探す場合は、不動産会社や取引相手(金融機関など)の承諾が得られるか、事前に確認する必要があります。

方法② 自分で登記する

司法書士に依頼せず、自分で登記手続きを行えば、司法書士報酬をまるごと節約できます。

売却前に個人で行う「住所変更登記」など、比較的シンプルな手続きであれば、法務局の相談窓口などを利用しながら自分で挑戦してみる価値はあるかもしれません

しかし、売買取引と同時に行う「抵当権抹消登記」や「所有権移転登記」を自分で行うことは、現実的にはほぼ不可能です。これらの手続きは非常に複雑で、書類に一つでも不備があると決済がストップしてしまう重大なリスクが伴います。買主や金融機関も、安全性を担保するために専門家(司法書士)の介入を必須条件とすることがほとんどです。

手間とリスクを考えると、売買取引の登記は専門家に任せるのが賢明です。

登記申請は「決済・引渡し日」に必ず行う

不動産取引では、買主が売主に売買代金の全額を支払う「決済」と、司法書士が法務局に登記申請を行う手続きは、必ず同じ日に行うのが鉄則です。

これは「同時履行」の原則といい、取引の安全を守るための最も重要なルールの一つです。

もし代金を支払った後に登記申請が遅れると、その間に売主が倒産して不動産が差し押さえられたり、悪意のある売主が別の人に売却してしまう(二重譲渡)といったリスクが生じます。

こうしたリスクから買主の権利を完全に守るため、司法書士は、代金の支払いが完了したことを確認したその足で、即日法務局へ向かい登記申請を行います。この仕組みによって、不動産取引は安全に完了するのです。

大熊 厚史
監修大熊 厚史
司法書士事務所で10年以上補助者として働いた後に、2016年8月に行政書士ダンディ法務事務所を開業。
弁護士・司法書士も同事務所内にいるので、どのような複雑な案件にも適切に対処。特に遺言・相続には自信あり。
【保有資格】行政書士、マンション管理士、宅建士、管理業務主任者、測量士補
【URL】行政書士ダンディ法務事務所
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