土地の権利書を紛失しても慌てない!やるべき対処法を徹底解説

土地の権利書は、正式には「登記済証」や「登記識別情報」といいます。

土地の売却や贈与などで所有権移転登記を行う際に必要になるものですが、いざ使うタイミングで、紛失に気がつく方も少なくありません。

「権利書をなくしたから、手続きできないのでは」と不安になる方もいるかと思いますが、権利書以外で本人確認を行うことで、各種手続きは可能です。

本記事では状況別に「するべきこと」「必要なもの」を紹介していますので、権利書をなくしてしまって困っている方は、ご参考にしてください。

そもそも土地の権利書がどういうものか、どんなときに必要なものなのかを知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

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土地権利書とは?権利書と登記識別情報の違いや紛失時の対応を解説

土地の権利書の再発行は不可!紛失時にまずやること

登記済証も登記識別情報も再発行することはできません。紛失した場合も、盗難にあってしまった場合も同じです。

ただし、紛失によって土地を所有している権利そのものを失うわけではありませんので、ご安心ください

手続き上、土地の所有権の証明が必要な場合は、本人確認を行う代替手段があります

まずは本人確認書類を用意しよう

土地の売却や贈与の際に、権利書の代わりの手段で「土地の所有者であること」を証明する場合、いずれも本人確認書類が必要です。

まずは落ち着いて、本人確認書類にできる公的身分証明書を手元に用意しましょう

公的身分証明書の例
マイナンバーカード、運転免許証、パスポート、身体障碍者手帳、在留カード、特別永住者証明書、運転経歴証明書

また手続きによっては実印や印鑑証明書が必要です。所有権移転登記に必要なものとは別に、印鑑証明書の発行が必要になることに注意しましょう。

権利書紛失時の対処法【土地を売却・贈与・財産分与するとき】

土地を売却したり、贈与するときには「所有権移転登記」の申請を法務局で行います。この際に、元の所有者の土地の権利書が必要になります。

土地の権利書を用意できない場合は、以下の3つの手段の内から対処します。

  • 事前通知制度を利用する
  • 公証人に本人確認してもらう
  • 司法書士などに本人確認情報を作成してもらう

事前通知制度を利用する

こちらは、主に親族間での贈与の場合に取るべき手段です。

土地の所有者名義の変更申請を行った人の元へ、法務局から「名義変更の申請がありましたが、間違いありませんか」という確認(事前通知)が郵送で送られることで、本人確認を行います

この通知書に対して、元の名義人が発送日から2週間以内(海外在住の場合は4週間以内)署名と押印をして、法務局へ返送、または持参します。これによって登記申請を完了することができます。

書類に不備があったり、期限に間に合わなかった場合には、登記申請は却下されてしまいます。

売主に悪意があると、購入代金を受け取ったうえで、わざと事前通知を返送しないという事態が起きるおそれがあるため、他人同士の売買取引では用いられません。また、離婚に伴う財産分与でも避けた方がよいでしょう。

メリットデメリット
  • 費用がかからない
  • 時間がかかる
  • 不備があったり、2週間以内に間に合わなければ登記申請が却下される
  • 売買や財産分与には不適
前住所通知
登記を申請した人がすでに転居しているとき、現住所に届く「事前通知」の郵便とは別に、「登記上の住所」にも名義変更の申請があったことの通知が送られます。
「なりすまし」の申請を防ぐためのもので、本人による申請であればこちらに対してリアクションを取る必要はありません。

公証人に本人確認してもらう

「公証人」の立ち会いのもとで、司法書士への登記申請委任状に署名・捺印することで、「間違いなく本人である」という認証文を付与してもらうことができます。

この認証を受けた登記申請委任状を法務局に提出すれば、土地の権利書の提出なしで所有権移転を行えます。

公証人による本人確認制度を利用するには、以下を用意して公証役場へ行き、認証手数料(3,500円)を支払います

  • 印鑑証明書
  • 実印
  • 身分証明書(顔写真付きのもの)
  • 司法書士に対する委任状

お近くの公証役場はホームページで検索できます。

参考:日本公証人連合会「公証役場一覧」

メリットデメリット
  • 費用が安い
  • 平日に公証役場に行く必要がある
  • 前住所通知は行われる

司法書士などに本人確認情報を作成してもらう

登記申請の代理人である司法書士に書類を作成してもらうことで所有権移転の手続きを進めることもできます。

必要な書類は身分証明書だけです。

司法書士と直接面談し、本当に不動産の所有者かを確かめるため「不動産はいつ購入したのか」「権利書を最後に見たのはいつか」など、複数の質問に回答します。

本人確認ができたあとに作成してもらえる本人確認情報という書類を、土地の権利書の代わりに法務局に提出します

登記の委任の費用とは別に、本人確認情報作成の費用の支払いが必要です。依頼先にもよりますが、数万円から十数万円かかります。

なお、土地を合筆する場合で、登記申請を土地家屋調査士に委任しているのであれば、その代理人である土地家屋調査士に本人確認情報の作成を依頼できます。

メリットデメリット
  • 登記を依頼した司法書士にすべて任せられる
  • 用意するものが少なくて楽
  • 他の手段に比べて費用がかかる
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権利書紛失時の対処法【土地を相続するとき】

結論からいうと、土地を相続する手続きに土地の権利書は必要ありません

相続時に土地の権利書は不要

そもそも土地の権利書は、名義変更の申請をする人が「本当に所有者であり」「権利を譲る意思がある」ことを確認するために、提出を求められるものです。

しかし相続の場合は、被相続人がすでに死亡しているため、土地の所有権を得る相続人がひとりで登記の申請を行います。

被相続人の意思は遺言書で、土地の権利を所有していた事実は相続申請の書類で確認されるため、権利書の提出は必要ないのです。

相続が完了したときに、相続人の名義で新しく登記識別情報が発行されます。安心して相続の手続きを進めましょう。

例外的に権利書の提出が必要になる場合

ただし、以下の場合は例外的に提出が求められます

・被相続人死亡時の住所と登記簿上の住所が一致せず、さらに被相続人の住民票の除票(あるいは戸籍の附票)が取得できない場合
・遺贈の場合

令和元年の法令改正によって、現在は保存期間が延長されましたが、平成21年以前に亡くなった人の住民票の除票や戸籍の附票は取得できない可能性が高いです。

手に入らない場合は、「登記簿上の所有者が間違いなく自分の被相続人である」ことの上申書と相続人全員の署名捺印と印鑑証明書が必要となります。また他にも合わせて提出が求められる書類があるため、法務局にまず問い合わせるか、司法書士に相談しましょう。

このように、時間が経過すると必要書類の収集が困難になることもあるため、相続登記はなるべく早めに行いましょう

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権利書紛失時の対処法【ローン借り換え・完済時】

住宅ローンを借り換えるときには抵当権抹消登記と抵当権設定登記、完済時には抵当権抹消登記をする必要があり、それぞれで権利書の提出が必要となります。

ローンを借り換えるとき

融資を受ける銀行の担当者や、担当の司法書士に相談しましょう

ローンの借り換えに伴う登記の手続きは原則司法書士が担当するため、所有者である本人確認は司法書士を通じて行うことになります

登記申請に関する業務とは別途、報酬を支払う必要があります。

ローンを完済したとき

抵当権抹消登記は個人で行うこともできるため、以下の3つの方法からご自身に合うやり方で本人確認の手続きを行えます。

  • 事前通知制度を利用する
  • 公証人に本人確認してもらう
  • 司法書士などに本人確認情報を作成してもらう

詳しい方法やメリット・デメリットは2章「権利書紛失時の対処法【土地を売却・贈与・財産分与するとき】」をご参照ください。

自分で抹消登記を行うことができません
司法書士に依頼することになるため、担当の司法書士に本人確認情報を作成してもらうことになります
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土地の権利書を悪用される可能性はあるか

権利書の紛失が盗難によるものだとしても、権利書のみで土地の売買を行うことはできないため、第三者に悪用される可能性は低いといえます。

また本記事冒頭でお伝えしたように、権利書を紛失しても土地の権利そのものを失うこともありません。よって、さしあたって慌てる必要はありません。

仮に権利書を悪用されて登記名義を変更された場合でも、登記が無効であることを証明できれば、裁判を経て所有権移転登記を抹消することができます

しかしながら「しばらく土地の譲渡の予定もなく、権利書を紛失したままでいるのが不安だ」、あるいは他の本人確認書類も同時に紛失してしまったという場合には、以下の方法で対処することができます。

不正登記防止申出の制度

法務局に対して、「今から3ヶ月以内になりすましで登記の申請があった場合、登記を行わず、その旨を通知してください」と申出をする制度です。

権利書の盗難や登記識別情報の盗み見が確かであったり、実印や印鑑登録証と印鑑証明書を同時に盗難されているときなど、特に悪用の危険性が高い場合に利用するべき制度です。

申出をするには、具体的な理由に基づいた対応(警察や関係機関への相談・告発、盗難の被害届の提出など)を行っている必要があります。また、代理人による申請はできません。

実印や印鑑登録証を紛失した場合は、早急に印鑑登録を行っている市区町村の窓口に届け出ましょう

登記識別情報の失効申出

所有している土地の管轄の登記所に対して、登記済証や登記識別情報の効力を失効させる申出を行うこともできます

注意点として、一度失効させると、あとから権利書が見つかった場合でも、それを使用して所有権移転登記を行うことはできません。紛失した場合と同様に、本人確認手続きを取る必要があります。

オンライン申請か窓口にて申請できます。(オンライン申請にはソフトウェアダウンロードが必要です。)

参考:登記ねっと「登記識別情報の失効の申出」

記事のおさらい

土地の権利書は再発行できる?

土地の権利書(登記済証・登記識別情報通知)は再発行はできません

ただし、他の方法で本人確認を行うことで、売買や贈与などの手続きは問題なく進められます

詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

土地の売却・贈与・財産分与時に権利書紛失に気づいた

登記申請時に以下の手段のいずれかで元の名義人の本人確認を行います。

  • 事前通知制度を利用する
  • 公証人に本人確認してもらう
  • 司法書士などに本人確認情報を作成してもらう

詳しくは権利書紛失時の対処法【土地を売却・贈与・財産分与するとき】をご覧ください。

土地の相続時に権利書紛失に気付いた

相続の手続きに土地の権利書は必要ありません。ただし、例外的に住民票の除票が取得できないときに必要となる可能性もあります。

詳しく知りたい方は権利書紛失時の対処法【土地を相続するとき】をご覧下さい。

住宅ローンの借り換え時・完済時に権利書紛失に気づいた

住宅ローンを借り換えするときや、譲渡益で残債を返済するときは、登記を担当する司法書士に本人確認情報を作成してもらいましょう。

ローンを完済して抵当権抹消登記をする際は、「事前通知制度」「公証人による認証」「司法書士による本人確認」のいずれかの方法を選んで本人確認を行えます。

詳しくは権利書紛失時の対処法【ローン借り換え・完済時】をご覧ください。


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