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【土地の権利書を紛失したら】再発行は不可!対処法を徹底解説

土地の権利書は、正式には「登記済証」や「登記識別情報」といいます。

不動産の売却や贈与などで所有権移転登記を行う際に必要になるものですが、いざ使うタイミングで、紛失に気がつく方も少なくありません。

「権利書をなくしたから、手続きできないのでは」と不安になる方もいるかと思いますが、権利書以外で本人確認を行うことで、各種手続きは可能です。

平成17年(2005年)以降に土地を取得している場合は、通知書がなくても登記識別情報の記号がわかればそちらで手続き可能です。

登記済証や登記識別情報通知書が見つからず、登記識別情報の記号もわからないというときは、本記事をご参考にしてください。

監修吉崎 誠二
社団住宅法人・不動産総合研究所 理事長。㈱船井総合研究所上席コンサルタント、(株)ディーサイン、不動産研究所所長を経て現職。不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行う。【保有資格】宅地建物取引主任士【URL】不動産エコノミスト 吉崎誠二

土地の権利書を紛失しても再発行はできない

登記済証も登記識別情報も再発行することはできません。紛失した場合も、盗難にあってしまった場合も同じです。

ただし、紛失によって土地を所有している権利そのものを失うわけではありませんので、安心してください

手続き上、土地の所有権の証明が必要な場合は、本人確認を行う代替手段があります

土地の権利書を紛失したときの対処法

必ず土地の権利書が必要になるのは、不動産の売却などで「所有権移転登記」を行うときや、住宅ローン(抵当権)に関する登記を行うときです。(その他、確認のためなど必要な場合もあります)

土地の権利書を用意できない場合は、主に以下の3つの手段の内から対処するとよいでしょう。

  • 事前通知制度を利用する
  • 公証人に本人確認してもらう
  • 司法書士などに依頼して本人確認情報を作成してもらう

状況に応じて、利用できる制度とできない制度があるので、ご自身に合った方法で手続きを進めましょう。

事前通知制度を利用する

不動産売却時親族間贈与時財産分与時住宅ローン完済時
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【事前通知制度】とは、「法務局に登記申請を行った人物が土地の所有者本人かどうか」を、本人限定受取郵便によって確認する制度です。

メリットデメリット
  • 費用がかからない
  • 登記申請時に特別な手続きなし
  • 時間がかかる
  • 不備があったり、2週間以内に間に合わなかったりすれば登記申請が却下される

法務局から「登記申請がありましたが、間違いありませんか」という確認(事前通知)が送られてくるので、法務局の発送日から2週間以内(海外在住の場合は4週間以内)に、署名と、登記申請時に使用した実印で押印をして、法務局へ返送、または持参します。これによって登記申請を完了することができます。

書類に不備があったり、期限に間に合わなかったりした場合には、登記申請は却下されてしまいます。

手続きに必要な書類
  • 実印
  • 身分証(郵便受取り時の本人確認に提示するもの)

売主に悪意があると、購入代金を受け取ったうえで、わざと事前通知を返送しないという事態が起きるおそれがあるため、他人同士の売買取引では用いられません。また、離婚に伴う財産分与でも避けた方がよいでしょう。

前住所通知
登記申請を行った元の名義人の現住所に届く「事前通知」の郵便とは別に、「登記上の住所」にも名義変更の申請があったことを通知する郵便が送られます。
「なりすまし」の申請を防ぐためのもので、本人による申請であればこちらに対してリアクションを取る必要はありません

公証人に本人確認してもらう

不動産売却時親族間贈与時財産分与時住宅ローン完済時

公証人に登記申請の書類に認証をしてもらうことで、本人確認を行うことができます。

メリットデメリット
  • 費用が比較的安い(3,500円)
  • 平日に公証役場に行く必要がある
  • 前住所通知は行われる

公証人による本人確認制度を利用するには、必要な書類を用意して公証役場へ行き、認証手数料(3,500円)を支払います

公証人の立ち会いのもとで、登記申請書や登記申請委任状に署名・捺印する(または自認する)ことで、「間違いなく本人である」という認証文を付与してもらうことができます。この認証を受けた書類を法務局に提出すれば、土地の権利書の提出なしで登記の申請を行うことができます

手続きに必要な書類
  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 身分証(顔写真付きのもの)
  • 登記の申請書類(または登記申請の委任状)

お近くの公証役場はホームページで検索できます。

参考:日本公証人連合会「公証役場一覧」

司法書士などに依頼して本人確認情報を作成してもらう

不動産売却時親族間贈与時財産分与時住宅ローン完済時

登記申請の代理人に【本人確認情報】という書類を作成してもらうことで、本人確認を行うことができます。

メリットデメリット
  • 登記を依頼した司法書士にすべて任せられる
  • 書類の用意を含め、手間がかからない
  • 他の手段に比べて費用がかかる(数万~十数万)
  • 登記申請を委任していない場合は利用できない

司法書士に依頼している場合、申請を代理する司法書士と面談し、「不動産はいつ購入したのか」「権利書を最後に見たのはいつか」など、複数の質問に回答します。

その後に作成してもらえる本人確認情報】という書類を、土地の権利書の代わりに法務局に提出することで、登記の手続きを行うことができます。

手続きに必要な書類
  • 身分証(運転免許証やマイナンバーカードなど)

登記の委任の費用とは別に、本人確認情報作成の費用の支払いが必要です。依頼先にもよりますが、報酬として数万円から十数万円程度かかります。

なお、土地を合筆する場合で、登記申請を土地家屋調査士に委任しているのであれば、その代理人である土地家屋調査士に本人確認情報の作成を依頼することができます。

相続の場合は土地の権利書は不要

結論からいうと、土地を相続する手続きに土地の権利書は必要ありません

被相続人の本人確認は住民票の除票でOK

そもそも土地の権利書は、名義変更の申請をする人が「本当に所有者であり」「権利を譲る意思がある」ことを確認するために、提出を求められるものです。

しかし相続の場合は、被相続人がすでに死亡しているため、土地の所有権を得る相続人がひとりで登記の申請を行います。

被相続人の意思は遺言書で、土地の権利を所有していた事実は相続申請の書類で確認されるため、権利書の提出は必要ないのです。

相続が完了したときに、相続人の名義で新しく登記識別情報が発行されます。安心して相続の手続きを進めましょう。

例外的に権利書の提出が必要になる場合

ただし、以下の場合は例外的に提出が求められます

・被相続人死亡時の住所と登記簿上の住所が一致せず、さらに被相続人の住民票の除票(あるいは戸籍の附票)が取得できない場合
・遺贈の場合

令和元年の法令改正によって、現在は保存期間が延長されましたが、平成21年以前に亡くなった人の住民票の除票や戸籍の附票は取得できない可能性が高いようです。

手に入らない場合は、「登記簿上の所有者が間違いなく自分の被相続人である」ことの上申書と相続人全員の署名捺印と印鑑証明書が必要となります。また他にも合わせて提出が求められる書類があるため、法務局にまず問い合わせるか、司法書士に相談しましょう。

このように、時間が経過すると必要書類の収集が困難になることもあるため、相続登記はなるべく早めに行いましょう

住宅ローンを借り換えるときは担当者に相談

住宅ローンを借り換えるときには抵当権抹消登記と抵当権設定登記をする必要があり、それぞれで権利書の提出が必要となります。

紛失してしまった場合は、融資を受ける銀行の担当者や、担当の司法書士に相談しましょう

ローンの借り換えに伴う登記の手続きは原則司法書士が担当するため、所有者である本人確認は司法書士を通じて行うことになります

登記申請に関する業務とは別途、報酬を支払う必要があります。

自分で抹消登記を行うことができません
司法書士に依頼することになるため、担当の司法書士に本人確認情報を作成してもらうことになります

紛失した土地の権利書を悪用される可能性はあるか

土地の権利書の紛失が盗難によるものだとしても、権利書のみで不動産の売買を行うことはできないため、第三者に悪用される可能性は低いといえます。

また本記事冒頭でお伝えしたように、権利書を紛失しても土地の権利そのものを失うこともありません。よって、さしあたって慌てる必要はありません。

仮に権利書を悪用されて登記名義を変更された場合でも、登記が無効であることを証明できれば、裁判を経て所有権移転登記を抹消することができます

しかしながら「しばらく土地の譲渡の予定もなく、権利書を紛失したままでいるのが不安だ」、あるいは他の本人確認書類も同時に紛失してしまったという場合には、以下の方法で対処することができます。

不正登記防止申出の制度

法務局に対して、「今から3ヶ月以内になりすましで登記の申請があった場合、登記を行わず、その旨を通知してください」と申出をする制度です。

権利書の盗難や登記識別情報の盗み見が確かであったり、実印や印鑑登録証と印鑑証明書を同時に盗難されているときなど、特に悪用の危険性が高い場合に利用するべき制度です。

申出をするには、具体的な理由に基づいた対応(警察や関係機関への相談・告発、盗難の被害届の提出など)を行っている必要があります。また、代理人による申請はできません。

実印や印鑑登録証を紛失した場合は、早急に印鑑登録を行っている市区町村の窓口に届け出ましょう

登記識別情報の失効申出

所有している土地の管轄の登記所に対して、登記済証や登記識別情報の効力を失効させる申出を行うこともできます

注意点として、一度失効させると、あとから権利書が見つかった場合でも、それを使用して所有権移転登記を行うことはできません。紛失した場合と同様に、本人確認手続きを取る必要があります。

オンライン申請か窓口にて申請できます。(オンライン申請にはソフトウェアダウンロードが必要です。)

参考:登記ねっと「登記識別情報の失効の申出」

記事のおさらい

土地の権利書は再発行できますか?

土地の権利書(登記済証・登記識別情報通知)は再発行はできません。

ただし、他の方法で本人確認を行うことで売却や贈与のための登記申請は問題なく進められます。

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

土地の権利書を紛失していても不動産の売却は行えますか?

  • 事前通知制度を利用する
  • 公証人に本人確認してもらう
  • 司法書士などに本人確認情報を作成してもらう

以上3つの手段のいずれかで本人確認を行い登記申請手続きをすることで、土地の権利書がなくても売却可能です。

詳しくは土地の権利書を紛失した時の対処法をご覧ください。

相続する場合はどうすればいいですか?

相続登記には土地の権利書は不要です。

詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい。

紛失した土地の権利書を悪用されないか心配です

土地の権利書のみで不動産の売買はできないため、悪用の可能性は低いといえます。

ただし、実印や印鑑証明書を同時になくしている場合はリスクが高まりますので、対応策を取りましょう。

詳しくはこちらをご覧ください。

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